年末に自分へのご褒美として「HUAWEI Eyewear2」を購入しました。

使い勝手を共有します。
HUAWEI Eyewear2

  • 「聴く」ということに対する性能は十分と感じる。
  • 操作性には慣れが必要になる。
  • 接続については疑問があり、向上の余地があると考える。

使用環境

  • 電話:aquosケータイ4(ソフトバンク)→「ガラホ」と記載
  • 音楽:HUAWEI nova lite 2(FIG-LA1)→「スマホ」と記載
  • メガネ:OWNDAYS × HUAWEI Eyewear2→「メガネ」と記載

当初の使用方法

  • ガラホとスマホ両方のBluetoothをオンにした状態でメガネを装着
  • ダブルタップするが無反応
  • スマホから音楽プレーヤーを起動して再生

まず、私はガラホとスマホを併用しています。仕事の電話は全てガラホで受けますので、スマホで音楽を流しながら、ガラホを電話として使うという二台接続の状態で使用します。

ちなみに、ガラホには録音した通話が音声データとして残っており「音楽」のフォルダに保存されています。

さて、この使用環境でメガネを掛けるとスリープ状態が解除されて二台が接続されます。
この後、ダブルタップしても何も状態が変わりません。どちらにも音声データは保存されているので、優先的に繋がった方の音声データが再生されても良さそうなのですが、ウンともスンとも言いません。

これが第一の疑問点です。バイクのインカムなどは、同様に二台接続しても、どちらかが再生されます。録音した音声データが再生されることもあるので最初は自分の手でスマホのプレーヤーを起動しますが、どちらかが再生はされる。
けれど、このメガネはどちらも再生されないという奇妙な現象が起こるのです。

検証するために、一台接続にすると、ガラホだけを接続した場合は音声データが、スマホだけを接続した場合は音楽が流れます。ですので、ガラホでも音声データが流れるはずなのに、二台同時につないでダブルタップしても最初はどちらも流れない…不思議です。

この現象を回避するために、ガラホのBluetoothを切断しておいてダブルタップして音楽を流してからガラホを接続するという一手間をかけています。

現在の使用方法

  • スマホのBluetoothだけをオンにした状態でメガネを装着
  • メガネ側面をダブルタップして音楽を再生
  • ガラホのBluetoothを接続する

電話がかかってきた時の諸問題

ここからがさらに厄介です。
二台が繋がった状態で音楽を聴いていて、電話がかかってきたとします。
まず、この時自動応答はできません。応答するためには必ずダブルタップの動作が必要になります。

ダブルタップで繋がりますが、電話が切れると無音となります。そして、そこから再びダブルタップをすると、謎にガラホの録音音声データが再生されるのです。

私はBluetoothの接続技術について詳しくありません。けれど、今まで使ってきたあらゆる機器は、二台接続し一台で音楽を聴いていた時「割り込む」形で入ってきて、割り込みが終了すると割り込み前の処から再び音楽が再生されていました。

このメガネでは優先接続?を切り替える動作がないため、ガラホで電話を切ると、スマホを取り出して手動でプレーヤーを再生させるか、ガラホのBluetooth接続を一旦解除してダブルタップしてスマホのプレーヤーを起動し、そこからガラホのBluetoothを再度接続するという面倒な手順を踏まなければならないのです。

これはとても不便ですが回避の方法を見つけることができませんでした。

一台だけで接続している場合

スマホ一台だけで接続している場合、メガネを装着してダブルタップすれば音楽が始まります。
また、電話がかかってきて応答動作(ダブルタップ)をすると通話でき、それが終了すればもう一度音楽が自動で流れ始めます。
ですので、一台だけで使用する場合、私のように不便を感じることなく使えるはずです。

音楽を聴く機能と通話機能

最初に不便な点を列挙してしまいましたが、音楽を聴くこと自体は快適にできます。
操作の動作は多少慣れが必要です。音量を上げたい時は指を前に押し出すように側面をスライドさせるのですが、これで1ボリュームが上がります。ですので、どんどん大きくするのには、この動作を何度か繰り返す必要があります。
早送り、曲戻りも同様で、3曲戻るには指を三回「サッサッサッ」とスライドさせることになります。
通話も問題なく聞き取れているようです。

まとめ

私が今まで使ってきたBluetooth機器は、複数台接続でも電話が終われば自動で先に接続していた機器につながりが戻ったのでそれを当然と思っていました。システムのバージョンアップで対応できるのであれば是非とも改善をお願いしたい点ではあります。
とは言え、クリップオンでサングラスにもなるこのHUAWEI Eyewear2はなかなか便利なアイテムです。複数台接続をお考えでなければストレスフリーで使えますので、店舗で実際にお試しになってご購入なさると良いのではないでしょうか。

ご参考になさってください。

本稿のポイント

  • 歩道上で行った事故について、警察官は現場で事実確認した上でそれを「自損事故」であると断定できる。
  • 歩道上で歩行者と自転車が事故を起こした場合、因果関係の成立に争いがなかったとしても、警察官が職務上の権限で「自転車の自損事故」として処理することがきる。

自転車で走行中に歩行者と非接触事故を起こしました。これは私自身の話です。
その事例について内容が似ている事故事例をインターネットで探したのですが事例が見当たりませんでした。示唆に富む内容ですので共有します。

事故態様

歩道を自転車で走行中、並んで歩いてた老夫婦の左側ご婦人が、急に左側に寄ったため私は進路を阻まれた形となり、接触を避けるためハンドルを切って転倒、そのまま車道に転がりました。
後で分かったことですが、その左側のご婦人は、前から自転車が接近していて、それを避けるために行動したのだと主張していました。
歩道を自転車で走行中に歩行者を追い越そうとした際、歩行者が急に進路を変えたため非接触で転倒した事例

  • 自転車通行可となっている歩道上で起こった事故です。
  • 自転車VS歩行者の事故ですが、接触はしていない非接触事故となります(警察はこれを「因果関係事故」と呼んでいました)。
  • 歩行者が進路を変えたことは歩行者自身認めており、事故の因果関係に争いはありませんでした。

以上が事故態様です。私は転がりましたが革のジャケットでしたので服は擦り痕もなく、身体も痛みはありませんでした。

事故後の経緯

しかし、交通事故では翌日に痛みが発生することがままあります。ですので、万が一のことを考えて「連絡先を交換しておきたい」と言いました。
すると、老夫婦の夫が「そんな必要はない」と言いました。
私は埒が明かないだろうと予測し、押し問答をすることもなく「では警察を呼んでおきましょう」と110番通報し、歩道上の非接触事故であることを伝えました。

警察官現着後も老夫婦は住所氏名を名乗らず多少のすったもんだがあり、警察官は少し離れた場所で10分程度電話した後戻ってきて「これは自損事故です」と言いました。

警察官の主張は概ね次の通りです。

  • この歩道は自転車通行不可であり、自転車は原則通行できない(これは事実誤認で警察署もそれを認めました)。
  • 本来、自転車が歩行者を追い越す場合、速度を落とすか押して歩くことが必要で、それをしていないから転倒したことになるので、これは自損事故である。
  • 自損事故である以上、相手方は存在しないのであって、相手が住所氏名の開示を拒んでいれば警察としては強制的に聞き取ることはできない。

それまでの警察官の「ものの言い方」から、ここで押し問答するのも徒労に終わるだろうと推測し、また、予定も立て込んでいたためその場はそれで解散し、予定を終えた後、京都府警の広聴係に連絡して、当該警察官の職務執行が適正であったか再度の確認を求めました。

私が主張したのは概ね次の論点です。

1.自損事故の定義と決定権

自損事故であると断定することは、自転車側の過失が100%であると断定することと同義になります。
しかし、ご存じの通り、警察官は過失割合を判断する機関ではありません。
ですので、警察官が現場で「自損事故である」と断定することが法律上可能であるかどうかを知りたい。

2.因果関係の否定

今回の事故では、歩行者の老夫婦側も、夫人が左に寄ったために私の進路を阻み転倒したという因果関係自体は争っていませんでした。
この状況で、警察は因果関係に争いがないにも関わらずこれを「自損事故」=「因果関係が認められない事故」と判断しました。
この判断が妥当であったのかどうか確認を求めたい。

これについて後日、管轄警察署の役席者からご連絡を頂きました。
そこでの回答は次の通りです。

  • 今回の事故は明らかに自損事故と言える。
  • 警察官は、現場において職務上の権限としてそれを「自損事故」として処理できる。
  • 因果関係に争いがない場合でも警察官が「自損事故」としても差支えはない。

これは、京都府警本部にも確認を取ったとのことで、京都府警としての正式な見解と言えます。

私は、不思議に思っていることを伝えました。

現状、歩道上の事故であっても裁判例が一定数確認できる。
裁判例があるということは、過失を争っていることになるが、現場で自損事故扱いされると相手方の住所氏名を知ることができなくなる可能性があり、争う機会を奪われることになるのではないか?

それに対しても、結局回答は「過失は判断できないが自損事故とは判断できるので、相手方から強制的に住所氏名を聞き出すことはできない」ということした。

以上がその後の経緯です。

一般論としての当てはめ

実際、歩道を複数人が並んで歩いて円滑な通行を妨げている光景は日常見られます。
ですので、私と同じように非接触で転倒するという事例も毎日のように起こっているのではないかと推測します。

この事例で、因果関係が存在していてそれについて両者が認めているにも関わらず警察官が現場で「自転車が100%悪い」と決めつけられるのは、正直不思議であり若干違和感もあります。

けれど、そういうことなんだそうです。

これを歩行者側の視点で見れば、次のことが言えそうです。

  • 普通に歩いてさえいれば、悪意なく左右に動いた結果自転車がよけるために転倒しても、自分は全く悪くないと言っていい。
  • その時に、名前や電話番号を教えろと言われても「自損事故扱いになるのでその義務はない」と言い切れる。
  • それでも相手が食い下がる場合は、警察を呼んでこのブログを見せれば解決できる。

また、自転車側の視点でこの事故を見れば次の教訓が得られます。

  • 歩道上における歩行者対自転車の事故は、よく書かれている通り、原則自転車の過失が100%となる。
  • 歩道上で自転車走行中に歩行者と事故を起こした場合、おおよその場合、歩行者の動作にかかわらず自転車が圧倒的に不利になる。
  • 自転車は、車道を走っているほうが加害者になるリスクは少ない。

まとめ

今回、相手方が連絡先の交換を拒んだためにこう言った経験をしました。

自損事故とは相手方のいない事故のことであって、相手方が存在して因果関係に争いがない場合でも警察の職権で自損事故として処理できることは違和感が拭えません。その理由は、自損事故は「100%こちらの過失です」という結論になるからです。
相手方が因果関係を認めているんだから、過失割合を争う機会があるかもしれない。その場合裁判になる訳ですから相手方の住所氏名が必要になる。

けれど、警察が職権で自損事故と判断するとその機会を奪われてしまう。
とはいえ、そういうもんなんだと言われればそれまでです。

私も行政書士として警察署には車庫証明や古物商申請で頻繁にお世話になっているため「法令上の権限があるなら根拠条文を示してほしい」とまは言えませんでした(自分の職業は明かしていたため)。

今回の件で学んだ、と言うより再確認したことは「自転車は車道を走る方がいい」ということです。
そうは言っても、京都市内の大通りは路上駐車が常態化。膨らんで通り過ぎるのもある意味命がけです。最近自転車の車道走行が推奨されていますが、それならば路上駐車の排除をセットでやる必要はあると私は考えています。

そして、この事故の一番の教訓は何より「自転車は常に止まれる速度で走る」ことです。これについては私も日々を省みて行動を改めなければならないと感じました。
本稿をご覧頂きました皆さま、自転車の場合は安全運転を、歩行者の場合は他の通行主体に気を配った通行を励行してまいりましょう。

  • 令和5年12月13日から事業譲渡に関する取扱いが変更になりました
  • 今後、事業譲渡手続を行うことで、許可証を現在の名義人から新しい名義人に移すことが可能です。
  • 京都では、この事業譲渡の手続は事業譲渡効力発生前に、事前に旅館業の手続に着手しておく必要があります。

令和5年12月13日を境として、事業譲渡の取扱いが変わりました

 旅館業の許可を個人、或いは法人が保有している場合、許可を引き継ぐ場合には幾つかの制約があって手続を煩雑にしていました。
 旧来の流れを簡単におさらいしておきます。

個人が許可を持っていて法人に引継ぎたい場合

 この場合、例外なく法人で新規の許可申請を行い、許可を得た後に個人の許可を廃止するしか方法がありませんでした。
 京都市医療衛生センターでは「廃新(ハイシン)」と呼ばれていた手続です。

法人が許可を持っていて個人に引継ぎたい場合

 この場合も「廃新」による他には方法はありませんでした。

法人が許可を持っていていて別の法人に引継ぎたい場合

 この場合、合併や会社分割という会社法に基づく手続を利用することで、旅館業許可の承継承認申請を行い許可を得ることが可能でした(現在も継続)。
 しかし、事前に手続が必要なことや、会社法手続で公告が必要であったりすることからハードルは高めで弊所でも1件しか経験したことがありません。

個人・法人が持っている許可を別の個人・法人に事業譲渡する場合

 実は、事業譲渡については「旅館業の譲り受け」という形でも前からも存在していました。
 この場合、行政によっては添付書類の一部省略ができる所もあったようですが、京都においてはむしろ書類が増えることになり、実際の活用例は聞いたことがありませんでした。

新しい制度の施行

 しかし、不動産売買に伴う許可の移行については、実務においてニーズが高く、それを考慮したのか法令の改正が行われて、事業譲渡についても合併や会社分割と同様に、許可証を活かしたまま譲受人に譲り渡すことが認められるようになりました。

 実務においてこのインパクトは大きいものがあります。
 この令和5年だけでも弊所で4件の「廃新」を申請しましたが、これれは全て事業譲渡を使った承継承認申請で進められることになります。

おおよその情報

 まだ施行されたばかりで弊所でも申請事例は持っていませんが、京都市との話で確認したところ、実務で留意すべき点は以下の通りです。

  • この手続は、事業譲渡の効力発生前に申請する必要があります。
  • 近隣への再周知が必要です。
  • 施設の構造設備に変更がなければ、図面類の添付は省略できます。
  • 意見照会手続(いわゆる「学校照会」)は必要になります。
  • 消防法令適合通知書は再度取得する必要があります。
  • 審査期間は通常の申請に比べて営業日で7日ほど短縮できるようです。

この事業譲渡を使う場合に準備すべき情報と書類

 上記の留意点を踏まえた上で、事業譲渡を検討する際に必要となる情報は以下の通りです。
☆申請時の図面
→現況と異なる場合には申請に図面の添付が必要となります。このため、手続においては申請時の図面を元に現況が同じであるかどうかを確認しなければなりません。

☆申請時の定員と寝具・寝台の別
→寝具や寝台の数が申請時と現況で異なるのであれば、先に変更届出の提出を求められる可能性が高いです。寝具や寝台は、営業中の施設であればウェブサイトから簡単に確認できます。これは実際に確認されていますので、申請時にどういう割り振りで申請していたのか、その情報が必要になります。
具体的には、旅館業申請書第3面があればそれが根拠になります。

☆不動産売買の決済時期と事業とまでのフロー
→不動産売買では契約と決済では時期がずれることが多数です。不動産の移転を事業譲渡に含める必然性については議論の余地はあるかもしれませんが、含めて考えるのが自然ではないかと私は考えます。
ですので、事業譲渡をお考えの場合、このフローの中でどこに手続を落とし込んでいくのか、京都市と打合せをして進める必要があるでしょう。
不動産の登記完了後に、許可名義を移すための事業譲渡契約を別途締結するのも不自然とは言えませんが、この手法が通用するかどうかは事前に京都市へ確認しておく必要があります。

 以上、令和5年12月13日から新たに始まった事業譲渡による旅館業許可引継ぎのための手続を概観しました。
 最も大切なことは事業譲渡の効力発生日前に旅館業の手続を行うことです。順序を間違えれば廃新になってしまいますので、ここは間違えてはいけない所です。
 手続自体は「合併・会社分割を用いた承継手続」に含まれる形になっていますので、承継承認申請を経験していらっしゃる場合は同じ流れとなります。
 私の場合、申請日の翌日に手続完了したのですが、今は営業日で20日以上はかかっているそうです。

 便利な手続ですが周知や消防など、流れ自体は新規の申請と重なっています。
 これを使いこなすと廃新よりも簡単に許可を移すことが可能ですので、不動産売買によって旅館業施設を購入なさる方は是非一度お調べになると良いでしょう。

 ご参考になさってください。

先日、解体工事業登録を受けた業者さんについて解体工事業で建設業許可申請したのですが、それに関連した実務上のトピックを記載します。これは、どちらかと言うと資格者さん向けトピックです。
しかし、もしあなたが事業者さんでいらっしゃり、解体工事を請け負いたい場合にも有用な内容となるでしょう。

  • 解体工事業登録を実務経験8年で申請する場合、その実務経験に対する考え方は都道府県によって異なるようだ。
  • 資格者が実務経験を聞き取る場合、年金の被保険者記録照会回答票を取得するなどして裏取りしておくのが安心と感じる。
  • 解体工事業登録を申請した業者について建設業許可を申請した場合でも、解体工事業登録の実務経験と建設業許可の9号様式は突合まではされていない感触だ(京都府)。

解体工事業登録の実務経験証明書に関する諸問題

解体工事業登録について

建設業許可と言えば、ごくざっくりと以下のイメージが定着しているように感じます。

「建築一式工事については1,500万円、その他の工事については500万円未満の工事であれば許可不要。それ以上の工事を請け負うなら建設業許可が必要」

このざっくりとしたイメージは業者さんからよく耳にするもので、大意は外してないのですが、例外が二つあります。

一つは電気工事。電気工事業を営むためには建設業許可を持っているだけでは足りず、電気工事業者の登録をする必要があります。これも意外に知られておらず、戦後間もない時期に創業なさった会社でも知らずに建設業許可だけで営業していた、という話しがあったようななかったような…。

そして二つ目が解体工事です。解体工事業は、500万円未満の工事であっても請け負うためには解体工事業登録が必要になります。先に書いた一般的な「500万円未満であれば許可不要」には当てはまらず、60万円の工事であっても解体工事業登録がなければ仕事ができません。

解体工事業登録にはもう一つ見落としやすい要件があります。施工場所の都道府県毎に登録を受ける必要があります。
建設業許可ですと、原則的には知事免許であっても全国で工事を行うことができます。
しかし、この解体工事業登録は、京都府で受ければ京都府内の工事はできますが、大阪府の工事は請け負えません。大阪府で工事をするためには大阪府でも登録する必要があります。
このため、解体工事業登録では複数の都道府県に申請する場合が出てきます。

さて、解体工事業登録の申請手続ですが、書類自体は量も少なくて、京都でしたら通常3週間、早ければ2週間ほどの審査期間です。つまり、手続の難易度で言うと難しくはありません。
とはいえ、技術管理者の配置が必要なります。その要件は、ざっくりまとめると次のようになります。

  • 学歴+実務経験
  • 学歴+実務経験+講習
  • 資格
  • 資格+実務経験
  • 実務経験
  • 実務経験+講習

資格を持ってりゃ(5年経営していれば)建設業許可申請できる訳で、解体工事業登録をする場合、私の場合はほぼ実務経験での申請となって、その実務経験証明書をいかに作成するかがポイントとなります。

解体工事業の実務経験証明書

解体工事業登録の申請にあたり、技術管理者の実務経験必要年数は8年です。7年+講習の選択もありますが実際に使うケースはほぼないでしょう。

この8年の実務経験、誰に証明してもらえば良いでしょう。ここが、本日の論点となります。
実務経験を証明するのは、使用者が原則なります。勤めていた事業所の代表者さんですね。実例で考えましょう。

  • 個人経営のみやこ建設に10年勤めていた→みやこ建設代表者による証明
  • 個人経営のみやこ建設に4年勤めたら、その会社が法人なりして(株)みやこ建設になって6年勤めて退職した→個人経営のみやこ建設+(株)みやこ建設代表者による証明
  • みやこ建設(株)とやまと建設(株)にそれぞれ5年勤めた→みやこ建設(株)とやまと建設(株)代表者の証明

と言った具合です。合計8年間分の実務経験があれば大丈夫です。

さぁ、ここからが問題なのです。事実として、業務委託のような曖昧な形で建設業者とお付き合いしている一人親方が少なからずいらっしゃいます。
この時、その委託元は委託形態によっては使用者に該当せず、証明書をもらいづらい場合が実際に出てきます。

こんな時はどうすればいいのでしょうか。

はい。京都府の場合、自己証明でも申請は通ります(平成4年度の情報)。
つまり、自営で8年解体工事やってましたという体裁で実務経験を証明することができます。

これ、おかしいですよね。
本来、せめて解体工事業登録を受けていなければ、解体工事はできない訳です。
ところが、建設業の許可もない、解体工事業の登録も受けていない人が「私解体工事自営でやってました」という体裁で実務経験を証明できる。

行政の担当者さんに理由をお尋ねしましたが答えに窮されていました。当たり前ですよね。答えようがありません。

滋賀県でも自己証明が可能です。但し、滋賀県の場合は「登録し忘れて工事しちゃってました、ごめんなさい」という任意様式の『始末書』を添付する必要があります。

愛知県でも同じ方式で、自己証明で行けるけれど『顛末書』の添付が必要になります。

ところが、大阪府は違います。大阪府は登録時に実務経験証明者が解体工事業を営める資格を保有しているかどうかの確認が入ります。
平成22年からの実務経験を使う場合、当時の建設業許可の通知書などを提示する必要が出てきます。

解体工事業の実務経験をどうやって確認すべきか

大阪府は原則に準じた厳しい取扱いですが、自己証明でも認めてくれる都道府県もある。
こうした状況で、実務経験をどうやって確認すべきか、資格者に取っては悩ましい問題です。
というのも、解体工事業登録は、実際上建設業許可の要件を満たしていない場合に取得し、後々は建設業許可に切り替える場合が多いのです。

ケーススタディ

実際の事例で考えます。
☆10年間ずっと業務委託のような形で解体工事をしてきた。
☆過去、確定申告はしていなかった。
☆受注金額を大きくなってきて、令和2年分から確定申告しだして、委託元からの要請で許認可が必要になった。
☆とりあえず京都府で申請する。
☆以上の状況で、平成27年から令和4年までの8年間の実務経験で申請した。

こういう事例、実際少なからずあります。

この場合、年金の『被保険者記録照会回答票』を請求しても厚生年金への加入履歴は確認できません。業務委託のような形ですので、保険年金関係は全て自己責任のようです。

ここで「実務経験の自己証明でOKだから」と安易に自己証明で申請するとどうなるでしょう。

☆京都では問題なく通る。
☆大阪でも必要になると、大阪では自己証明が使えないため、原則申請できなくなる。
☆大阪で委託元の証明書を使用すると、書類の整合性が取れない。

さらに大きな懸念を抱えることになります。
令和2年から確定申告し出した訳ですから、令和6年で5年の経営経験を満たすことができます。
ここで「建設業許可に切り替えたい」と考えても、実務経験の要件を満たしていないと判断される可能性があるのです。
自己証明した8年間は、基本的に建設業許可申請において実務経験期間として認められません。つまり、自己証明で解体工事業登録申請した場合、建設業許可に切り替えるためには別途10年の実務経験が必要になる、ということです。そして、この10年については解体工事業が営める事業者からの証明が必要です。

自己証明で解体工事業登録をした場合、同じ実務経験の期間で「誰かに雇われていた」として実務経験を証明することは無理があります。
このため、自己証明で解体工事業登録した場合、引き続き実務経験で建設業許可を申請するには18年間以上の実務経験が必要になる計算となります。

また、経営経験にも影響が出ます。
令和2年から令和6年まで解体工事しかやってこなかったとしたら、解体工事業登録を取る前の期間は法令に違反して営業していたということで経営経験として認めてもらえません(土工工事などもやっていて、その契約書等があれば問題はない)。

解体工事業登録と建設業許可のための実務経験

みてきたように、解体工事業登録申請と建設業許可申請では実務経験証明書に要求される書類の精度が異なっています。

で、実務として一番気になるのが、建設業許可申請をする際に、解体工事業登録申請時の実務経験証明書と突合して確認されるのか、という点です。

私の経験では、以前京都府に申請した際はそこまで厳密な確認はなされていない印象でした。
一方、滋賀県は確認していると言う感触です。

ただし、京都府は(決算変更届出等も割とゆったりしたスタンスではありますが)、全体的に申請要件の確認は厳しくなっている感触を受けます。

以上をまとめてみます。

本稿のまとめ

  • 解体工事業登録を実務経験で行う場合、将来的に建設業許可の取得を考えるのであればそれを見越して実務経験を証明しておく必要がある。
  • 経営経験5年間に、解体工事業登録前の期間を含めるのであれば、その期間の経営経験確認書類は解体工事業の契約書は使えないことに留意する必要がある。

解体工事業登録は簡単にできますが、自己証明でやると後で困ってしまうことがあります。もちろん、証明は事実に基づき行うものですが、業務委託でやっている時など、誰が証明すべきか迷ってしまう事案も実際にはあります。
このあたり、行政書士が申請するのであれば、依頼者さんの今後を見越した上でしっかりと聞き取りを行い、適正な形を整えて申請して差し上げることが大切ではないかと考えます。

なお、一番望ましいのは資格を取得してもらうことです。
ですので、弊所では解体工事業登録をなさったお客様には解体工事施工技士試験の受験を積極的に薦めています。

ご参考になさってください。

先日、不動産購入の前段階調査の依頼がありました。
トリミングサロンを経営したいのだけれど、候補物件の用途地域が第一種低層住居専用地域になっている。そこで開業できるのかどうか、という調査依頼です。

これについて調べた結果を共有します。この論点には複数のポイントがありました。
以下、みていきましょう。

京都市において第一種動物取扱業は第一種低層住居専用地域で開業できるのか

【結論】
☆京都市において第一種低層住居専用地域でも第一種動物取扱業の登録を受けることはできるが、開業することは難しい。
☆開業することが難しい以上、第一種低層住居専用地域で登録申請をするのはお勧めできない。

以下、解説してきます。

トリミングサロン開業に必要な許可

トリミングサロン、つまりペットの美容室を開業するためには、第一種動物取扱業の登録が必要となります。
第一種動物取扱業は「社会性をもって一定以上の頻度又は取扱量で、事業者の営利を目的として動物の取扱いを行い、社会通念上、業として認められる行為」と定義されています。

さらに、動物をどう取り扱うかで業種区分がなされています。動物取扱業の対象となる業種は「販売」「保管」「貸出し」「訓練」「展示」「競りあっせん」「譲受飼養」の7種類となります。

今回依頼となった、ペットの美容室については「保管」に区分されます。ペットをしつける場合は「訓練」になるといった具合で、種類が増えると行政に支払う手数料が割高になっていく仕組みです。同一の場所で複数業種の登録を受けることができます。

都市計画法・建築基準法上の要件

さて、何かビジネスを始める際には、ビジネスそのものの許認可以外に「場所」について詳しく調べる必要が出てきます。
ある建物で事業をしようと考えた時、その場所でできるかどうかを調べる必要があります。

閑静な住宅街として発展してきた街にいきなりどでかいカラオケボックスが建つのは具合が悪い。或いは、工業専用地域として整備している場所に保育園が建つのも相応しいとは言えない。

都市計画法では区域について規定があり、建築基準法がそれを用いて区域毎に「建てられる」「建てられない」と言った区分けや要件を定めています。

トリミングサロンは建築基準法上どんな用途になるのか?

