「被相続人に負債があれば相続放棄をすればいい」

という話しをよく耳にします。確かにそれは一つの考え方です。しかし、相続放棄をしたら、その財産はどうなっていくかについてはあまり知られていません。

 今日は、相続について、相続人不存在になった場合を含めた論点を検討します。
相続放棄の仕組みについて

  • 第一順位の法定相続人が全て相続放棄すれば、第二順位・第三順位へと相続権が引き継がれる。
  • 相続権を有する者全員が相続放棄をした場合、相続人が不存在となる。
  • 相続人不存在となれば、相続財産は法人化され、相続財産管理人が選任される。

相続が発生した場合の選択肢

 相続が発生した場合、相続人は、その相続財産を承継するかどうかについて、三つの選択肢から一つを選ぶことができます。

単純承認

 これは、被相続人の債権債務全部を引き継ぎますという選択肢で、一般的に最も選択される方法です。
 単純承認をするのに方法はありません。また、相続人が相続財産の処分を行った場合等は、単純承認したものとみなされます(民法921条)。
 つまり、財産だけ確保して債務は免れようという行為は認められないということですね。

限定承認

 限定承認は、簡単に言うと、被相続人の相続財産の範囲において債務を支払うという選択肢です。
 たとえば、持ち家や預金もあるが、家族の知らない所で借金をしていた場合などは、単純承認すれば、後から莫大な借金を引き継ぐことになりかねません。
 また、被相続人が、犯罪を犯して損害賠償額が確定していない場合なども、プラスの財産を超える債務を背負う可能性が生じます。
 こういった場合、限定承認をしておけば、相続財産の範囲内で債務を清算すればよく、自分の財産で被相続人の債務を支払う必要はなくなります。

 限定承認は、その順位の相続人全員で行う必要があります。
 また、期間は原則として、自分のために相続が開始したことを知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述を行う必要があります。
 さらに、限定承認は債務超過に陥ってる場合に活用されることが通常ですので、公平に弁済を行うため、債権者に対して公告を行う必要があること、債権の割合に応じて弁済することなどの諸規定が整備されています。

相続放棄

 相続放棄とは、簡単に言うと、相続人の資格を消失させる手続です。
 相続資格を失わせるための手続ですから、預金だけに手をつけるような行為は許されず、それをすると単純承認したものとみなされます。

 相続放棄は、限定承認とは異なり、一人ですることができます。
 また、申述の期間は限定承認と同じで、自分に相続が開始したことを知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。

 相続放棄が認められると、その人はその相続に関して最初から相続人ではなかったものとみなされますので、債務を引き継ぐ必要はなくなります。

 相続放棄は相続人独自で行うことができますので、同一順位で特定の人だけが相続放棄をすれば、他の相続人の相続分は増加します。

 そして、同一順位の相続人全員が相続放棄をすれば、次順位の人が相続人となります。

 事例で考えましょう。被相続人に、妻と子ども二人がいて、被相続人の両親が健在、兄弟は弟一人だったとしましょう。

  • 第一順位 妻と子ども二人
  • 第二順位 被相続人の両親
  • 第三順位 被相続人の弟

 この時、第一順位の妻と子ども二人が全員相続放棄をすると、最初から相続人ではなかったものとみなされますので、相続人は第二順位の両親となります。両親がさらに相続放棄をすると、第三順位の弟が相続人となります。

 このように、相続放棄は自分が相続人でなくなるだけですので、第三順位以外の相続人が相続放棄をすると、その親族に相続権が移動していくことになります。

相続人全員が相続放棄をした場合

 では、相続人全員が相続放棄をした場合、その相続財産はどうなるのでしょうか。この場合は「相続人のあることが明らかでない」として、『相続人の不存在』の規定が適用されます。
 相続人が不存在の場合、相続財産は法人となります(民法951条)。ちなみに、相続財産が法人となる日は、相続開始の日となります。それまでに相続放棄の手続が行われるため、実質的には遡及して法人となる体裁です。

相続財産管理人

 相続財産が法人となっても、その財産を管理する人がいなければ名義の変更や処分はできません。従って、相続人不存在の場合、相続財産管理人選任の申立を行います。

 相続財産管理人選任の申立は、家裁に対して行いますが、申立人は、債権者等の利害関係人の他、検察官が行えます。

相続財産管理人選任後の手続

 相続財産管理人が選任されると、以下の流れで手続が行われます。

① 裁判所による管理人選任公告(2ヶ月以上)

