7月 10th, 2013|ブログ|

 7月とは思えない厳しい暑さが続くここ数日、覆いかぶさるようにして響く名前の連呼にストレスを感じることはないでしょうか?
 選挙になると、ほとんどの陣営が選挙カーを走らせ、ひたすらに名前を連呼します。無意味なように思える名前の連呼は、かえってマイナス効果になるのではないかとも思えるのですが、どの陣営も同じことをやっているので差引すれば、どこも同じことなのかも知れません。

 ということで、今日は選挙カーで名前を連呼することの科学的根拠について検討してみたいと思います。なお、このブログは行政書士がホームページ内に掲載しているもので、本稿は自己の知識の再整理に基づく個人的考察にすぎないことを事前に申しあげておきます。

公職選挙法の規定

(連呼行為の禁止)
第百四十条の二  何人も、選挙運動のため、連呼行為をすることができない。ただし、演説会場及び街頭演説(演説を含む。)の場所においてする場合並びに午前八時から午後八時までの間に限り、次条の規定により選挙運動のために使用される自動車又は船舶の上においてする場合は、この限りでない。
2  前項ただし書の規定により選挙運動のための連呼行為をする者は、学校(学校教育法第一条 に規定する学校をいう。以下同じ。)及び病院、診療所その他の療養施設の周辺においては、静穏を保持するように努めなければならない。

 まず、公職選挙法では、原則として、選挙運動のための連呼行為を禁止しています。
 しかし、但し書きにおいて午前8時から午後8時までの間、選挙運動のために使用される自動車上においてする場合は、例外的に連呼行為が認められています。

(車上の選挙運動の禁止)
第百四十一条の三  何人も、第百四十一条の規定により選挙運動のために使用される自動車の上においては、選挙運動をすることができない。ただし、停止した自動車の上において選挙運動のための演説をすること及び第百四十条の二第一項ただし書の規定により自動車の上において選挙運動のための連呼行為をすることは、この限りでない。

 次に、公職選挙法では、車上の選挙運動を原則禁止にしています。
 しかし、こちらも但し書きにおいて自動車上の連呼行為については例外的に認められていることになります。

  • 自動車上では選挙運動はできない。
  • 連呼行為は、演説会場、街頭演説、午前8時から午後8時までの選挙カー上においてのみ行うことができる。
  • つまり、自動車上においては、午前8時から午後8時までの連呼行為のみが認められている。

 移動中の選挙カーでは連呼行為しかできないって、なんておかしな規定なんでしょう。

「連呼行為」の定義

 ところで、連呼行為とは、何かを連呼することであって、それが名前である必要はありません。政党名でもいいし、主たる政策でもいい。とにかく長ったらしい演説になっていなければいいわけです(私見)。しかし、実際に政策を連呼されいる光景を見ることは極めて少なく、実際はみなさん名前を連呼されていらっしゃいます。これは何故なのでしょうか?

ザイアンスの法則

 選挙カーから名前を連呼すれば、或いは名前を記憶してもらえるかも知れません。しかし、投票行動において決定的に重要なことは掲げる政策・理念と実行力です。
 とすれば、選挙カーでは、名前を連呼するだけでなく、政策や理念と言ったものこそ一番注力して伝えなければならないのではないでしょうか。
 にも関わらず、名前連呼が選挙カーにおけるほとんど唯一の手法となっているのは、ある心理学の法則を根拠にしているものと考えられるでしょう(私見)。

 それは『ザイアンスの法則』或いは『単純接触効果』と呼ばれる法則で「人が見慣れないものに接触したときには、接触回数が増えるに従って親しみが感じられるようになり、好意が増大することがある」というものです。

 この『ザイアンスの法則』では、本人の認知的活動内容とは無関連に対象への効果が増加するとされており、ここが選挙活動に用いられる有効な根拠になっているのではないかと推測されます。

 つまり、この『ザイアンスの法則』が選挙PRにそのまま当てはまると仮定するならば、本人の認知的活動とは無関連に名前を連呼するだけで好意が増大するわけですから、名前を呼べば呼ぶほど効果的である、という選挙カーモデルが出来上がることになるわけです。

『ザイアンスの法則』は選挙対策に有効だろうか

 選挙戦にはPR戦の側面があります。いくら掲げる政策がよく、実行力が備わっている候補者であっても、上手に伝えなければ票を集めることはできません。
 折しも今回の参議院議員選挙からインターネットを用いた選挙活動が解禁されました。インターネットや政見放送、広告メディアなど、様々な媒体を使った広報戦略の中で、選挙カーで名前を連呼するPR手法は、選挙カーという特性を考えると消去法で残る最も確実な方法なのかもしれません。
 選挙カーは移動するものであり、その音声を常に聞き続けることはできませんし、短時間でインパクトと効果の両方を期待するのであれば、名前連呼は理に適った手法と言えるのでしょうか…。

まとめ

 私が選挙広報の担当者なら、ただ名前を連呼するのではなく、政策や理念を凝縮したキャッチフレーズをつくって名前とパッケージにして連呼することで、名前から政策を想起できるような工夫をしたり、五・七・五の標語風にして、人となりを表現できるような手法を考えるでしょう。この酷暑はザイアンスの法則の効果を吹き飛ばすに十分な威力です。単純に名前を連呼するのではなく、清涼感ある選挙カー戦略で京都の街を涼やかにして頂きたいものですね。

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