では、建築基準法上トリミングサロンはどういった用途になるのでしょうか。
建築基準法上の「建築物の主要用途一覧」にドンピシャリで該当するものはありませんが、大阪府箕面市が出している見解が参考になります。

○ペットの繁殖
○ペット訓練等の受付業務のみ
○ペット病院
○ペット美容院
○ペットホテル
○ペット用品の販売店
○ペットの対面販売店
令第130条の3第1項1号
(事務所)
令第130条の3第1項3号
(サービス業を営む店舗)
令第130条の3第1項第2号
(日用品の販売店舗)

出典:箕面市ホームページ ペット関連施設の取扱いについて(建築基準法第48 条に関する取扱い) 〔参考:「建築基準法及び同大阪府条例質疑応答集(改定6 版)」〕

この見解で考えると、ペット美容院は「サービス業を営む店舗」ということになりますね。
「畜舎」として考えていない所が要注意です。

京都市における建築基準法の当てはめ

さて、大阪府箕面市では一定の制限はあるものの認められはしている第一種低層住居専用地域(以下「一低層」と略します)でのトリミングサロン開業ですが、京都市の建築審査課からは認められないという見解が返ってきました。
美容室自体は認められているが、それは人が対象であって動物は対象にならないというのが京都市の見解です。

一方、最初に「京都動物愛護センター」に相談した際は「詳しくは建築審査課の担当になるが15㎡の制限で併用住宅なら行けるのでは」というコメントがありました。

つまり、同じ京都市でも見解が異なった訳です。
これを理解するために色々調べた訳ですが、最終的には建築審査課の見解に従わざるを得ないと結論しました。

この見解の齟齬は、建築基準法をどう読み取るかに起因するものと思われます。

建築基準法施行令第百三十条の三では、一低層に建築できる兼用住宅の用途を定めています。そこに美容院が書かれていますが、動物は対象にならないからペットのトリミングサロンは無理、というのが建築審査課の考えです。

一方、第百三十条の五では「第一種低層住居専用地域等内に建築してはならない附属建築物」について規定されています。
ここに「床面積の合計が十五平方メートルを超える畜舎」と書かれていることから、反対解釈として「15㎡を超えない畜舎は大丈夫」という見解が出てきたものと推察されます。
しかし、トリミングサロンは厳密には畜舎ではありませんし、この第百三十条の五に規定されているのは【附属建築物】についてであって、兼用住宅についてではありません。
ですので、ここで想定しているのは15㎡を超えない頑丈な犬小屋のようなものなのでしょう。

他都市の状況

先に見たように箕面市では、ペットに関する各種施設について区分けを行い整理して、一低層でも二低層でも15㎡以内等の制限付きで営業を認めています。
他にも同じ条件で認めている市町村の資料がインターネットで確認できました。

認めている所は「畜舎15㎡」の規定を拡大解釈・或いは類推適用のような形で当てはめることで認めているように見受けます。

開業の実際

では京都市において一低層でトリミングサロンはないでしょうか?
いえいえ、そんなことはありません。ざっと探しただけでも複数軒見つかります。

これは何故かと言いますと、京都動物愛護センターと建築審査課は別部署ですので、第一種動物取扱業登録申請において用途地域は審査事項にならないのです。
ですので、一低層であっても申請すれば登録はできることになります。

これが、実際に一低層でトリミングサロンが営業できている理由です。
登録できても、その建物が建築基準法違反であれば営業はできなくなる可能性があります。
ですので、これから許可を取る場合は一低層は避けることをお勧めします。

再度の検討

今回、京都動物愛護センターと建築審査課で見解が異なっていたため右往左往することになりました。何故そんなことになったのかと言えば、それはやはり「畜舎15㎡」に引っ張られ過ぎたのだと反省しています。

「15㎡以下の畜舎OK」は附属建築物に関する規定なので、兼用住宅部分についての適用はないはずです。それに、トリミングサロンの場所自体、そもそも畜舎とは言えません。

一低層でペット関係のお商売を認めている自治体は便宜この15㎡に乗っかってるだけでなのでしょう。

畜舎とは、単純に動物の家な訳ですから、販売などの営業行為をする「店舗」とは区分されるべきはずです。けれど、法律にたまたま「畜舎15㎡」があるから何となくそれを使っているのだと私には思えます。

まとめ

インターネットでも随分検索しましたが、一低層でも「できる」「できない」「自治体による」など、答えは様々でした。
正解は「自治体による」ということになりますが、その「自治体」は、第一種動物取扱業を所管する部署と建築を所管する部署の2箇所になります。どちらもが「OK」と言って始めて安心して営業できるという流れになります。その点を忘れず確認しておかれると良いでしょう。

ご参考になさってください。
※京都動物愛護センターさんからは「建築については建築審査課に確認してください」と伝えられており、用途地域が審査対象外である旨の説明も受けています。本稿は「誰が間違えていた」という話しではなく、複数部署での確認が大切であることを伝えるために出稿していることをご理解ください。

長い間使い続けたLENOVO社のMiix720、バッテリーがついに寿命となり交換しました。
そのプロセスを共有します。
本稿は、インターネットで情報を検索してもドンピシャリのものが見当たらなかったための情報共有ですが、一気に作業したため写真がありません。
外国の方がSSDを換装した動画を流していらっしゃいますので、それと合わせて進めて頂くと確実に作業できると思います。とはいえ、自己責任でお願い致しますね。

  • プロセスは簡単です。
  • 準備物はプラスドライバーのみです。
  • 問題は、バッテリーを手に入れられるかでしょう。

バッテリーの入手

Miix720、それなりに古い機種なので、バッテリーの入手もちょっと慎重になりますね。
パソコンのバッテリーサイトは検索すると数多く出てくるのですが、私が探した限り「特定商取引法に基づく表記」が記載されていない。

検索してみると、やはり隣国の皆さんが運営していらっしゃるサイトが多いようです。カード情報を入力してモノが届かなかったり、中古品が送られてきては面倒です。
ですので私はamazonの商品ページから質問を英語で送り、レスポンスを見て判断しました。
楽天でも同様の質問をしましたが、返答自体ありませんでした。

バッテリーの品番

ところで、Miix720のバッテリー品番は「L15L4PC3」です。
しかし、現在流通しているのは「L15M4PC3」です。この点について確認した所、互換性があるということで、その答えを信じて購入し、無事通電しております。
とりはずしたバッテリーの画像です。
L15L4PC3

バッテリーの交換作業

さて、バッテリーが到着するといよいよバッテリーの交換作業です。
一気に作業したので、内部を撮った写真がありません。すみません。

1.ビスを外して内部を開く

Miix720
スタンド用のベゼルを一杯まで広げ、下の写真に見えている6つのビスを外せばディスプレイ部と分離させることができます。小さなプラスドライバーで作業できます。
当然キツく閉じられていますので、ゆっくり慎重に広げていく必要があります。「パカッ」と2つに分かれる訳ですが、ディスプレイをつなぐ薄いケーブル?があるため、勢いよく開けるとそれが損傷する可能性もあります。慎重に行いましょう。

2.バッテリーを外す

バッテリーは両面テープのようなもので貼り付けられており、これも慎重に「ベリベリ」とめくります。バッテリーのコネクタ部分に絶縁テープが貼り付けてありますが、私は完全に剥がさず半分ほど剥がして作業しました。

3.新しいバッテリーを取り付ける

同じ位置にバッテリーを取り付けます。コネクタは「差し込む」というよりも、差し込み位置の上に乗せて、押して「カチッ」と取り付けるようです。差し込もうと何度もやりましたが上手くいかない。
上に乗せて親指でゆっくり押すと難なく「カチッ」とはまりました。半分めくっていた絶縁シールを戻して、ディスプレーと裏面、2つのパーツをパチッと元の状態に戻します。

4.ビスをとめて元通り

パチッと元の状態に戻したつもりでも、浮いている部分がありました。念を入れてしっかりキュッキュッと周囲を押さえて確認するのが安心です。
その後、6本のビスをとめて元通り。

交換してみて

すぐに電源を入れると残量は60%程度、相変わらずバッテリーの減りが早い機種ではありますが、フル充電してまぁまぁ普通に使えてます。バッテリーの製造年月日は確認せずに閉じてしまいました…。

私はPhotoshopCS6を使っており、ウィドウズ11では動かすことができないためWindows10のノートパソコンがどうしても必要になってきます。
バッテリー交換はギャンブルで、粗悪品を掴まされるとお金を捨てる羽目になってしまいますね。ですので、苦笑しつつも諦められる程度の金額のものを購入しています。

これは購入した時からなのですが、Miix720は電源入ってない時の電池消耗が異常な早さで、1日で10%程度は減っていきます。ですので出かける前の充電が必須でやっかいではあります。
当たり前ですがBiosを最新版にしても変わらなかったですね。

買い替えようか迷ったのですが、もはやWindows10のコンピュータ自体がなかなか見当たらない。
しばらくはこれで様子を見てみます。

各種申請において、添付書類に「成年後見登記がされていないことの証明書」が求められる場合があります。
この通称『ないこと証明』は、申請人が書いた住所・本籍(国籍)及び氏名がそのまま証明に使われますね。ですので、窓口ではほぼ毎回と言っていいほど「間違いありませんね」という念押しが入ります。

今回、次のような事案に遭遇しました。

  • 法人を届出人として手続する。
  • 履歴事項全部証明書にある代表取締役の氏名に「原」の文字が使われている。
  • 身分証明書を取り寄せると「日」の上に「ちょん」のない旧字体の「原」だった。
  • 役所(某京都市)に確認すると、どちらかに統一して記載せよ、とのことだった。

この事案で法務局戸籍課に、ないこと証明で検索する方法を問い合わせましたのでその結果を共有します。

原の字の説明

結論

『ないこと証明』の請求では、申請書に書かれた文字情報だけで検索照合がなされ、旧字体・正字体と言った文字の特性は考慮されない。
すなわち、旧字体で申請すれば、正字体で後見登記がなされているかどうかの検索照合まではなされない。

問題点

  • 履歴事項全部証明書にある代表取締役の氏名に「原」の文字が使われている。
  • 身分証明書を取り寄せると「日」の上に「ちょん」のない旧字体の「原」だった。

この場合、戸籍で使われている旧字体の「原-ちょんなし」で『ないこと証明』を請求するのが定石ですよね。
しかし私は、役所の担当者が「登記記録の文字(「原」)と身分証明書の文字が違うから、身分証明書記載の「ちょんなしの原」で『ないこと証明』を取っても登記記録と同一人物の証明になっているとは言えないよね」と言い出すことを懸念しました。
こんなくだらないことを懸念するのは、過去にその部署とは不毛なやりとりが幾度となくあったからです。

ですので、事前に担当部署に確認した訳ですが、返ってきた返答は2点。一つめ目はどちらかの文字に申請書を統一すること。これは当たり前ですので分かります。
次がいかにもこの部署らしいご回答。曰く「身分証明書と履歴事項全部証明の「原」が異なることについて一筆書いてね」と。

いやいやいや。
旧字・正字として法務省の戸籍統一文字情報に記載されている、言うなれば「顕著な事実」を、敢えてなんで届出人に疎明させる必要があるねん、と私は思いました。

「原」の旧字体

戸籍が「原-ちょんなし」で記載されている訳ですから、印鑑証明もそれで記載されているはず(100%そうだとは言い切れないが今回は本人に確認済)。
それを法務局の法人登記部門が「原」で記載している。これは、旧字・正字の関係性が明かだからに他なりません。

とはいえ、これは実務屋にしては興味深い論点でもあります。
つまり、戸籍が旧字体で記載されている場合、その旧字体で『ないこと証明』を申請すれば、正字体の住所・本籍・氏名・生年月日でも検索照合してくれるのか、というお話しです。

『ないこと証明』は、申請人が記載した情報をデータベースで検索して照合し、後見登記がなされていないことを証明してくれます。
この時、旧字の「原-ちょんなし」で申請しても、旧字以外に正字も含めて検索照合してくれるのであれば、役所に「法務局に確認済」と言えば事足りる…私はそう考えました。

そこで、法務局の戸籍課に確認してみた処、返ってきた答えは「旧字で申請がなされれば、正字で確認することはしない」ということでした。

これは、実務に携わる人間にとっては有益な情報と思えます。
私は、正字・旧字が統一文字情報で紐付いているのであれば、検索漏れを防ぐという観点から両方の字体で検索している可能性もあり得ると考えて確認しました。しかし結果はハズレでした。

実務としての解決策

法務局に確認をお願いして折り返しの電話を待つ間、自転車で走りながら私は「ハッ」と思いつきました。

そうやん。両方の字体で『ないこと』証明書請求すればいいだけの話しやん。
これだったら某京都市さんも文句のつけようないでしょう。

法務局から「申請の文字種でしか検索照合しない」という折り返しのご連絡を頂いた際にこの「両方の文字で請求しますわ」という案をお話しすると「そういう方もいらっしゃいますね」と仰ってました。やっぱり同じような論点を懸念している方、いらっしゃるんですね。

まとめ

今回は、法人が届出人であり、履歴事項全部証明書記載の情報が基本となる。
ですので、書類には登記記録通り書いていくのがセオリーでしょう。
けれど、身分証明書の文字が違った。そこが引っかかりになって法務局まで問い合わせるという結果になりました。

システムがどうやって動くか、というのは全国共通と思いますし、旧字体でお悩みになった際は、正字体・旧字体の2通で証明書請求しておくのが一番安心かもしれませんね。

ご参考になさってください。

 特別管理産廃の申請をするにあたり調べたことを備忘録として共有します。

産廃マニフェスト

産業廃棄物の種類

 本稿では、実際の流れに即して記述していきます。

 まず、産廃収集運搬の許可申請では、収集運搬する産業廃棄物の種類を明記することになります。

 ですので、「何を運ぶのか」という事は、ご依頼を受ける際、最初に確認する項目となります。
それによって普通産廃か特別管理産業廃棄物なのかが別れるケースもあるでしょう(私は経験したことはありませんが)。

 そしてこの時、運ぶ廃棄物の種類をどこまで記載するかについて検討が必要となるケースがあります。

 例えば、今までのお仕事で蛍光灯なんて運んだことがない、というお客様がいらっしゃったとします。

 けれど、事業が拡大していけばそういう依頼が入る可能性はゼロじゃないかもしれない。
その時「水銀使用製品産業廃棄物」を後で追加すればそれだけで2ヶ月と71,000円がかかる。

 そう考えると、最初から入れておこうと考えたくなるものでしょう。何故なら、新規申請では81,000円の証紙で何種類でも登録できる訳ですから。

 そんなこんなで、弊所の産廃申請では、将来を見越し、いわゆる「モリモリ」で種類を記載することもあります。

 運搬する品目によっては運搬容器が必要になり、それは写真で撮って「準備できてるよ」と示すことになります。

 とは言え、石綿含有産業廃棄物の収集運搬はホームセンターで売ってるフレコンバッグで大丈夫ですし、液状の廃棄物はドラム缶で運べます(廃酸・廃アルカリはケミカルドラム缶を載せています)。運搬容器の準備はそこまで難しいことではありません。

特別管理産業廃棄物の種類

 さて、今回、以前に新規で講習を受けられた時から4年9ヶ月が過ぎたということや、その他の事情もあって特別管理産業廃棄物の収集運搬を申請することになりました。

 事務所のある京都府は割とオーソドックスな書式で、都道府県の指定様式みたいなのがあまりありません。

 ところが、某県の書式で「金属等を含む特定有害産業廃棄物取扱一覧表」というのが出てきました。

 弊所では普通産廃の建設系廃棄物8種を中心に申請してきたので「???」となり、講習会テキストの資料編を引っ張り出す流れとなりました。

 そうなんです。産廃の許可を取るために必要な講習、私も受けてるんです、一応。

 そこで資料集を読んで初めて知ったのですが、特別管理産業廃棄物って、排出源となる業種や施設によって細かく分類されていて「汚泥」なんて3種類記載されているんです。

「廃油」にしても、2種類ある。今まで特別管理産業廃棄物なんて関わらなかったから「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令」第2条の4なんて見もしなかった。

 色々あるんですね~。産廃って奥が深い。勉強になります。

行政書士と許可業種の実務

 行政書士の仕事って、許可を取るまでがお仕事になりますし、取ってからの実務って関わることが少ないので流れが見えない。書士が手続きをする際指針となるのは行政庁の「手引」になるんですが、手引には許可取得後の実際の仕事についてなんて書いてありません。

 だからこそ、書士は実際の業務ついて学び、それを理解した上で手続きを進める必要がある。講習会の分厚いテキストを調べながら改めてそれを感じました。

 にしても産廃申請の審査期間は長い!自分の感覚ですと、一番チャッチャと処理してくださるのは滋賀県さんでしょうか。冗談も通じますし、滋賀県の窓口は郵送せず無駄に足を運んでます。35分で行けるんで山科警察行くよりも早く着くんですよ。
 でも、ご時世もありますので、変更届はできるだけ郵送申請でいきましょうね。

ブログを閲覧頂いている皆さま、ご無沙汰しております。
実は、昨年ホームページ開設10周年でした。最初のブログを書いたのが2011年3月3日でしたので、今年でホームページを開設して11年目となります。
何故こんなことを書くかと言いますと、お客様のホームページを更新するのに自分のこのウェブを実験台に色々していた所、最初の投稿を見ることとなり「おっっ」と衝撃を受けた次第です。
最初の頃は当然依頼も少なかったし、こまめにブログ書いておりました。

京都水族館について書いて「京都水族館」で検索したら本家のサイトより上に表示されてしまって、タイトル設定に苦慮したこと…あったなぁ。
懐かしい…。忙しくなったら年パス買って水族館で仕事してたことあったなぁ。
「水族館で仕事してはる~」と言われて一人で悦に入ってたなぁ…。

…ここ数年はブログの更新も停滞気味でしたが、心機一転、この夏からはブログを復活させようと心を新たにしております。

さて、本日は、弊所で最近ご依頼を頂くことが多い業務についてご紹介致します。

最近のご相談の傾向として、交通事故に関する相談は漸減しております。
これは、交通事故件数自体が減少傾向にあるのが主たる要因ですが、それ以外にも、実は要因があります。

行政書士は、割に幅広い業務を行います。在留関係のお仕事から内容証明、もちろん手続に関すること。様々なジャンルに行政書士は関わっています。
その中で、例えばある業種のご依頼が入ると、その業種のご依頼が立て続けに入る、と言う傾向があります。

不思議なんですが、あるんです。
これは、きっと行政書士だけにかかわらず税理士さんや弁護士さんにもあるのではないでしょうか。
例えば、飲食店さんが顧問先になれば、飲食業界からの引き合いが続く、と言った現象です(税理士さんの事例)。あるいは、男女問題に関する依頼が入れば、それに関する相談が続くと言った具合です(弁護士さんの事例)。

こういう「立て続けに」というのは、割にありまして、四半期の仕事の方向性がそれで大きく左右される、ということがあります。

弊所の場合、依頼内容だけでなく、地域についても続くことがあります。
京都市以南からご依頼があれば、その地域でのご依頼が続くといったケースです。

さて、最近弊所でご依頼が増えているのが古物商に関する申請業務です。
これ、ホームページには載せていなくて、紹介でのご依頼なんですが、昨年から途切れることなく続いております。

原因としては、物価高で中古品の売買に関する需要が増えていることが考えられるのでしょうか…そのあたり、詳しくは分かりません。

古物商の申請は、書類のボリュームとしては多くはないのですが、申請先が警察署、というのがどことなく「おっくう」になってしまう要因の一つかもしれません。
一度で申請を受け付けてもらうにはそれなりの準備とお商売に対する理解が必要で、そういった点からご依頼を頂いております。

折角ですから広告用のページを作ろうかと6月くらいから準備を始めたんですが、なかなか進まない。
最近の検索エンジン対策って、パソコン用とスマホ用に別々に画像を用意する必要があり、またコードをシンプルにしなければならなくて、けっこう面倒なんです。

そういえば、もういつのことか忘れましたが「人探し」に関するご相談が入って、真剣に「ナイトスクープ」をお勧めしたことがありました。
「ハッカーを特定せよ」とか「詐欺の犯人を捕まえて」とか、印象深いご相談は減りつつありますね。

久々のブログにつき、あまり意味のないお話しを長々としてしまいました。
しばらくは趣味の話しなども交えつつ、ブログを書くためのリハビリを進めてまいります。

これに懲りずどうぞお付き合いくださいませ。

本稿では標題の通り、Motorola社製のスマートフォンから画像をパソコンへコピーする方法をご案内致します。

【何故これを共有するか】

  • 意外に難しかったから。
  • Googleフォトでクラウド上の画像を削除するとデバイスの画像も自動で削除されてしまう。よって、自動で同期せずに気に入ったものだけをアップロードする、という無駄かつ不毛なやり方に変更しようと考えた。
  • 分かりやすい解説がなかった。

私の端末はG Proですので、少なくとも同機種であればこれは実現できるはずです。

1.ドライバをダウンロードする

下記のリンクを開き、ドライバをインストールします。ダウンロードするとワンクリックでインストール可能です。このドライバは必須のようです。

https://motorola-global-portal.custhelp.com/app/answers/prod_answer_detail/a_id/88481/

モトローラのドライバダウンロードサイト

ご自身のパソコンが32ビットか64ビットかご不安な場合、末尾に判別方法を記載しております。

2.念のため再起動する。

ここは手間を惜しまず一度再起動しておきましょう。

3.パソコンとスマホを接続する。

私は附属のケーブルで接続しました。接続しただけでは充電開始するのみで、何も起こりませんのでスマホのロックを解除します。
すると、接続した端末にどのような動作をするか選択を促す小窓が右下に出てきます。
それは無視でかまいません。

4.スマホ側を設定する。

次の手順で作業します。

1.設定画面を開きます。

設定画面を開くと、設定項目を検索できる枠がありますので、そこに「usb」と打ち込みます。
GProのUSB設定画面1
「USBの使用目的」という設定項目が出てきますのでタップします。

