12月 6th, 2012|ブログ|

 今日は、NPO法人の理事の任期が完全に満了してしまっている場合の、役員改選の手法についての検討です。

・役員改選を懈怠している場合、所轄庁の指導を受けながら手続を行うのが得策といえる。
・議事録の記載については、法務省のひな形を用いるとよい。

NPO法人役員の任期

特定非営利活動促進法
(役員の任期)
第二十四条  役員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。
2  前項の規定にかかわらず、定款で役員を社員総会で選任することとしている特定非営利活動法人にあっては、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、同項の規定により定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が終結するまでその任期を伸長することができる。

 法が定めているとおり、NPO法人の役員任期は、最長2年間です。ただし、役員を社員総会で選任することとしている場合、任期を末日後最初の社員総会が終結するまで伸長することができる、とされています。

 これはどういう意味でしょうか。具体例で考えます。

 3月末決算の法人があったとします。法人は、事業計画や決算承認を受けるために社員総会を年一回は開催する必要があります。平成22年5月15日に決算承認のために開かれた社員総会で、全ての役員が新たに選任されたとしましょう。役員が即時就任を承諾した場合、その役員全員の任期は、平成24年5月15日をもって満了することになります。
 時は流れ平成24年、決算承認の社員総会は5月30日に開催されることになりました。
 この時、役員の任期は5月15日で満了しているため、法人の運営に支障が生じることになってしまいます。
 このような不都合を回避するため、社員総会で役員を選任している場合に限り、定款に定めを置くことによって、任期を末日後最初の社員総会集結まで伸長することができるようになっています。

 会社法をご存じの方であれば、これは取締役の任期規定とパラレルに設計されていることに気付かれるでしょう。ただし、取締役の任期は、原則が「総会終結まで」であるのに対し、NPOの理事の場合、原則は「二年以内」であって、伸長規定は定款で定めなければならない事項であることに注意が必要です。

選任懈怠があった場合の理事の地位

 では、役員の任期伸長規定を設けていなかった場合、或いは設けていても、任期末日後最初の社員総会で選任することを忘れてしまっていた場合、役員の地位はどうなるのでしょうか?

 会社法をご存じであれば、「権利義務承継取締役」の規定(会社法第三四六条第1項)とパラレルに考えて、「後任者が選任されるまでなおその職務を行う」のではないか、と思われるかも知れません。

 これは、実務家が陥りやすい過ちです。権利義務承継取締役の規定は会社法のみに定められたものであって、NPO法に同様の規定はありません。よって、NPO法人役員は、任期末日、或いは、任期末日後最初に開催された社員総会集結の時をもって退任していることになります。つまり、役員が不在の状態となります。

理事不在状態による社員総会の開催

 では、役員不在の状態において役員を選任するにはどうしたらいいのでしょうか。
 実務的には、まず所轄庁へその旨を報告し、指導を受けながら総会の開催を行う方がよいでしょう。理事不在の場合、原則的には仮理事を選任する必要があります。仮理事の選任は所轄庁が職権で行うこともできますが、選任懈怠に気付いて役員を選任しようと言う段階で仮理事を選任するのは手続経済的に考えてマイナスです。所轄庁と協議して、速やかに後任者選任の流れに持っていくにこしたことはありません。
 NPO法人の運営については、所轄庁と良好な関係を築くことも大切な要素の一つです。特に行政書士に委任せず、法人において手続を行う場合は、何はともあれ所轄庁に相談されることをおすすめします。

 社員総会の開催については、理事による招集ができないため、定款に定められたその他の招集方法によって手続を進めることになります。

社員総会議事録の作成

 無事に社員総会を開催し、役員を選任できた場合、所轄庁への届出以外に、登記を行う必要があります。日本は縦割り行政ですので、所轄庁が登記実務について精通しているとは限りません。登記については法務局に相談する必要があります。
 
 議事録については、法務省のホームページに、「理事退任後に理事選任手続を行った場合の理事退任,就任」というひな形がありますので、そのひな形を使用します。
 前文において、招集の経緯について説明している文言が掲載されており、そこがポイントです。
 なお、ひな形の議事録について、役員氏名の後に「(再任)」と記載されていますが、所轄庁によっては、「任期満了により一旦退任しているので(就任)ではないのか」と指導する場合も考えられます。それは解釈の視点による見解の相違であって、本質とはあまり関係がありませんので、面倒な場合は「(再任)」も「(就任)」も書かなくても登記はとおります。

その他の変更点

 特定非営利活動促進法の改正に伴い、平成24年4月1日から、特定非営利活動法人(NPO法人)の代表権に関する登記事項等が変更となっています。
 代表権を持たない理事については登記を行う必要がなくなりましたので、理事長のみが法人を代表する場合、新たに登記する役員は理事長のみ、となりますのでご注意下さい。

 ご参考になさってください。

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