7月 24th, 2014|ブログ|

 今日は、高次脳機能障害を患った方々を支援する法律と制度について概観します。
 最近では、特に弁護士の先生方が交通事故業務になだれ込み、様々な高次脳機能障害についてのホームページができています。しかし、被害者の人生を支援するマクロの視点から構成されたホームページを見かけることはあまりありません。

 もちろん、被害者の方にとって損害賠償でいくら請求できるのかは大切です。しかし、賠償額が確定した後も高次脳機能障害との付き合いは続くことになりますので、支援制度を知ることは重要です。

 本稿は、支援法等に着目して、高次脳機能障害でお困りの方々の情報収集に役立てて頂くことを目的としています。

  • 高次脳機能障害は「器質性精神障害」とも呼ばれる。
  • 高次脳機能障害を支援する基本法は、障害者基本法である。
  • 支援内容は、サービスの実施、給付の提供、年金制度など多岐にわたっている。
  • 高次脳機能障害相談支援コーディネーターに相談するとよいだろう。

高次脳機能障害の支援制度を紹介します。

高次脳機能障害の別名

 高次脳機能障害というのは、専門家の間では一般化している言葉ですが、社会的にはまだまだ認知度が低いと言えるでしょう。
 特に、精神障害者保健福祉手帳の申請についての診断は、国際疾病分類によった診断名が使われますので「高次脳機能障害」という言葉は出てきません。代わりに使われるのは「器質性精神障害」という言葉です。

 精神障害者保健福祉手帳は、後述するように高次脳機能障害に関連が深いのですが、その診断で「高次脳機能障害」という言葉が使われないということは知っておかれるとよいでしょう。

高次脳機能障害を支援する基本法

 高次脳機能障害は、言葉そのもののとおり、高次元の脳機能に障害が発生している状態です。従って、高次脳機能障害を患った方々が支援を受ける基本法は障害者基本法となります。

障害者基本法

第一条  この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (二号省略)

 障害者基本法第2条は、障害者を定義しています。高次脳機能障害が精神障害に該当するのか、知的障害に該当するのか、これは難しい論点ですが、現行の実務上は、原則的に精神障害として考えています。

 そこで、障害者基本法をベースに精神障害を持つ方々を個別に支援するための法律が、いわゆる精神福祉保健法です。また、障害者総合支援法は、身体・知的・精神の分類を一元化して支援サービスを提供するという理念のもとに作られており(実際には完全に一元化されている訳ではありませんが)、その事業の一環として、各都道府県で高次脳機能障害支援普及事業が実施されています。
 以下、概観していきましょう。

精神福祉保健法

 精神福祉保健法の正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」です。
 精神保健福祉センターについてや精神医療について定めていますが、実生活では「精神障害者保健福祉手帳」の関わりが大きいでしょう。

 精神障害保険福祉手帳は、審査によって交付されるものですが、交付されると所得税と住民税の控除が受けられる他、携帯電話や上下水道の割引、公共交通機関の割引(これらは自治体や会社によります)が受けられる場合があります。

 なお、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスについては、精神障害者であれば利用することができ、手帳の有無は関係ありません。

高次脳機能障害支援普及事業

 この事業は、現在の障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)に基づいて各都道府県レベルで実施している事業です。たとえば京都府では、京都府リハビリテーション支援センターを京都府立医科大学内に設置し、高次脳機能障害支援拠点として相談業務を行っています。

まとめ

 高次脳機能障害は、一見具合が悪いとは思えないけれど、長年一緒に暮らして来られたご家族の方々であれば敏感に感じられる様な性格の変化、集中力の欠如なども症状として現れます。交通事故に限らず脳に外傷を負われて、そのような症状でお困りの皆様がいらっしゃいましたら、上記の高次脳機能障害支援普及事業を活用して相談なされるとよいでしょう。

 また、当事務所では交通事故業務として高次脳機能障害を取り扱っておりますが、交通事故に限らず、頭部をお怪我された後の「何かおかしい」と言った症状でお困りの皆様がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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