↓

② 相続財産管理人による債権申出公告(2ヶ月以上)

↓

③ 裁判所による相続人探索公告(6ヶ月以上)

↓

④ 相続人不存在確定

↓

⑤ 特別縁故者の分与請求(3ヶ月以内)

↓

⑥ 財産の分与・国庫への帰属

 選任申立から考えると、相続人不存在が確定し、財産を処分できるようになるまではおおよそ一年近くが必要となります。

 法人化された相続財産は、債権者がいれば債権額の割合に応じて弁済されます。清算後残余財産があれば、特別縁故者からの分与請求に応じて財産を分与できますが、それは家庭裁判所が審判します。
 さらに財産があれば、それは国庫に帰属することになります。つまり、国のものになるということですね。

相続放棄に関する論点

 不法行為の損害賠償債務も相続財産になりますが、相続放棄をすると相続人でなかったとみなされるとため、損害賠償債務自体を承継することはありません。
 しかし、当該被相続人が未成年者や責任無能力者である場合、その監督義務者が損害賠償責任を追及されることがあります。
 また、相続放棄は、特定の相続人のみが行った場合、他の相続人や次順位の相続人に相続権(または持分)が移ることになることにも注意が必要でしょう。

まとめ

 インターネットには様々な情報が飛び交っていますが、すべての情報が正しいという保証はありません。また、様々な角度から検証されるべき事例が、一つの視座からのみによって語られ、重要な部分が欠落しているような投稿も見受けられるかもしれません。
 法律問題については、法テラスや役所が実施している市民無料法律相談などを活用し、正確な情報に基づいて検討することが肝要です。
 ご参考になさってください。

 なお、相続放棄の申立等、本稿で記述した手続については、行政書士の業務範囲ではありません。これは、業務に関するブログではなく、自己の知識の再整理にすぎませんので、お困りの方は、弁護士にご相談なされることをお勧めします。

 今日は、昨日のブログ記事「相続手続時に必要な不在住・不在籍証明について」の続きです。

昨日のまとめ
・相続手続において、死亡記載のある戸籍を添付しても、住所が記載されていないために最後の住所を証する書面が必要となる場合がある(例えば相続登記)。
・相手方の把握している住所(例えば登記記録上の住所)と、被相続人の最後の住所が違うケース、分かりやすく言うと、被相続人が転居しているケースでは、相手方の把握している住所から最後の住所までの履歴を確認できる資料を添付しなければならない。

1.不在住証明・不在籍証明

 前回検討したように、相手方の把握している住所と被相続人の最後の住所が違う場合、その履歴を証する書面の提出を求められる場合があります。登記では必ず必要になります。
 この際、保存期間が経過していると、住民票の除票や戸籍の附票を取得することはできません。そこで、「不在住証明」「不在籍証明」の出番がやってきます。

 不在住証明は、被証明者の住所氏名を書いて申請すると「その住所にその氏名の人の住民登録はありません」と言うことを証明してくれる書面です。

 また、不在籍証明は、同じく「その場所を本籍地とするその氏名の人はいません」と言うことを証明してくれる書面です。

 例えで考えます。
 登記記録上、住所がA市B町1番地の山田太郎さんが亡くなって、山田さんの不動産に相続の登記を申請するとします。ところが、山田さんはその後転居を繰り返し、最終的にX市Y町2番地に住んでいた。

 この時、法務局は、戸籍類と住民票除票などでA市B町1番地の山田太郎さんが死亡していたことを確認しようとします。
 ところが、住民票除票の住所はX市Y町2番地だし、前住所もつながらない。
 そうなると、法務局としては、「実はA市B町1番地の山田太郎さんはご存命じゃないの?」とも考えられるわけです。
 ですので、「A市B町1番地に山田太郎さんの住民登録はない」と言う不在住証明を添付して、現在申請している山田太郎さんが、昔はA市B町1番地に住んでいて、不動産を持っていた山田さんと同一人物なんだよ、と言うことを訴えるわけです。
 では、不在籍証明はどうして必要なのでしょうか?
 これは、正直私にもよく分かりません。しかし、不在住証明を添付する際は不在籍証明もセットで添付するのが原則でした(不在籍証明を添付せずに登記が通った記憶もあります)。
 考えられる理由の一つとして、大昔の登記には、住民票の添付は必要とされておらず、
本籍地で登記申請をした人もいらっしゃったと言う話しです。
 ですので、登記した時に、既に住民票の添付が必要だった時代の登記名義人については、不在籍証明は要らないと考えられる一方、住民票の添付が必要なかった時代の登記については、不在籍証明を添付する理由があると思われます。

