8月 2nd, 2012|ブログ|

 ご無沙汰しております。すっかり更新が滞ってしまったブログですが、本日、『NPO理事の任期の起算日と満了日について』、と言う興味深いトピックについて検討します。

ポイント
・理事の任期そのものについては、定款の規定に従い判断する。
・理事の任期について、満了日を伸長する規定をおいていない場合、満了日は起算日によって判断する。
・理事の任期の起算日は、就任を承諾した時点と就任可能になった時点から判断する。

1.理事の任期に関する原則

 理事の任期については、特定非営利活動促進法(以下、「NPO法」と言う。)が定めています。

第二十四条  役員の任期は、二年以内において定款で定める期間とする。ただし、再任を妨げない。
2  前項の規定にかかわらず、定款で役員を社員総会で選任することとしている特定非営利活動法人にあっては、定款により、後任の役員が選任されていない場合に限り、同項の規定により定款で定められた任期の末日後最初の社員総会が終結するまでその任期を伸長することができる。

 ここで、一つの論点が浮かびます。
 近時、会社法や一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「一般社団法人法」と言う。)では、役員の任期を「選任後」と定めています。
 取締役や理事と法人との関係は、委任契約上の関係になりますので、本来、受任者の就任承諾があって役員としての地位を得ることができるにも関わらず、多少技術的な理由(ここでは省略)により、任期の起算点を「就任後」ではなく「選任後」と定めているのです。
 ところが、登記に記載される就任日は当然就任承諾し、効果が発生した時点の日付が記載されることになりますので、現状では、会社や一般社団法人の理事の任期は登記記録からは厳密に計算できないことになります。

 では、NPOはどうでしょうか。法文に当たりますと、「二年以内において定款で定める期間」となっており、各所管庁のひな形も「役員の任期は、○年とする。」と言った具合に記載している処が多いので、起算日は民法の原則通り効果発生時、つまり役員に就任した時点となる、と私は考えます。なお、ここは私見です。この論点は実務上重要な論点ですので、一ブログの記事など信用せず、必要に応じ法務局や所管庁に確認をお願い致します。

任期伸長規定

 また、第24条第2項では、役員を社員総会で選任している場合、任期末日後の最初の社員総会が終結するまで伸長できる規定があります。この規定が置かれている場合、役員の任期に頭を悩ます必要はありませんね。

理事の任期の起算点と満了日

 次に、理事の任期の起算点について詳細に検討します。
 理事の任期は、就任を承諾し、理事就任の効果が発生した時点から発生します。
 この時、何の条件も付すことなく理事を選任しその候補者が席上即座に就任を承諾した場合、理事就任の効果はその就任承諾の時から発生します。
 しかし、期間計算において、理事の任期を○年と定めている場合には、民法第140条の定めにより初日不参入となり、翌日を初日とします。
 理事の任期を2年として、実例で考えましょう。
 4月2日に社員総会で理事を選任、即時就任承諾があった場合、理事就任の効果は就任承諾時から生じ、理事の任期の起算日は4月3日となり、2年後の4月2日に満了することになります。
 さらに実例で考えます。3月31日に任期満了する理事の後任者として、3月29日の社員総会で理事を1名選任し、その就任を承諾した場合、後任者の理事就任の起算日は4月1日午前0時となり、その理事の任期は2年後の3月31日に満了します。

懈怠の場合

 珍しい事例を経験したことがあります。理事の選任が5年以上行われておらず、過去の議事録もなかったことがありました。登記記録には「11月30日重任」と記載されていますが、これだけでは、起算日がいつかは分かりません。
 議事録作成時には、実務的に「前の理事全員は平成○○年○○月○○日をもって任期満了しているので」と記載する必要があります(登記のため)。しかし、可能性としては、11月29日に任期満了している場合と、11月30日に満了している場合の二とおりが考えられます。
この場合、私の経験では、関係者から聴取をした結果に基づき判断して満了したと言える日を書いておけば登記はどちらでも受理されます。ただし、このケースは前の登記後5年間以上選任懈怠があったため、法務局にも前回の登記書類がのこされていない場合でした。
 登記申請書保存期間内の場合、議事録から起算日が分かる場合もありますので注意が必要です。

まとめ

 NPOで任期伸長規定を置いている場合、役員の任期満了日は、任期末日後最初の社員総会の開催日になるため、このようなややこしい検討をする必要はありません。
 しかし、事業協同組合の理事やNPOで任期伸長規定のない場合、任期満了日はいつも悩まされる論点です。満了日は起算時によって決まり、起算時は選任方法・就任の効力発生時によって決まる。これが原則です。ご参考になれば。
 なお、行政書士は登記業務を受託できません。本稿は自己の知識のまとめであって、業務とは直接関係ないことを念のため申し添えます。

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