2月 9th, 2012|ブログ|

 今日は、NPO法人の役員の役員変更登記申請における印鑑証明書の添付の要否についてのお話しです。

<ポイント>
・商業・法人登記では、印鑑証明書の添付について二つの性質がある。
・NPO法人の役員変更登記においては、理事長が変わらなければ原則として印鑑証明書の添付は必要ないと言える。

1.商業登記における印鑑証明書の考え方

 今日のトピックは、専門家の方々(特に登記申請)にとっては常識の範囲内のことですので、あくまでNPO法人の方がご自身で登記申請をされる場合を想定したお話しです。
 NPO法人は各種の登記をしなければなりませんが、その手続は、「各種法人等登記規則」に基づいて処理されます。
 そして、この「各種法人登記規則」を見てみると、基本的には商業登記規則が準用されていることがわかります。

 商業登記規則では、印鑑証明書を二つの観点から要求しています。一つは実在人の担保です。たとえば、取締役会設置会社である株式会社の代表取締役を新たに追加した場合、その代表取締役が就任を承諾したことを証するため、就任承諾書面への実印押印と印鑑証明書の添付が要求されます。これは、代表権を持つ人間が実在していることを確認するためであると言えます(裏を返せば、取締役会設置会社である株式会社では、単純な取締役は実在していることのチェックがなされないことになりますね)。
 もう一つの観点は、選任を担保するためです。実在人であることを確認しなければならない代表取締役を選んだ会議は、やはり実在している人が適法な手続で行っている必要があります。商業登記法では、この選任手続の真正を担保させるため、原則的には、議事録への実印押印と印鑑証明の添付を要求しています。ただし、その時の代表取締役がその会議に出席し、法務局に届け出ている会社実印を押印した場合は、一応の真正は担保されますので、印鑑証明書の添付は省略できる仕組みになっています。
 以上のことは、商業登記規則第61条に規定されています。

 なお、このトピックとは別のお話になりますが、法務局に印鑑を届け出ることができる人は、印鑑届出の際に印鑑証明書の添付が必要となります。これも実在人担保の趣旨と言えるでしょう。

2.法人登記において印鑑証明書が必要な場合

 先ほど、各種法人等登記規則は商業登記規則を準用していると書きましたが、具体的に見てみると、第61条については、第1項と、選任担保のための印鑑証明を要求している第4項のみを準用しています。つまり、実在人担保として要求している第2項及び第3項については、法人規則では必要がないわけです。

 このことを分かりやすく換言すると、「法人等登記規則の適用を受ける法人では、就任承諾書に印鑑証明書の添付は必要ない」といえます。

 一方、理事選任の議事録においては、原則として押印者の印鑑証明書の添付が必要となります(商業登記規則第61条第4項本文)。但し、理事を選任した議事録に、法務局に印鑑を届けている理事(ほとんどの場合理事長でしょう)が、その届出印を用いて議事録に押印した場合は、印鑑証明の添付を省略できることになります(商業登記規則第61条第4項但し書き第1号)。

3.まとめ

 一見、ややこしそうに思える印鑑証明書の取扱も、条文に一つずつ当たっていけばすっきり理解することができますね。ちなみに、印鑑証明書の有効期間ですが、商業登記規則で3ヶ月以内の印鑑証明書を要求しているのは印鑑届出書に添付する印鑑証明書のみです。従って、就任承諾書の印鑑証明書、議事録に押印した際に添付する印鑑証明書、いずれも期間のしばりはありません。但し、代表取締役一人を置いている取締役会設置会社である株式会社の代表取締役を交代させる場合、登記申請時には印鑑届書を提出する必要がありますので、現実的には代表取締役の交代においては3ヶ月以内の印鑑証明書をお願いしておく方がいいでしょう。最後は会社の話しになりましたが、NPO法人の場合、印鑑証明書を考慮するのは議事録のみです。

 ご参考になさって下さい。

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