2.設定項目の中の「PTP」を選択します。

GProのUSB設定画面2
すると、自動で端末の画像を収集してパソコンの画面に表示してくれます。
GProとパソコンを接続した画面
ここまでくれば後は簡単。必要な画像をダウンロードすれば終了です。
この作業のやっかいな所は、パソコンが端末の画像を収集するのにけっこうな時間がかかることでしょうか。私の場合、2分ほどかかりました。

グーグルフォトが有料になって、何でもかんでもアップロードして放置しておくと容量がどんどん減っていきますね。私は100GBを使っていますが、ファイルサーバーとして85GB使っているので、あっと言う間に容量が足りなくなりそうです。
200GBに増やしても大して金額は変わりませんが、なんでもグーグルの言いなりになるのがちょっと気にくわなくて。
それでフォトの同期をオフにして、パソコンに移したものだけを手動で同期するようにしました。
これだと、端末で撮ったデータはフォトから見れるし、臨機に使うことができそうです。
意味があるのかないのか、正直よく分かりませんが(笑)、折角やり方見つけたので共有致します。

最後に、ウィンドウズのバージョン確認方法をご紹介しておきます。

1.左下の「ここに入力して検索」という枠に「設定」と入力します。
そうすると、下図のように展開されますので、設定をクリックします。
設定画面の開き方1

2.出てきた画面のシステムをクリックします。
設定画面の開き方2

3.遷移した画面の左下「詳細情報」をクリックし、赤枠で囲んだあたりをご確認ください。
32ビットと64ビットの判別

以上が本稿でのご案内となります。
アンドロイド2.2の頃って、USBケーブルつなぐだけでドライブとして認識されていたと記憶していますが、今はドライバ入れないと認識しないとは…。もうちょっと便利に使えたら嬉しいですね。

本稿では、次のようなトラブルに対してシューティングを行う方法について共有します。

Outlookでアカウントが作れない

  • エラーが出て前に進めない。
  • 詳細設定の画面にたどり着けない。
  • よく分からないがアカウントが設定できない。
  • 自分で手動で設定を行いたいができない。

これらの問題に対して次の解決方法が分かります。

この方法で、8割は解決できます。

  • Outlookがインストールされていることが前提です。
  • 手順通りに進めて、サーバー設定は各自ご確認ください。

プロローグ(読み飛ばせる部分)

 お客様から、メールアカウントが設定できないのでやってくれとご連絡がありましたが、ウチは行政書士事務所です。
 とはいえ、これもサービスの一環、馳せ参じて無事設定を行いました。

 Windowsはどんどん便利になっているようで、その便利さがかえって不便に転じてしまうこともありますね。特にこのアカウント設定は、詳細設定にたどり着けず苦戦するケースがありますが、インターネット上にはなかなか最適解が掲載されていません。

 ということで、弊所がその最適解をご提供しようというのが本稿の趣旨になります。

作業の流れ

 作業の流れはとても簡単です。
1.コントロールパネルを呼び出します。
2.ユーザーアカウントに入ります。
3.メール用のアカウント設定箇所があり、そこに入ります。
4.プロファイルがなければ新規作成します。
5.手動設定を選択します。
6.「POPまたはIMAP」を選択します。
7.見慣れが画面が出てきますので、そこでアカウントを詳細に設定していきます。

1.コントロールパネルを呼び出します

コントロールパネルの呼び出し方について説明しています。 上図のように、左下の検索バーに「コントロールパネル」と打ち込みましょう。
 すると右上に「コントロールパネル」という名のアプリ名が表示されますのでクリックします。

2.ユーザーアカウントに入ります。

ユーザーアカウントの呼び出し方について説明しています。 表示されているメニュー群の中から、上図のように「ユーザーアカウント」を選択してクリックします。

3.メール用のアカウント設定箇所があり、そこに入ります。

アウトルックの新規アカウント作成メニューを呼び出す方法について解説しています。 お持ちのパソコンにOutlookが入っていれば、上図のようにOutlookのアカウント設定項目が表示されますので、それを選択してクリックします。

4.プロファイルがなければ新規作成します。

アウトルックのプロファイル作成画面について説明しています。 まだアカウントを設定していない場合、プロファイルが作成されていませんので、任意の名前でプロファイルを追加します。日本語でできるのかもしれませんが、ここは半角英数字を使うのが無難でしょう。
 私はThunderbirdを使っておりますので、上図のようにOutlookのプロファイルは何も存在していません。ですので、まず「追加」をクリックして小さな「プロファイルの追加」ボックスを出して、プロファイル名を入力し「OK」をクリックすると、自動的に次の画面に移ります。

5.手動設定を選択します。

アウトルックのアカウントの設定方法について解説しています。 この画面では、手動設定を選択してさっさと次に進みます。

6.「POPまたはIMAP」を選択します。

 この部分のスクリーンショットは割愛していますが「POPまたはIMAP」という選択項目が中段にあるはずですので、それを選択して次に進みます。

7.設定画面

アウトルックの新規アカウント設定画面を開いています。 ここで見慣れた設定画面が出てきました。アドレスやサーバーなど、一通りの設定をすると右下の「詳細設定」ボタンがアクティブになってクリックできるようになります。
そこまで進むと懐かしの「Outlook Express」から大して変わっていない?詳細項目が設定できます。

まとめます

 いかがでしょう?
 おそらく「これこれ!」という画面にたどり着かれたのではないでしょうか。

 この裏ルートは、出稿にあたって自分でも探してみたのですが、検索にはヒットしませんでした。アウトルックのアカウント設定が上手くいかないケースでは、詳細設定さえ開ければできるのに!!!というケースが多いと推測します。
 ただ、何故かWindows10はそこまでたどり着かせてくれない。もうちょっとユーザーを信用してくれてもいいのにな、と思ってしまいますね。

今ウェブをリニューアル中でシェアボタンまだつけてないのですが、有用な記事と思いますので「助かったよ」という皆様は是非シェアお願い致します(思いのほか文字数が少なくなったので検索にかかるのも苦労しそうです)。

交通事故で使える保険について教えてください。

交通事故に遭って怪我をしました。はじめて聞く用語ばかりで困惑しています。使える保険について教えてください。

答え

自賠責保険・任意保険・労災保険が主なものです。

それぞれの保険制度の仕組みを知り、状況に応じた対応を考えていきましょう。

 交通事故に遭った際、被害を受けた方が関係することになる保険は、大きく分けて自賠責保険・任意保険・労災保険の三つです。以下、順に見ていきましょう。

自賠責保険

 自賠責保険というのは、法律によって加入が義務づけられている保険です。正式には『自動車損害賠償責任保険』と言います。また、JAなどの協同組合が行う場合は『自動車損害賠償責任共済』と言います。通常は、この両者をひとくくりにして「自賠責保険」と総称しています。

 自賠責保険の根拠法は、自動車損害賠償保障法です。同法第5条では、次のように定められています。

第五条  自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

 つまり、法律が予定している世界では、運転される自動車にはすべて自賠責保険がかけられていることになります。

 ちなみに、自賠責保険は、新車であれば購入時、その後は車検の際に保険料を納入することになります。したがって、自賠責保険がかけられていない自動車とは、車検切れで運転している自動車のことになります。

自賠責保険の役割

 自賠責保険は、被害者保護のために国が加入を強制した保険です。ですので、対自動車(或いはバイク)の事故に遭った被害者の方は、第一次的には、自賠責保険で救済されます。
 しかし、無制限に救済される訳ではなく、以下の特徴があります。

  • 物的損害は、原則として補償の対象外です。
  • 傷害による損害は、被害者1名につき120万円が限度です。
  • 死亡による損害は、被害者1名につき3,000万円が限度です。
  • 後遺障害として認定された場合、被害者1名につき4,000万円~75万円を上限として逸失利益と慰謝料が支払われます。その算出は、お怪我の部位や程度によります。

 いずれの場合も、上限額が保障される訳ではなく、実損額や逸失利益を算出し、その合計が上限に達するまでは、自賠責保険で保障を受けることができる、という理屈です。

 では、上限を超える場合はどうなるのでしょうか。たとえば、32歳で独立開業した医師が、開業後3年間、常に年収3,000万円程度あった状態で事故に遭い死亡した場合などの損害額は、到底自賠責保険の保障額(3,000万円)で収まりません。

 また、就労していない大学生であっても、お父さんの高級車を運転中に後ろから追突されて車が大破した場合も、物損は自賠責から支払われることはありません。

 このような場合に備えて加入しておくのが、任意保険です。□□損保さんと言った、損害保険会社が売り出している自動車保険ですね。

自動車保険(任意保険)

 自動車保険は、実務では「任意保険」と呼ばれています。それは自賠責保険が強制保険であることを対比した呼称であると言えます。強制保険である自賠責保険に対し、自動車保険は加入が任意のため、全国的にも加入率は8割弱になっています。

 任意保険には、対人賠償保険において自賠責保険の上限である3,000万円以上の部分をカバーできる他、自賠責では保障されない対物賠償保険があります。
 この保険によって、被害者は車や衣服の損害について補償を受けることができます。

 また、人身傷害保険や、搭乗者傷害保険、車両保険などを組み合わせて保険契約を行うことが一般的です。

 人損部分について、任意保険で担保される範囲は自賠責保険とほぼ同じです。ただし、将来の介護料は、自賠責保険に支払規定はありませんが、任意保険では支払われます。

労災保険

 交通事故で、意外に知られていないのが労災保険が使えるということです。業務中に遭った事故はもちろんのこと、通勤中であっても労災の適用があります。

 労災というと「事業主が…」とおっしゃるケースが少なくありません。

 しかし、労災の使用は事業主が決めることではありません。労災を適用するには事業主の協力があった方が良いことは事実です。しかし、仮に事業主が押印を拒んだとしても労災自体の届出は可能です(事業主が拒んで労災の申請ができなければ、労災の制度自体が機能しなくなってしまいます)。

 しかし、会社で働く以上、事業主の理解と協力を得て手続を進めることは、信頼関係を維持する点からも重要でしょう。まずは、事業主に相談なされることが大切です。

 労災に認定されると、治療費は窓口負担もなくなり、休業損害についても特別支給金制度があります。特別支給金が支給されると、休業損害は最高で12割の給付を受けることができますので、少しばかりお得な制度です。

 労災の場合、多くは自賠責保険も使えることになりますので、治療費をどちらから先行して支払うか、という問題があります。
 この場合、どちらを先に使うかは被害者の判断になりますが、過失割合や相手方がかけている保険によって、どちらを先行させるのか検討が必要になります。

健康保険

 こと治療に限っていうならば、健康保険も重要です。
 交通事故でお怪我をした際、最も大切なことはすぐに通院することです。この時、病院側にとっては「治療費を支払ってもらえるか」ということは非常に大切になります。
 ですので、治療費はどうするのか、ということはすぐに判断しなければなりません。

 選択肢となるのは「自由診療」「健保適用」「労災適用」の三種類です。

 過失割合が大きい場合は、自由診療よりも健保を使う方が賢明な場合もあります。しかし、医療機関によっては健保を嫌がる場合もありますので、事故の状況を話して理解を得るなどの努力も必要となるでしょう。

保険を理解し賢明な選択を

 交通事故に遭ったとき、保険を理解することは非常に大切です。たとえば、自動車を二台保有している時、どちらかの自動車保険に弁護士費用特約を付けていれば、もう一方の自動車で事故に遭った時でもその特約を使うことができます。

 私は、この事例で何度も「弁護士費用特約はない」と思い込んでいらっしゃった被害者さんを、弁特を使って解決まで支援してきました(もちろん弁護士を紹介しており、弁護士法違反になることはしてません)。

 その他、人身傷害保険や無保険者傷害保険など、任意保険には様々な種類があります。
 また、自賠責か健康保険か、どちらを使えばいいかということは、過失割合はお怪我の程度によって判断すべきです。それについても、それぞれの保険に対する理解が欠かせません。

 当事務所では、このようなご相談についても無料相談でアドバイスを差し上げておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

 交通事故に関わる保険としては、自賠責保険・任意保険・労災保険と、治療のための健康保険が考えられる。
 それぞれの特性を理解し、事故状況・お怪我の程度や相手方の保険加入の有無によって、それぞれの局面で適切な選択を行っていくことが大切である

交通事故で医師が健康保険治療を嫌うのは何故?

交通事故に遭い、整形外科に行きましたが「交通事故で健康保険は使えない」と言われました。これは本当なのでしょうか?

答え

健康保険は使えますが、医師の理解が必要です。

医師が使いたがらない理由、そして、交通事故解決までを考慮した検討が必要です。

 医療機関が交通事故で健康保険を使いたがらない最大の理由は「煩雑な事務に見合う報酬が請求できない」というものでしょう。

 交通事故で保険治療を行わない場合、自由診療となり、医師は自由に診療単価を決めることができます(もちろん常識的な範囲においてですが)。このことから「自由診療は儲かるから健康保険は嫌がられる」と言われることがあります。しかし、これは、うがった見方であり、交通事故治療における医療機関の事務処理の煩雑さを見落としています。

 交通事故は、被害者の損害、心情的な要素も絡む、通常診療とは異なった種類のものです。毎月保険会社へ診断書を送らなければなりませんし、問い合わせにも対応しなければなりません。完治を目指して治療しますが、自覚症状の訴えはなかなか終わらず、治療費打ち切り・症状固定など、保険分野の兼ね合いも考えた治療を行う必要性が出てきます。

 症状固定として治療を一旦打ち切れば、数ヶ月後に「医療照会」として、症状の推移を詳細に記載しなければならない書面が送られてくることも少なくありません。

 このような事情から、医療機関が交通事故治療の本来的なあり方として、保険を使わず診療することを望むのはむしろ当然と言えます。

健康保険適用のお願いを検討するケース

 とはいえ、事故状況等によっては、健康保険適用を考えざるを得ないケースが出てきます。その代表的な例をいくつかご紹介しておきましょう。

加害者が特定できない場合

 事故を起こされた相手方が特定できない場合、つまり、ひき逃げの場合は、そもそも自賠責保険が使えないことから、健康保険を使わざるを得ません。

加害者が任意保険に未加入の場合

 加害者が任意保険に未加入で、他に損害賠償できるあてがない場合、自賠責の120万円から通院慰謝料など他の項目で求償を受けるためには治療費を抑える必要が出てきます。こういったケースでは、健保の適用を考えます。

被害者の過失が大きい場合

 被害者にも落ち度があり、被害者の過失割合が大きくなる場合は、示談後、最終的に被害者が受け取ることのできる賠償額を鑑み、健康保険の適用を考えます。

健康保険を使う上での大原則

 交通事故で健康保険を使うためには、保険者(健康保険の管轄先)に対し「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。
 しかし、実はそれ以上に大切なことがあります。それは、医師の理解をしっかりと得ておくことです。

 交通事故の治療は、長ければ半年以上かかります。大きなお怪我は1年を越えます。その間、医師は、1点10円の単価で保険会社との煩雑な連絡等を引き受けてくださることになります。さらに、自覚症状がなくならない場合は、後遺障害診断書を作成し、医療照会にも対応して頂くことになります。

 ただでさえ多忙な医師に、これだけの負担をお願いすることになる訳ですので、「健保も認められるはずだ」というスタンスではなく、使わざるを得ない旨をお話しし、理解を得ておくようにしたいものです。

被害者側から見た健康保険適用のメリット・デメリット

 実際に健康保険を使うかどうかを決めるには、そのメリットとデメリットを知っておくことが大切です。以下、検討しましょう。

メリット

□ 治療費が安くなる

 被害者側から考えた場合、そのメリットはこれにつきると言えます。

デメリット

□ 医師の関与が薄れる

 自由診療で診察・治療する場合、基本的には自賠責から治療費を支払うことになりますので、医師は自賠責様式の診断書を用います。一方、健康保険を使うと自賠責とは無関係になりますので、自賠責様式の診断書を書く必要はなくなります。ですので、患者側から自賠責様式の診断書記載の依頼があったとしても、医師がそれに協力する義務はありません。この場合、医師は任意の様式で診断書を書けば足りるのが原則です(とはいえ、協力してくださるお医者様が多数ですが)。

□ 医師の心象に懸念が残る

 これは、実際問題としては、人情として考えざるを得ないでしょう。健保を使って手間がかかった患者さんの治療がようやく終わったら、今度は損害料率算出機構の調査事務所から医療照会がきた…。この状況で、医師は果たして、カルテをもう一度隅々まで精査して、丁寧に、もれなく対応して頂けるでしょうか?

 ここは非常に大切なポイントだと私は思いますし、医師の理解を得ておこうと言うのも、この医療照会に備えるためです。

まとめ

 交通事故で医療機関が健康保険適用を避けるのは、煩雑な事務に見合う報酬を確保するためである。交通事故治療は、一般の治療とは違うことを理解し、その上で健保適用を選択するのであれば、医師や医療機関の理解を得て、良好な関係からはじまって、良好な関係で治療終了できるよう心を配るべきである。

交通事故で健康保険は使えるのか?

交通事故に遭い、整形外科に行きましたが「交通事故で健康保険は使えない」と言われました。これは本当なのでしょうか?

答え

交通事故でも健康保険は使えます。

メリットとデメリットがありますので、よく検討し、医療機関の理解を得た上で健保を使うかどうか決めると良いでしょう。

交通事故でも健保は使えます

 まずはじめに、交通事故でも健康保険は使えます。ただし、風邪をひいた時と同じように病院へ行って簡単に使えるものではありません。保険者(健康保険の管轄先)に対し「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。

風邪のように簡単に健保が使えない理由

 交通事故は、過失割合に争いがあったとしても、基本的には加害者と被害者が存在する構造になっています。そして、民法709条は、故意又は過失によって他人に損害を与えた場合は、生じた損害を賠償する責任を負う旨規定しています。

民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 つまり、治療費を支払うのは、本来加害者であるべきなのです。
 日本の健康保険制度は、いわば互助の制度です。病院に一度も行かなかった月でも、人によっては月額5万近い保険料を支払います。これは、自分に助けが必要になった時にもその制度を使うために、支払っているようなものなのです。
 けれど、故意又は過失で人を傷つけた人は、治療費全額を支払うべきであって、保険制度で負担する必要はまったくありません。
 このことから、交通事故で健康保険を使う場合は「第三者行為による傷病届」を提出しておく必要があるのです。

「第三者行為による傷病届」を出すとどうなるの?

 前述のとおり、交通事故による治療費は加害者が負担すべきものであって、保険で賄うべきものではありません。そこで、保険者は、被害者が「交通事故だけど健康保険を使いたい」と言う申し出があった場合、保険制度を使い、医療機関に立て替え払いを行います。
 そして、その立て替え分を加害者に請求(求償)する訳です。その求償の権原として「第三者行為による傷病届」が必要になるのです。
 つまり、保険者は、その傷病届をもって、一旦立て替え、立て替え分を加害者に請求していくことになります。

交通事故で健保が使えないと言われる理由

 では、何故、これほどインターネットが発達した現在においても「交通事故で健保が使えない」と言われることがあるのでしょうか?
 それは、幾つかの視点を持つことで「なんとなく」答えが分かってきます。
 本稿では、交通事故という態様が、(自損事故を除き)加害者と被害者という対立構造で成り立っているという視点から検討しました。その視点で考えると「本来的には、交通事故で健康保険は使うべきでない」という事が言えそうです。
 しかし、実際の交通事故実務では、お怪我の程度、相手方の保険加入状況や過失の程度によって健康保険を使う方がより良く解決できる場合も少なからずあります。
 ですので、交通事故でいわゆる「自由診療」を選択するか、健保を使った治療を選択するか、或いは労災を適用させるかは、事案毎に慎重に考える必要があります。

 また、「医師にとっての交通事故治療」を知ることで、交通事故と健保について、ひいては交通事故解決までのプロセスについても別の視点から考えることができるでしょう。

まとめ

 交通事故でお怪我をなさっても、健康保険を使うことはできます。しかし、実際に使うかどうかは、慎重に検討して決断する必要があるでしょう。

阿部寛さん演じる偏屈建築家桑野氏の日常を描いた『結婚できない男』、続編がスタートしていますね。その名も『まだ結婚できない男』。
前作大ファンの私としては、吉田さんや稲森さんがフィットするのだろうかと思っていましたが、始まってみるとなかなかどうして。前作の世界観そのままで、少し人に関わり合いたくなってる桑野さんがいい味だしていらっしゃいます。第5回の放送では大好きな野波麻帆さんがゲスト出演。ちょっと国仲涼子さんっぽい話し方が懐かしく、楽しく視聴しました。

その第5回の導入部分に、桑野氏が飲食店の事業譲渡について調べているシーンがあり、まどか先生が「会社の株式を100%買い取る形であれば(許可が)引き継がれることになる」と答えていらっしゃいました。

これ、実務ではキケンと言える回答ですね。久々のブログ、本稿ではこの「飲食店の事業譲渡」について検討します。

『まだ結婚できない男』に出てきた飲食店の事業譲渡について

飲食店の営業許可

飲食店を開業するためには営業許可が必要です。根拠法律は食品衛生法です。

第五十一条 都道府県は、飲食店営業その他公衆衛生に与える影響が著しい営業(食鳥処理の事業の規制及び食鳥検査に関する法律第二条第五号に規定する食鳥処理の事業を除く。)であつて、政令で定めるものの施設につき、条例で、業種別に、公衆衛生の見地から必要な基準を定めなければならない。

第五十二条 前条に規定する営業を営もうとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない。
(以下省略)

法律の条文では、基本的に第一条にその法律の目的が書かれています。

第一条 この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もつて国民の健康の保護を図ることを目的とする。

凄いですよね。健康の保護を図ることを目的としてちゃんと飲食店営業について許可制が導入されている。
日本って素晴らしい国だな、と思います。

許可制ということは、不許可になる場合があるの?と思われるかも知れません。けれど、第52条第2項では「(略)その営業の施設が前条の規定による基準に合うと認めるときは、許可をしなければならない。(以下省略)」と規定されており、原則許可ありきの手続であることが読み取れます。

なお、飲食店を営業する建物は建築基準法上の特殊建築物になります。この点、特に京都は路地奥での営業を考える際などに注意が必要ですね。

許可の「引継」

許可については承継がよく問題になります。この承継については、全ての許可に当てはまる「通則」というものはなく、個別の許可毎に考える必要があります。

そして、飲食業の許可承継については、食品衛生法第53条に規定があります。

第五十三条 前条第一項の許可を受けた者(以下この条において「許可営業者」という。)について相続、合併又は分割(当該営業を承継させるものに限る。)があつたときは、相続人(相続人が二人以上ある場合において、その全員の同意により当該営業を承継すべき相続人を選定したときは、その者)、合併後存続する法人若しくは合併により設立された法人又は分割により当該営業を承継した法人は、許可営業者の地位を承継する。
2 前項の規定により許可営業者の地位を承継した者は、遅滞なく、その事実を証する書面を添えて、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

この条文が本稿での論点となります。以下、条件分岐で考えましょう。

【営業者が個人だった場合】
・事業譲渡しても、許可は取り直しとなる。つまり、個人の事業譲渡を許可書に反映させる手続はない。

【営業者が法人だった場合】
・合併の場合、許可を持っている法人を吸収した会社、または新設する会社は、許可を承継する。ここで大切なことは「許可を承継することができる」ではなく、当然に承継する、という点です(いわゆる包括承継)。
・会社分割の場合、分割契約に許可の承継を含めているかどうかがポイントとなる。許可の承継を含めていた場合は、許可営業者の地位を当然に承継する。

ということになります。

事業譲渡と会社分割は、共に会社法で概念されていますが、似て非なるスキームです。事業譲渡については会社法で手続面での細かな法整備は行われていませんが、会社分割においては原則債権者保護手続きが必要となる他、登記事項にもなります。

飲食店営業そのものの承継については、どちらのスキームを採用するかは税務面等も含めた総合的な判断になるでしょう。
しかし、こと「許可の承継」に限って言えば、事業譲渡では無理で、会社分割手続を使う必要があります。

そして、事業譲渡でも会社分割でも「会社の株式を100%買い取る形」というのは想定されていません。そもそも事業譲渡の原則的な世界観は、株式の移動なしに事業を移すことのようにも思います(私見)。

まどか先生の回答に対するあてはめ

会社分割では、基本的に承継する会社(または分割により新設する会社)から分割する会社へ対価が支払われます。が、それは株式の全部移転とは全くの無関係なお話しで、対価は株式に限られません。

つまり、飲食店営業の許可承継については、合併または会社分割の場合のみに認められるのであって、株式の移転そのものが問題になることはない、ということになります。

そうすると、まどか先生の回答は資格者としては優良な回答とは言えません。
しかし、私はこれにいちゃもんをつける気は全くないのです。これはドラマであって、台詞の中に「会社分割」などという聞き慣れない言葉を入れるよりも、イメージで「丸ごと移す場合は」というのを伝えられれば、そちらの方がドラマとしては分かりやすい。

なので、回答としては「?」な部分はあるけれど、台詞としてはOKといったところでしょうか。

私が監修していれば「合併だったり、引き継げるケースはありますが、相談者さんが最終的にどのような形をお考えかによって、方法は変わってきますね」と言う台詞にするでしょう。これだったら、まどか先生の実力とお人柄が上手く伝わるのではないでしょうか。

なお、たとえば建設業の許可は、合併や会社分割によっても承継されず、承継法人は新たに許可を取得する必要があります。手続によって取り扱いはことなりますのでご注意ください。

 役所の某部署から電話がありました。
「添付書類の会社定款に『原本と相違ありません。』の一文が抜けているので追記しに来てもらえますか?」

ヒヤッとしました。
(私)「印鑑抜けてましたっけ?」
(役所)「印鑑は押してあります。『現行定款に相違ありません。』と書かれていて、『原本と相違ない』旨の記載が抜けてるんですよー」
(私)「あーーーー、なるほど。追記しに伺います」

 私は書類は通ればそれでいいと考えていますし、補正には素直に応じました。
 しかし、この指導は正しいとは言えない、と私は思っています。

 本日は、この「会社定款」の「相違ない」旨の書き方について検討します。
 

結論から先に申し上げますと、会社定款の原本証明が必要とされる場合「以上、当会社の現行定款に相違ありません」という文言を使うのが第一選択であると考えます。「以上、原本と相違ありません」を使うのは明かな間違いではないが正しいとも言えず、その旨の指導がない限りは最初の文言を使うのが妥当と思います。

  • 「原本と相違ない」というからには、原本があって、それを確認している必要があろう。
  • 原本であることを証明するのか、書類そのものを証明するのかと言うので取り扱いは異なる。
  • 原本であることを相違ない旨の奥書で証明を要求する場合、原本確認が必要と考える。
  • しかし、役所の言うとおり書いておけばそれで差し支えはない。

原本、持ってますか?

