交通事故における瞼(まぶた)のお怪我と後遺障害

交通事故でお怪我をなされた際に、後遺障害として認定され得る症状を分かりやすい言葉で解説するコーナー。第二回目は瞼(まぶた)に関するお怪我と障害について検討します。

交通事故の後遺障害を考える際には「骨折」「脱臼」など、分かりやすい外傷だけでなく「なんか変だ」というサインを捉えることが非常に大切です。

しかし、こと瞼の後遺障害に関しては「なんか変だ」という感覚的なものではなく、見た目で分かる障害のみが認定されています。以下、詳しく見ていきましょう。

  • 目を閉じても瞼が眼球を覆い隠せなくなることを「欠損障害」という。
  • 瞼の欠損が醜状障害にも該当する場合、上位の等級が認定される。
  • 目を開けても瞼が被さって目が開けられない状態を「機能障害」という。
  • 顔面神経麻痺による閉瞼不能も瞼の後遺障害として扱う。

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瞼の後遺障害 – 総論

交通事故で顔にお怪我をなさり、瞼が傷ついた場合、後遺障害として認められるのは「欠損障害」と「機能障害」です。
顔面神経の麻痺によって瞼を閉じることができなくなった場合は、神経系統の障害ではなく、瞼の後遺障害として取り扱います。

欠損障害

まぶたの欠損障害とは、文字通りまぶたが欠けてなくなってしまった状態のことを言います。
障害の程度は二段階に分類されています。
普通にまぶたを閉じた時に、角膜を完全に覆えない場合を「著しい欠損を残すもの」とし、角膜を完全に覆うことはできるが、球結膜が露出している場合を「一部に欠損を残すもの」として、それぞれ後遺障害が認められます。
角膜とはいわゆる黒目のことでで、球結膜は白目のことを指します。

運動障害

まぶたの運動障害としては、二つの類型が想定されています。
一つ目は、普通にまぶたを開いた場合、瞳孔領を完全に覆う場合です。
もう一つは、普通にまぶたを閉じた時に、角膜(黒目)を完全に覆うことができない場合です。

また、顔面神経麻痺によりまぶたを閉じることができない場合は、まぶたの後遺障害として、閉じられない程度に応じて等級が認定されます。
これが意味するところは、神経麻痺を原因とする後遺障害は、通常神経系統の障害とされるのですが、そうではなく眼の系統の後遺障害として取り扱うという意味です。

まぶたに関する障害については「何か変だ」というレベルの感覚ではなく、明らかに気づくことができるレベルの障害です。

後遺障害診断は眼科医に依頼する必要がありますが、事案が少ないため、記載方法に戸惑われる場合も散見されます。後遺障害という視点で考えるなら、専門家のアドバイスを求められるのも一つの方法かもしれませんね。

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