知的資産経営に関する電話営業

 しばらくブログを休んでいたため、これと言ったトピックを思いつきません。
 先日、1件電話営業をしたので、それについてお話しします。
 今日は、雑記につきポイントはありません。

知的資産経営とは

 今回、電話営業した経緯や相手については後述するとして、まずは、何を売り込もうとしたのかについてご説明する必要があるでしょう。
 相手先にご紹介したかったのは、「知的資産経営」という経済産業省が提唱する自己分析メソッドで、ごく簡単にいうと、「財務諸表や数字では表れてこない自社の強みや知的資産を再認識し、それを経営に活かす」という取組です。

 たとえば、ある会社が50年間営業していて経営が厳しくなってきていたとします。
 たしかに業績は右肩下がりではあるけれど、その会社が50年間も営業し続けてこれたのには、理由があるはずです。それは外的な要因もあるでしょうけれど、競合他社も存在する中でやってこれたのは、外的な要因だけではないはずです。
 そこで、50年の歩みの中で育ってきたもの、また、育って枯れてしまったもの、今芽をふいたものなどを全て洗い出して検討し、それを会社の経営に活かしていこうということです。

知的資産経営のメリットとデメリット

 知的資産経営の手法により自社を分析するには、当然メリットとデメリットがあります。

 一番のメリットは、やはり、無形の資産や遊休資産を活用、再活用できる可能性がある、ということです。
 ある京都の友禅体験工房は、当初体験事業をはじめた時、同業者には笑われたそうです。しかし、今では年間3万5千人が利用するまでに成長しました。
 これは、無形の資産を転用して成功させた好例と言えます。
 このように、知的資産経営の分析手法は、無形の強みを活用してビジネスに活かそうとする取組です。

 一方、知的資産経営には、デメリットもあります。知的資産経営という概念は、分析手法であって、経営のノウハウではありません。従って、分析の活用はあくまで可能性であって、それが上手くいく保証はありません。また、トライ&エラーを繰り返す必要があるとも言えます。即効性があるかどうかは不確かなため、投資をともなう場合にはリスクが発生します(もっとも、これは知的資産経営手法を使った事業展開に限ったデメリットではありませんが)。

電話営業の経緯

 このような知的資産経営のメソッドは、取り入れるかどうかという問題以前に、視座や視点として知っておいて損になることはまずありません。

 ところで、福井県北部にある有名な温泉地で、天皇陛下も宿泊されたという由緒ある旅館が閉館しました。その新聞記事によると、宿泊客のピークは1990年代前半で、現在はピーク時よりも年間で40万人以上も宿泊客が減少しているとのことでした。

 私はその温泉地に過去何度も宿泊した経験があり、他人事とは思えず、温泉地の組合や女将組合のホームページを見てみると…。う~ん。。。という感じで。
 そこで、女将組合のホームページを管理していらっしゃるという旅館へ電話して、知的資産経営について話しをしよう!と思ったわけです。

 別に仕事がほしいとか、そういうレベルの電話ではなくて、詳しい話しを聞く気があるなら、自腹で現地まで資料持って行ってもいいなって思うくらい、結構好きな温泉だったんですが、やはり怪しまれたのか、興味がなかったのか、女将さんにはつないでもらうことはできず。フリーダイヤルをお伝えしておいたんですが、連絡はありませんでした。

知的資産経営手法を成功させるポイント

 知的資産経営手法による分析は、強みを考えるという側面もありますが、その過程である種の自己批判も行わなければなりません。
「自分たちのやり方を貫く」ということに価値や意味を付与するのは、自分たちではなく、お客様やユーザーです。減少に歯止めをかけるために、予算を使わずに工夫するメソッドはいくつもあるのに、それに目を向けず旧来のやり方を変えないでいると、また別の旅館が閉館に追い込まれることにもなりかねません。

 知的資産経営手法による分析を最大限活用するには、分析で理解した強みをどうするかについて、様々な事例を研究し、多くの意見に耳を傾ける「傾聴力」が必要になってきます。人の意見を聞くことで、選択肢は広がります。判断するのは自分自身なのですから、選択肢は多いにこしたことはないのです。

 私は、最近は山中温泉に行くことが多いので、その温泉地にはしばらく足を運んでいません。私のような浮気者を増やさないためにも、魅力ある取組を行って、活況を取り戻してほしいですね。応援しています。