 書き出しのくだりで私が一番違和感を持ったのは「定款の原本は手元にないやん」という認識がベースになっています。
 会社の定款は、紙で作成した定款を認証してもらう方法と、電子定款の認証という二つの方法があります。

 これが大切になりますので、流れを確認しておきましょう。

紙定款の認証方法

 紙の定款は、通常三部作って公証人役場に持参するのが一般的で、京都公証人役場では、定款の左上に朱色で「正本」「謄本」と押されたものが返ってきます。
 つまり、原本は公証人役場に保管されることになり、原本と同じものであること確認し正本として認証したものと、原本を謄写したものであることを認証した謄本が返ってくる、ということです。

 繰り返しになりますが、提出した三部の紙定款は「原本」「正本」「謄本」として役割を持つことになります。謄本を作るかどうかは任意ですが、原本と正本は必要になりますので、紙の定款は最低でも二部準備していく必要があります。

 ここで私が言いたいのは「原本」は公証人役場に保管されている、ということです。
 換言すると「原本」が手元にないのに「原本と相違ありません」っておかしくないですか?ということです。

電子定款の認証

 次に、電子定款の認証について考えます。
 電子定款については、そもそも「原本」自体が存在しません。認証すべき定款自体を電子情報として送っており「原本」というブツがどこにもないのです。実務的にはPDFファイルを送りますが、それを出力したものは、電子情報の印刷物であって「原本」とはまったく別のモノです。

 それを裏付けるように、電子定款の認証を受けた際に付される認証文言は「これは、保存された電磁的記録に記録された情報と同一であることを証する。」となっています。
 これは、受け取る謄本が原本でも正本でもなく、もはや謄本であることを意味しています。
 この出力したものをそのままコピーしたとしても「原本と相違ない」とは言えないでしょう。

原本証明は何を証明することになるのか?

 視点を変えてみます。
「定款には原本証明をしてください」と言われた時、それは何を意味しているのでしょう。
これには二つの可能性が考えられるように思います。

1.定款が原本を謄写したものであることを証明する。

この場合、文字通り、原本というブツが存在していて、それをコピーなり、内容を書き写すなりして、同様の情報であることを証明することになります。
まさに「原本と相違ない」ことを証明していることになります。

2.その書面が定款そのものであることを証明する。

 定款は会社の根本規則ですが、それには、定型の書式がある訳ではありません。どの出版社から発売されている六法全書の憲法も、憲法そのものに違いはありません。
 つまり、会社の定款も、証明されるべきはその内容であると考えるなら、定款内容を記載した書面に「これは当会社の現行定款です」と書いて社長の記名押印を付してしまえば、それが定款そのものになる、と言えます。

 この二つの証明の方法ですが、どちらがより証明力が強いでしょう。同じと言えなくもないですが、私は文書そのものを証明している「これは当会社の現行定款に相違ない」の方が、より証明力が強いと感じます。

実務の取り扱い

 実際の実務においては、私の経験では「当会社の現行定款に相違ない」の文言を付すほうが圧倒的多数です。というより今回のように補正を求められた事例は初めてでした。
 具体的には、以下のように書くのが一般的です。

令和○年○月○日
以上、当会社の現行定款に相違ありません。
株式会社高木商店
代表取締役 高木一郎 印

また、契印も忘れずにしておきましょう。

原本証明が必要なケース

  • 官公庁への申請や届出において、添付書類に定款が求められる場合
  • 金融機関に提出する場合

 上記のようなケースの場合、原本証明が求められますので、事前に確認しておかれると良いでしょう。

まとめ

 定款の原本証明は、実務ではよく使われる概念ですが、実は「原本」そのものが会社に存在していないという矛盾を抱えています。
 しかし、この認識は意外に持たれていなくて、役所の添付書類リストには「定款の写し」と書かれていることが多数です。

 正本や謄本をコピーして、或いは電子情報を出力して「原本と相違ありません」というのは少し無理がある考え方ですよね。だからこそ、会社定款の場合は「現行定款に相違ない」という文言を使ってきたのでしょう。これには合理的理由があります。
 しかし、要は書類が通ればいいことですので、私は細かな議論はしません。書けと言われれば喜んで書きます。

 原本証明一つ取ってみても、行政手続は意外に面白い論点を含んでいることが分かります。こういうことをあーだこーだ話しながら書類を前に進めていくのも、行政書士業務の面白さの一つですね。

 なお、本稿は私見に基づく検討です。実務に活用なさる場合、必ず監督庁に事前確認なさって頂けますようお願い致します。

 あけましておめでとうございます。
 既に現在2019年5月19日、元号も変わっているのですが、今年初ブログになります。

 本日は、建設業許可申請で携帯電話番号を登録できるのか、という論点について検討します。

  • まず、大前提として都道府県によって取り扱いが異なる。
  • 京都府では、固定電話回線を引くよう指導を受ける。
  • 方法によって、携帯電話で申請を完了させることは不可能でないと思える。
  • しかし、諸般の事情を考えると、固定電話の番号を取っておくにこしたことはない。

建設業許可で携帯電話は登録できるのか

 建設業許可の申請時、携帯電話で登録申請したところ、認めづらいので許可取得までに固定電話回線を準備するように、との指導が入りました。

 まず結論を申し上げますと、申請人には事前に説明し、電話回線を設ける準備をしてもらっていました。ですので、許可証交付時には固定電話の番号へ訂正を行って処理しました。
 しかし、これは厳密に考えると繊細な論点を含む実務的課題です。以下、検討します。

建設業許可申請書における必要的記載事項

 建設業許可申請は建設業法及び附属法令に基づく申請行為ですので、その方法は法律・規則・省令で定められており、その他は都道府県毎に細則等が定められています。一般建設業許可の申請について定めた建設業法第五条を当たりましょう。

第五条 一般建設業の許可(第八条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
一 商号又は名称
二 営業所の名称及び所在地
三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。以下同じ。)及び役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)の氏名
四 個人である場合においては、その者の氏名及び支配人があるときは、その者の氏名
五 第七条第一号イ又はロに該当する者(法人である場合においては同号に規定する役員のうち常勤であるものの一人に限り、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人に限る。)及びその営業所ごとに置かれる同条第二号イ、ロ又はハに該当する者の氏名
六 許可を受けようとする建設業
七 他に営業を行つている場合においては、その営業の種類

 建設業許可の申請書は、これらを記載する体裁になっていますが、上に掲げられた事項の他に、郵便番号・電話番号・FAX番号等の記載欄があります。
 しかし、建設業法・施行規則・施行令において「電話番号」という単語は使われていません。

 京都府の条例等に当たっても記載はありません。つまり、電話番号の記載の根拠は、法律・規則・政令・京都府の条例・規則や細則に定められていないけれども記載が求められる情報、ということになるでしょう。

 これは、手っ取り早く言えば「指導」である、と私は考えます。

 これは、行政書士実務にはよくあることです。法律や規則・細則で「一から十まで」全て決められる訳ではありませんし、決めたら柔軟な変更も難儀です。
 ですので、一定程度余白があって、その余白を職員が埋める。それは理解も納得もできます。

携帯電話を拒否できる根拠は?

 では、電話番号と言って「090」等からはじまる携帯電話の番号での登録を拒否できるのか、というのが次の論点になります。

 私の私見では、建設業法第三条の二を鑑みても、不許可処分を行うことは難しいのではないかと思います。理由は、電話番号がそもそも必要的記載事項とされていないこと、行政指導には限界があることです。

 しかし、実際には、京都府で携帯電話で申請を処理している事例は皆無に近いと思います。私自身も、前もって固定電話の回線取得をお願いしている訳ですから。

何故、固定電話が必要になるの?

 これは、監督機関が「名ばかり営業所」の排除を目指していることが一因です。
「名ばかり営業所」とは、都道府県をまたいで複数の営業所を有するゼネコン等が、入札への参加だけを目的として営業実態のない営業所を営業所として登録申請することです。

 これが罷りとおると、地元の真面目な建設業者が不利益を被る可能性がある、ということで京都府でも平成22年7月から営業所の写真添付を求めることによって営業所の実態を確認するようになっています。そこで使われる理屈が「営業所としての実態があるなら、机や電話、事務機器類が置いてあるだろう」ということで、ここで固定電話が映り込んだ写真が必要になってきます。逆に言うと「電話も置いてないような所、本当に事務所として使っているの?」ということなのでしょう。

 一理あります。でも、ちょっとまって!

 弊所も固定電話とFAX番号別々にありますが、固定電話は24時間携帯に転送しています。事務所に戻って転送解除しても外出時忘れてしまうことが多いので、もうずっと転送しっぱなしなのです。最近ではこんな親方さんの方が多いんじゃないでしょうか。

 つまり、役所の考え方は一理あるが、それでも実情に則しているとは言えなくなってきていると思うのです。

とことんやってみます?

 ここまでをまとめると、きちんと真面目にやっていて、固定電話がないだけだったら、携帯電話でかまへんやん!と言う気もしてきますよね。それに固定電話は法律等に現れてこない言葉です。だったら行政指導と言える訳ですから、従わなくても不利益な処分しちゃいけないよね。建設業法第三条の二だって「国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができるが、その条件は、建設工事の適正な施工の確保及び発注者の保護を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない」って言ってるんだから。

 ということで「携帯電話でかまへんやーん」と交渉してみることもできるかもしれません。

 でも、ここはそう言わず、回線一つ引いておきましょうよ。その方が多分その業者さんのためになると言える。

弊所が電話回線をお願いした理由

 FAXって今の時代でもやっぱり使うことありますよね、ということなんです。さらに言えば、FAX番号ない業者と取引したいと思いますか?というお話しです。

 弊所もほとんどメールでお願いしてますが、それでもやっぱり月に複数回はFAX使ったやりとりがあります。ビジネスにはFAXってまだまだ不可欠じゃないでしょうか。

 であるなら、電話とFAX番号一緒でも良い訳ですから、一つ回線取っておく方が、お客様のビジネスにとって良い結果を生む、と私は思います。

結論

 私は、以上のことを説明して「ケンカし続けたら携帯で登録できるのかも知れないけど、FAX引いて、それでじゃんじゃん注文書受ける方が御社のためになると思うのです」とお伝えし、快諾してもらいました。そのお客様、許可取って2ヶ月で去年の売上に匹敵する受任額の仕事取られたそうです。FAXで注文書来てくれたら嬉しいんだけど、そこまでは聞いてません。

 行政手続って、全てを明文で決められる訳じゃない。だからグレーの部分は必ず生じる。そのグレーをどういう風にして考えて、それをお客様にどう伝えて問題解決していくか。これは行政書士の仕事の面白さの一つでもあると私は感じます。行政書士業務は士業のなかで一番AIに奪われやすいと言われているけれど、AIはこんな面白さも学習していくのかなぁ。行政書士の仕事はAIにできたとしても、アイツの仕事はAIにはできない。そういう風に思ってもらえる資格者でありたいですね~。

 最後になりましたが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 住宅宿泊事業法の届出において「騒音」とは何を言うのでしょうか。
 京都市における窓口対応をきっかけにして考えたこの論点について検討します。

  • 「騒音」について問題にするなら、まず騒音を定義すべきである。
  • 騒音の確認を行うのであれば、実施要領を定めるべきであろう。
  • 届出後に、届出自体をひっくり返されるような不安定な手続は是正すべきである。
  • 窓口で10分以上待たせることは止めて頂きたい。

「個別に判断するので不受理の場合もある」という答えの衝撃

 鉄筋コンクリート造の建物で2階全部にオーナー居住、3階の一部を家主非同居+管理会社不要で、一部を家主不在型で届出しようと相談に行きました。
 3~5階を使うため、論点は他にもあったのですが、京都市の窓口担当者から衝撃の答えが。

「個別判断になり、現地で騒音が聞こえるかを確認し、聞こえなければ不受理の場合もある」

 驚きよりも怒りで身体が震えるような思いでした。堂々と「書類受け取った後にひっくり返す場合もあるよ」と宣言するわけです。
 そして、何の権限を根拠にしているのか知りませんが、人の家にあがりこみ、(今回は)上の階で防犯ブザーを鳴らして音が聞こえるかどうかを確認すると。
 ここから、私は声こそ抑えましたがまくしたてるように話しました。

私が話した内容の要旨

  • 京都市の言う騒音とは何なのか。
  • 確認のために使う防犯ブザーは、音量等の根拠があるのか。
  • ブザーはフロアのどの位置で鳴らすか等決まっているのか。
  • 音を確認するために事前に京都市の担当者が来てくれるのか。
  • 自身で確認しようとする場合、何を根拠に確認すればいいのか。

 実務家であれば当然確認しなければならない事柄だと私自身は思います。こういったことを私がまくし立てるように話した後、担当者は再度協議に行きました。

 こういう事例で担当者が奥に引っ込んだ場合、まぁ大抵10分は待たされます。今日は18分でした。最長は30分弱待たせて「お待たせしました」も言わず着席した人がいましたので、18分なら普通というレベルなのでしょうか。ちなみに今日も「お待たせしています」などという相手を気遣う言葉はありませんでしたが、京都市の住宅宿泊事業窓口にそういう発言は求めない方が良いでしょう。

再度の返答

 次に返ってきた答えは、最初のものからは随分軟化した表現となっていました。その要旨は次のとおりです。

  • 直上階の部屋であれば、騒音は聞こえるだろうという仮定に基づいている。
  • 検査の時は窓を開ける。
  • 実情として通っている届出が多いと思われる。

 最初は何だかきつめに言っておいて、こちらが明確性などを追求していくと軟化した答えが返ってくるのは、この窓口では定番のことです。そのきつめの根拠ない発言を鵜呑みしにそのように軌道修正される届出者さんが気の毒でなりません。

再度の返答に対する私の対応

 この窓口では、窓口レベルではラチがあかないことが多く、どれだけ粘っても明確な答えはもらえません。ですので、時間的にも京都市側に預ける他選択肢がなくなります。私は、疑問点をぶつけてそれに対し後日での返答を求めました。

  • 京都市が定義する「騒音」の概念を知りたい。
  • 騒音の聞こえる聞こえないを論点にするなら、それは届出の進行に重大な影響を及ぼすので詳細を知りたい。
  • 実施要領があるなら開示を求めたい。
  • 位置・高さ・器具の性能など、再現のため細かな情報を知りたい。
  • 行政指導であるわけだから、それらを文書にして頂きたい。

京都市の上記対応が問題だと思う点について

 この京都市の対応は、控えめに書いても届出人を舐めているとしか思えないほどお粗末である、と私は思います。以下にその根拠を記載します。

根拠が不明である

 騒音の確認を行うのに防犯ブザーを使うという話しでしたが、何故防犯ブザーを使うのか、それが何デシベルの音量であって、京都市では何デシベル以上を騒音と定義しているのかについて問い合わせても明確な答えは返ってきませんでした。
 そこが明確でないのにそもそも確認を行うことができるのでしょうか。根拠が不明であるのに検査を行うということは、あってはいけないことだと私は考えます。

届出事務の安定性が著しく損なわれる

 届出書類を一旦受け取りはしたものの、現地で音が聞こえるかどうか確認して判断する、というのは届出事務の安定性を損なうものです。経済的にも無駄でしかありません。音が聞こえないとなった場合、管理業者と契約しなければならず、収支計画の再検討を迫られます。これは国が「住宅宿泊【事業】」と名付けた、紛れもないビジネスモデルなのです。
 京都市側からは「余っている住宅を貸し出す訳だから収支計画など関係ないのではないか」という反論がありそうですね。彼らは常にこういう論理を押しつけてきます。けれど、これは国が認めた事業です。事業である以上収支計画は必要です。事業としてやるから安全措置を講じなければならないのであって、無駄に非常用照明をつけなければならないことになっているんです。
 ですので「やってみないと分からない」などという博打のような行為を行政自らが認めるなどというのはあってはいけない、と私は思います。

検査が恣意的に行われる可能性がある

 検査の実施要領が明確でない場合、恣意的な検査が行われる可能性があります。京都市のホームページにも住宅宿泊事業法窓口業務の一部を京都府行政書士会に委託することが明記されています。このような状態で検査実施要領の詳細がブラックボックスの場合、私は素直にこう考えます「窓口業務に関わっている行政書士にだけ恣意的な検査が行われる可能性はないのか」と。

 こういう目で見られないためにも、届出の可否を決するような重要な事項について検査する、というのであればその詳細は誰もが分かるように公開すべきではないでしょうか。でなければ、事前に確認もできないのです。

提言

 文句を言うだけなら誰にでもできること。手続の適正化に少しでも寄与できるよう、私は次の提言を行います。

「騒音とは何か」を明確にしましょう

 京都市さんは何かと「独自ルール」を持ち出されますが、「騒音」の定義はどうなのでしょう。環境省準拠なのでしょうか、国際基準があるのかどうか知りませんが、国際基準準拠なのでしょうか、それとも京都市独自基準を持ち出されるのでしょうか。
 それが明確にならないと、事前の検証自体もできません。検査するというなら、その基準を明確にして、かつ、その基準が妥当であることを届出人に納得させるべきです。

測定方法の詳細を定めましょう

 繰り返しますが、家主非同居型+管理会社不要というのは需要の多い届出類型です。オーナー居住場所と届出住宅の位置関係が近いことから、近隣対応もしっかりやってもらえると予想できますし、いざという時の駆け付けも安心です。そういった意味で、現実的かつ理想的な届出類型であると私は考えています。
 このような類型に対し「騒音確かめてからでないとOKとは言わないよ」というのであれば、その測定方法をしっかり決めましょう。
 お隣の大津市では届出後の検査さえもありません。過度な負担を課すなら、その根拠などをしっかり明示するのも市の責務です。
 具体的には、どの時間帯に・どのような機器を使って・どの場所で・どのような方法で測定するのかを届出人に明確に示しましょう。お風呂では検査しないのか、と尋ねたところ「お風呂で騒音って考えづらいんじゃないですか」という答えが返ってきました。
 ???
 シティホテルで水周りが廊下側にある構造の場合、廊下を通っていると艶やかな音色が聞こえてきた経験あるのですが、京都市担当者諸氏の生真面目な耳には届かないのでしょうかね。大きな音はどこでだって出してしまうことがあります。屁理屈ではありません。やる以上、方式を定めるのは当然なのです。

届出後にひっくり返る可能性を予め含むようなやり方は是正すべきです

 実地検査に行ってみて、図面からは予見し得ない瑕疵があって「これはまずいでしょう」という指導を入れるやり方は分かります。けれど、届出時に「はい、じゃあ届出が通るかどうかは現地に行ってからね、検査のやり方特に決まってないんだけど」で市民が納得できますか?
 何度も繰り返しているように、事前に諸事明確にすることでこの馬鹿馬鹿しいプロセスは回避することができます。これは事業なのです。博打ではありません。消防設備に30万円かかるのです。京都市はこういった届出人の事情をもっと考えるべきです。

もう待たさないでください

 本当に、なんでこの窓口は人を長時間待たせるのでしょうか。何を議論しているのか、不思議でなりません。また、手続に議論など必要ないのです。根拠を明確にして根拠のないことに関しては答えない。それでいいのです。
 窓口で相談に来た人を何十分も待たせるのはいい加減やめましょう。そして、待たせたなら、人として「お待たせしました」くらいは言うようにしましょう。

同じ日に、旅館業であったこと

 同じ日に、不動産屋さんから問い合わせがあって、旅館業の窓口に確認しました。その内容は「定員5人でシングル6台を置いて検査をうけた場合、問題になる可能性があるか」というレアかつ漠然としたものでした。
 しかし、担当者さんは間髪おかず「定員を超過した寝台の設置は自然とは思えず実際にあまりない。京都市としては定員超過を疑うので、その理由を確認した上で審査を行う。6台置くことのみを持って不許可とはならないが、理由の如何によっては指導の対象になり得ると理解して欲しい」という趣旨の回答をされました。
 ダメだと書いてないから不許可にはならないが、行政側としては「うさんくささ」を感じるから理由を尋ねるし、理由が合理的でない場合は寝台の数を減らすよう指導するよ、ということです。条例・市の指導権限を隅々まで理解した素晴らしい回答だと思います。

まとめ

 行政担当者は法律・政令・条例・規則などに準拠して事務を行います。京都市さんは何かというと「市の責務」という包括的な文言を水戸黄門の印籠のように使って自分を正当化しようとされますが、それでは曖昧で届出人側は納得できないことが少なからずあります。

 行政は強力な権限を持つからこそ、その行使は慎重かつ適正に行われなければなりません。音が聞こえるかどうか調べる、というのであれば調べ方について詳細に決めていなければなりません。
 このような窓口対応が毎日なされいるのかと思うとその稚拙さにゾッとします。嫌がられても言い続けなければ改善しない。少しでも手続が改善していくよう、悪役を続ける覚悟です。

 2018年6月15日の条例改正に合わせた京都市で簡易宿所を開業する際の玄関帳場に関する最新情報です。

  • 原則帳場は必要である。例外は京町家として認められた場合。
  • 帳場は施設内の他、施設外に設けることができる。
  • 施設外帳場を使えるのは「ゲスト1組で定員9名以下の一棟貸し」となる。
  • つまり、2組以上のゲストを入れようとする場合、施設外玄関帳場は使えない。
  • 施設外玄関帳場は施設からおおむね10分以内に移動できる場所。
  • 面積2㎡以上は変わらず。その他要件に変更あり。
  • ゲスト滞在時は、帳場(施設外帳場含む)に駐在の必要あり。
  • かけつけ要員にも要件あり。

京都市の旅館業許可申請、報酬168,000円でお手伝いしています。

帳場、やっぱり必要みたいです。

 京都市で簡易宿所を開業しようとする場合、どうしたって玄関帳場は必要になるようです。ただし、以前と同様に、京町家として認定された場合は帳場不要となります。ただし、京町家の場合は施設前や施設玄関での鍵の受け渡しとなり、緊急時に速やかに対応できるよう、施設へおおむね徒歩10分で到着できる距離に管理者が駐在する必要があります。
 この「おおむね10分」は、要綱で800mに読み替えられており、実務的には距離が問題になることから、以下では、この範囲の要件は全て800mに置き換えて記載します。

新しい概念「施設外玄関帳場」

 条例改正により、施設内だけでなく、一定の要件を満たした施設は施設外に帳場を設けて良いことになりました。その要件とは以下のとおりです。

  • ゲスト1組の受け入れでの一棟貸し
  • 定員9名以下
  • 出入口にカメラ設置など、必要な附帯設備を整えること

 つまり、施設外玄関帳場を設けられるのは、客室数が1室の場合であって、2室以上の場合は無理、ということになります。

施設外玄関帳場の要件

 施設外玄関帳場の要件もあります。まず、大切なことは、施設外玄関帳場はあくまで旅館業施設である、という点です。つまり、様々な法令での「旅館」関係の規定をクリアしている必要があります。京都市の条例についても適用を受けますので、住居系施設と施設外帳場の動線は分離できている必要があります。例で言うなら、ワンルームマンションの1室を施設外帳場にはできない、ということになります。
 面積やカウンター幅などの要件は施設内の帳場と同じですので後述します。

 次に重要な点は、距離の問題です。施設から移動距離にしておよそ800mというのが目安です。これには若干の幅があるようですが、880mが限界と聞き及んでいます。

 なお、施設外玄関帳場は共同で使うことも認められていますので、A社のゲストハウスとB社のゲストハウスの施設外玄関帳場として1つを共用することが可能です。

帳場自体の設備基準

  • 面積は2㎡以上。
  • 60センチ未満の狭小部は面積に算入されません。
  • 高さ180センチ未満の部分は面積に算入されません。
  • 開口部は1.1メートル以上であればよい。
  • 横幅は原則1メートル以上、ただし、定員9名以下なら0.6メートル以上。
  • カウンターの奥行きは0.3メートル以上。
  • 駐在するんだから排泄のこと考えてくださいね。

 この中で大きく変わったのは、開口部がフロア高の2分の1以上という忌々しい縛りがなくなった点です。
 ただし、高さ180センチ未満の部分が面積算入されない、というのは要注意です。帳場は階段下に設けることも少なくありません。そういう時は180センチ未満の所を省いて面積計算する必要があります。

 そして、今後帳場には「駐在」しなければなりませんので、せめてトイレは作ってね、という努力規定がおかれています。

帳場に関連した人の要件

 さて、今回の条例改正で最も大きなインパクトがあったのは「帳場駐在」です。
 既存施設については2020年3月末まで経過措置がありますが、これから計画する施設は開業したら即時、既存施設も2020年4月以降、帳場への駐在が求められます。
 つまり、ゲスト滞在時は、帳場と呼べる所のすぐ近くにはスタッフが駐在している必要があります。「すぐ近く」と書いたのは、施設内に帳場がある場合、施設内であれば帳場以外の部分での駐在も認められるからです。
 一方、施設外帳場の場合、京都市さんの見解では「出入りを常時監視」することになるので、施設外帳場自体に駐在が必要とのことです。

施設外帳場を使う場合の駆け付け要員

 さて、施設外帳場を使う場合、施設外帳場以外の場所にスタッフを待機させて緊急時に対応させることができます。
 この時、その待機場所は、やはり施設から800mの距離内であることが必要です。しかし、この待機場所は旅館業施設ではないので、スタッフ個人の自宅であっても差し支えないとされています。
 もちろん、施設外帳場に駆け付け要員を待機させることも可能です。ところで、この原則論で考えると、施設外帳場を使う場合、カメラ監視員を駆け付け要員の最低二人が必要になってきますが、実際、原則は二人が想定されているそうです。ただし、例外も考えられるということで、このあたりは制度が本格的に運用されていけば明確になってくるでしょう。

まとめ

 以上、2018年6月の条例改正に基づく帳場の要件について概観しました。この施設外帳場はまだ始まったばかりの制度で、現場においても解釈で混乱をきたしている場面がありました。ネット上の解説や伝聞を鵜呑みにすることなく、案件毎に担当者に確認なさることが最善の方法です。
 ご参考になさってください。

 ここでやりたくなかったんですが、書き始めます、住宅宿泊事業法について。

 2018年3月15日から事前受付が始まり、6月15日から運用が始まった住宅宿泊事業法、いわゆる「民泊新法」ですが、京都では、現在届出書類を受け取ってもらって現地調査までに3週間、現地調査から番号通知まで3週間の合計6週間がかかっています。
 つまり、届出書類を渡してから開業までが6週間。あれ、おかしくないですか?

