4月 19th, 2017|ブログ|

 踏切を待っている時「この待ち時間に根拠はあるのだろうか」と考えたことがあります。いつもそのままにしていたこの疑問に対して答えを見つけました。
 丁寧に解説しているウェブがなかったので、世の中の役に立てばという思いで出稿します。

  • 根本規則となる法律は「鉄道営業法」のようだ。
  • 詳細については、法律ではなく省令に大まかな決まりがある。
  • それを受けた解釈基準に目安が定められている。
  • 警報が鳴り始め、電車が到達するまでの時間は、最短25秒と考えられる。

鉄道営業法

 日本は法治国家ですので、色々な場面で法律を根拠として考える必要が出てきます。
 そして、鉄道に関して言えば、調べた限りでは「鉄道営業法」が根拠法令となっているようです。
 この鉄道営業法は、ちょうど出稿時(2017.04.19)の少し前に、女性タレントお二人が線路に入って自撮りしたとのことで、鉄道営業法違反で書類送検されていらっしゃいました。
 法文にあたってみると、なんと仮名はカタカナです。
 明治33年10月1日施行。自分の誕生日と同じ日に施行されたというだけで少し親近感が湧いてくるから不思議です。

 この鉄道営業法第一条において、詳細を国土交通省令に委ねる旨が規定されています。

第一条 鉄道ノ建設、車両器具ノ構造及運転ハ国土交通省令ヲ以テ定ムル規程ニ依ルヘシ

鉄道の技術上の基準に関する省令

 鉄道営業法を受けて、この省令が踏切等について定めています。条文にあたりましょう。

(踏切保安設備)
第六十二条 踏切保安設備は、踏切道通行人等及び電車等の運転の安全が図られるよう、踏切道通行人等に電車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断することができるものでなければならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難な場合にあっては、踏切道通行人等に電車等の接近を知らせることができるものであればよい。

 これだけでは具体的な基準になっていません。そこで、さらに国土交通省鉄道局長通知として「解釈基準」というものを示し、実務の指針としています。

鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準

Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係
[解釈基準]

1 踏切保安設備は、踏切遮断機を備えたものであること。ただし、電車が130キロメートル毎時以下の速度で通過する踏切道であって、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難な場合は、踏切警報機を備えたものであればよい。

2 踏切遮断機及び踏切警報機の警報装置は、次の基準に適合するものであること。
 (1) 線路の両側において、通行者に警報を発するものであること。
 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 (3) 2個以上の赤色せん光灯を設けること。
 (4) (3)の赤色せん光灯は動作中交互に点滅すること。
 (5) (3)の赤色せん光は、見通し距離が45メートル(地形上等により道路を通行する自動車 等が35キロメートル毎時を越える速度で接近することができない踏切道にあっては、22メートル)以上であること。
 (6) クロスマークを設けること。
 (7) 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
 (8) 警音を発する装置を設けること。
 (9) 2以上の線路に係る踏切道にあっては、電車進行方向指示器を設けること。
 (10)オーバーハング型警報装置にあっては、赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効高さが、4.5メートル以上になるように設置すること。

3 踏切遮断機の遮断装置は、次の基準に適合するものであること。
 (1) 線路の両側において、踏切道の通行をその幅員の全体にわたり遮断するものであること。
 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 (3) 遮断かんは、次に掲げるところによること。
  ① 遮断時には、道路面上0.8メートルの高さ(2段型遮断装置の上側の遮断かんにあっては、下側の遮断かんの上方)において水平となることを標準とすること。
  ② 遮断時以外には、道路面上の有効高さが4.5メートル以上となること。
  ③ 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
  ④ 2個以上の赤色灯又は赤色の反射剤を通行者から見やすい位置に設けること。
  ⑤ 大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、0.1メートル以上であること。

4 踏切遮断機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
 (1) 電車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、踏切警手が配置されている踏切道又は停車場内の踏切道若しくは停車場に近接する踏切道(以下「手動踏切道等」という。)にあっては、この限りでない。
 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (3) 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、10秒以上であること。
 (4) 警報の開始から遮断動作の開始までの時間は、通行者の通行に支障を及ぼすおそれのないものであること。この場合において、道路の両側に遮断かんを設けたものにあっては、踏切道に向かって右側の遮断装置は、踏切道に向かって左側の遮断装置の遮断動作が終了した後に遮断動作を開始するのを原則とする。
 (5) 遮断動作の終了から電車等の到達までの時間は、20秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、15秒以上であること。
 (6) 電車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該電車等の速度等により大きく異なるものでないこと。
 (7) 電車等の通過後に遮断状態を解除する動作を開始するものであること。
 (8) 電車等の過走により支障を生ずるおそれのある踏切道にあっては、当該電車等が過走により踏切道に到達する前に余裕を持って遮断動作を終了するものであること。

5 踏切警報機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
 (1) 電車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (3) 警報の開始から電車等の到達までの時間は、30秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、20秒以上であること。
 (4) 電車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該電車等の速度等により大きく異なるものでないこと。
 (5) 電車等の通過後に警報を停止するものであること。

以下省略

 長い引用になりましたが、これが探していた答えです。
 以下、これを私なりに解釈して時間を考えます。

踏切の動作

 踏切の動作は、以下の流れが一般的です。

①警報器が鳴りはじめる。
②遮断機が下りはじめ、下りきる。
③電車が当該地点に到達し通過する。
④警報器が鳴り止み遮断機が上がる。

 この動作に上記の解釈基準を当てはめます。

□警報器が鳴りはじめてから遮断機が下りきるまでの時間:標準15秒/最低10秒以上
□遮断機が下りきってから、電車到達までの時間:標準20秒/最低15秒以上

□警報器がなり始めてから電車到達までの時間:標準30秒/最低20秒以上

 上の二つの□は、遮断機の箇所に規定されており、一番下のの□は警報機の箇所に規定されています。ですので、素直な理解で考えるなら、警報器付き遮断機の場合、上の二つで考えることになるでしょう。

 こうやって当てはめると、一般的な踏切で、警報器が鳴りはじめて電車が到達するまでの時間は最低25秒あればよいことが分かります。標準でも35秒です。
 遮断機が下りきった状態から考えると、最低15秒で電車が到達する可能性がある、ということです。

 ただし、道路の両側に遮断かんがある場合、まず左側が下りきって、その後に右側が下りはじめるため、もう少し長くなるでしょう。それでも、上の基準を援用すれば、最低でいくとプラス10秒で合計35秒です。標準で45秒。しかし、遮断機が下りきってから電車到達までの時間は、変わらず最低15秒、標準でも20秒です。

 この解釈基準は、心に留めておこうと思います。
 なお、多くの警報機には非常ボタンが設置されていることも忘れてはならないでしょう。

結論にかえて

 心優しい、そして勇気ある方々が、踏切内で人命救助を行おうとされ、事故に巻き込まれるという痛ましいニュースに触れることがあります。
 自分なら…と考えたとき、その勇気は、私の中にはないと思ってしまいます。

 様々な意味で、この数字は共有する必要がある、と私は考えました。出稿にあたっては何度もその妥当性を考え直しています。この投稿が、誰かの役に立つことを願いつつ、出稿致します。

 なお、内容の正確性については検証していますが、調べたばかりの知識を整理して出稿しているため、抜けや思い違いがある可能性も否定できません。ご指摘があればお問い合わせフォームからお願い致します。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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