1月 18th, 2012|ブログ|

 今日は、婚姻に関するお話しです。インターネットに、浜崎あゆみさんが離婚したものの日本の戸籍に届出をしておらず、戸籍上離婚歴はつかない…趣旨の記事がありましたので、それについて戸籍法にあたりながら考えてみたいと思います。

 インターネットに書かれている記事を前提に基礎事実を確認すると。

  • 浜崎さんはネバダ州の方式により婚姻した。
  • その後、日本の役所へ届け出なかった。
  • 離婚するにあたり、ネバダ州の裁判所へ離婚を申請した。

 と言うことになろうと思われます。以下、これが事実かどうかは別問題として、この設定で海外における婚姻について検討していきます。

 今回、私が論点と考えたのは、「浜崎さんは婚姻したと言えるのか」と言うことです。
 この点につき六法の条文にあたり、参考書も調べたのですが、有力な答えは見つかりませんでした。ました。私の結論としては、「浜崎さんは日本の法律に照らして考えても婚姻していたと言え、戸籍記入の必要がある」と思います。

 以下、検証していきます。

1.海外での婚姻に関する法律

 最近では日本人同士が海外で結婚式を挙げるケース、日本人と外国人が外国で結婚式を挙げるケースなど、多様な事例が出ていますが、どの法律に準拠すべきかにつき、日本では『法の適用に関する通則法』と言う法律が定めています。

第24条 婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。
   2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。
   3(略)

 法の適用に関する通則法第24条によれば、婚姻の成立は各当事者についてその本国法によるので、浜崎さんは日本の民法によって婚姻が成立することになります。
 ところで、日本の民法では、婚姻は『戸籍法の定めるところにより届け出ることによって』その効力を生じると規定しています。

 これを浜崎さんのケースで考えると、役所に婚姻の届出をしていない以上、浜崎さんは日本の法律の枠組みで考えると未婚のように考えられます。

 では、次に戸籍法の条文にあたりましょう。

2.戸籍法

第41条  外国に在る日本人が、その国の方式に従つて、届出事件に関する証書を作らせたときは、三箇月以内にその国に駐在する日本の大使、公使又は領事にその証書の謄本を提出しなければならない。
   2 大使、公使又は領事がその国に駐在しないときは、三箇月以内に本籍地の市町村長に証書の謄本を発送しなければならない。
第42条 大使、公使又は領事は、前二条の規定によつて書類を受理したときは、遅滞なく、外務大臣を経由してこれを本人の本籍地の市町村長に送付しなければならない。

 長いですが特段難しいことは書いてありませんね。
 この戸籍法を浜崎さんのケースにあてはめてみるとどうでしょう。浜崎さんはネバダ州の方式によって婚姻を行っている(離婚の申請を裁判所に行うわけですから)と考えられるため、浜崎さんは、帰国後に証書を住所地か本籍地の役所へ提出「しなければならない」ということになります。

 ???

 私には、ちょっと違和感があります。日本における婚姻届は創設的届出です。つまり、婚姻届の提出によってはじめて婚姻が成立することになるので、婚姻届を「提出しなければならない」という考え方には絶対ならないのです。
 とすると、法の適用に関する通則法第24条で規定されている『婚姻の成立は各当事者についての本国法による』の『成立』とは、届出という形式的要件ではなく、婚姻可能年齢や、重婚の可否など、実質的成立要件をクリアしているかどうかを本国法に拠らせてるのではないかと考えられます。そして、その法が戸籍法の文言とも、社会通念ともマッチするように思えるのです。

3.まとめ

 そうすると、浜崎さんの婚姻は日本の法律から考えても有効に成立しており、浜崎さんは届出の義務を怠っているのであって、今からでも婚姻→離婚の届け出をする必要があるのではないか、と思うのです。

 戸籍法の条文をさらに見てみましょう。

第44条 市町村長は、届出を怠つた者があることを知つたときは、相当の期間を定めて、届出義務者に対し、その期間内に届出をすべき旨を催告しなければならない。
2 届出義務者が前項の期間内に届出をしなかつたときは、市町村長は、更に相当の期間を定めて、催告をすることができる。
3 第24条第2項の規定は、前二項の催告をすることができない場合及び催告をしても届出をしない場合に、同条第3項の規定は、裁判所その他の官庁、検察官又は吏員がその職務上届出を怠つた者があることを知つた場合にこれを準用する。

<参考>
第二十四条  戸籍の記載が法律上許されないものであること又はその記載に錯誤若しくは遺漏があることを発見した場合には、市町村長は、遅滞なく届出人又は届出事件の本人にその旨を通知しなければならない。但し、その錯誤又は遺漏が市町村長の過誤によるものであるときは、この限りでない。
2  前項の通知をすることができないとき、又は通知をしても戸籍訂正の申請をする者がないときは、市町村長は、管轄法務局又は地方法務局の長の許可を得て、戸籍の訂正をすることができる。前項ただし書の場合も、同様である。
3 (略)

 戸籍法第41条では、「提出しなければならない」と定めていますので、提出しない場合は第44条の定めにあるように、催告の対象にもなりえると考えられます。催告するということは、戸籍に記録する必要があってのことですから、婚姻が有効に成立しているという立場と整合します。

 以上、浜崎さんのニュースを通して、日本人と外国人が外国の方式により婚姻した場合の手続を概観しました。今回、スポーツニュースの「国内バツなし!」と言う記事に違和感を覚えて調べたのですが、これが最もねじれたカタチで問題になるのは、浜崎さんが次に婚姻される時でしょう。ネバダ州の方式で一回結婚してるのに日本では初婚???それはちょっとおかしな話しになってしまいます。ですので、浜崎さんは日本の法律からみても有効に婚姻が成立していて、届出を懈怠していたというのが妥当な考え方ではないでしょうか。

 このブログは、手続を専門とする行政書士が私見を綴ったものに過ぎません。浜崎さん、別の道を歩むことになった元配偶者のお二人がそれぞれ幸せな人生を過ごしていかれることを願っております。

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