(届出)
第四条 法第三条第一項の届出は、住宅宿泊事業を開始しようとする日の前日までに、第一号様式による届出書を提出して行うものとする。

 住宅宿泊事業法施行規則では「届出は事業開始しようとする日の前日までに届出書を提出して行う」ものとする、となっているのに6週間待ち?
 しかもそれが当然のように対応している…。これっておかしいと思うのは自分だけなのでしょうか。

 今まで窓口で散々な対応をされました。
・窓口担当者が指定した期日までに連絡がない。
・窓口対応者の言うことが二転三転する。
・保留中に電話切られても折り返しもない。1分後にこちらから折り返したら「もうその担当者はいない」と言われる。
・電話での保留の待ち時間は3分は覚悟の状態。
・窓口で25分待たされても「お待たせ致しました」とも言われない。
・強制できないことを強制できるような口ぶりで言う(普通は分からないでしょう)。

 電話応対や接遇態度については個人差もあるのでどうしたらいいというのは書くつもりはありません。
 しかし、実務的な論点については、問題になっていることを共有するのは大切ではないかと思い始めました。自分一人では変えることができなくても多数が賛同してくだされば対応が良くなっていくかもしれない。或いは自分の対応や考えが間違っていることに対する指摘があれば、自分も顧みることができる。

 ですので、京都市における住宅宿泊事業法の窓口対応について疑問に思ったこと、共有すべきと考えた事柄についてはこのブログでご紹介していくことにします。

 さて、本日の論点は「賃貸借契約書の要否について」です。

使用承諾書と賃貸借契約書

 賃貸物件について届出を行いました。京都市の手引き(いわゆる4月13日版)によると、(3)【法人・個人共通の必要書類】の中の⑥で「賃貸人が…(中略)…転貸を承諾したことを証する書面」とあります。
 私は届出時に貸し主の「使用承諾書」を添付して申請を行いました。すると、その翌日に連絡があり「賃貸借契約書の添付」を求められました。
 理由を聞くと賃料等を確認したいとのことでしたが、私には理解できません。承諾書において審査すべきは転貸を承諾しているか否かであって、賃料が何故問題になるのかが分からなかったのです。ですので、私はおおむね以下の事項を伝えました。
・賃料を確認する理由を知りたい。
・賃料を確認するという事柄が、審査権の範疇に入っているのか知りたい。
・使用承諾書を提出しているにもかかわらず賃貸借契約書の提出を求めるのであれば、根拠を知りたい。
・確認したい事柄を盛り込んだ使用承諾書を提出する場合、賃貸借契約書は不要になるのか知りたい。

その後の経緯

 私が確認を求めた事項について、およそ2時間後に電話で返答がありました。
・提出を求める根拠は条例第四条にある「市の責務」である。
・転貸賃料が賃借料を下回っていた場合、その理由等を確認する必要があるので賃貸借契約書を確認したい。
 主旨になりますが、これが京都市側の回答(のようなもの)でした。

 これに対し私が「使用承諾書を添付した場合でも一律に賃貸借契約書の添付を要求するのは京都市からの最終的な公式見解と捉えて良いか」と尋ねました。すると「添付は義務ではないが、添付がない場合、賃貸借契約の内容について届出人に確認を行う」と返ってきました。

賃借料と転貸賃料の関係は住宅宿泊事業に影響を及ぼすのか

 私が一番疑問に思ったのは、賃借料と転貸賃料の関係性を京都市が確認する必要があるのか、あるなら何のためなのか、ということです。仮に関係性が京都市の予期・想定するものでなかった場合、届出に影響があるのかと尋ねても回答はしどろもどろで要領を得ませんでした。当然でしょう、窓口で言い切るとロクな事がないというのは聡明なご担当者ならお分かりのはずです。

 話しの流れでは「賃借料>転貸賃料」の場合、つまり赤字になる場合に理由を知りたいそうです。たとえば、14万円で借りてる物件を12万で貸します、という広告をしている場合は「なんか怪しい」とお考えのようなのです。
 面白いですよね、高い家賃では入ってくれないから家賃を下げていって、丸々赤字になるより少しの赤字の方が損がすくないから「賃借料>転貸賃料」でも貸す値打ちはある。先の例でいうなら、14万円で借りていて、18万円で転貸に出しても誰も借りてくれない。だから徐々に値段を下げていった。解約できないから、14万円全部損をするよりも12万円の家賃収入を得て毎月2万円の赤字にする方がまだ傷は浅い。
 こういう考え方は経済原理に基づいた至極まっとうな価格設定行為です。これに京都市は何の権限でもっていちゃもんをつけるのでしょうか。それはビジネスとして上手くいってないから民泊なんてせず解約しろ、とアドバイスする気なのでしょうか。余計なお世話も甚だしい、としかいいようがありません。
 他で儲けすぎて赤字を作っておきたい、という人もいらっしゃるかもしれません。その場合、他で儲けすぎていることを疎明するため、京都市さんは確定申告書の控えまで要求するつもりなのでしょうか。

 こうして考えれば分かるように、賃料設定は個人の自由意志で決められることであって、それを役所がとやかく言うことはできないはずです。とやかく言うことができない=指導範囲を超えているのであれば、そもそも確認の対象とはすべきでないのではないでしょうか。
 それをもっともらしく理由をつけて不要な情報まで求めようとする。そうすることに時間を費やして、6週間かけていることの方がよほど問題であって指導の対象になるべきではないのでしょうか。

問題の根幹

 これは、実はとても深い論点を含んでいます。
 行政手続において、求められていない書類まで添付を求めることは行き過ぎであって、むしろ時代錯誤とも言えるのです。
 現に政府は平成9年2月10日に次のような閣議決定を行っています。

【※申請等に対し】(2)添付書類は、申請書等の記載事項の真実性を裏付けるため及び諾否等の判断を行うために必要不可欠のものに限る。
※は筆者注

賃貸料が申請書等の記載事項の真実性を裏付けるため及び諾否の判断を行うために必要不可欠なんでしょうか。そもそも、論点は転貸を承諾しているかどうかだけなんですが。

 こうして考えていくと、現在の京都市における住宅宿泊事業法の受付事務は、この閣議決定の真逆をいく、届出人に過度な負担を求めているように思えてならないのです。

提言

 文句を言うだけなら誰でもできること。ですので、私はこの件について次の提言を行います。

1.審査事項の明確化

 まず、何を審査するのかについて明確にする必要があります。上の例で言うなら、添付書面から審査の対象になるのは転貸の承諾であって価格の高い低いではありません。価格の高い低いを審査対象にするなら、その根拠を明確に示すべきです。京都市の条例第四条のように包括的な規定を持ち出してごまかすべきではありません。もっと具体的な理由を示し届出人を納得させるべきではないでしょうか。

2.任意様式であることを認めるべき

 申請書・誓約書や京都市条例様式以外の添付書類は任意様式であって、決まったフォーマットはないはずです。であるなら、自分たちの枠組みを前提に考えるのではなく、添付書類をまっさらな目で見て、足りているか足りないのか、足りないなら何が足りていないのか、何故そう言えるのかを明確に説明すべきです。

3.減点法の思考は捨てるべき

 足りない=マイナス→だから添付して、という思考、つまり自分たちの想定しているモノが満点で、そこから足りなければ提出を求めて自分たちの100点を目指そうという思考はやめて頂きたい、と感じます。書類は60点で合格です。つまり、提出する側からすれば、60点が100点なのです。それを、受け取る側の合格点に合わせて書類を作る義務は届出人にはありません。
 実際、窓口では「今回はこれでいいけれど、次回からは手引きに合わせてほしい」と言われることがあります。これは「手引きを満点」として捉えているから出てくる言葉であって、純粋に書類に向き合っているとは思えません。同じ書類を使った別の届出時には「分かりやすくてこういう作り方もあるのかと勉強になる」という趣旨の独り言的発言がありました。本質を見極めて書類に向き合うというのは大切なことだと思います。

まとめ

 窓口対応だけでなく、実地調査時、電話応対時での対応は良くなっていると感じており、最近はリミッターが外れることは少なくなりました。
 しかし、新しい手続だからこそ、問題点はうやむやにして進めるのではなく、論点を整理して明確にし、汎用性のある答えを導き出していくことは行政側にとっても届出者側にとっても有意で価値のあるプロセスです。
 私は嫌がられたとしても、この点については粘りづよく対処して、手続の適正化に、自分なりに寄与していきたいと考えています。

 WordpressをSSL化してhttpsにできました、でも404エラー頻発してます。
 この問題を1分で解決するトラブルシュートです。

キャッシュ系プラグインの有無をチェック!

 キャッシュ系のプラグインを入れている場合、このプラグインのキャッシュ設定を変更する必要があります。
 私が使っているW3 Total Cacheの場合、設定の「page chche」欄を開き、httpsのキャッシュを有効にします。
「page chche」欄を開き、httpsのキャッシュを有効にします
 これで404エラーはなくなるはずです。

キャッシュ系プラグインを入れていない場合

 リダイレクトがきちんとできているかどうか確認してみましょう。しかし、htaccessファイルの書き換えはコピペでできるはずですので、ここで間違えるのは考えづらい。キャッシュが邪魔している可能性が一番高いので、この404エラーはプラグインの見直しが第一選択です。
 なお、トップページのみリダイレクトが上手く動いていて、下層ページがリダイレクトできていない場合、ペーストする位置を先頭に変更してみましょう。おそらく解決できます。

 平成30年6月15日の条例改正に伴い、同年9月15日以降に計画する簡易宿所は、施設内、施設外帳場或いは待機場所に誰かを駐在させることになりました。
 本稿では施設外帳場に関する情報を随時公開していきます。必要に応じ加筆修正を行いますが、その履歴は特段記録しません。現時点で分かっている情報をお伝えしていきます。
【最終更新日:平成30年10月14日】

京都市の旅館業許可申請、報酬168,000円でお手伝いしています。

施設外玄関帳場とは

 施設外玄関帳場とは、ごく簡単に言えば「外部に設ける帳場(フロント)」ということになります。平成28年4月1日より旅館業の面積基準が緩和された後も、京都市で簡易宿所を開業する場合は町家を除き帳場が必要でした。
 しかし、その帳場は実質的に機能していないケースが少なからずあり、また国土交通省より外部帳場に対する通知が出たことなどもあってか、京都市は方向転換を行い、平成30年6月15日の条例改正で外部の帳場である「施設外玄関帳場」の存在を認めることになりました。

施設外玄関帳場の要件

  • 旅館業施設の一部であるため住居系施設との混在が認められない。
  • 位置は、ゲストハウスから移動距離で800m以内が一つの目安となる。

 施設外玄関帳場は、まず、帳場である以上「旅館業施設の一部」と考えられています。京都市では条例で住居部分と旅館部分の動線を分けるよう定められていますので、施設外玄関帳場もこの規定に服することになります。
 具体的に言えば「他に居住者が居る賃貸マンションの一室などに施設外玄関帳場を置くことはできない」ということになります。

 次に、距離の制限があります。条例では「おおむね10分の距離」とされていますが、これは800mと要綱で置き換えられており、数字としては800mが一つの基準となるでしょう。
 ちなみに、この距離は直線距離ではなく移動距離になります。当事務所では、グーグルマップで経路確認を行う他、GPSを用いて実際に距離を測るなどの事前確認を行っています。
 なお、施設外帳場とは別に駆け付け要員の待機場所を設ける場合、こちらも施設から移動距離で800m以内となります。

帳場そのものの要件

 帳場の要件も変更になっています。あの忌まわしい(笑)開口部2分の1以上は撤廃され、開口部の高さが1,100mm以上になっています。これは大きな緩和ポイントですね。ただし付加された要件もあります。帳場の横幅でして、横幅は原則1,000mm以上、つまり1m以上が必要となります。ただし、宿泊定員が9名以下の施設では60センチあればよいと、緩和されています。
 面積算定についても細かく決められました。幅60センチ未満の狭小部分や高さ1,800mm未満の部分は面積算定できません。帳場は階段したに作ったり、狭い部分を加算して2㎡を狙うことがありますので、この点は要注意です。
 なお、必要面積2㎡は変わりません。

駐在要件に関する検討

 次に、人の要件について検討していきます。

  • 駐在は「チェックインからチェックアウトまで」の間である。
  • モニター監視役と駆け付け人員、つまり最低で2名の駐在が必要となる(例外ある模様)。
  • 施設外帳場があっても、別に待機場所を設けることは差し支えない。
  • 施設外帳場以外に待機場所を設ける場合は、最低各1名の駐在が必要となる。

 まず「駐在」の概念ですが、上手いこと書くな、というのが感想です。「常駐」と書けば一歩も外に出られない雰囲気を感じますが、田舎の駐在所ではおまわりさんがパトロールで留守している時間帯も少なくありません。京都市さんとしてはもちろん「常駐」に近いイメージで捉えていらっしゃるのでしょう。このあたり、問題点はこれから整理されていくのではないかと思われます。
 駐在が必要な期間ですが、これはチェックインからチェックアウトまでの間です。ゲストハウスが空いている時間帯は当たり前のことですが駐在している必要はありません。

 次に人数です。施設外帳場を設ける場合には出入口にカメラの設置が必要となります。そして施設外帳場でそのカメラで人の出入りを「常時」監視しているということになりますので、監視役に1名が必要となります。そして、万が一の場合に駆け付ける人員として1名が必要で、原則2名が必要です。ただし例外もあるということなのですが、それは事案によりけりらしく、決まった要件は情報として得ていません。確定した情報が分かればご案内致します。

 施設外帳場を設ける場合であっても、別に駆け付け人員の待機場所を設けることは可能とされています。この時、この待機場所については旅館業施設と見なされず、従業員の個人宅であっても差し支えありません。
 しかし、施設外帳場には必ず「監視員」が1名必要ですので、待機場所を別に設けるということは、例外なく最低2名の人員が必要になります。
 なお、一人の駆け付け要員が担当できる施設は5軒までとなっていますので、施設外帳場で10施設のフロント業務を行う場合、2名の駆け付け要員が必要となります。

まとめ

 施設外帳場はまだ運用がはじまったばかりで件数はそう多くないそうです。今までに許可を得ていた施設は2020年3月末日までは現状の運用が可能ですが、それ以降は施設内に駐在するか施設外玄関帳場を用いることが求められます。しかし、この運用が本当に可能なのかについては慎重な検討が必要でしょうし、2020年3月までに紆余曲折があることも予想されます。
 このページは随時更新し、実務で触れている最新の情報をお届けしていきますが、情報には鮮度がありますので、掲載している情報が常に最新で正しいとは限りません。具体的な案件がある場合は、インターネットの情報を鵜呑みにせず、京都市医療衛生センターさんや弊所のような実務家にご相談なさることをお勧め致します。

 4ヶ月ぶりのブログはhttps化についての作業経験をベースにしたトラブル対応です。

 みやこ事務所ホームページ、sslに対応致しました。ずっとやらなきゃと思っていたのですが、忙しくて手をつけられず。
 お客様には「ホームページは手をかけなければ枯れてしまう」と言っている本人がほったらかしにしておいたので、案の定アクセスは全盛期の7割ほどになってしまいました。心機一転がんばります。

 さて、ワードプレスのssl化は意外と簡単です。ドメインにsslを設定し、ワードプレスの設定変えてhtaccessファイル書き換えればほぼ完了、ということになるのです。このあたりは解説がたくさん出ているので割愛します。なおエックスサーバーの解説では、上記の部分までしか書かれていませんが、投稿や固定ページの「http」も「https」に直しておくのが無難。一括変換してくれるプラグインがありますので、それを入れて変換しておくと安心です。

 ところで、実は、それだけやっても安全な接続とはならない場合があります。

1.「一部は安全な接続でない」と表示される場合

 firefoxの画面を見てみると、安全な接続でない場合、鍵の部分に「!」がつきます。
 次の画像をご覧ください。

みやこ事務所httpsに対応しました。

 当事務所のURL左にある鍵の部分、緑色になっています。ところが、下のサイトは黒色で、黄色の「!」がついていますね。

 どうせsslを設定するならクリーンにしたいもの、ということで、このマークが出た場合の対処法です。

1.サイドバーの画像ファイル参照元を確認する

 最も多いのは、サイドバーにバナーを貼っていて、そこのURLを「http」から「https」に変えていない、というケースでしょう。これは、ウィジェット欄を変更することに設定が可能です。

2.ソースコードに直書きしている

 ご自分でソースを書いていらっしゃる場合、関数を使わずURLを直書きしてしまうこと、ありますよね。こういう場合、そこを書き換える必要があります。

3.スタイルシートに「http」を使っている

 同じように、スタイルシートの画像参照でもまれにhttpから始まるURLを使っているケースがあります。この場合、その箇所を修正します。
 多くの場合、以上の3点を確認することで緑色の安全な接続になるでしょう。

2.トップページはリダイレクトされているが、下層ページがhttpでも表示される

 動作確認をしてみて、トップページはリダイレクトされているけれど、下層ページはhttpsでもhttpでも表示される場合、これはhtaccessの既述場所に問題がある可能性が高いと言えます。コピペしたのが一番下であったとするなら、一番上にペーストし直して見ましょう。
 下層ページを開き、httpから入力してリダイレクトしていれば作業完了です。

 httpsは今後順位にも影響してくることが予想されますし、なにより「安全な接続ではない」と出てきたらアクセスする気にはなりませんよね。士業ホームページは昔からマーケティングが熱心だった所ほど「https」への対応は後手になっているのではないかと思います。
 正直15分あればできることですので、土日の空いた時間にでも挑戦なさってはいかがでしょうか。

令和5年12月13日に旅館業法関連の法令が一部改正され「事業譲渡」の手続によって、営業許可の引継ぎができるようになりました。個人・法人いずれが旅館業許可を保有していても、個人・法人のどちらにも事業譲渡によって許可を承継させることができます。
ですので、この記事の情報は掲載時点の情報です。事業譲渡を用いた新しい手続についは「事業譲渡による旅館業における営業許可の引継について」で解説していますのでそのページにてご確認お願い致します。

 最近、京都では旅館業の営業許可(簡易宿所営業)を得ている不動産の売買が行われています。
 このとき、最初に相談してくださればいいものを、手付金を払ってから「許可って引き継げるんですよね?」と電話をかけていらっしゃるケースが複数回ありました。

個人で得た許可の引継はできません!

