知っておきたい婚姻と離婚の『不受理申出』

 今日は、婚姻と離婚に関する『不受理申出』についてのお話しです。

1.婚姻届・離婚届

 日本では、婚姻届や離婚届を提出する際、本人両名の出頭は必ずしも必要ありません。代理人が届け出ることも可能です。
 しかし、これは考えると恐いことでもあります。自分が知らない間に婚姻届を出されたりする可能性があるからです。もちろん、実質的な要件を満たさない婚姻は無効です。しかし、一度記入された戸籍は消しゴムで消すようにきれいに削除することはできません。
 また、離婚についても同様のことが言えます。円満な状態にない夫婦の一方が勝手に離婚届を提出して再婚…テレビドラマのような話しが起こらないとは限りません。
 そこで便利なのが、『不受理申出』です。

2.不受理申出制度

 この不受理申出制度は、本人の関与がないまま婚姻届や離婚届が提出されることを防ぐための申し出です。この申し出をしておけば、仮に婚姻届や離婚届が提出された場合でも、戸籍記入の前に、本人に対して照会がなされます。ですので、自分の知らない届けに基づく戸籍記載を防止することができます。
 不受理制度は、戸籍届出の一般通則によって、本籍地か住所地の役所で申請することができますが、届出書には、本籍地で行うことが望ましい旨記載されています。これは、婚姻届も離婚届も本籍地が扱う事件であることが理由であると思いますが、住所地の役所でも受領してもらえない訳ではありません。
 本人確認を行うことが重要となることから、原則として本人が出頭して届け出る必要があります。その際、顔写真付きの身分証明が必要となります。
 なお、以前は、この不受理申出は最長6ヶ月間しか効力を有さず、延長を希望する場合は新たに申請する必要がありましたが、現在では期間の定めはありません。

 役所へ行くと、住民票や戸籍、印鑑証明の請求用紙は自由に取れるようになっていますが、昔は婚姻届と離婚届は窓口で言わなければもらうことができませんでした。時代の流れか、現在では婚姻届も離婚届も、窓口の記入台あたりに自由に取れるようにおかれていますね。ただし、この不受理申出書は未だに置かれているのを見たことはありません。制度を広めるためにもこういう様式の届出書もおいておけばいいのに、と思うことがあります。

 ご参考になさってください。