 なお、実際の登記手続においては、被相続人の住所の連絡がつかない時、すなわち、不在住証明を添付しなければならないケースにおいては、登記名義人の権利証があれば権利証を添付し、権利証がなければ相続人全員から、「この不動産は、今回我々が申請している被相続人の所有であったことに相違ない」旨を記載した書面を提出することになります。
 これは、京都付近では「上申書」と呼ばれており、実印の押印と印鑑証明書の添付が必要となります。

2.不在住証明・不在籍証明の法的根拠

 不在住証明・不在籍証明を直接に規定した法律はありません。不在住証明は、役所によっては「不在証明」と呼んでいる場合もあり、その曖昧さが法的根拠の薄弱さを物語っていると言えるでしょう。
 京都市の場合、不在証明、不在籍証明、身分証明は同一の申請用紙になっています。これを『行政証明交付申請書』と呼んでいます。

 私も全ての文献にあたった訳ではありませんが、私の理解においては、地方知事法第2条第2項及び第8項に規定されている、『自治事務』に該当するのではないかと思います。

 行政証明においては、新宿区の内部通達が公開されており、非常に参考になりますので、リンクを掲載しておきます。

一般行政証明の取扱基準について(依命通達)の全部改正について – Reiki-Base インターネット版

 この新宿の通達では、一般行政証明発行のメリット、デメリット、そして「落とし所」としての、証明事務の範囲が明確に記載されており、参考になります。

3.まとめ

 以上、二日間にわたり、相続登記と不在住・不在籍証明について検討しました。
 不在住証明・不在籍証明は、登記以外にも郵便局での手続等に必要となるケースが考えられます。
 当初は、サクッと簡単にまとめるつもりが、ちょっと長い文章になってしまいました。
 行政証明の法的根拠なんて知っていても得にはなりませんが、バーで同伴者を口説く際にでも使って頂けたら幸いです。

 口説き文句に使うなら、「免責事項」のチェックをお忘れなきよう。
 

 人の死亡はどうやって証明するのでしょうか?
 今日は、特に相続登記にフォーカスした、人の死亡を証明するメソッドについてのお話しです。

 相続登記は人に頼まず自分で申請することが可能ですが、いくつかの難しい論点があり、この「人の死亡の証明」はその難論点の一つです。
 長くなりますので記事を2回に分けて検討します。

 なお、登記手続は行政書士の業務範囲ではなく、この記事内容は、自己の経験と知識の記述にしか過ぎません。本件で不明な点があれば、他の専門家に対してセカンドオピニオンを取るか、法務局の無料相談をご利用なさってください。

ポイント
・相続登記においては、死亡の事実を証する戸籍類と、死亡した人の住所を明らかにする住民票の除票か戸籍の(除)附票が必要となる。
・相続登記手続において、まず一番最初にチェックすべきは、死亡した人の最後の住所と登記記録上の住所が一致しているかどうかである。

1.自然人の死亡を証する書面とその証明能力

 自然人が死亡した際、手続においてその死亡を証する書面が必要となる場合があります。
 通常、その書面としては、その人の死亡事実が記載された戸籍(除籍)謄(抄)本が用いられます。
 では、戸籍に死亡事実を記載するためには、役所は何を確認するのでしょうか。
 それは、戸籍法に規定されています。

第八十六条  死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から七日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から三箇月以内)に、これをしなければならない。
○2  届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添付しなければならない。
一  死亡の年月日時分及び場所
二  その他法務省令で定める事項
○3  やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。  

 つまり、原則として死亡診断書か検案書が必要となり、死亡届はこれらいずれかの書類と一体になっています。

 つまり、死亡を確認する医師なりがその責任において診断書を記載し、それに基づいて親族等からの申請がなされ、それを役所が確認の上受理して戸籍に記載されるわけですから、死亡を証する書面としては十分な能力がある、と言う論理になります。