 ということで、今日は許可の承継に関する論点を検討します。

  • 個人で得ている許可を譲渡することはできません。
  • 法人で得ている許可は「会社分割」によって承継できます。

京都市の旅館業許可申請、報酬168,000円でお手伝いしています。

個人の営業許可は譲渡できません

 旅館業の営業許可は、【特定の施設】で【特定の人・法人】が営業することを認める仕組みです。この二つの要素を売買・贈与等の契約によって動かすことはできません。

個人で許可を得ている施設を購入する場合

 この場合、現在の許可については、廃止届を提出し、新規で旅館業の許可申請を行う必要があります。もちろん、新しい営業許可がおりるまでは、譲渡人(売主)がその名義で運用することは差し支えありません。
 京都の場合、学校照会、消防法令適合通知書交付申請も全て新しい名義人でやりなおす必要があります。

法人の営業許可の譲渡について

このセクションの記述自体は間違いではありませんが、事業譲渡というより便利な制度を使うことができます。詳しくはページ上部の囲み文をご覧になった上、新しい解説ページをご覧ください。

 法人の営業許可については、会社分割の手続を活用することによって承継承認申請を行い、名義を変更することが可能です。つまり、法人の場合、不動産の買主も法人であれば、営業許可の承継をすることは可能ということになります。では、買主が個人の場合は無理かというと、原則は無理なのですが「新設分割」という会社分割の手法により、新たに会社を作って承継させることも可能です。

 但し留意点も必要です。この会社分割は事業譲渡に似ており、債権債務関係も契約によって移転することになります。未払い金等、債務の承継についてはしっかりと確認しておく必要があるでしょう。

会社分割による営業許可の承継承認申請の流れ

 会社分割による承継承認申請は概ね次の流れになります。
(1)分割契約書(分割計画書)の作成とその承認
(2)公告(必要な場合)
(3)旅館業許可の承継承認申請
(4)承継承認通知書の交付
(5)会社分割登記申請
(6)登記完了後、登記事項証明書を提出して手続終了

 承継承認申請後、承認がおりるまでの期間はなかなか予測ができませんが、最短では翌日に承認されたケースがあります。一応実務上は一ヶ月程度が目安と思われますので、官報公告あたりのタイミングで承継承認申請をするのがベターでしょう。

添付書類

 添付書類は分割契約書(計画書)、議事録、定款、登記事項証明書、付近地図の他に【その他】という項目があります。
 この【その他】というのがミソで、好ましくないことですが、ここは担当者によって求められる書類が異なることが予想されます。営業主体が変わることは近隣にとっても重要な情報ですので、近隣への周知は必ず求めらます。

費用面からの検討

 承継承認は原則公告が必要となります。公告に必要な費用は約20万円でそれに司法書士さんへの報酬、登記手続等含めると、分割会社、承継会社合わせて50万円程度の費用は必要になるでしょう。後は旅館業の承継承認申請の手数料1万円弱と、行政書士に依頼するならその報酬になります。
 仮に廃止して新規申請すれば、消防法令適合通知書交付申請で設備業者に10万円、旅館業の許可申請で諸費合わせて23万円と考えれば、廃止+新規申請の方が費用的には安くなると思われます。

まとめ

 現在の営業許可保有者が法人である場合、会社分割を活用した承継承認申請は選択肢の一つになります。メリット・デメリットはあるのですが、活用できる手続であることは間違いありません。とはいえ、会社分割で進めようとする場合どうしても添付書類の【その他】が大きな関心事になってきます。手続の流れだけを見ると簡単なようですが、実務的には繊細な対応が求められますので、法律や京都の条例を熟知した専門家に事前に相談なさることをお勧め致します。もちろん、京都市の窓口で相談しても丁寧なアドバイスを頂けると思います。

 なお、会社合併や個人の相続による包括承継も認められているのですが、不動産の売買とは絡まない論点でしたので深くは検討していません。

 登記などで使われる「原本還付請求」が行政手続一般に使える手続であるかどうかについて検討します。
 本稿の検討は私見に基づくことを予めご了承願います。

行政手続において、行政側から原本還付請求を拒まれた場合、それを認める規定がなければ原本還付はできないと考えるのが相当であろう。

原本還付請求とは

 原本還付請求とは、ある手続において認証印が付された書類を提出する際に、その原本とともにコピーを添付して行政側に原本確認を求め、コピーを行政側に残し、原本は申請者に返してもらう制度です。
 たとえば、相続が発生した場合、その相続人を確定するために戸籍類を取得していくことになります。そして、各種の手続でその戸籍を使います。不動産を持っていれば法務局へ登記申請をします。預貯金があれば銀行宛に使うでしょう。自動車があればその名義変更に戸籍が必要になります。
 このように、戸籍類は方々に提出する必要がありますが、提出先の数だけ戸籍が必要であるとすると、戸籍を集めるだけで相当の出費が必要になります。この時、戸籍類をコピーして(不動産登記申請の場合は相続関係説明図を作成して)、原本を返してもらうことができたら余分な戸籍を取らずに済むし、最後には手元に保管しておくことができて便利ですよね。

 原本還付とは、こういった「役所側で原本であることをしっかり確認できるなら、コピーつければ原本返してあげますよ」という仕組みです。

根拠条文

 実務では「原本還付」と省略されるこの手続は、正確には「原本還付請求」と言うとおり、行政側に求めることができる手続き上の権利ですから、根拠条文があります。その代表的なものが不動産登記規則第55条でしょう。以下に条文を引用します。

(添付書面の原本の還付請求)
第55条  
 書面申請をした申請人は、申請書の添付書面(磁気ディスクを除く。)の原本の還付を請求することができる。ただし、令第16条第2項 、第18条第2項若しくは第19条第2項又はこの省令第48条第1項第三号 (第50条第2項において準用する場合を含む。)若しくは第49条第2項第三号 の印鑑に関する証明書及び当該申請のためにのみ作成された委任状その他の書面については、この限りでない。(以下省略)

 この規定は、私は重要であると考えています。つまり、規則において原本還付請求を認めているということは、反射的に考えると、規則において認められていない場合は原則できないと思えるのです。
 他にも、商業登記法や特許法の規則において原本還付が明文で認められています。

その他の手続

 では、登記以外の手続ではどうでしょうか。「民事訴訟 原本還付」で検索すると、「原本還付申請書」という仙台家裁のPDFファイルが最上位に表示されます。
 であれば、民事訴訟法や関連規則で原本還付に関する規定があるかというと、私が探した限りでは見つかりませんでした。
 行政書士の鉄板手続と言えば建設業許可がありますが、身分証明書やないこと証明の他、事務所の使用権限を証するために提出する登記事項証明書(定められた添付書類ではない)であっても原本の提出が必要で還付は認められていません。
 区役所で戸籍類を代理請求する場合など「委任状はもらっておいてよろしいですか?」と、還付可能であることを前提とした問いかけをされることがあります。

 規則に書いてある手続もあるし、規則に書いてないが原本還付を認めている手続もある。また、認めていない手続もある。これらを論理の無理なく整理するにはどう考えればいいのでしょうか。

整理の結果

 私は、この原本還付については次のように整理して考えています。

法律や規則で原本還付が認められている場合

 当然これは問題なく原本還付が請求できますね。

法律や規則に明文の規定がない場合

 この場合、役所に問い合わせ、認められるというのであれば還付請求をし、認められないのであれば還付請求はできないものと考えます。
 つまり、規定がないけれど原本還付を認めているのはその手続を所管する部署の便宜的取扱であって、役所自体は原本還付請求に応じる義務があるとは言えないと思います。

 原本還付というのは、一般化された手続のように思えるかもしれませんが、不動産登記規則の規定から考えると、決してそうではなくて、手続によって認められる場合もあるし、認められない場合もある。根拠規則があれば認められるが、そうでない場合はこちらから「原本還付してよ」と押し切ることはできないと思えるのですが、みなさんはいかがでしょうか。

 ある手続をしている時、横の席でおそらく行政書士さんと思わしき人が、割と強硬に原本還付を請求していらっしゃり、その理屈として「原本提出は行政指導だ。従う義務はない。原本還付できないなら根拠を示せ」と言うのが聞こえてきました。いやいやいや。私に言わせればそれは逆で、申請者側が原本還付請求できる根拠を示さなければ無理だと思います。京都の運輸支局では相続書類の還付も認めてくれますし、行政の人はちゃんと書類の性質にそった取扱をしていらっしゃるようにも思えます。申請者と受ける側(公務員)は敵じゃない。お互いを尊重して気持ちよく仕事できる資格者でありたいものです。

 民泊について、多くのお問い合わせが続いています。
 しかし、最近、購入後のお問い合わせで「それちょっと難しい(というか実質無理)ですよ?」という事例がことのほか増えています。
 そういった事例を紹介することで、逆に買ってはいけない物件について学んで頂きたく、本稿を出稿します。

京都市の旅館業許可申請、報酬168,000円でお手伝いしています。

一軒おいた隣が許可済物件でも取れない場合がある

非道路の物件だったけど、一軒おいた隣が許可を受けていたし、不動産屋さんも取れるのではないかというので購入。結果許可取得に至らなかった。

 ホームページ内にも書いていますが、路地・非道路にしか接道していない建物は、原則旅館業の許可は取れません。この「原則」というのがミソで、例外的に取れるケースもあります。
 しかし、この例外に該当させるためには、入念な事前調査が必要となります。例外が認められる最低条件は次の3つです。

□建物が昭和25年以前に建てられ、その後増築の登記がなされていないもの。
□非道路(路地部分)について、道路に通じるまでの土地に共有持分を持っているか、公図が旗竿上に分筆されていて単独の所有権を有していること。
□通路部分の最も狭い部分(突起物があればその突起物を含めた一番狭い部分)が、幅員1.5m以上有していること。

 この3つの条件が揃ってはじめて、例外に該当する可能性があることになります。
 逆に言うと、この3つの条件のうちどれか一つでも満たさないものがあれば、それだけでその建物で旅館業の許可を取るのは無理、と言えます(但し、増築の登記がされていても、その原因日付が「年月日不詳」であればは可能性が残ります)。

 本件のご相談を受けたのは、解体直前。既に購入し、プランもほぼ決まってから、という状況でした。

 つまり、もう前に進むしかなかった訳ですが、道路に通じる路地部分の所有権を持っていなかったため、諦めざるを得ない結果になりました。

 許可を得ていた一軒おいたお隣さんは、建築基準法を絡めた審査がなされていなかった時代に許可を取られたものです。現状、京都市はそのような許可物件があることを認めつつ、そうであったとしても「お隣さんで取れているから」「同じ路地内で取っている建物があるから」という理由で許可を認めることはない、と断言しています。

 ですので、同じ路地内に許可を得ている物件があったとしても、それは許可取得を保証する担保にはなりません。このことをよく理解しておく必要があります。

許可済み物件を買っても取り直せない場合がある

許可取得済の物件を買ったけれど、それが建築基準法と現在の条例の基準を満たしておらず再度の申請ができなくなった。

 最近、許可取得済物件の売買が盛んに行われています。
 旅館業の許可は、個人間では相続する場合を除いて承継できないため、許可取得済の物件を買ったとしてもその許可を引き継ぐことはできず、新たに取り直しになります。
 ただし、路地や非道路のみの接道で許可を得ている物件で新たに許可を取り直そうとしても、建築基準法上の要件を満たしていなければ、許可の再取得はできません。

 平成30年3月15日から京都市の旅館業にかかる条例が変更され、避難通路幅が1.5m以上であることを示すための配置図が添付書類となりました。また、この1.5mは審査事項となっており、現地調査の際に実際に測量されることになります。

 本件は、避難通路幅の狭い部分が1.2mと建築基準法の基準を満たしていませんでした。この許可も古い時代に取得されており、そこまで審査が行き届いていなかったものと推測されますが、だからといって取り直しができることにはなりません。

 旅館業の取り直しの場合、廃止届を提出して新規に許可申請を申請することになります(「ハイシン」と呼ばれています)。この時、新規申請で省略できる書類はなく、配置図の添付も必要になります。
 ですので、道幅1.5mない建物は、それだけで旅館の許可は取れなくなってしまうのです。

 許可済だからと言って安易に購入してはとんでもなく痛い目に遭う可能性があります。とりあえず路地や非道路接道の物件を買う前に、専門家に相談するのが望ましいと言えるでしょう。

連棟長屋はホントに危険

連棟長屋を買ったけれど、長屋全体の面積が300㎡を超えていたため消防法上の小規模特例が使えなくなり、計画が頓挫した。

 長屋を購入する場合も、必ず事前に、旅館業に強い専門家に相談すべき、と言えます。

 長屋で旅館をするには、ケアしなければならないポイントが3つあります。
□長屋全体の面積が300㎡を超えていないことを確認する。
□その壁の状態を確認する。
□長屋の他の家屋が、住宅なのかお商売をやっているのか、その用途を確認する(参考)。

 長屋全体の面積が300㎡を超える場合、消防法上の小規模特例が使えません。この小規模特例とは、簡単に言うと火災警報装置器が無線のものでよい、という特例でして、300㎡を超えると、有線にして、しかも長屋全体に設置する必要が出てきます。これを実現するのはほぼ不可能であるため、300㎡の確認はとても大切になります。なお、この300㎡は登記ではなく実際の面積を基準に考えるという点に注意が必要です。

 長屋の壁は、国土交通省告示の準耐火仕様であることが必要です。ですので、リフォーム前に壁の状態を確認して消防署と打合せをする必要があります。

 本件では、リフォーム完了後に相談を受けました。購入前から一級建築士が関与していたという話しでしたが、長屋面積は300㎡を超えており、建築士は消防署に相談にいかないまま壁をきれいに施工してしまっていました。相談者は旅館業をする前提で建物のリフォームを依頼していたのに、誘導灯もつけずに引き渡しがなされていました。少なくとも私はこの建築士と絶対に仕事をしたくないと思いますが、ここからこの建物を宿泊事業に活用していく必要があります。

 出稿時現在、この300㎡の上限基準が500㎡に変更される可能性があると言われており、現状はこの規定変更を待っている状態です。

登記簿上2階建だけど実質3階

登記簿上2階建とされている建物を購入したけれど、建築基準法上3階建になると思料されるため相談だけで終わった。

 木造3階建で、3階部分を使って宿泊事業をやるのは無理です。3階部分を使うためには建物が耐火建築物でなければなりません。しかし、木造の耐火建築物というのは一般住宅ではまだまだ少数です(皆無といっても差し支えないくらいに)。
 ですので、木造の場合3階建でないことが大切な前提になります。

 本件は、1階が駐車場であって、玄関ドアは階段上がった2階部分にあるけれど、登記上は「木造2階建」になっている、という事案でした。

 登記における階数の考え方と建築基準法の階数の考え方は同じではないため、登記上2階建だけれど、実質的には3階建である「隠れ3階」というのは意外にあります。旅館をやる場合には、これはとても重要な論点です。

 私は建築基準法にそこまで精通していないため、建築士を通じて京都市に確認を依頼したところ、3階建である旨の回答を得たため、私はその旨を伝え、お手伝いはしないことにしました。

収益物件の転用は簡単ではありません

何も知らずマンション1棟買って旅館に転用しようと思ったら、完了検査済証がなかった。

 旅館業の許可を簡単に進めるためには建物のうち旅館業に供する面積が100㎡以下の必要があります。
 100㎡を超えると建築基準法上の用途変更確認申請が必要になるため、手続が極端に煩雑になります。

 けれど、100㎡オーバーであっても許可を取りたいというご相談が多くあります。

 このご相談で聴き取るのは次の2つです。
□建築年月日と構造
□検査済証があるかないか

 まず、建物が木造で昭和25年以前に建てられている場合、それは用途変更の土俵に載せることができる建物であると言えます。この場合、私はこの相談をそのまま建築士に取り次ぎます。

 次に、建物が昭和25年以降に建てられている場合、検査済証の有無が大きなポイントになります。
 マンションやアパートの転用で検査済証がなかった場合、旅館への転用は「ほぼ無理」と考えて差し支えありません。用途変更の確認申請はなかなかハードルが高い。

 本件は外国のお客様からのご相談でした。おそらく日本の各種法令についてはほとんどご存じなかったのでしょう。最近はこういう外国人のお客様からのご相談が増えています。
 検査済証がないという時点で難しいことをお伝えし、相談対応のみで終わりました。

 以上、結果的に許可取得に至らなかった事例をご紹介致しました。
逆に言うと、これらの事例に該当していないことを確認しておけば、不良物件購入の確率は下がることになります。しかし、最も望ましいのは買ってからではなく、買う前に専門家に相談することです。

 上記の失敗事例は、たとえば弊所に相談があれば事前に「買わない方がいい」とアドバイス差し上げていた物件ばかりです。不動産屋さんは買ってもらってはじめて儲けになりますので「多分大丈夫でしょう」などとグレーな発言で逃げ道を残しつつ勧められる場合も多いと思われます。
 けれど、旅館業の許可が取れなかったとしても、結局誰も責任は取ってくれません。

 弊所では、簡易なアドバイスは無料でしていますし、現地調査などは54,000円で行い報告書の提出も行っています。1,300万円無駄にするリスクを背負うか、54,000円で安心を買うか。私なら後者を選びますが、みなさんはいかがでしょうか。

 京都は民泊がアツい!
 不動産会社は売れば儲かる、仲介すれば儲かる。
 管理会社は宿泊日数によって儲かる(自分の財布は傷まない)。
 ですので、不動産会社さんも管理会社さんも「民泊は儲かる」とおっしゃいます。
 もちろん弊所もその許可代行でお仕事させて頂いている訳ですが、購入前のご相談があったら、私は一番最初に言います。「既に供給過剰です。それほど利益は出ず、廃業や転売されているケースが多く出始めています」と。

 今日は、民泊新法で加熱するビジネス、セミナーなどに一石を投じたく、この事実を、データからご案内致します。

使用するデータ

□京都市産業観光局の宿泊数データ
http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000224/224921/besshi1.pdf
□平成27年の京都府統計白書
http://www.pref.kyoto.jp/tokei/yearly/tokeisyo/tsname/tsg1421.html

このデータを基礎に予想値を計算しつつ、需給バランスを検討します。

基礎となる数字

 まず、宿泊施設数は、京都市が公開している平成30年2月末時点での数値を用います。

  • ホテル:210軒
  • 旅館:367軒
  • 簡易宿所:2,210軒

 次に、客室数は、平成27年京都府統計白書に記載の京都市データを用います。なお、簡易宿所については室数データがないため用いません。

  • ホテル:163軒で20,830室
  • 旅館:369軒で5,467室

現在へのあてはめ

 この数字をベースに、現在の室数を仮定します。単純に27年の平均値を30年2月末時点の数字に掛け合わせて計算します。

  • ホテル:210軒で26,836室
  • 旅館:367軒で5,437室
  • 簡易宿所:2,210軒

 さて、この部屋数に宿泊できる定員数を算出します。本稿はあくまで簡易な検討であって、仮定の数字を用いざるを得ません。
 ホテルについてはシングル・ダブルの部屋が混在していますので、定員は1~2の間になります。ここでは中間をとって、1室あたりの定員を1.5名と仮定して計算します。また、旅館については施設基準から定員3名程度が予想されますので、若干少なめにして2.5名と仮定して計算します。
 簡易宿所については、弊所の許可取得実績から定員は7名と仮定します。簡易宿所は定員3名の場合もありますし、100名を超える施設もあります。この「7名」という仮定はかなり少なめであると思います。

弊所で仮定した平成30年2月末現在の宿泊定員

  • ホテル:210軒で26,836室×1.5人=40,254人
  • 旅館:367軒で5,437室×2.5人=13,529人
  • 簡易宿所:2,210軒×7人=15,470人
  • 合計:69,253名

 この検討からは、京都市の1日の宿泊定員がおよそ7万名規模になっていると導き出されます。ただし、この施設には、民宿もラブホテルも含まれていることにも注意は必要でしょう。

宿泊者数の検討

 次に宿泊者数を検討します。
 京都市産業観光局の統計を使います。まずは同じ人が連泊しても2名とカウントされる「延べ人数」ベースで考えます。

  • 平成27年:年間20,361,000人
  • 平成28年:年間21,500,000人

 この伸び率で平成29年の年間宿泊者数を計算するとおよそ21,639,000人となります。これを365日で割ると1日の人数が出ます。計算すると、1日の宿泊者数は59,284人となります。
 京都市内は宿泊施設数が足りない足りないと言われていますが、控えめに計算してみても、

予想宿泊可能定員数69,253名>1日あたりの宿泊者数59,284名

 と、既に116%の宿泊定員を受け入れ可能であることが分かります。16%しか余剰ないやん?と思われるかもしれませんが、数値にしたら1万人分の客室が余ることになるんですよ!ものすごい数字ではないでしょうか。

繁忙期はどうでしょう

 上記検討は年間ベースの平均値です。では、繁忙期はどうでしょうか。上記産業観光局の統計によると、月別でみれば4月が最も多く月間延べ1,996,000万人が宿泊されています。これを日数で割りますと1日平均64,387名となり、繁忙期でも収容定員が上回っていることを示しています。但し、繁忙期の週末はどこも予約できないと言われますので、今回計算した予想値は現実と近いのではないかと思えます。

増加率

 宿泊者数は平成27年から平成28年にかけて5.5%増加しています。これに対して宿泊施設数はホテル・簡易宿所含め815件の増加です。仮に1室あたりの定員をホテル1.5人、旅館2.5人、簡易宿所の定員を7人と考えたとき、増加率は次のようになります。

  • ホテル:平成27年定員:31,245人 / 平成28年定員:35,078人
  • 旅館:平成27年定員:13,667人 / 平成28年定員:13,630人
  • 簡易宿所:平成27年定員:34,104人 / 平成28年定員:73,157人

 増加率は54%となります。いかに供給が増えているかが一目瞭然で分かりますね。今後は母数が増えていきますので増加率自体は鈍化していきますが、件数自体は平成30年もほとんど変わらないかむしろ増加していくのではないかと感じます。

民泊新法の予想届出件数

 報道によると、京都市では民泊新法による届出件数を2,000件超と見積もっていらっしゃるようです。
 民泊新法の届出は、マンションであっても1戸ずつ届け出ることになりますので、定員は3名弱が一般的となるでしょう。それでも、7,500人分の宿泊定員が増強されることになります。もちろん、簡易宿所営業に関する申請も減っていません。むしろ増えている傾向にあります。
 この状況で、新しく買って簡易宿所で十分な収益を上げることができるのでしょうか?

まとめ

 私たち事業開始をお手伝いする側からみれば、昨今の民泊ブームはまさにゴールドラッシュに似た状況に思えます。ゴールドラッシュで一番儲けたのは道具屋だと言われますが、民泊でも一番儲けているのは消防設備業者さんであることは疑いの余地がありません(笑)。じゃあ行政書士もでしょ?と思われるかもしれませんが、ウチは98,000円という尋常でない低価格でお手伝いしておりますので利益など出ていません。儲けているのはセミナーやって1件30万程度取っている書士さんくらいでしょう。
 民泊には不動産が必要ですが、京都はブランド力があり、民泊が上手くいかなくても転売すればいい、という考え方もあります。それは一理あると思います。ただ、今は民泊狙いで京都の不動産が高騰しており、尋常ではないと思える価格で売買がなされています。
 お金がありあまって仕方ない海外投資家の皆様なら格別、そうでなくて「民泊でひとやま」とお考えであれば、上記検討をよくご参考にして頂き、現状既に供給過剰であるという認識のもとにスタートなされることをお勧め致します。

 確定申告が終わってようやく一段落…という間もなく、民泊新法のお問い合わせが1日5件ペースで入っています。京都市さんも説明会で「行政書士に依頼する方がいい」と連呼していらっしゃったそうで、一大ビジネスチャンス!なのかも知れませんが、とりあえずはSIMカットが意外に簡単だったことをお伝えしなければなりません。

  • はさみでSIMをカットするのに必要なもの、それは勇気。
  • そして抜群に切れるはさみ。

はさみでSIMカット

MicroSIMからNanoSIMへ

 今回、3年弱使ったタブレットがあまりに遅くなってきたので、HUAWEI nova lite 2 を購入、hi-hoのSIMを刺して運用することにしました。
 このため、MicroからNanoへの変更が必要となりました。

SIMカットの方法

 SIMをカットするにはSIMカッターを使うのが一般的のようで、大手通販サイトでは数多くのレビューを見ることができます。
 しかし、カッターを買うために1,100円払うくらいなら、最初から手数料3,000円を支払っても大差ないように思い「思い切ってはさみできっちゃおう」と決断、朝一番にサクッとやってみました。

今回のカットで使ったもの

 私がカットするのに使ったのは、はさみのみです。台紙などは使っていません。まず、使わないSIMがあったので、それで試し切りをして、いわゆる「バリ」が出ないことを事前に確認しました。

カットの手順

 私が行ったカットの手順です。

1.向きを確認する

 まず、SIMの金色の基板部分はほぼ正方形にできていますが、MicroSIMを使っていると、挿入する方向と同じ向きに、3列の「跡」ができているはずです。その「跡」を確認することが大切です。

2.基板を切り落とす側を再度確認する

 次に、NanoSIMにカットする場合、基板の一部を切り落とす必要がありますが、これは3列の「跡」のついていない側のブロックを切り落とすことになります。

3.切り落とし開始

はさみでNanoSIMにカットする場合の切り方
 私の場合、上記写真のイメージで切り落としました。まず、写真でいうと左側を基板のギリギリのところまでザックリ切断しました。
 次に、上下を同じく基板ギリギリのところまでザックリ切り落とします。

 これで、上下の部分がきっちりフォルダにハマるかどうかが確認できます。実際に入れてみて確認することが大切です。
 
 さて、ここまで案外すいすいできるものですが、次が勝負。
 最後の右側を切り落とします。私の場合、最初から基板の部分を少し含めてザックリ切り落とし、次にフォルダに合うまで細かく何度も切りました。切れ味の良い優秀なはさみだったのか、バリが出ることなく1mmくらいの細さで綺麗に切り落とせました。ちなみに、使ったのはD&Sの料理ばさみです。

しっかりはまれば完成

 インターネットの記事やレビューを読んでいると、切断面が綺麗でないと、SIMが引っかかって出し入れができなくなると言う記載が散見されました。はさみで一気に切ると切断面も綺麗だったので、やすりをかけたりもしていません。最後にSIMを挿入、認識してくれたら無駄に出し入れせずこれで終了!です。
はさみでNanoSIMにカットする場合の切り方2

まとめ

 私は通話はいまだガラケーでして、端末用にはデータ専用SIMを使っています。ですので正直「ダメなら解約して新しく契約すればいい」という割り切りで挑戦しています。性能の良いはさみを使えばそれだけでカットできると実感しましたし、次の機会があっても多分はさみを使うでしょう。
 ただし、これは自己責任になりますので、くれぐれも他の記事なども参考にして頂き、慎重に作業頂きますようにお願い致します。仮に失敗なさっても弊所では一切の責任を負うことはできないことを明記致します。

 でも、スマホって楽しいですね。毎日グーグル先生に「キナリレって知ってる?」と聞いてみるんですが「分かりません」で返ってきます。AIもまだまだですね。

 民泊新法の施行が近づいてきました。事前相談は3月15日開始とされており、弊所も既に受任している案件があります。
 しかし、民泊新法を活用した完全な「民泊」は日数制限が180日とされているため、稼働率を考えると事業には不向きです。一方、Airbnbなどの仲介サイトは6月15日以降許可取得物件や届出済物件しか掲載されなくなると言われており、この噂から今無許可民泊を運営していると思われる方からの相談も増えています。

 無許可でやっている民泊には、無許可でやり続けている理由があるのでしょうけれど、京都では「取りたくても取れない」物件がたくさんあります。そう、それはいわゆる「路地奥」に建っている風情ある長屋です。

