行政相談週間について

 今日、2012年10月15日から21日まで、『行政相談週間』なる週間が開催されています。
 京都では高島屋等で定期的に開催されている行政相談所をアピールしようということで、政府公報もこの行政相談週間を積極的に告知しています。

 総務省の広報資料には、具体的な相談事例が列挙されています。

「登記、税金、雇用、年金、生活保護、道路、消費者保護、子育て、家庭問題、外国人が抱える問題、空き家問題、野生鳥獣被害、東日本大震災の被災者が抱える問題」

 そして、この相談に応対するのが、法務局、労働局等の公務員職員他、税理士会、弁護士会、司法書士会も相談機関に挙げられています。
 その他、社会保険労務士、宅地建物取引業協会、建築士会や土地家屋調査士会までが協力していますが、行政書士が協力機関として掲載されている会場は極めて限定的です。都市部においては皆無といえるでしょう。

 総務省の資料のうち、生活保護や消費者保護は行政書士の業務分野ですが、担当する役所の吏員が出てくれば、出番はなくなります。
 しかし、これは登記についても同じことで、地方法務局の担当者がくれば司法書士会の関与は必要なくなるはずですが、この両者は併存している。これは、行政書士の立法的地位の脆弱性を示す好例ではないか、と私には思えます。

 それはさておき、この行政相談は、困った時の駆け込み所して知っておく値打ちのあるものです。

 広報資料にもあるように、この相談所は「ワンストップ」を謳っており、困ったことは何でも相談できるところがポイントです。
「家庭問題」とあるので、夫婦の不仲をどのようにして解決すればいいかを相談しに行っても言いわけです。担当するのが弁護士であれば、夫婦関係調整調停を勧められるかもしれないし、気が利いていればブラピ&アンジーの『Mr.&Mrs. Smith』を一緒に見るようアドバイスされるかも知れません。
 公園でゲートボールをされる陣取りがあまりに早すぎて、朝6時にサッカーの練習に行っても既にゲートボールグランド化している、というのも立派な相談事由になりえるでしょう。

 これは、「夫婦」が民法によって規定されているからであり、公園の管理は自治体が行っているからに他なりません。

 従って、相談とはいっても、高校生の「好きな女子に告白するのはどうしたらいいか」といった悩みや、「絶滅危惧種の動物に会いたい」などという極めて個人的な悩みや相談は『探偵ナイトスクープ』に依頼すべき内容と思われます。
 ただし、子育てに関する悩みや相談は、法律や行政とは直接関係ないようにも思えますが「子は社会の宝」という児童福祉法の精神に基づき、それが極めて個人的な内容のものであったとしても真摯に対応されるはずです。育児にお悩みであれば、気分転換を兼ねて出かけてみるのも良いかもしれません。

 また、この相談所は「相談」が目的でありますので、「住民税が高いっ」という苦情や、「京都にプロ野球チームを!」という斬新な要望は、受け付けられる可能性が低いでしょう。

 前述の極めて個人的な例を除いて考えれば、法治国家日本で暮らしている以上、我々の悩みや困り事は、多かれ少なかれ法律が関与しています。
 けれど、「どこに相談していいかわからない」からおっくうになったり、「なんとな~くハズカシイ」から足が遠のいたりして、相談することができず、ネットで答えを検索していらっしゃる方がおられるかも知れません。

 そんな皆様は、この機会に行政相談を利用されてはいかがでしょうか。人もそこそこ来ていらっしゃいますし、答えや方向性が見つかるかも知れません。

 最後に、行政書士資格者として一言。行政書士でもそれが業務範囲であれば、相談に応じることは可能です。私は調停より映画を薦める人間ですが、そんな私でよろしければお気軽にご相談ください。