 ちなみに、戸籍の能力はどのようなものなのでしょうか。一般的には、戸籍には「公信力」はないと解されています。私なりの言葉で換言すると「強い推定は働くけれど、完全な証明力はない」と言うことになります。これは、死亡に限らず戸籍一般に関する能力と考えられています。

2.戸籍と人をつなげる『住民票』

 戸籍によって人の死亡を確認するわけですが、今の世の中の仕組みでは、戸籍だけでは人の死亡を確認しづらくなっています。
 たとえば、生活の中で色んな書類を記入することがあります。その際、本籍地を記載することがどれくらいあるでしょう?
 民間に提出する書類には、ほとんどないはずです。記載するのは住所、氏名、生年月日。
 つまり、自然人を特定する情報としては、現在、住所氏名と生年月日を用いることが普通です。
 ところが、戸籍には氏名と生年月日しか記載されていません。住所がわからない。これを実例で考えます。

 たとえば北海道A市B町1番地に住む山田太郎さん(昭和22年2月22日生)が死亡したとします。
 手続で必要となり戸籍を取り寄せると本籍地は大阪府になっていました。

 戸籍から分かるのは、本籍地大阪府の山田太郎さん(昭和22年2月22日生)が死亡したことだけです。

 手続を行う側からは、こう考えることができます。

「もしかしたら、北海道に住んでいる山田さんはまだ存命なのに、氏名と生年月日が同一である大阪の山田さんの戸籍を利用して勝手に手続をしようとしているんじゃないか」

 このような疑念を払拭するために、実務では「住民票の除票」を添付して、戸籍に記載されている死亡人物が、手続の対象者(被相続人)と同一人物であることを訴えます。
 住民票の写しは死亡した人に関しては「除票」として5年間保存されます。普通の住民票と同じように本籍地を記載させることができるので、この除票を提出することによって、「北海道A市B町1番地に住む山田太郎さん(昭和22年2月22日生)が亡くなった」ことが分かる訳です。

 このように書くと、「本籍地・住所・氏名・生年月日が記載されている住民票の除票を持っていけば戸籍は要らないのではないか?」とも考えられますが、実務ではあくまで戸籍によって人の死亡を確認し、住民票で住所をつなげると言う考え方が採られていますので、戸籍は必須となります。

 長くなったのでまとめます。

  • 人の死亡は戸籍(除籍)で証明する。
  • 実際の手続においては、戸籍に記載されている人と手続対象者(被相続人)をつなげるため、住民票の除票を添付する。

3.転居等での問題点

 では、転居を繰り返していた場合はどうすればいいのでしょうか。事例で考えます。

 不動産を買って登記を受けた名義人が死亡しました。本籍地北海道で京都府に住んでいた山田太郎さんは大阪府に不動産を買いましたが、決済時はまだ京都に住民票があったので、登記には京都の住民票を使いました。
 ですので、登記の名義人は「京都府 山田太郎」で記載されています。
 その後、山田さんは購入した不動産に移り住み、住民票を大阪府に移しましたが転勤で愛知→東京と住民票を移し、東京都で亡くなりました。

 この事例では、戸籍から「北海道の山田さん」が死亡したことが分かります。また、住民票の除票からは「東京都の山田さん」が死亡したことが分かります。

 ところが、登記の名義人は「京都府の山田さん」ですから、これらの書類では「京都の山田さん」が他界したことを証明することはできません。

 この場合、二つの方法で書類を補完します。

1.戸籍の(除)附票の写しを取り寄せる

 本籍地を動かしていない場合、戸籍の附票の写しには、その人の住所の履歴が全て記載されています。ですので、京都から東京までの住所の履歴を全て確認することができます。
 なお、戸籍附票も改製されるケースがありますが、改製前の附票の保存期間は5年間です。

2.住民票の除票を取り寄せる

 前述のとおり、住民票の除票の保存期間は5年です。ですので、もし、死亡前5年間の間に京都→大阪→愛知→東京と住所を移していたならば、全ての除票を取り寄せることができます。逆に、住所移転後5年経っていれば住民票の除票を取り寄せることはできません。