 最近、路地奥物件を買ってから「許可を取りたい」というご相談が以前にも増して増えているため、問題点を整理するために本稿を出稿します。
京都の路地

結論

 不動産チラシなどで「再建築不可」とされている建物を購入して簡易宿所の許可を得るのはきわめてハードルが高い、と言える。

前提

 旅館業法の許可を取得して営業を営むには旅館業の許可が必要になります。
 しかし、これはいわばソフトの問題であって、ハード面では別の法律に要件が定められています(旅館業法にも一部ハード面に関する規定はあります)。それは建築基準法であり消防法です。
 つまり、適法に旅館を運営するためには、旅館業法以外にも遵守しなければならない法律がある、ということになります。

既存の建物を購入して旅館にする場合

 既存の建物を購入し旅館として使う場合、次の2パターンが考えられます。

  • 元から旅館をやっていた建物を購入して旅館として使う。
  • 旅館以外の用途で使われていた建物を購入して旅館として使う。

 この時、最初の「元から旅館をやっていた建物」を購入するのであれば、元の用途自体が【旅館】であった訳ですから、建物の用途は変わりません。
 ところが、それ以外の用途で使われていた建物を旅館として使う場合は、建築基準法上の用途を変更することになり、建築基準法第87条を考慮する必要が出てきます。
 この用途変更については、ごく簡単にまとめると「原則的に用途変更をする場合は確認申請が必要となるが、100㎡を超えない場合は確認申請は必要ない」というのが実務的な指針になります。ここで一般の方がよく「確認申請が必要ないのだから建築基準法は関係ない」と考えらるようですが、これは正しい理解ではありません。
 100㎡を超えない場合の用途変更は「確認申請が必要ないだけであって、用途変更に関する各種の規定は満たす必要がある」というのが考え方になります。

住宅を旅館に用途変更して使う場合

 さて、京都市で一般化している用途変更、すなわち普通の戸建て住宅を中古で買って用途変更し、旅館として使う場合を想定して検討してみましょう。
 当事務所では、次の順序で聞き取りをしています。

  1. 前面道路について
  2. 用途地域について
  3. 階数について

 この、最初の前面道路、これが本稿の主題ですが、用途変更するためには、建築基準法(以下「建基法」と省略)の各種規定を満たすことが前提となります。道路については建築基準法第43条第1項で次のように規定されています。

(敷地等と道路との関係)
第四十三条 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。第四十四条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。ただし、その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したものについては、この限りでない。

 これは要約すると「建物を建てるとき(用途変更するとき)は、建築基準法で道路と認められた道路に2m以上接道しなければなりませんよ」という意味になります。
 ですので、道路に面してなければその時点で用途変更は原則無理、ということになるわけです。

建築基準法上の道路であるかどうかを調べる方法

 そうであるなら、旅館ができるかどうかは、まず道路に接しているかどうかを調べる必要があります。京都市ではインターネット上で道路種別を確認できるサービスを提供しており、そこから道路の種類を調べることができます。
 道路種別は地図に着色する形式で示されており、その色が「赤色」であれば、その敷地に建つ建物を旅館として使うことは原則として難しいということになります。
 そして、京都市において行き止まりの「路地状」の通路についてはほとんどが赤色着色になっています。ですので「京都市内では原則として路地状物件で許可は取れない」という結論が導き出されるという理屈になるのです。

原則に対する例外の存在

 先ほどから「原則」と繰り返していますが、この原則に対し例外が存在することも事実です。ただし、その例外は要件がきわめて厳格で、一般化してインターネットで公開できるほど周知されている訳ではありません。ですので、この例外については個別相談で対応していますが、ただ一つ、現時点で確実なことを一つお伝えできます。それは、

建築基準法施行以後に建築(一部増築含む)された建物については、非道路に接道しているだけでは例外なく許可が取れない。

 ということです。確かに路地奥の不動産は安い。しかしそれは再建築不可で土地の価値が低いからに他なりません。ですので、旅館に転用する目的で路地物件を探すのであれば、建築基準法施行以前に建っていた建物で、その路地部分も建築基準法施行以前から通路して存在していることが最低限の要件となります。それをクリアしても所有形態や通路幅員など、クリアすべき要件はたくさんあります。ですので、結論としては「路地状物件は安易に手を出してはいけない」ということになります。

まとめ

 話しが長くなりましたのでまとめておきましょう。

  • 住宅として使われていた建物を旅館として転用するためには建基法も考慮する必要がある。
  • 建基法では、敷地が道路に接道しているかどうかの確認が第一歩となる。
  • 接道要件を満たしていない場合、建物は旅館として使うことができない。
  • 京都市内の路地状通路はほとんど道路とみなされていない。
  • つまり、路地状通路のみに接っしている敷地は接道要件を満たすことができない。
  • よって路地奥の建物で旅館を運営するのは難しい。

 という理屈になります。

路地状敷地が非道路でなかった場合

 では、仮に路地状敷地が非道路でなかった場合、何の問題もなく旅館への用途変更ができるのかというと、それも簡単ではありません。
 何故なら、京都市建築基準条例第9条に「原則として路地状敷地に特殊建築物を建築してはいけませんよ」と定められているからです。この規定にも例外規定がおかれているのですが、クリアするのはハードルがかなり高い要件です。

 以上の検討から、路地にのみ接している敷地に建っている建物の用途を変更し旅館として用いるのはなかなかに困難な手順が必要となります。
 ただし、先述のとおりこれには例外もあって、現に弊所でも路地の奥の奥で、建築審査課との協議を経て旅館業の許可を取得した建物もあります。買ってから後悔してもはじまりませんので、買う前に建築士などの専門家へご相談なさることをお勧め致します。

 今週は打ち合わせも減り、HTMLのコーディングにいそしんだ一週間でした。
 そう、Wordpressで作ってないウェブの管理はPタグも手打ちでやってるんです!
 200ページくらいのボリュームになってきて、メニューを変更するのも尋常じゃない手間がかかる。なので、まずパーツ化に着手して、メニュー、サイドバー、フッターはラクに管理できるようにしました。
 コーディングしているのは法律系のページ、そのほかにも医療系ウェブの制作もやっており、息が詰まって叫びたい気分です…。

 さて、法律事務所のページ制作やリスティング管理の打ち合わせをしている中で「交通事故の無料出張相談」で検索した結果を調べました。
 今日はその件に関する雑感を綴ります。

無料出張相談

 士業が行うこの無料出張相談には二つの意味があると考えられます。一つ目は「無料相談」であること。そしてそれを「出張って」行うことです。
 この無料出張相談は、最近多くの法律事務所が注力して広告しています。
 人が動くと移動するのにも費用がかかりますが、いわゆる交通費についても事務所負担の場合もあれば実費を請求していらっしゃるところもあるようです。

どんな事案でも相談できるのか?

 さて、ここからが本題なのですが、東京で追突されむち打ちになった被害者に対し、福岡の法律事務所が無料出張相談するかと言えば、するところもあるかもしれませんが、しないところの方が多いでしょう。
 つまり、法律事務所の「無料出張相談」は、重症事例に限定している所が多い、と私には思えます。
 インターネットで記載されている要件を見ると

  • 高次脳機能障害と診断された方
  • 等級が1級~5級と認定された
  • 出張相談については、一定のケースに限定
  • 出張相談に応じることを約束するものではない

 もちろん、条件を付すことなく「近隣地域であれば対応する」という事務所さんも見受けられました。
 しかし、上位表示されているところほど条件を付しているのは興味深い傾向です。

何故条件を付すのか

 どれだけ建前を言っても、重症事案が高額報酬に結びつきやすいという点は否定できないと思います。
 身体が動きづらいのは入院している被害者さんだけではありません。むち打ちだって辛い症状で、寝返りも一苦労という人も少なからずいらっしゃいます。

 交通事故で被害に遭われた方を社会的正義から救済しようとするのであれば、怪我の程度で相談対応に優劣をつけるのはいかがなものかと思えます。
 しかし、他方から見ると最初に明確な要件を提示しておくのも親切なのか、という気がしなくもありません。

 重症事案は賠償額が高額になる上、後遺障害部分の争点がないようにも見えるため、扱いやすいと考えられているのでしょうか。

当事務所の後遺障害無料相談

 弊所では、むち打ちであっても三重県まで車を飛ばして相談にお伺いしています。もちろん、入院中の患者様に面談するために病院へ伺うこともあります。
 後遺障害というのは、通院中から静かな戦いが始まっています。戦う相手は、保険の論理をふりかざし、治療費を打ち切って自賠責の120万円までに支払いを収めようとする保険会社の場合もあり、医療機関の無理解の場合もあります。
 弊所は、交通事故で相談から受任に至る割合はそれほど高くありません。こちらのお仕事になるかどうかなどは二の次でかまわないのです。
 まずは厳しい現実を知り、それにどう備えていくかが大切です。

 とはいえさすがに弊所でもむち打ちで札幌の被害者さんの所まで出張で行けるのかと言われれば「状況による」とお答えせざるをえません。
 でも大丈夫。弊所は法律事務所のホームページを作っている関係で、北海道から沖縄まで、全国各地において交通事故で実績をあげていらっしゃる弁護士の先生を存じ上げており、その先生をご紹介差し上げることでお役に立つことができます。

 ですので、重症度やお怪我の状態にかかわらず、稚内から糸満市(実際にお電話頂いたことがあります)の皆さままで、もちろん石垣島の皆さまも、どうぞお気軽にご相談のお電話をおかけください。人と話してみると安心することができますし、絶対損にはならないと思います。

 3月15日事前受け付け開始、民泊新法に関する動きが慌ただしくなっています。
 知られているようで知られていないこの民泊新法の世界観をごく簡単に紹介致します。

  • 正式名称は「住宅宿泊事業法」と言います。
  • 届出制での運用となります。
  • 構造設備の基本は台所・浴室・便所・洗面です。
  • 管理運営は委託しなければならない可能性があります。
  • お住まいの自治体に条例委任されている部分が多い制度です。

住宅宿泊事業法とは

 民泊新法の正式名称は「住宅宿泊事業法」です。これは、文字通り「住宅」をして「宿泊」の用途に供することを「事業」とすることを認める法律、と言えます。

普通の家を「宿泊用」に貸し出してもいいよ。

 という法律ですね。

 逆に考えると、今まではそれができませんでした。特区民泊が認められている地域を除き、日本では「民泊」は違法で、宿泊のために部屋を提供するには旅館業の許可を得なければなりませんでした。よく問題になるのが不動産賃貸借との相違です。旅館業も貸室業・貸家業も部屋を提供することに違いはありません。
 ただ、1日だけ貸す場合も不動産賃貸借で事足りるなら、旅館業法は不要になってしまいます。厚生労働省では「生活の本拠を置く」かどうかを基準に解釈し、置く場合は不動産賃貸借であって、そうでない場合は旅館業という認識を取っているようです。

Airbnbの浸透、外国人観光客の急増、東京オリンピックでの宿泊施設確保など、複数の要因が重なって法制化が検討され、平成29年6月16日公布されました。そして、平成30年6月15日から施行がはじまります。

民泊と旅館業

 前述のとおり、特区民泊を除き日本では民泊は違法です。ですので旅館業の許可を取得してゲストハウスを開業する訳ですが、許可を得ればそれはもはや「民泊」とは呼べないはずです。しかし、近隣住民の認識からすれば管理者が常駐しないものは全て「民泊」と捉えがちであり、旅館業の許可を取ってゲストハウスを開業することを「民泊」と考えられているケースが少なからずあります。これは、そのゲストハウスをどの角度から見るか、という問題なのでしょう。

住宅宿泊事業法の特徴

 さて、この民泊新法は、実体に合わせて作られています。
 今、ゲストハウスを運営するには、事業主・建物を管理する主体・リスティングを管理する主体の三者の存在が必要になっています。
 収益を上げるためには全てを事業主がやればいいのですが、民泊新法ではそれが簡単にはできません。
 まずは必要な物・人を確認します。

住宅宿泊事業を運営するのに必要なリソース

  • 住宅
  • 住宅宿泊事業者
  • 住宅宿泊管理業者
  • 住宅宿泊仲介業者

 それぞれみていきましょう。

住宅

 民泊新法で事業をはじめるには、住宅が必要です。当たり前のことのようですが、意外に大切です。つまり「住宅として基本的な設備を有している必要がある」ということです。
 旅館業法で簡易宿所の許可を取る際、キッチンは必要ありません。火事のリスクを考えるとむしろ不要と言えるくらいです。しかし、民泊新法では台所が必要になると明記されています。但し、京都の旅館業では浴槽が必須で随分悩まされますが、民泊新法はガイドラインで「シャワーで良い」とされています。京都はどうなることやら。

住宅宿泊事業者

 これは文字通り、事業を行おうとする人ですね。自己所有物件だけでなく賃貸で届け出るケースも考えられます。

住宅宿泊管理業者

 事業主に課せられている様々な義務を代わってやってくれる業者です。国土交通省への登録が必要となります。
「管理は自分でするよ」と考えたいところですが、そう簡単ではありません。届出室数が6を超える場合、また、同一敷地内か隣接敷地内の住宅でない場合、管理委託が義務づけられます。
 つまり、自分で管理できるのは

  • 5室以下の部屋数で
  • 自宅の敷地か隣接敷地内の建物で届出する時

 という限られたケースになってきます。

住宅宿泊仲介業者

 これは、リスティングをする会社のことですね。Airbnbやブッキングドットコムのことです。民泊のマッチングアプリの中には旅行業の許可を得ていないものがあったようですが、仲介業者として観光庁へ登録することにより適法に事業をすることができるようになります。

消防の論点

 民泊新法でも、自動火災警報装置や非常用照明と言った防火設備が求められています。
 京都では、基本的に旅館業法で消防法令適合通知書を得るのと全く同じ設備・手順が必要となります。

 大切なことは、消防関係で何の対応もせず民泊新法の届出が出せるということはありません。必ず何らかの対応をする必要は出てきます。

まとめ

 とてもおおざっぱではありますが、民泊新法を概観しました。
 民泊新法は「住宅」を「宿泊施設」として貸し出すことを「事業」にできる法律ですが、安全を考慮し消防の関与が必要になります。
 また、自分で管理できなくはないのですが、なかなか厳しい要件が入っています。

 京都では既にゲストハウスビジネスが飽和状態になりつつあるような気配で、廃業したり早々に転売されているケースも散見されるようになりました。
 とはいえ、この民泊新法は、空き部屋で困っていらっしゃるようなマンションオーナーさんにとっては有力な選択肢となるでしょう。

 デュアルスタンバイ・デュアルアクティブ(以下、「DSDA」と略します)携帯VAIOPhoneにソフトバンク銀SIMを挿して使い始めました。
 その導入アプローチとトラブルシュートです。

  • ガラケーから変更の場合、ソフトバンクへの持込機種変更でプラン変更してもらう必要があります。
  • ソフトバンクのマイクロSIMにhi-hoのnanoSIMを挿して使い始めました。
  • DSDAは快適に作動します
  • メールの送受信はアプリ「ソフトバンクメール」を使うのが第一選択、と言えます。

DSDA携帯のメリット

 DSDAを使うメリットは、ナンバーポータビリティで携帯キャリアを引っ越すことなく、電話代を劇的に減らすことができる、というものです。
 このDSDAは、私の親族が使っているのですが、月々の電話代は2,000円弱、あとはデータ通信SIM代です。
 もちろん、これには使い方の特性があります。私の親族の使い方は以下のとおりです。

  • 電話はほとんどしない。
  • メールも基本しない。
  • 家ではwi-fiをとばしている。

 こういった人は、携帯電話のプランで最も安いものを選択できますので電話代が下がっているという側面もあることに留意願います。

ソフトバンクの契約内容

  • 基本プラン:ホワイトプラン(月980円)
  • データプラン:パケットし放題S for スマートフォン(2.5GB)(月372円~上限5,700円)
  • ウェブ使用料:300円

 これだけです。

格安SIMについて

  • 会社:hi-ho
  • 契約タイプ:hi-ho LTE typeD アソート(3枚のSIMで月1,522円で)

 3枚全部使っていますので、1枚割にすると500円ちょっとです。そのうち最も使わないものは高速通信をオフにしていて、月3GBの割り当て量も残ってしまうくらいです。

導入の手順

 まずは、SIMカードを変更する必要がありましたので、ソフトバンクで持込機種変更の手続きをしてマイクロSIMに変更、プランを上記の最も安いものにしました。
 最近のDSDAはSIMスロットがnano×2の機種が主流になっています。マイクロで使う場合もアダプタをはめれば済むことですので、今後を考えるとnanoSIMが便利と言えるでしょう。
 hi-hoのSIMはnanoを選択しています。なお、VAIOphoneはもう製造中止になっていますが、SIMを二枚挿しするとSDカードが使えなくなるので要注意です。

 次に、元の携帯でアドレス帳などをSDカードにバックアップして、スマホへ移動させます。
 スマホからDSDAへの乗り換えをお考えの場合、lineはグーグルドライブへバックアップできるようになっており、復元も簡単です。

各種設定

 導入部分をちょっとはしょりましたが普通にアンドロイド携帯を使い始めるのと同じですので、携帯電話を起動した後のガイダンスにそって進めていきましょう。グーグルアカウントは必須ですね。

 さて、ここからです。

SIMの使い分けを設定する

 まず、電話とデータ通信の優先SIMを設定します。

【設定】→【SIMカード】と進み画面下【優先SIM:】でモバイルデータと通話の優先SIMを設定します。

 モバイルデータは格安SIM会社、優先SIMはソフトバンクに設定しましょう。

 ここまでの設定では、次のようになっています。

  • 優先SIMは設定できた。
  • どちらのSIMでも【データ通信】は有効になっている。

そして、

  • 電話はできる。
  • 格安SIMのAPN設定をすれば、データ通信も使える。
  • SMSは送受信できる。
  • いわゆるEメールは送受信できない。

 ここから、Eメールを受信できるように設定していく必要がありますが、先に結果を書いておきます。

  • ソフトバンクメールを使わなければwi-fi環境でEメール受信はできない。
  • SMSは標準のアプリ、Eメールだけをソフトバンクメールで送受信するという切り分けた使い方はできないようだ。
  • 適切にAPNを設定しソフトバンクSIMのデータ通信を有効にすれば標準のアプリでメールの送受信が行えるようになるが、通信料が発生する。
  • Eメールはwi-fi環境だけで送受信しよう、という割り切った使い方が必要になる。

Eメール受信のための設定

 上記のような結果になりますので、ソフトバンクメールをインストールしましょう。

 ソフトバンクメールをインストールしたら、「ソフトバンク銀SIMに関するAPN設定」を参考に、ソフトバンクメールでwifi送受信設定を行うためのAPNを設定しましょう。

□【設定】→【もっと見る】→【モバイルネットワーク】→【SOFTBANK】→【アクセスポイント名】にアクセスして操作します。APN設定後は保存をお忘れなく。

 ここからがちょっと大切です。

  • 【設定】→【データ使用量】をクリックし、ソフトバンクのモバイルデータ通信が有効になっていることを確認します。
  • タブをデータ通信専用SIMに切り替え、モバイルデータ通信を一旦無効にします。
  • 【設定】→【SIMカード】で【優先SIM:】の【モバイルデータ】をソフトバンクに変更します。

 この状態で、ソフトバンクメールを起動してwi-fi送受信設定を行いましょう。万が一上手くいかなければ設定を見直す前に、wifiを切断して再チャレンジしてみましょう。

 これで、ソフトバンクメールを使ってwi-fiから送受信が行えるようになります。

 しかし、このままの状態ではEメールを読み込み事ができません。メールを読み込むためのAPN設定を行い、APNの切り替えを行います。
□【設定】→【もっと見る】→【モバイルネットワーク】→【SOFTBANK】→【アクセスポイント名】に再びアクセスして上記リンク記事を参考にメール送受信用アクセスポイントを作成、そちらに切り替えます。この時最初に作ったAPNは削除する必要ありません。

 ここまでの設定で次のような状況になります。

  • 電話:できる。
  • インターネット:できる。
  • SMS:できる。
  • Eメール:できる。
  • Eメールwi-fi送受信:ソフトバンクメールを使えばできる。

最後の設定

 しかし、データ通信などの各種設定を変えていますので、最後にそれを最適化します。

  • 【設定】→【データ使用量】をクリックしソフトバンクのモバイルデータ通信を無効にします(これで通常のEメール送受信はできなくなり、wi-fi環境下でのみ送受信可能となります。)
  • タブをデータ通信に切り替え、モバイルデータ通信を有効にします。
  • 【設定】→【SIMカード】で【優先SIM:】の【モバイルデータ】をデータ専用SIMに変更します。

 これで設定完了です。

  • 通話の優先SIM:ソフトバンク
  • モバイルデータの優先SIM:データ通信専用SIM
  • ソフトバンクのデータ通信:無効
  • データ通信専用SIMのデータ通信:有効

 こういう設定になっていることを確認しましょう。

トラブルシュート

データ通信専用SIMの電波受信アイコンが無効になる。

これは、ソフトバンクのAPN設定が正しくできていないことに起因する現象と考えられます。

wi-fiのない環境下でEメールを受信したがメッセージをダウンロードできない。

ソフトバンクのモバイルデータ通信を有効にすれば受信できます。但し、受信後は無効にしておかなければ膨大な課金を食らう可能性もあります。

ソフトバンクメール以外のメールアプリで送受信を行いたい

私が試した範囲では、SMSとEメールの送受信を別々にすることはできないようでした。Eメールをwi-fi環境で送受信するためにはソフトバンクメールを使うしかありません。逆にwi-fiで使うことを捨てるなら、Eメールを受信する度にソフトバンクのモバイルデータ通信を有効にすることで他のアプリを使うことができるでしょう。

やってはいけないこと

 ソフトバンクのモバイルデータ通信を常時有効にしておくと、格安SIMを挿して運用する意味がなくなり、多額の課金発生が予想されます。ですので、ソフトバンクのモバイルデータ通信は無効にしておくことが望ましいと言えます。また、有効にしている状態で上限使用量を定めると、1日5MB程度の使用で自動的に無効になるよう設定できるようです。私は心配性ですので、その上限設定をした上で、データ通信は無効にしています。

まとめ

 DSDA携帯の二枚挿しは最新機種がお手頃価格で使えるので便利です。Eメールの送受信が不便で完全に使える訳ではないのですが、2,000円という料金を享受するには受忍できる不便さでしょう。本当は写真付きで紹介すればいいんですが、行政書士事務所のブログにつき、そこは簡略化ということで。

 あけましておめでとうございます。
 行政書士事務所が新年一本目に書くブログが「トイレ詰まりかよ」とは思いつつ、このブログはインターネットで答えを探していらっしゃる方々に有益な情報をお伝えするのが責務です。ということで、新年早々トイレ詰まりを修理した件についてリポートします。

  • 出現している状況の原因を考えました。
  • 配管の構造を調べました。
  • ポンピングツールよりも水圧が大切と結論づけました。
  • 大量の水を一気に流し込む行為を繰り返すことでトイレ詰まりを解消できました。

トイレ詰まりの原因を考える

 トイレが詰まったからには、詰まった原因があるはずです。通常使用している場合、その原因は二つしかないと私には思えました。つまり「自然と詰まった」のか「詰まるものを誤って流してしまったのか」です。

 詰まるものを流してしまった場合、それを除去しない限り問題は解消しません。しかも、押し流すことは危険なので、便器側に引き戻すという作業が必要になります。トイレ詰まりを直すあのポンプツールでスポスポやる感じですね。

 私の場合、詰まるものを流したというのは考えられなかったので、自然と詰まったと仮定しました。それであれば、詰まりの原因になっているものは押し流しても良いもののはずですし、それを押し流しきってしまえば詰まりは解消されることになる、と考えました。

配管の構造

 配管の構造はインターネット上で確認することができます。水の流れは便器から一度上がる構造になっています。多くの場合詰まるのはその部分であるようです。

水圧で押し流す

 ポンプツールは空気を押し入れして詰まってるものを引っ張り出す訳ですが、今回は押し流す作戦をとりますので、大きなバケツと灯油を入れるポンプを買いにいきました。

 まず、灯油のポンプで便器の中の水を全て吸い出しました。不思議なことに、吸い出してもチョロチョロと水が入ってきてまた貯まり出します。ですので、水を吸い上げるとそれを捨て、急いでバケツ一杯に水を入れてトイレの奥めがけて一気に水を流し込みました。

 すると、汚れのようなものが浮き上がってきました。これはこの作戦が方向性としては間違っていなかったんだという示唆になりました。
 ところが、再び水を流しても流れはするものの水流がおかしく綺麗に吸い込んでくれません。

繰り返し押し流す

 圧力をかける際に大切なのは繰り返すことです。よく映画などであるシーンとして、一度では蹴り破れなかったドアを何度も蹴って破るシーンがありますよね。ああいうのをイメージして、水を吸い出しては流し込むという作業を6回ほど繰り返しました。

