4月 21st, 2014|ブログ|

 今日は、交通事故で最もご相談の多いむちうちについて、初回の電話対応時にどのような情報を聞き取るべきなのかということについて検討します。

  • 交通事故相談では、事故情報を聞き取るだけでは十分とは言えない。
  • 純粋に医学的な問診表を使っても、後遺障害の判断には活かせない。
  • 英語文献は、自身で確認して和訳するのが最も適当である。

むち打ちの電話相談対応は難しいものがあります。

交通事故の電話相談では何を聞き取るべきなのか。

 インターネットで「お問い合わせ」を承っていると、様々なお問い合わせのお電話を頂きます。当事務所では行政書士業務を幅広く取り扱っているため、相談内容も多岐に及びます。最近では、毎週末に「宇治市でも休日に印鑑証明書を取れるのか」というお問い合わせがあったため、ブログ記事として出稿もいたしました。このあたりは、フリーダイアルを掲げている宿命ですので、どのようなお問い合わせであっても、一期一会と思い、できる限りのアドバイスを差し上げております。

 ところで、交通事故に関するご相談は、それ自体が手続ではないため、聞き取るべき情報は各事務所によってまちまちでいらっしゃることでしょう。「事故日」や「初回診断」「受けた検査」等の「鉄則」のような情報はありますが、それ以外の情報について、どこまでを電話で聞き取るべきなのか、というのは資格者の考え方によって異なってくるのは当然です。実務的には電話専用相談シート作り、運用しながら修正していくことになりますが、今回は、当事務所がむち打ちの相談シート作成に参考とした資料をご紹介いたしましょう。

Neck Disablity Index

 この「Neck Disablity Index」とは、カナダのバーノン教授が提唱したむち打ちの重症度を計測する方法です。
 この言葉で検索すれば、様々なPDFファイルが表示されますが、内容はどれも同じです。このNDIは、むちうちの問診表として、国外では臨床現場で幅広く用いられているようですが、内容は医学的かつ、英語的であって、交通事故でそのまま使えるコンテンツではありません。

 しかし、医学上の判断材料にしていらっしゃる以上、コンテンツとして使わないのももったいないお話しですので、当事務所では、このNDIをアレンジして使っています。
 ところが、このアレンジが割と難しい。単純な和訳ではニュアンスを上手く伝えることができないんですね。もちろん一つひとつのセンテンスを訳すことは簡単なんですが、一つの項目について6つのグレードで評価するので、その違いを表現することが難しい。

 当事務所では、NDIを独自にアレンジしており、その相談シートは公開できるものではないのですが、基礎にした事務所オリジナルのNDI日本語訳は参考にして頂けるものと考え、今回ご紹介致します。

NDI For Whiplash injury by Miyako office

 以下のコンテンツはNDIを独自に翻訳したものです。使用にあたっては、オリジナルを忠実に訳すのではなく、問いかけがしやすいようにアレンジしています。また、このNDI自体は、元々が、恐らくはセルフチェック方式であって、他者が問いかけることを前提に構成されているもではないと考えられます。これらを十分ご理解頂いた上でご覧いただきますようお願い致します。

1.痛みの程度

  • 現在、痛みは感じない。
  • ほとんど痛みはない。
  • 痛みはあるが、差し支えるようなことはない。
  • 時に、差し支えるような痛みがある。
  • 常時差し支えるような痛みに悩まされている。
  • 痛みがひどく、生活に重大な支障をきたしている。

2.身の回りの所作

  • 問題なく身の回りのことができる。
  • 動くと多少痛むが、問題なく身の回りのことができる。
  • 痛みをかばうため、動きがぎこちなくなる場合がある。
  • 痛みのため、時に介助を必要とするが、身の回りのことはなんとかできる。
  • 身の回りのことをするにも、毎日介助を必要とする。
  • 自分では服も着替えられない、寝たきりに近い状態である。