4.ここまでのまとめ

  • 人の死亡は戸籍で証明する。
  • 戸籍記載にあたっては、医師の診断書等が添付され、戸籍には強い推定は働くが公信力まではないと解されている。
  • 実務上、人の死亡を確認するためには、戸籍以外に被相続人の住所を確認できる公的資料が必要となる。
  • その公的資料としては、住民票の除票と戸籍の附票が挙げられる。
  • 登記手続においては、登記名義を受けた時の住所と死亡時の住所が異なってる場合、その人の住所の変遷を証明するための資料を添付する必要がある。
  • その資料としては、戸籍の附票と、住民登録をした各場所での住民票除票を全て集めたもの、が挙げられる。
  • 除票、除附票には保存期間5年の制限がある。

保存期間を経過していて住所の連絡を証することができない場合はどうするか?

 これが次回「相続登記時における不在住・不在籍証明について(その2)」のトピックです。

 今日は、法務局が行う無料相談会のご紹介です。

 お年を召した方とお話ししていると、たまに「登記は司法書士さんにお願いしないといけないのでしょうか?」というご質問を受けることがあります。

 訴訟も自分でできるわけですから、登記申請も自分ですることができます。

 法務局の職員さんは、一昔前とは違い、とても親切で、丁寧に対応してくださいます。各法務局やその支局、出張所には登記相談のコーナーがあり、相続登記や担保抹消の登記申請の方法を聞いていらっしゃる方をよくお見かけします。

 そんな身近になった法務局が、全国一斉に休日無料相談を開催するそうです。京都市内では、平成24年2月12日(日)午前10時から午後4時まで。相談内容は、不動産や会社・法人登記に関するものから、戸籍、遺言書に関するものなど、広く対応されるそうです。

 予約優先とのことですので、ご相談を希望される場合は早めに予約を入れておかれるとよいでしょう。

 予約先は京都地方法務局総務課、電話075-231-0148。受付期間は2月1日から2月10日までで、予定数に達したら予約は締め切るとのこと。

 ご参考になさってください。

 今日は、生命保険金が相続財産に含まれるかどうか、というお話しです。

<ポイント>
・生命保険金は、民法上相続財産とはなりません。
・相続税法上は「みなし相続財産」として相続税の課税対象になる場合があります。

1.相続財産とは

「相続」とは、一般に知られている通り、自然人の死亡によって始まり、その死亡した人(被相続人)の財産を承継することを意味します。
 相続する被相続人の財産を「遺産」や「相続財産」と表現しますが、預貯金や有価証券、自動車などのプラスの財産だけでなく、借金といったマイナス財産も相続する財産に含まれることも広く知られている処です。
 但し、被相続人に専属していた地位や権利は相続の対象にはなりません。

2.生命保険金と相続

 では、生命保険金はどうでしょうか?これは、専門家なら常識の範囲のことですが、一般には知られていないようで、割と尋ねられることがあります。
 端的な答えとしては、「生命保険金は相続財産に含まれない。」と言えます。
 しかし、生命保険と相続については、誰が被保険者であって、誰が保険料を支払い、誰が受け取るかによって考え方が異なります。以下、事例で考えていきましょう。
 事案を明瞭にするため、保険金支払対象者を「被保険者」、保険契約を締結し保険料を支払う人を「保険料を支払人」、保険金を受け取る人を「保険金受取人」と整理し、被保険者が死亡して相続が開始した場合につき考えていきます。

ケース1:被保険者が被相続人・保険料支払人も被相続人・保険金受取人は相続人
 これは、考えられる最も一般的なケースで「相続財産」となるかどうかが問題となります。つまり、保険料を支払っていた人が亡くなり、それで保険金が出ることになるので、その財産が相続財産となるのかを考える必要がある、という訳です。
 これについては、昭和初期の裁判例が、保険金は受取人固有の財産である旨を判示しており、生命保険金は民法上は相続財産とならないとされています。
 しかし、税金は別の話になりまして、被相続人が保険金の一部又は全部を支払っていた場合の保険金は「みなし相続財産」として、相続税の課税対象となります。但し、非課税限度額が設けられていますので、詳細は『国税庁の相続税Q&Aのページ』をご覧下さい。
 なお、この事例で、仮に保険金受取人が相続人以外の第三者であった場合でも、相続財産でない以上遺留分減殺請求の対象にもならないとしています。また、原則として特別受益の持戻しの対象にもならないとされています(例外的には持戻しが認められる場合もありえる)。