ついに直った

 そうすると、ついにティッシュが綺麗にくるくる周りながら吸い込まれ、その後はシュルシュルと水が戻ってくるという美しい状態になりました。

アドバイス

□ 便器の中の水は完全に抜いた方が良い。
→この水流で押し流す作戦は「勢いよく流し込む」というのが大切です。ですので、便器の中の水を完全に抜き取り、水圧がダイレクトに伝わるようにした方が効果が高いと言えるでしょう。

□ 最初に水を流すときは、大量でない方が良いかもしれない。
→私の場合、大量に流し込んでも押し戻されませんでしたが、詰まりがひどい場合、水が押し戻されて便器が溢れる可能性があるかも知れないと後から思いました。
ですので、最初に流す場合は、便器一杯の量くらいを目安にすると良いでしょう(それでも結構な量ですが)。

□ 簡単に諦めてはいけない。
→3回やっても上手くいかなくても、少なくとも10回以上やる価値はあるでしょう。サインは戻ってくる水だと思います。水を流し込むと結果的に便器に水が戻ってくることになりますが、そのとき汚水があれば、つかえているものをはがし取れている訳ですので、それは効果が出ているという印です。

□ 40度程度のお湯でやりました。
→取れづらい油汚れはお湯の方が落としやすい。どうせやるならより確度の高い方法で、ということで、最初の3回くらいはお湯を使ってやりました。これにはちょっとした事情があって、全ての水はお風呂の残り湯を使っていたんです。最初は熱湯を混ぜていたのですが、途中から面倒になって残り湯だけでやりました。

まとめ

 私はプロでないので他の事例を経験したことはありませんが、自然につまった場合、詰まっているものは水溶性質を持っているはずなので、水を当ててやることによって解消するのではないかと思います。上述のとおり、私の事例は完全な詰まりではなかったので、極端な話し、そのまま使い続けても解消できるのではないかとも思いましたが、やはりトイレのことですのでね。

 繰り返しになりますが、水圧作戦は「一気に」を「繰り返し」が大切と思います。ご参考になさってください。

 なお、本稿は個人の体験を記載したものであって効果を保証できる訳ではありません。もとより、同じ手法で試されて損害が発生しても責任は負えませんので十分気をつけてチャレンジなさってください。

 京都市では、平成30年4月1日から、自転車に乗る場合の保険加入が義務づけられます。
 ところが、京都市(京都府も含む)の義務化について、チェックポイントとなるのは「自転車損害賠償保険」に入っているかどうかです。この点についてはまだまだ周知が行き届いているとは言えません。
「自転車保険に入らなきゃ」と思っていらっしゃる場合でも、実は既に「自転車損害賠償保険」(に相当する保険)には加入していらっしゃるケースも少なくないのです。
 今日はこの「自転車保険」について検討してみましょう。
京都市では自転車保険の加入が義務づけられます。

損害保険の代表例「自動車保険」

 自転車保険について考える前に、身近な損害保険の代表である自動車保険を概観してみましょう。
 自動車保険の基本は「対人」「対物」に対する賠償に備えるための賠償責任保険です。そして、この賠償保険に「人身傷害保険」を加えることで自身の死傷に備えます。この「賠償責任保険」と「人身傷害保険」で、加害者になった場合・被害者になった場合の双方に備える、という加入の方式を採るのが一般的です(他にも搭乗者傷害や車両保険があります)。

自賠責保険

 ところで、自動車の対人賠償については「自賠責保険」という強制加入の保険があります。自賠責保険は被害者救済を目的として法律によって制定されている強制保険ですが、支払われる保険金額は死亡で最高3,000万円、後遺障害が残った場合は最高4,000万円で傷害による損害については120万円と支払い限度額が設定されており、決して十分とは言えません。また、自賠責は「被害者救済」が名目ですので、物損については一部の例外を除き補償の対象にはなりません。

 このことから、自動車を運転する場合は任意保険に加入してより大きな賠償に備えることが一般的です。

任意の自動車保険

 任意の自動車保険については通常「対人無制限」の補償が受けられます。対物については賠償金額を設定できますが、私は無制限にしています。
 これらの保険は加害側として相手に対し賠償するのに備える性質の保険です。これだけでは、自分が怪我をした場合には、自賠責保険か相手の保険に頼らざるを得ず、不安になってしまいます。何故なら、先ほど説明したように自賠責保険の補償は大きいとは言えず、物損は担保されていません。加えて、日本国内の自動車保険加入率は8割を切っており、10台に2台は無保険で運転している計算になるからです。無保険の車と事故をすると泣き寝入りになってしまう事例も決して少なくはありません。ですので、自分の身は自分で守るという保険が必要になってきます。

人身傷害保険

 この「自分の損害に自分で備える」ための保険が人身傷害保険になります。人身傷害保険に入っていれば、過失割合で減額した部分もカバーされますし、無保険車相手の事故でも一定程度の補償を受けることができます(但し、後遺障害の等級がついていることが必要です)。

ここまでのまとめ

 つまり、自動車保険は対人・対物賠償責任が基本で、自身に対する補償は任意で付帯させることになります
 これを自転車保険に当てはめて検討していきましょう。

自転車保険の検討

 多くの保険会社から出されている自転車保険の内容は、基本的に「個人賠償責任補償」と「自身の怪我に対する補償」の二本立てになっています。
「個人賠償責任補償」と名されているとおり、この補償は自転車乗車中に人や物を傷つけてしまった場合だけでなく、公園でサッカーをしていて隣家の窓ガラスを割った場合など、日常生活における賠償責任にも対応していることが一般的です。

 そして、京都市が加入を義務づけるのは、正確に言うと「自転車保険」ではなく「自転車損害賠償保険」なのです。

 実際、京都市が発行している周知チラシでも「自転車損害賠償保険に相当する補償が基本補償又は特約で入っていれば、既に自転車損害賠償責任保険に加入している」という趣旨の文言がチャート式チェックシートに記載されています。そして「特約の名称は、個人賠償責任補償特約、日常生活賠償特約など、保険会社により異なります」とされています。

 つまり、個人賠償責任補償特約に加入していれば、原則的には自転車損害賠償保険には加入していることになるのです。ここは周知の少ない点で、もっと周知が必要でしょう。

意外に入っている個人賠償責任保険

 個人賠償責任保険は、それ自体には加入していないとしても特約で付帯させていることが多い賠償保険です。
 たとえば、お子さんのために生協のジュニア共済に加入していらっしゃれば、月額140円で家族全員が被保険者となって最大3億円が保障される特約があります。

 もちろん、自動車保険にも付帯サービスとしてついています。私は「おとなの自動車保険」に加入していますが、その理由は自転車保険の特約があったことと、個人賠償責任保険の保障額が無制限であったことが理由です。その他、火災保険の特約として販売されている会社もあります。

 今加入なさっている保険の内容を確認し「個人賠償責任特約」が付帯されていれば、原則として京都市における保険加入の義務化には新たに対応する必要はない、といえます。ただし、自分が自転車でひかれた場合の補償はありませんので、そういう意味で自転車保険を検討する価値はあるかもしれません。

まとめ

 自転車の保険義務化の流れが加速し「自転車保険」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、京都市で義務になっているのは「賠償責任保険」としての部分であって、それは必ずしも「自転車保険」という名称でなくてもよい、ということは十分に周知されていません。

 個人賠償責任特約は、月額の特約保険料が安価なため重複してかけてしまっている可能性もあります。私自身、自動車保険で個人賠償責任に加入してから他の個人賠償責任の特約を解約し整理しました。

 自転車保険に加入する前に、まずはご自身の保険内容を見直し、個人賠償責任特約に加入しているなら、それが家族全員をカバーしているものなのか、保障額はいくらなのかをしっかりと確認して再度検討することが大切です。

 そして、最も大切なことは、自転車も軽車両であることを自覚し、交差点の一旦停止はしっかり守るなど、交通ルールを遵守した乗り方をすることですよね。
 事故は起こさない、巻き込まれないのが一番です。年末で慌ただしい時期になりますので、安全運転を心がけたいものです。

WordPressのプラグインをアップデートしようと思ったら、謎のURL「upgrade.php/?_wp_http_referer=%2Fwp-admin%2F」が出てきてダッシュボードが真っ白に。

 それを90秒で解決する方法です。結論を申し上げますと、プラグインフォルダをリネームすることでデータベースのアップグレードが行われ、正常な状態に戻ります。
 以下、方法です。

1.FTPソフトでログインし「wp-content」フォルダに入ります。
2.「Plugins」フォルダを「plugins000」にリネームします。
3.ブラウザの「F5」キーを押して画面を更新します。
4.データベースをアップグレードします、という画面が表示されますので、ボタンをクリックして実行します。
5.「plugins000」フォルダを再度「plugins」に変更します。
6.もう一度「F5」キーを押して画面をリフレッシュします。
7.以上で完了です。

 実はクライアントのウェブでしたので、ちょっと焦ったのですが、最終的にこの方法で上手くいきました。適切な解決方法が掲載されていなかったのでお役に立てればと出稿します。

 個人で建設業許可の新規申請をする場合、経営管理責任者としての資格を有することを疎明する資料として、確定申告書(控)の原本提示が求められます。
 しかし、建設業許可においては思いの外、確定申告をなさっていらっしゃらないケースがあり、経営管理責任者としての疎明資料をどのようにするかというのが問題になります。

 この取扱は都道府県によってまちまちで、本稿では京都府の原則的な対応をご紹介致します。

  • 確定申告書の控えが提示できない場合、原則として経営管理責任者であることを疎明するのは難しい。
  • 経歴や自営してからの状況に応じて対応を考える必要がある。

『建設業許可の申請は思いの外難しいものですね』

確定申告書の控えが必要な理由

 建設業法では、次のように、許可を受けようとする人が5年以上の経営業務の管理責任者として経験を有していることが許可の基準になっています。。

(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 法人である場合においてはその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいう。以下同じ。)のうち常勤であるものの一人が、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人が次のいずれかに該当する者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に関し五年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者
ロ 国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
(以下省略)

 そして、確定申告書の控えの提示は、法人ではなく個人で建設業許可を得ようとする申請者が経営経験を有していることを確認する資料として必要になります。

 建設業許可の具体的な添付書類については「建設業許可事務ガイドラインについて(平成13年4月3日国総建第97号)」を根拠として所管部署が手続の詳細を決定しています。
 どの行政手続にも言えることですが、各都道府県毎にその取扱方針はまちまちであり、インターネットに記載されている鹿児島の方式を根拠として北海道で申請しようとしても、必ずそれが通るとは限りません。ですので、インターネット上の情報を鵜呑みにせず、都道府県単位の情報を重要視なさる方がよいでしょう。

 さて、確定申告書の控えについても、このガイドラインをベースに必要とされている訳ですが、ガイドラインの中に「確定申告書」という言葉が出てくる訳ではなく、経営管理者の要件を示す一つの資料として提示を求められている、というのが実務の実情です。

 それでは、京都府における取扱について検討していきましょう。

京都府における原則的な取扱

 京都府では、確定申告書(控)の提示ができない場合「原則として経営管理責任者の資格を有することを疎明するのは難しい」というスタンスであると思われます。
 代わりの資料になりそうなものを色々提案したりもするのですが、なかなか難しい。税務署に提出する開業届だけでは認められず、事業主として契約している保険の証券でも難しいと言われます。

 ですので、基本的に確定申告書(控)の提示は必須に近い条件になる、というのが実務に携わる人間の印象です。

確定申告書(控)がない場合の対処法

 確定申告書がない場合、それは「確定申告書をなくした」場合と「確定申告していない」という二つのケースが考えられます。

確定申告書をなくした場合

 この場合、国税庁へ情報開示請求を行えば資料を揃えることができます。ただし、このケースは少数でしょう。

確定申告していない場合

 実際はこのケースが多数です。この場合、ケース毎に対応を考えることになります。

最近数年間は確定申告していて、何年か分が足りない場合

 この場合、前職で経営に関する補佐経験があるならば、その期間と確定申告書がある年数を合算して6年以上であれば申請することが可能です。
 つまり、平成28・27・26年の各年の確定申告書があれば、それ以前に3年間経営を補佐していたという証明書を出してもらえば合算で6年になります。
 また、このケースの場合、確定申告していない年について、改めて申告するという方法もあります。しかし、これには税金がかかることになりますので、慎重な検討が必要かもしれません。

まったく確定申告していない場合

 この場合、補佐経験を検討するか改めて申告するという方法が主な選択肢になります。

まとめ

 経営業務の管理責任者であったことを疎明する、というのは真剣に考えるとなかなか難しい問題です。確定申告書以外に何かないだろうかと色々考えますが、妙案は思いつきません。京都府では交渉中に「公的な書類」という言葉が出てくることもあり、そうなってくると一段とハードルが上がってしまいます。
 ただ、上述のように期間の一部が足らないのであれば補佐経験と組み合わせることによりクリアできるケースも出てきますので、どうしても取る必要がある場合は土木事務所や地元の専門家に相談なさると良いでしょう。

 なお、建設業許可については、たとえ500万円以下の工事であってもコンプライアンスの関係などから、元請業者から許可取得を求められるというケースが増えています。「いつか建設業」とお考えの場合、しっかり申告しておかれることをお勧め致します。

 1年半前に受託した交通事故被害者様のサポート業務が、自賠責併合6級、労災5級の認定を受けて自分の手元を離れました。後は示談に流れます。

 このケースは、見逃されかけた高次脳機能障害を捕まえて等級に結びつけることができたという点で被害者様にお喜び頂くことができたのですが、実は高次脳機能障害が見逃される事例は少なくないと思われます。警鐘の意味を込めて事例をご紹介致します。

受傷時の状況

 国道をバイクで直進中、右折しようとしてきた乗用車と衝突。身体は吹き飛ばされ10日以上意識が戻りませんでした。

高次脳機能障害の受傷について

 高次脳機能障害の被害に遭われる方は、歩行中や自転車・バイク乗車中の事例が多数です。お車に乗っている場合、シートベルトを着用していれば、よほどの大事故でない限り脳に対して高エネルギー外傷を負うことはないでしょう。実際、当事務所への相談も、お車に乗っていらっしゃったケースは一件もありません。
 逆に、歩行中、自転車やバイク乗車中に事故に遭われた場合、たとえ受傷時に意識障害がなかったとしても、器質的損傷が認められれば高次脳機能障害が認められるケースがあります。ですので、頭部を激しく打ち付けた場合はMRIを取っておくことが後々の証拠になり得ます。

受傷後の治療経過について

 意識回復後、被害者様は奇跡的とも言えるほど順調に回復なされ、一見、高次脳を疑うような兆候はなかったのでしょう。治療は整形外科分野のみ行われ、脳の検査はなされず半年が経過しました。整形としても十数カ所の骨折があったため、半年経過後もリハビリを継続していました。

病院による治療の弊害

 このケースでは、患者が目を覚ました後、高次脳を疑うような兆候がなかったため、治療は整形外科分野のみ行われることになりました。
 そもそも医師は、自分の専門分野において診察と治療を行うのが仕事であって、交通事故の後遺障害立証は仕事ではなく、むしろ本音で言うと手間がかかり避けたい分野ではないでしょうか。
 ですので、整形外科の医師は、高次脳には無関心なことがむしろ普通であると言えます。
 しかし、高次脳というのは、言葉が話せなくなったり記憶を失ったりするような明確な症状ばかりではありません。喜怒哀楽が激しくなっていたり、前は使っていなかった「あれ」や「これ」という言葉を多用するようになったり。無気力になったりするのも高次脳機能障害のサインです。

 高次脳を疑う事故ですから、それは大抵大きな事故です。ですので「事故のショックだろう」と安易に結論づけてしまいがちですが、それは精神の分野ではなく、脳の障害が原因である可能性もある訳です。

 ですので、被害者様のご家族は、患者様のサインを見逃すことなく「おかしい」と思うことがあれば、主治医に相談する一方、交通事故後遺障害の専門家へ相談なさると安心です。

相談時の対応

 当事務所へ相談にいらっしゃったのは事故から半年後。確かに一見後遺症は見られない雰囲気でしたが、事故時の意識障害に加え、詳しく聴き取ると、物忘れがひどくなったり、視力が明らかに低下しているとのお話しがありました。また、文節にも少し不自然な点が見受けられたため、脳の専門医で再度検査を受けることをお勧めし、立証をサポートすることになりました。

高次脳機能障害は立証する必要があります

 自賠責から後遺障害の慰謝料を受け取るためには、まずそれが「後遺障害である」という認定を受けなければなりません。いくら「記憶力が悪くなった」と主張しても、それが事故が原因で引き起こされていることを医学的に結びつけなければ後遺障害とは認められません。そして、脳に障害を負うほどの損害を被ったとしても、後遺障害として認められなければ、それは「1円にもならない」ことになります。
 後遺症は「後遺障害」として認められてはじめて賠償金に反映され、補償の対象となります。ですので、特に高次脳機能障害は繊細に、緻密に立証していく必要があります。

被害者請求から認定へ

 後遺障害の立証については、受傷態様、症状との整合性を考えながら脳神経外科の先生の指示に従って検査を受けていきます。後遺障害立証に必要な検査はこちらからも依頼します。
 そして後遺障害診断書を作成して自賠責保険へ被害者請求していきます。今回は、高次脳で7級、骨折12級が併合されて6級の認定を受けました。

高次脳の認定について

「高次脳機能障害って認定されると不利益なことがあるんじゃないか?」と心配になられることがあります。ご家族の皆さまがそう心配なさるのはもっともです。

 しかし、この被害者様も一部上場企業へ職場復帰なされていらっしゃいます。また、高次脳の認定がついた頃には教員に復職していらっしゃった学校の先生もおられます。

 逆に考えると、日常生活に支障がない、一見そうとは見えないような症状であっても高次脳機能障害として認定され、正当な補償をうけることができる、ということです。

まとめ

 この被害者様は、今では一緒に日本酒を飲みに行く「飲み友達」のようになりましたが、嬉しいことに「高木さんに相談しなければどうなっていたんだろう、と考えるとゾッとする」とおっしゃってくださいます。

 高次脳は、出血や骨折とは違い、パッとみた時に分かりづらい。だからこそ、高次脳の疑いがないかどうか、事故から早期の段階でそれを検討する必要があります。
 先ほど、認定を受けた皆さまも社会復帰して一線でご活躍なさっている事例をご紹介致しましたが、そういった皆さまでも、やはり物忘れが多くなったり、日常生活が事故以前と変化しているは事実なのです。そして、そういう自分を受け入れ、一生付き合っていくのは他ならぬ自分自身です。事故によって発生したこういった日常生活の不便に対して、当然正当な補償があってしかるべきです。そして、その補償を受けるためには、医師だけではなく、お怪我を「交通事故後遺障害」という視点で捉えられる専門家のサポートが大切になります。

 ご家族や、あるいはご自身のことで思い当たることがあれば、どうぞお気軽にご相談なさってください。

 高解像度のモニタでWindwos10を使い始めたらPhotoshop CS6 のツールバーなどが異常に小さく表示されました。解決方法を色々探しましたが、結局そのどれも採用せず自分でやりました。そのトラブルシュートです。

 やり方はとっても簡単で「Photoshop(またはイラレ)を使う時だけ、モニタの解像度を調節する」というやり方です。こうすると、無条件に、確実にPhotoshopは見やすく表示されます。

 まず、私が苦労しながら使っているLENOVOのMiix720で、普通にPhotoshopを立ち上げたらこんな感じになります。

photoshop1

 次に解像度を1600×900程度まで落とした画像です。

photoshop2

 いかがでしょう、全然使いやすそうですよね。ちなみに、1366あたりまで落とすと、保存のコマンドが大きすぎてファイル名の設定ができないというオチがつきました。いくつかの解像度を試して使いやすい状態を見つけるのが得策と思います。

 私は基本が事務屋ですので、仕事でPhotoshopを使う機会はないほうですが、やっぱり便利なソフトですので、少なくとも毎日一回は使っています。
 解像度をいちいち変えるのは面倒かもしれませんが、私程度の頻度であれば苦にはならないことでしょう。同じ症状でイライラしていらっしゃる皆さまのお役に立てれば幸いです。

 今日は、Googleのデフォルトアカウントが勝手に変更されている場合に元に戻す方法について検討します。

 お試しでG suiteを使ってみたのですが、高機能過ぎるのでDriveのファイル容量増量に切り替えました。G suiteは9月26日からDrive File Stream なるサービス提供を開始しています。
 これは、アップロードしたデータはローカルに保存せず、ローカルの領域を開放する機能があるようですが、これはなんだかちょっと不安になってしまいますよね。

 で、G suiteのために作ったアカウントを削除しようと思ったができない(コマンドがない)。それは放置しておくとしても、デフォルトのアカウントが変更になっているのでそれを修正しようと言うのが本稿の話題です。

  • 仕組みは分からないがとりあえずできた。
  • 現在デフォルトになっているアカウントに入る。
  • そこからログアウトする。
  • デフォルトにしたいアカウントにログインする。
  • ブラウザ右上のアイコンをクリックし、アカウントの追加を行う。
  • 以上で完了です。

考えられる仕組み

 検索してみると「マルチアカウント」や「マルチログイン」と言った語群がでてきますが、仕組みはシンプルで、現在デフォルトとなっているアカウントからログアウトして、次にログインすれば、それがデフォルトのアカウントに設定されるようです。
「アカウント」と言うことで「設定」→「アカウント設定」と進んでしまったら大変、コマンドがないから深みにはまって解決に30分もかかってしまうことになります。

 ごく簡単に変更できますので一度挑戦なさってください。

この投稿は、私自身が他のソースを参考にやってみてもイマイチ文字の滲みを解消できなかったことから試行錯誤してたどり着いた結果で、他にディスプレイドライバについて言及した記事がなかったことから公開しています。
ディスプレイドライバをインストールするというのは基本的な設定ですが、それで解決するとは限りません。その場合、インターネット上の他の記事にかかれているよう設定方法をお試しになることをお勧め致します。

 Windows10に変えてからというもの、文字のにじみ、汚さにあきれ、マイクロソフトを恨み、絶望し、諦める日々を過ごしてきました。

 しかし、本日、Windows10に入れ替えて3日目、画面の文字がとても見やすく綺麗になりました。

 その方法とは。

ディスプレイドライバをしっかりインストールする!

 ということです。

 グーグル先生に聞いてみると、様々な答えが出てきます。
 それは、ある意味で正しいのかもしれません。

 しかし、それをする以前に試すべきは、基本中の基本。
 そう、ディスプレイドライバをちゃんとダウンロードして引っ張ってきて、最新版をインストールすることです。

 おそらく、6割の問題はこれで解決することでしょう。

 ドライバも入っていないのに、検索で書かれている方法を試して解決できる訳がない。これは、最初の一歩になります。

ディスプレイドライバをインストールする方法

 念のため、ディスプレイドライバをインストールする方法を記載します。

1.ディスプレイの型番を確認しましょう。

 もっとも簡単な方法は、ディスプレイに貼り付けてあったり、刻みつけてあったりする型番を探す方法です。
 それができない、あるいはやりたくない場合、次の方法が助けとなるでしょう。

1.デスクトップを表示させる
2.右クリック→ディスプレイ設定をクリック
3.右下の「ディスプレイの詳細設定」をクリック
(右下に「ディスプレイの詳細設定」という項目が見当たらない場合、左上の「設定の検索」という場所に「ClearType」と打ち込んで検索し、「ClearTypeテキストの調整」というメニュー項目をクリックします。そして、次の「4」を飛ばして「5」に進みましょう)
4.下の「関連設定」から「ClearTypeテキスト」をクリック
5.次へをクリック
6.ディスプレイの型番が表示されているので記憶して「キャンセル」してしまいましょう。

2.ディスプレイのドライバ最新版を入手しましょう。

「ディスプレイ名 ドライバ windows10」などで検索し、ドライバをダウンロードして解凍しましょう。

3.ディスプレイドライバをインストール

1.デスクトップを表示させる
2.右クリック→ディスプレイ設定をクリック
3.右下の「ディスプレイの詳細設定」をクリック
4.下の「関連設定」から「アダプターのプロパティの表示」をクリック
5.出てきた画面のタブで「モニター」をクリック。アダプターではないので要注意。
6.プロパティをクリック
7.出てきた画面のタブで「ドライバー」をクリック
8.「ドライバーの更新」をクリック
9.下の「コンピューターを参照して…」をクリック
10.解凍したフォルダを選択して「OK」をクリック
11.ドライバーは自動で更新されます。
12.完了です!

まとめ

 いろんな小技は書いてあるけれど「まずはドライバー」と書かれたサイトには届かなかった。これこそが、最初に打つべき一手です。

 いや~、きれいな文字に戻って良かった!