1月 20th, 2012|ブログ|

 今日は、生命保険金が相続財産に含まれるかどうか、というお話しです。

<ポイント>
・生命保険金は、民法上相続財産とはなりません。
・相続税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になる場合があります。

1.相続財産とは

「相続」とは、一般に知られている通り、自然人の死亡によって始まり、その死亡した人(被相続人)の財産を承継することを意味します。
 相続する被相続人の財産を「遺産」や「相続財産」と表現しますが、預貯金や有価証券、自動車などのプラスの財産だけでなく、借金といったマイナス財産も相続する財産に含まれることも広く知られている処です。
 但し、被相続人に専属していた地位や権利は相続の対象にはなりません。

2.生命保険金と相続

 では、生命保険金はどうでしょうか?これは、専門家なら常識の範囲のことですが、一般には知られていないようで、割と尋ねられることがあります。
 端的な答えとしては、「生命保険金は相続財産に含まれない。」と言えます。
 しかし、生命保険と相続については、誰が被保険者であって、誰が保険料を支払い、誰が受け取るかによって考え方が異なります。以下、事例で考えていきましょう。
 事案を明瞭にするため、保険金支払対象者を「被保険者」、保険契約を締結し保険料を支払う人を「保険料を支払人」、保険金を受け取る人を「保険金受取人」と整理し、被保険者が死亡して相続が開始した場合につき考えていきます。

ケース1:被保険者が被相続人・保険料支払人も被相続人・保険金受取人は相続人
 これは、考えられる最も一般的なケースで「相続財産」となるかどうかが問題となります。つまり、保険料を支払っていた人が亡くなり、それで保険金が出ることになるので、その財産が相続財産となるのかを考える必要がある、という訳です。
 これについては、昭和初期の裁判例が、保険金は受取人固有の財産である旨を判示しており、生命保険金は民法上は相続財産とならないとされています。
 しかし、税金は別の話になりまして、被相続人が保険金の一部又は全部を支払っていた場合の保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。但し、非課税限度額が設けられていますので、詳細は『国税庁の相続税Q&Aのページ』をご覧下さい。
 なお、この事例で、仮に保険金受取人が相続人以外の第三者であった場合でも、相続財産でない以上遺留分減殺請求の対象にもならないとしています。また、原則として特別受益の持戻しの対象にもならないとされています(例外的には持戻しが認められる場合もありえる)。

ケース2:被保険者が被相続人・保険料を支払人が相続人・保険金受取人は保険料を支払っていた相続人
 このケースでは、保険料を支払っていたのが相続人であることから、そもそも相続財産になるかどうかの議論は無意味になります。被相続人が自分で支払っていた場合の保険金でも相続財産にはならない訳ですから、他人が払っていた保険金が相続財産になることはありません。
 税金はどうでしょう。被相続人は保険料を支払っていないので、「みなし相続財産」には分類できません。しかし、自分でかけていた保険金を自分で受け取ることになりますので、一時所得として所得税が課せられることになります。

ケース3:被保険者が被相続人・保険料支払人は相続人・保険料受取人は第三者
 このケースでも、保険金が相続財産とされないのはケース2と同様です。
 では税金はどうでしょう。被相続人は保険料を支払っていないので、「みなし相続財産」には分類できません。しかし、他人がかけていた保険金を受け取ることになりますので、税務としては「贈与」と取り扱われ、贈与税の課税対象となります。
 詳細は、国税庁の死亡保険金受け取りに関する説明ページをご覧下さい。

3.まとめ

 以上、生命保険金と相続について、相続財産になるかどうかが問題となるのは、被相続人が自分で保険料を支払っていたケースですが、その場合でも相続財産には含まれないものの、税務上は「みなし相続財産」として課税対象となります。
 民法と相続税法では、判断が異なっていることには注意が必要ですが、遺産分割時に「相続財産に含める必要があるか」と問われたら「必要はない」というのが唯一の答えになります。

 ご参考になさってください。

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