ケース2:被保険者が被相続人・保険料を支払人が相続人・保険金受取人は保険料を支払っていた相続人
 このケースでは、保険料を支払っていたのが相続人であることから、そもそも相続財産になるかどうかの議論は無意味になります。被相続人が自分で支払っていた場合の保険金でも相続財産にはならない訳ですから、他人が払っていた保険金が相続財産になることはありません。
 税金はどうでしょう。被相続人は保険料を支払っていないので、「みなし相続財産」には分類できません。しかし、自分でかけていた保険金を自分で受け取ることになりますので、一時所得として所得税が課せられることになります。

ケース3:被保険者が被相続人・保険料支払人は相続人・保険料受取人は第三者
 このケースでも、保険金が相続財産とされないのはケース2と同様です。
 では税金はどうでしょう。被相続人は保険料を支払っていないので、「みなし相続財産」には分類できません。しかし、他人がかけていた保険金を受け取ることになりますので、税務としては「贈与」と取り扱われ、贈与税の課税対象となります。
 詳細は、国税庁の死亡保険金受け取りに関する説明ページをご覧下さい。

3.まとめ

 以上、生命保険金と相続について、相続財産になるかどうかが問題となるのは、被相続人が自分で保険料を支払っていたケースですが、その場合でも相続財産には含まれないものの、税務上は「みなし相続財産」として課税対象となります。
 民法と相続税法では、判断が異なっていることには注意が必要ですが、遺産分割時に「相続財産に含める必要があるか」と問われたら「必要はない」というのが唯一の答えになります。

 ご参考になさってください。

 今日は、昨日に引き続いて相続業務についてのお話しです。

 昨日、相続についての注意点を書きましたが、今日は、私が経験した事例についてお話しします。
 私は、相続の調査について二例、特殊な事例を経験しています。

 まず、一例目は、区役所が戸籍謄本の一部を謄写し忘れていたと言う事例です。この事例は、区役所が大正4年式の戸籍の最後の一ページを謄写し忘れていて、割り印が薄かったため戸籍の受領時には気付かなかったのですが、最終チェックで気付き、区役所へ行きました。続きのページには相続人が記載されており、もう少しでとんでもない事態になるところでした。
 この件以後、役所で戸籍を受領する際は、認証文と謄写漏れのチェックをするようになりました。

 二例目は、ご両親が亡くなっていらっしゃったのですが、お祖父ちゃんがご存命だった事例です。この場合、相続人は兄弟姉妹ではなく、お祖父ちゃんになるのですが、普通、ご両親がお亡くなりの場合、「次は兄弟姉妹をチェック」と思いがちですが、被相続人の年齢が若かったため、一応確認しておこうと戸籍を当たってみるとご存命でした。これも珍しい事例だと思います。

 相続の調査は、民法と戸籍法を知っていればそれほど難しくはないのですが、ケースとしては全てが異なりますので、常に基本に忠実に行う必要があります。

 他人のヒヤリハットから学ぶことは多いもの。ご参考にして頂ければ幸いです。

 今日は、相続人が、被相続人の兄弟姉妹(及びその代襲者)であった場合の相続人調査における注意点についてのお話しです。

 相続業務で、相続人がいわゆる第三順位である兄弟姉妹になってくると、戸籍も郵送で請求したり、分量が多くなってきたりと煩雑になる場合があります。余裕があるときは大丈夫なんですが、仕事が立て込んでいる時に、「フッ」と注意力が散漫になり、戸籍を取り漏らすことがないよう、私は常にこのフレーズを受託書に書き込んでいます。

「両親の戸籍全取り」

 相続人の調査は、被相続人の戸籍を出生近くまで遡って取得していき、戸籍上で相続人を確定させるために行います。

 ところで、旧来の日本では、女性が男性の戸籍に入ることが多数でしたので、被相続人は、婚姻前まではお父さんの戸籍に入っているのが多数の例ということになります。
 
 兄弟姉妹が相続人であるということは、ご両親も既にいらっしゃらないことになりますので、お父さんの戸籍をたどり、被相続人の出生近くまでだけではなく、お父さんの出生近くまで戸籍を集めて兄弟姉妹を全て確認することになります。

