6月 28th, 2015|ブログ|

生活福祉資金貸付制度
 生活困窮者の餓死事件が度々報道されます。また、生活苦から取り返しのつかない過ちを起こすという事件も後を絶ちません。

 本人の自助努力を前提にして、その自助努力を支援する制度が、この国にないわけではありません。
 しかし、制度はそれにかかわる人たちがいてはじめて成立するものです。

 周知する人、運用する人、利用しようとする人、それぞれがそれぞれの立場で最善の努力を積み重ねてこそ、制度はその価値を発揮すると言えるのではないでしょうか。

 今日は、金融機関から融資を受けることができない場合を念頭に、厚生労働省が所管している「生活福祉資金貸付制度」について概観してみます。

  • 所得が低くお金に困っている場合、国が貸し付けてくれる制度がある。
  • 原則保証人が必要だが、保証人がなくても貸し付けてくれる。
  • 6ヶ月間の据え置き期間があるため、返済開始まで時間的猶予がある。
  • 償還期間は最長10年である。

制度の概要

 生活福祉資金貸付制度は、厚生労働省の主管事業で、実施する主体は、各都道府県の社会福祉協議会(社協)となります。

 生活困窮者向けの社会保障事業といえば生活保護制度がありますが、当然のことながら、生活保護制度は所得要件が厳格に定められています。

 生活保護基準は超えているけれど、様々な事情で家計の資金繰りが困難な世帯のために、一時的に資金を融通しようというのが生活福祉資金貸付制度と言えるでしょう。

 貸付対象は、低所得世帯の他、障害者世帯、高齢者世帯です。

貸付の対象となる資金

 貸付の対象となる資金は、大きく4つに大別されており、その資金ごとに、さらに細かく用途が定められています。以下、概観していきましょう。

  • 総合支援資金
  • 福祉資金
  • 教育支援資金
  • 不動産担保型生活資金

総合支援資金

 生活再建のための費用、滞納している公共料金の立て替え費用、債務整理のために必要な費用など、日常生活を立て直し、自立した毎日を送るための資金として貸し付けられます。

  • 生活支援費
  • 住宅入居費
  • 一時生活再建費

 総合支援資金は、上記の三つに細分化して定められており、それぞれ融資限度額は違います。据置期間は最後の貸付日から6ヶ月以内であり、償還期間は据置期間経過後10年以内です。原則保証人が必要となりますが、保証人がいなくても貸付をうけることができます。ただし、保証人がいた場合は無利息となりますが、保証人を立てる事ができない場合、年1.5%の利息を支払う必要があります。

福祉資金

 福祉資金は、福祉用具や障害者用自動車を購入する資金原資の他、病気療養期間中の生活費などに活用することができます。
 また、技術習得とその間の生活費にも使えたり、生業を営むための資金にも使えるようです。福祉資金としては、次の二つの費用が定められています。

  • 福祉費
  • 緊急小口資金

 福祉費の融資上限額と返済期間は、使途に応じて定められています。貸付日から6ヶ月以内の据置期間があります。
 緊急小口資金は、上限の貸付額が10万円で、据置期間は2ヶ月以内です。また、返済期間は12ヶ月となっています。ただし、保証人不要で無利息です。

教育支援資金

 教育支援資金は、高校以上の学校へ就学(入学)・修学するために必要な資金を貸し付けてくれます。資金は、二つに分けて定められています。

  • 教育支援費
  • 就学支度費

 就学支度費は、入学に必要な費用を融資します。上限は50万円です。
 教育支援費は、修学に必要な経費として、授業料等を毎月融資します。融資額は、高校が月額3.5万円以内、大学が6.5万円以内で、専門学校と短大が6万以内です(すべて月額)。据置期間は卒業後6ヶ月後以内で、返済期間は20年間です。
 どちらも無利息で保証人は不要ですが家族内で連帯借受人(連帯債務者)となりますので、保証人がいるのとほぼ同義と言えるでしょう。

不動産担保型生活資金

 不動産担保型生活資金は、低所得または要保護の高齢者世帯に、その所有する不動産を担保として生活資金を貸し付ける制度です。

 不動産担保型生活資金を含め、要件の詳細は厚生労働省のホームページで確認することができます。

手続の方法

 この生活福祉資金貸付制度は、社会福祉協議会が取り扱いますが、直接の窓口は民生委員さんになります。
 申込は民生委員を経由して都道府県の社会福祉協議会会長宛てに行うことになりますし、必要書類は資金の種類によってまちまちであるため、事前に民生委員さんに相談なさるといいでしょう。

制度運用について

 地域社会においては、つながろうという人たちが新しいネットワークを形成しているニュースをよく耳にします。一方、ネットワークに入れない、或いは自らの意思で入らない人たちをどのようにケアしていくかが大きな問題になりつつあるとも感じます。
 今見えている範囲のもう少し外側に目を向けられるようになれば、そして、そこで見えたものに関われる勇気や、関わり合いを受け入れる勇気が持てるようになれば、このような事件は少なくなっていく。地域とは人の集団で出来上がるものですので、一番最後に大切になってくるのは、一人ひとりの意識になっていくのでしょう。

 厚生労働省主観の生活福祉資金貸付制度は、柔軟に運用されるべきですし、自助努力を担保にしてきっちりと回収されるべきでもあります。

 地域社会に生きる人間として、周りに対する心配りの気持ちを少しもって、毎日を過ごしていきたいものですね。

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