6月 19th, 2012|ブログ|

 少し前、合同会社設立が増加していることがニュースになりました。一般にはほとんど知られていないこの「合同会社」の仕組みと、株式会社の差異、設立のメリットについて検討します。

<ポイント>

・合同会社は、平成18年施行の新会社法によって新たに設けられた会社形態である。
・アメリカのLLCを一応のモデルにしている。
・合同会社は、決して「怪しく」ない。

1.有限会社の廃止

 平成18年の会社法施行により、有限会社は廃止されています。今でもたくさんの有限会社が存在していますが、現存する有限会社は、原則として会社法の株式会社の規定が適用され、任期等につき個別の特則を置くことで従前の有限会社と同様のシステムが維持できるよう法整備されています。
 有限会社が廃止されたのは、株式会社の規定が大きく変わり、有限会社と言う組織形態を置き続ける必要がなくなったからです。
 従前の株式会社は、資本金1,000万円と取締役は3名・監査役1名が必要という金銭的・人的な要件がありました。また、取締役は2年に1度改選する必要もありました。
 これに対し、有限会社は、資本金300万円と取締役1名で設立が可能であったため、1,000万円はしんどいような事業主の方々に広く用いられてきました。
 ところが、新会社法施行により、資本金は1円でも設立可能となり、また取締役も1名で任期は最長10年まで伸長されたため、実質的に有限会社を存続させる必要がなくなりました。

2.合同会社とは?

 有限会社が廃止された一方、新会社法では、新たに「合同会社」と言う会社形態が規定されることになりました。
 合同会社は、アメリカのLLC(Limited Liability Company)をモデルにしてると言われています。
 その特徴は次のとおりです。

A.金銭その他の財産を出資の目的として、全額払込をして社員となった後は、出資以上の責任を負わない。社員の責任は、いわゆる『間接有限責任』である。
B.法人として成立するため、法人格を得ることができるが、社内においては組合的規律が適用され、定款自治が広く認められる。
C.法人も合同会社の社員となることができる。
D.公証人による定款の認証が不要で、設立登記時の登録免許税も6万円と株式会社より費用をかけずに設立できる。

 以上の特徴を見ると、合同会社は、「株式会社よりもカジュアルに設立できる会社形態である」とまとめることができるでしょう。
 一方、アメリカのLLCとは決定的に異なる点があります。LLCは税法上組合として取り扱われるため、LLC自体に課税はされず、社員(出資者)のみが課税されることになります。アメリカでLLCが普及したのはこの税制上のメリットによる処が大きかった訳ですが、日本の合同会社ではこの取扱はされていません。
 したがって、現状においては、合同会社を作るメリットは、「より低額な費用で」「より自由な規則」で設立できること、つまり、先ほど述べた「カジュアル設立」しかない、と言えるでしょう。

3.株式会社との比較

 株式会社と比較してみると、合同会社の仕組みが容易にわかります。

株式会社合同会社
公証人による定款認証必要不要
登記に最低必要な印紙15万円6万円
権利(株式・持分)の譲渡原則承認不要原則社員全員の同意必要
機関設計類型が法定定款による私的自治
業務執行取締役は自然人法人が業務執行社員になれる
社員の権利原則平等定款による私的自治

4.合同会社を設立するメリット

 合同会社を設立するメリットは、身近なところでは、費用の安さを挙げることができます。
 しかし、大企業が合弁会社を設立する際にも合同会社が用いられる場合が増えているとのこと。これは、利益の配分方法や意志決定方法が柔軟に定められること、株主総会開催などの縛りがないことなど、私的自治によるメリットに着目した活用法と言えるでしょう。
 また、取締役が自然人に限られる株式会社に対し、法人でも業務執行社員になれることも魅力の一つであると言えます。

5.まとめ

「設立費用が安いから」と言う理由で合同会社を設立することも、一つの方法です。
 しかし、株主が原則平等である株式会社に対し、合同会社は各社員の地位を個別に定款で定めることが可能となるため、合同会社を設立する場合、社員となる出資者の方々は、民法の組合に関する規定を知り、かつ合同会社に関する基本的な法制を知った上で定款を作成しておかないと、トラブルになりかねません。
 サッカーの名選手ヨハン・クライフに「どの短所にも長所がある」と言う名言(迷言?)がありますが、これは、「どの長所にも短所がある」とも換言できます。「設立費用」の安さは合同会社の魅力の一つですが、私的自治が大きく認められている分、自治を行う責任も大きくなることは、知っておいた方がよいでしょう。

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