7月 31st, 2015|ブログ|

 交通事故で大きな衝撃を受けても、出血等の分かりやすいサインがない場合、つまり、いわゆるむち打ちの場合は、よってたかって「物損事故扱いにしてください」というリクエストが入ります。
むち打ちは奥深い
 しかし、私に言わせれば「絶対の絶対の絶対に」人身事故として届け出るべきです。

 今日は、一人でも「物損届出による二次被害者」が出ないためにも、人身事故として届け出るべき理由をお話します。

  • 痛いのに人身事故扱いにしない理由はなんですか?
  • 物損事故にして苦労するのは全て被害者です。
  • 加害者は得しかないが、被害者が苦労する。
  • みんな面倒くさいから人身にしたくないのでしょう。

「車イス必要かも」の事故は物損事故でした

 まずは事例でご紹介した方が、分かりやすいでしょう。

 出勤時に直線進行中、左側に停車していた車が急発進して側面衝突。ひどい衝撃を受けたが、加害者は非を認めているし、保険会社にも人身事故と同じように補償するからと言われ、物損事故として処理し、人身事故の届出を行わなかった。
 しかし、今まで健康だった身体はどうもおかしく、片方の手の握力が落ち、感覚が鈍って常にしびれていたので、MRIを撮るよう勧められた。脳外科医の所見は、聞いたこともないような病名だった。医師に「もしかしたら20年後、30年後手術することになるかも知れない。車椅子で生活しなければならいことになるかも知れない。その時は、この事故のことを話すように」と言われた。

 ご相談を受けたのは事故から半年後。労災は申請しておらず、治療費は打ち切り。治療実績は整骨院へ100回…。事故時の診断は当然「頸椎捻挫」。

物損事故で被害者請求はできるのか?

 さて、ここから考えていきましょう。物損事故扱いにしておいて、その後に後遺症が残った場合、それが自賠責の「後遺障害」に該当するかどうかの認定を求めることができるでしょうか?

 できます。ただし、交通事故証明書はありませんので「人身事故証明書入手不能理由書」を添付する必要があります。

 ここで質問です。診断名と治療実績がまったく同じであった場合、物損事故扱いにした被害者と人身事故扱いにした被害者、どちらがより大きな怪我であったと考えられるでしょうか。

 この問いに正解はありません。しかし、私なら「人身事故扱いの被害者」と答えるでしょう。なぜなら、物損事故として処理した被害者の事故態様は、それほど甚大なものではなかったと推察できるからです。

 私は、被害者請求では人身事故として届け出ていることが前提であり、物損の場合は、それだけビハインドを負った状態からのスタートとなる、と考えています。

 これに論理的な根拠を示すことはできませんが、調査事務所が事故態様を重視している事を鑑みれば、人身事故として届け出ることは、やはり大切であると考えるべきでしょう。

物損事故扱いで労災は使えるのか

 では、物損事故扱いにしていた場合、怪我の部分について労災は使えるのでしょうか?

 使えます。ただし、ここでも、交通事故証明書に代わる書類の添付が求められます。

 つまり、人身事故として届け出ていれば発行される交通事故証明書は、その後の手続の多くで必要となる「交通事故」を証する書類となります。
 しかし、加害者に泣きつかれ、保険会社に言いくるめられて物損事故として処理してしまえば、その後煩わしさを引き受けなければならないのは、被害者だけなのです。

痛ければ人身事故扱いに!

 痛みがあっても、相当数の被害者の方々が物損事故として交通事故を処理していらっしゃいます。痛みがそれほど深刻でない場合、それを了とされる気持ちも分からないではありません。

 しかし、身体の状態は、すぐに判断することはできないはずです。ご自身を守るためには、痛ければ是が非でも人身事故として取り扱うことが大切ではないでしょうか。

 加害者の事情や保険会社・警察の手間など事故に遭われた方々には何の関係もありません。あとで後悔しないためにも、人身事故として届け出るか、物損事故扱いにされている場合は、切替を検討なさることをお勧めします。

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