株式会社の設立にかかる最短日数

株式会社設立は専門家にお任せを!
 今日は、株式会社の設立にかかる日数についてのお話しです。

  • 株式会社は、作ろうと思えば朝8時から動き出せば5時15分に書類申請までを完了させることができる。つまり、最短1日で設立登記申請までを完了させることができる。
  • しかし、「急いては事をし損じる」という諺があるように、ゆっくり取り組む方が確実と思われる。

1.急いで設立したい時の選択肢

今の世の中が不況かどうなのかは別にして、今のご時世で、夜の10時に「明日中に株式会社を作らなきゃならない」なんて言うケースは極めて希と言えるでしょう。
しかしながら、「会社って最短何日でできるのか」ということを知っておけば、いざというとき役に立つことがあるかも???知れません。

株式会社を設立するには、二つの入り口があります。「会社を作ろう」と会社の根本規則(これを「定款」と言います)を作った人だけが、株式を引き受けて会社を作る『発起設立』という入り口。もう一つは、定款を作った人とは別に、株式を引き受けてくれる人を募る『募集設立』という入り口です。

募集設立は、理論的には、発起人とは縁もゆかりもない第三者が株式を引き受ける形式になるため、手続が厳格になります。それに比べると、発起設立は比較的簡単な手続で行うことができます。ですので、急いで設立したい時は、定款を作成して発起人となる人間が株式の全部を引き受ける『発起設立』がお勧め、ということになります。

2.発起設立の流れ

発起設立の流れについては、会社法が定めています。大まかにまとめると次のとおりです。

  1. 定款を作成し認証すること
  2. 出資を履行すること
  3. 設立時役員を決めること
  4. その他の必要事項を決めること
  5. 設立時役員が会社設立について調査すること
  6. 設立登記をすること

必要書類としては、発起人の印鑑証明書が必要になりますし、定款作成後に出資を履行したことを証明する預金通帳を準備しなければなりません。会社を代表して登記申請する取締役の印鑑証明書も必要になります。逆に、以上の書類を揃え、後は定款や必要書類を作成すれば、最短1日で登記申請までやっつけることが可能です。

3.具体的な時系列

具体的な時系列を見ていきましょう。
設立時には、定款を作成するほか、発行可能株式総数や設立時役員を決める必要がありますが、これらは定款に記載することが通例ですので、しっかりした定款を作成すれば、他に本店の所在場所を定めれば登記申請まで行うことができます。
ですので、まずは、印鑑証明書を取りに走り、その後すぐに発行可能株式総数や設立時役員なども記載した定款を作成し、公証人の認証を受けます。定款を作成したら、認証前でも認証後でもかまわないので、お金を銀行に預け入れます。Aさん独りが発起人となっている場合は、Aさんの銀行口座に出資額として定めた額を入金します。このとき、仮に出資額が100万円だったとしたら、預金通帳に100万円の残高があっても、一度出金して100万円を再度入金しなおす必要があります。この出資の確認は設立登記申請において必要になりますが、確認対象は残高だけではなく、設立のために出資が履行されたことをも確認する必要があるためです。

AさんとBさんが二人で発起人となって50万円ずつを出資する場合、Aさんの口座にお金をまとめるなら、Aさんは自分の口座に50万円を入金し、BさんはAさんの口座に50万円を振り込みます。

ここまでで①②③が終わりました。次に、④を決めますが、定款にしっかり記載しておけば、後は本店の場所を決めるのみで、それ以外に特段決めることはありません。

そして⑤の調査を行います。これで事務手続は終了、後は登記申請書を作り、添付書類と一緒に法務局へ持ち込みます。添付書類は申請書の書き方は、法務省のサイトに詳しく記載されています。

法務局が閉まるのは5時15分ですので、それまでに申請が完了すれば、即日で会社を作ることができますね。

なお、登記申請時には会社の実印を登録する手続も同時に行う必要がありますが、これはとりあえず個人の実印を登録しておいても事足ります。ただし、直径1センチ以上の印鑑を用いる必要があります。

4.最短設立の実際

しかし、これはあくまで理論上のお話しです。定款は事前に公証人のチェックを受けておく方が安心ですし、慌てて書類を作るととんでもない間違えをしてしまうかもしれません。ですので、実際には『最短即日』という設立事例はあまりないのではないかと思います。

ご参考になさってください。