 この過程で戸籍が増えていき、兄弟姉妹が4人もいらっしゃれば、お父さんの出生近くまで戸籍を集めて相続関係図を作成…。これは危ない例です。

 この戸籍の分量と兄弟姉妹4人に惑わされてしまってはいけません。

 第三順位の相続の場合、いわゆる半血の兄弟がいるかどうかを確認するため、必ず両親の戸籍とも必要になってくるのです。これは、当たり前のことであり、実務の鉄則でもあるのですが、戸籍の分量、相続人の人数、今抱えている仕事の多さによってともすれば忘れがちになります。

 相続は事案毎に時系列がことなりますが、この『第三順位は両親の戸籍全取り』は時系列にかかわらず当てはまるセオリーです。

 特に若葉マークの皆様はくれぐれも取りこぼしのないようご注意下さいませ。

 信用不安が払拭できないイタリアで、ペットに約1,000万ユーロを相続させたと言うニュースが話題になっているそうですね。

 今日は、ペットと相続についてのお話しです。

 日本における相続とは、学術的表現をかみ砕いて書き表すと、「人間の財産や権利・義務を他の人間が引き継ぐこと」と言えます。

 まず、相続が発生する主体は「人間」です。「車」も「犬」も相続の主体とはなりえません。「車」が廃車になったからと言って「オレのナビは持ち主であるアンタにくれてやるよ」とは言ってくれませんよね。相続が発生する主体が人であることは、ある意味当たり前のことです。
 「会社」はどうでしょうか?「会社」は「法人」ですので、法的には「人」とみなされています。従って、会社も財産を譲り受ける主体と成り得ます。しかし、会社は「法人」であって、「人間=自然人」ではありませんので、日本国内において会社に相続が発生することはありませんし、会社が「相続人」となることもありません。

 次に、客体ですが、客体は「財産上の権利や義務」です。「名誉」は相続の対象にはなりません。お父さんが人間国宝だったとして、お父さんがなくなったら遺産分割協議をして長男さんが「人間国宝を襲名します」というのはちょっと無理な話です。

 相続は、人間の死亡により開始します。これは現在の民法に定められています。ですので、現在では、相続は人の死亡によって始まる訳ですが、戦前の日本には、「家督相続」という制度があって、家長が存命のまま隠居し、長男さんが家督を相続する、と言うことがごく普通に行われていました。つまり、相続というのは法が定めている制度であって、国や年代によりその制度は様々ということになります。

 そして、現在の日本で財産を相続できるのは、子、直系尊属、兄弟姉妹及び配偶者であって、被相続人の家族状況により相続する人が決まります。つまり、相続できるのも「人間」だけ、と言うことになります。

 話しをイタリアの話題に戻しましょう。
 イタリアの資産家さんは、ペットに財産を相続させることはできたのでしょうか?新聞記事によると「イタリアではペットに相続させることは法的にできないので、ペットがなついていた看護師を相続人に決めた」旨の記載があります。

 相続人以外へ死亡によって財産を譲り渡すことを、日本では「遺贈」や「死因贈与」と言います。遺贈は財産を譲り渡そうとする人が単独でできる行為ですが、「贈与」はあくまで契約ですので、生前に贈与者と受贈者で契約を締結しておく必要があります。
  従って、日本民法に従っていうなら、この看護師さんは「受遺者」であって「相続人」ではありません。

 イタリアではペットに財産を相続させる法的な枠組みがなかった訳ですが、では、他の国ではあるのでしょうか?

 アメリカニューヨーク州では、1996年に法制されたそうです。アメリカは信託が有効活用されている国ですので、ペット名義で信託を設立する事例はあったそうですが、まさか、法律でもってペットの相続が認められているってすごいですよね。

 日本では「負担付き遺贈」を活用し、ペットの生活を保障することで世話人に財産を与えると言ったモデルを提案されいるケースがあります。
 この場合、遺言執行者がペットをお世話する人(受遺者)の監督人的立場になることで、遺言者の遺志を実現することになります。
 身寄りのない方で、ペットの行く末を心配なされる場合、一度役所の無料法律相談を受けてみられるのもよいのではないかと思います。もちろん、みやこ事務所でも遺言書作成のお手伝いはしておりますので、お気軽にご相談ください。