3.持ち運び

  • 重い物でも難なく持ち運びできる。
  • 重い物でも持ち運びできるが、多少痛む箇所がある。
  • 床から持ち上げるには痛みが伴うが、机の上など便利な場所のものは持ち運びできる。
  • 重い物は無理だが、物によっては便利な場所に置いてあるものは持ち運びできる。
  • 軽いものしか持ち運びできない。
  • 物を持つのも憚られるほどに痛みが激しい。

4.読書

  • 読書中に首の痛みを感じることなどない。
  • 時々首に痛みを感じたりするが、読書に支障はない。
  • 「痛いな~」と思いつつも好きなだけ本は読める。
  • 首の痛みが気になって、以前に比べて本が読めなくなった。
  • 首の痛みが気になって、ほとんど読書できなくなった。
  • 首が痛くて読書どころではない。

5.頭痛

  • 頭痛に悩まされるようなことはない。
  • たまに、少し頭痛を感じるようになった。
  • たまにではあるが、差し障りのある頭痛に悩まされる。
  • 前に比べて頻繁にひどい頭痛に悩まされるようになった。
  • 頭痛の痛さと回数の多さは、明らかにおかしいと思えるほどだ。
  • 毎日ひどい頭痛に悩まされて、脳に異常があるのかと心配している。

6.集中力

  • 以前と変わらず集中して物事に取り組める。
  • 違和感を感じることもあるが、集中の妨げにはならない。
  • 以前に比べ、少し気が散るようになったと思う。
  • 集中しようと始めるが、集中力が持続しなくなった。
  • 明らかに物事に集中して取り組めなくなっている。
  • まったく集中できなくて、焦っている。

7.仕事

  • 今まで以上に仕事量が増えても全く問題ない。
  • 今までやっていたことはできるが、それが限界と感じる。
  • 今までやっていたことが、かろうじてできる程度になった。
  • 今までやっていた仕事ができなくなった。
  • 働くと言うこと自体、かなり厳しい状態だ。
  • 今は働けるような状態ではない。

8.運転

  • 運転中に首の痛みを感じることはない。
  • 好きなだけ運転できるが、たまに首の痛みを感じる。
  • 首は痛いけれど、運転は普通にできる。
  • 首の痛みのせいで、運転に支障がでるようになった。
  • 首が痛いので、運転自体があまりできなくなったと思う。
  • 痛くて運転どころじゃない。

9.睡眠

  • 以前と変わらず快適に眠れる。
  • 違和感で睡眠時間が短くなったが、気になる程じゃない。
  • 違和感で一日数回目を覚ますようになった。
  • 違和感のせいで睡眠時間がだいぶ減っている。
  • 違和感がひどく、睡眠時間が半減した。
  • ほとんどと言っていいほど寝られていない。

10.趣味や野外活動

  • 好きな活動をするのに首の痛みは気にならない。
  • たまに痛みがあるが、活動には支障はない。
  • 痛みのせいで、今までやっていた活動の幾つかができなくなった。
  • 痛みがひどく、今までのように活動しづらくなっている。
  • 活動できればいいが、痛みが差し支えてほとんどできない。
  • 痛くて趣味なんて考えていられない。

ヒアリング結果

 上記ヒアリングシートは各項目について、無症状から重症までを6段階にしています。結果集計はポイント式で、いずれも最初の項目が0(ゼロ)、最後の項目を5として各項目の総和で評価します。パーセンテージに換算する手法もあるようですが、私は使っていないので詳しくは知りません。

 総和の最大数は50となり、結果で症状を分類します。

  • 0~4 障害なし
  • 5~14 軽度
  • 15~24 中程度
  • 25~34 重度
  • 35~50 完全な障害

 交通事故の後遺障害について検討する場合、このNDIアプローチだけでは十分と言えず、付加的質問や促しの中で、相談者の身体の状態を考え、痛みの訴えと事故受傷との整合性を調べる必要があります。

 ご参考になさってください。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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