9月 2nd, 2013|ブログ|

 今日は、許可手続や届け出について、それを管轄する団体(または個人)が留意しなければならない事柄について検討します。

変化した家裁の手続

 私が家裁の手続に携わった当初、親権者と未成年が遺産分割協議をする際の特別代理人選任申立について、遺産分割協議書の内容について指導を受けることはありませんでした。
 一般的に、不動産については親権者と未成年を共有者として登記すると利益相半行為で手続が煩雑になる場合があるため、親権者の単独所有とするケースが相当数に及びます(無論事案によることは言うまでもありません)。
 この不動産を親権者単独所有とするための分割協議を行うためには、相続分を有する子について、それぞれ特別代理人を選任して親権者と特別代理人の間で遺産分割協議を行う必要があります。
 この時、私が実務に携わった当初は、不動産の遺産分割協議の結果のみを記載しておけば良く、それについて書記官から指導が入ることはありませんでした。

未成年者保護の視点による指導

 ところが、平成15年前後からでしょうか、不動産を親権者の単独所有とする場合は、当該不動産について、固定資産税評価額をベースとして、法定相続分に見合った割合の金額を分割代償金として支払うことを記載するような指導を受けるようになりました。

 例えで考えると簡単です。評価額1千万円の不動産について、妻と子が相続人であった場合、妻の単独所有とする場合は、分割代償金として妻が子に500万円支払う旨を記載しなければならないということです。

 これについては「分割代償金の記載がなければ、未成年者から『なんであんな分割協議を認めたのか』と後々言われる可能性があるから」というのが理由であると、どこからか伺いました。

 ここで述べたかったことは「書類を受ける側は、受ける側でリスクマネジメントをしておかなければ、後々責任を追及される世の中になっている」と言うことです。

許認可による事例 - 建設業許可の場合 -

 行政書士として取り扱う許認可業務にも、このような傾向を感じることがあります。
 その好例は建設業許可でしょう。建設業許可を受けるためには、人・物・金の様々な要件が必要になります。このうち、人の要件については資格や実務経験が必要であるため、昔から「名前貸し」が後を絶ちませんでした。建設業許可は、技術力を担保して発注者を保護する側面があるにもかかわらず、肝心の技術力を審査する要件が「名前貸し」によって素通りされていては、健全な許認可事務を行える訳がありません。
 そして、このような審査のあり方は、手抜き工事が発覚した場合、許認可権者である都道府県も責任を追及される可能性がないとは言えないでしょう。

 しかし、現在では建設業許可の審査も厳重になり、常勤性を確認するための各種書類を提示しなければならないようになっています。

 この建設業許可における審査厳格化の流れにも、許認可権者としてのリスクマネジメントの側面があると考えられます。

一般団体による許可や届け出

 ところで、許可や届け出を要求しているのは、国や地方公共団体だけではありません。

 先日、京都府福知山市で痛ましい事故が発生してしまいましたが、その運営主体であった商工会議所も、露店の出店にあたり事前届出を行っていたと報道されています。

 事故が起こった際には、届け出があろうがなかろうが、運営主体の開催手法等について、厳しい目で検証されるべきことは言うまでもありません。
 しかし、自ら届け出を課しておきながら、その届け出が形骸化していたり、有効に機能していない場合、その運営主体はより厳しい糾弾をうけなければなりません。

まとめ

 何事かを司る上で、事務手続を避けて通ることはできません。しかし、大切なのは書類の形式的なチェックではなく、何故その書類が必要なのか、その書類を要求しているのか、書類の向こう側にある大切なポイントに目を向けることではないでしょうか。
 一般団体であれば、書類の様式もフレキシブルに変更することも可能でしょう。最も大切なことは、無事に運営し遂げることであるのは勿論のこと、届け出や許可を要求していいらっしゃる団体は、もう一度リスクマネジメントの観点からその届け出自体を、そして書面の内容をよくよく精査しておかれると良いのではないでしょうか。


 最後に、本文で言及しました福知山の花火大会でお亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈り申し上げますとともに、お怪我をなされた皆様にお見舞い申し上げます。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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