2月 17th, 2012|ブログ|

少ない資本金で会社設立をお考えの皆様へ
 今日は、会社設立に関するお話しです。

<ポイント>
・金銭出資の場合、資本金0円で会社はできないが、1円ならできる。
・現物出資の場合、資本金0円で会社は設立可能と考えられる。
・実際にお勧めできる資本金の最低額は『10万円』程度と考えられる。

1.結論

 このトピックについては、説明が長く、多少ややこしくなりますので、結論から先に書きますと、金銭出資の場合には、資本金0円で株式会社を作ることはできません。後に詳述する現物出資を行った場合については、できるとも言われています。確かに、理論的にそれを妨げる法令はありません。しかし、現物出資における資本金0円の株式会社が「作れる」とか「作れない」とか言われているのは、現物出資で0円会社を作ること自体がほとんど無意味で、恐らく実例がないか、あっても会社法施行後数例ではないかと考えられるためです。

2.『0円会社』の経緯

 資本金0円の会社ができるかどうかが話題となったのは、新会社法の成立及び施行によるものです。会社を規定する法律は平成18年に大改正されており、それまで1,000万円必要だった株式会社の設立において、最低資本金が撤廃されたため、理論的には、資本金0円で株式会社が作れる、と言われました。

3.『0円』が生み出す誤解

 しかし、これには注意が必要です。確かに、会社法施行当時の法令では、理論的に資本金0円の会社が作れたでしょう。しかし、それは、会社に払込まれたお金と現物で給付を受けた財産の評価額(これは必ずしもプラスとは限らない)の合計から、予め差し引くと定めていた金額を減じて算出した合計が0未満の場合に『資本金0円』とすることが出来たということなのです(改正前会社計算規則第74条第1項の筆者要約)。

設立時資本金=(金銭出資で払込を受けたお金+現物出資の評価額)-予め差し引くと決めていた金額

 つまり、計算の結果『0円』があり得るよ、というだけの話しであって、最初から金銭出資も現物出資もしなくていいよ、という趣旨ではなかったのです。
 ここは、分かりづらく、しかも説明の少ない点です。

4.現在の制度設計

 会社計算規則はその後改正されましたが、改正後も基本的な枠組みは変わっていません。但し、上の式でいう「予め差し引くと決めていた金額」を当分の間「0」にするとの附則が設けられました。つまり、設立時資本金の算出は次の式となったのです。

設立時資本金=金銭出資で払込を受けたお金+現物出資の評価額

 こうして式で表すとわかるように、金銭出資に0というのはあり得ませんので、金銭出資だけの場合、設立時資本金は必ず「1円」以上になります。つまり、現在では、金銭出資のみで設立する場合は、資本金0円で株式会社は作れないことになります。

5.現物出資とその評価方法

 しかし、会社を設立するには、金銭出資によらず、パソコンや自動車などの現物を出資することで株式を取得する方法によることも可能です。これを「現物出資」と言います。
 現物出資の場合、原則は検査役の調査が必要となりますが資本金を500万円以下とすれば省略が可能となります。
 従って、実務的には現物出資は500万円以下で行うことが多数ですが、その評価方法が問題となります。それにつき、会社計算規則は次のように定めています。

「法第三十四条第一項の規定により金銭以外の財産(以下この条において「現物出資財産」という。)の給付を受けた場合にあっては、当該現物出資財産の給付があった日における価額」

 つまり、原則的には時価評価となります。
 時価評価と言うことは、動産そのものであれば0円ということはほぼないと考えられますが、担保が設定された不動産については、場合によっては評価が0を下回るケースが考えられます。
 そこで、「現物出資の場合は資本金0円で会社ができるのか」という問題が生じることになります。

6.現物出資と『資本金0円』

 私自身、事例を知らないのでこれは私見になりますが、現物出資で資本金0円の設立を行うことは可能なはずです。

 理由は2点。一点目は現物出資の評価算定においては、不動産や債権は0円未満の評価になり得ること。そして第二点目は、会社計算規則第43条が、資本金の額につき

「…額(零未満である場合にあっては、零)とする。」(会社計算規則第43条の抜粋)

 と、0円になることを排除していないことです。

7.まとめと現実的な資本金の額

 以上のように、資本金0円で会社を作ることは、結果として可能となる場合があり得ると思います。しかし、会社を作る場合は資本金の額を設定する場合に考えなければならない他の要素があります。それは信用力であり、もっと言えば「体裁」です。

 普通に考えて、資本金1円の会社だったら信用力に疑問を持っても不思議ではありません。金融機関と取引する際には登記事項証明書の提出が必要になりますので、資本金は見えてしまいます。

 私は恐らく2,000件以上の会社の登記事項証明書を見てきましたが、その中で最も資本金の少なかった会社で10万円です。
 4桁以下の会社は見たことがありません。また、私自身、会社設立手続をご依頼頂くお客様には、「資本金は100万円程度をお考え頂くとよいと思います」とお話ししています。私は、これまで多くの会社設立手続に携わってきた経験から、資本金はやはり100万円程度あった方がよいと思いますが、資力が十分でない場合の最低の目安としては、10万円くらいと考えています。

 会社を作る際には資本金10万円でも100万円でも、15万円の登録免許税を支払います。その後、10万円の会社が資本金を100万円に増資しようと思えば、また税金(登録免許税)がかかってしまいます。手数料的にも最初から妥当な資本金額を設定しておかれる方が無難です。

 今日はがんばって書きましたので最後に宣伝を。みやこ事務所では電子定款認証は21,600円で受託しています。
 詳細はみやこ事務所会社設立専門サイトをご覧下さい。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
 一生懸命書いたオリジナルの文章なのでコピーはしないでくださいね。IPアドレスとコピーされた場所を特定できるシステムになっています。(さらに詳しく)