株式会社設立に必要な資本

 このページでは、株式会社を設立するために必要な資本=準備物についてご案内致します。

 まず、最初に必要となるのは「やる気」です。これは冗談ではありません。この不況の中、会社を作ろうとなされる…その勇気は正直すごいと思います。設立後、順調にいくこともあるだろうし、目算が外れてしんどい思いをすることもあるでしょう。でも、知恵と工夫で前進していくやる気があれば、きっと、しんどいながらも「食っていける」会社になっていかれるのではないかと思います。これを読んでくださっている皆様は、きっと会社設立のメリットデメリットも知った上で前に進もうとなされていらっしゃる方々でしょう。応援していますので是非一緒にがんばりましょう!

 次に、現実的に必要な「ヒト・モノ・カネ」のお話しです。

 まず、人的資本ですが、現会社法においては、「会社を作って、かつ運営したい」という人が一名いらっしゃれば大丈夫です。もちろん、10名でも大丈夫です。

 会社を作る前に「お金を出して会社を作ろう」と言う人を『発起人』と呼びます。発起人は、会社設立に関する事務を行い、法に定められた事項について意思決定をなし、会社成立後は、株主として会社の重要な方針を決め、運営を見守ります。
 会社成立後、株主は、基本的に会社の運営を見守り、投下した資本を回収することが主な役割となりますので、成立前に、実際に会社の業務を執行する人を選ばなければなりません。その会社成立後に業務執行する人は、ご存じのとおり『取締役』と呼ばれています。

 すなわち、会社を作るためには、会社を作ろうと言う発起人と、作ってから業務執行をする取締役が各々最低一名ずつ必要となりますが、同じ人が発起人兼取締役(正確には『設立時取締役』)になれますので、一名で大丈夫、と言うことになります。

 一緒に起業する友達を取締役にする。お金を出してくれた親を発起人にする。などということは、いずれも可能です。また、現実には非常に少なくなっていますが、発行する株式の一部を誰かに買ってもらったり、公募したりして、会社を作ることもできます。
株式会社設立には一人以上の発起人が必要です。
 次に、必要なモノですが、本店を構える空間が必要となります。人間を特定するときに、住所氏名と生年月日が使われるように、会社の場合も本店商号と必要に応じ設立年月日が用いられます。本店は会社の重要な情報ですので、登記事項となります。
 本店と言えば「テナントを借りて」と思われるかも知れませんが、そんな必要は全くありません。登記上の本店は、本来的には本店機能を兼ね備えているべきではあるでしょうが、実際には、会社を特定する一要素として使用されている一面があります。
 たとえば、プリンタで有名な精密機械メーカーは、数年前まで長野県松本市が登記上の本社でしたし。京都の有名な下着メーカーは、全国区でありながら未だに京都府綾部市という小さな都市を本店にしています。
 ですので、自宅を本店にすることも可能ですし、実際、事案も多数あります。
 但し、本店は登記事項ですから、本店を移転すると登記も変えなければならず、そのために印紙代だけで3万円がかかります。ですので、テナント賃借の予定がしっかりあるのなら、最初からそこを本店所在地になさるなど、よく考えてお決めになるとよいでしょう。

 次に、法務局へ届け出る会社の印鑑、いわゆる『会社実印』が必要になります。会社は、法務局へ登記することによって成立し、登記に変更があったり、解散する場合も、原則としてその都度法務局へ登記を申請する必要があります。その際に使用するのがこの会社実印で、法務局は、登記申請書に会社実印が押印されていることをもって、この申請が会社の意思に基づいて行われているものであることを確認します。そのため、この会社実印も、設立登記を申請するまでに準備する必要があります。
株式会社設立には、本店と会社実印が必要です。
 最後に、お金です。最低資本金制度が撤廃されていますので、理論的には資本金1円で会社を作ることができます。
 しかし、ここはよく考えなければなりません。資本金は、会社の信用力を示す一つの数値であると思われます。法律的には、資本金1,000万円の会社は1,000万円のキャッシュを持っていなければならない、と言うことはありません。ですので、資本金1億円の会社であっても、そこが健全経営しているのか、火の車なのか、資本金から伺い知ることはできません。
 けれど、どうでしょう?資本金1円の会社…正直な感想として、ちょっと怪しく感じませんか?
 実際、筆者も数え切れない会社の履歴事項証明書(登記事項を掲載した書面)を見ていますが、最も少ない資本金の会社で10万円でした。それ以下は見たことがありません。

 会社を作ると否応なく銀行とのお付き合いもありますし、やはり体裁というものもビジネスには必要な要素の一つです。ですので、最低でも5桁、できれば6桁の数字で資本金を設定されることを筆者個人的にはお勧め致します。 
株式会社設立には、少なくとも10万円程度の資本金が望ましいと言えるでしょう。
 さて、ここまでで、設立の準備は整いました。次は、設立の流れについて、大まかに、かつ少し詳しくご案内致しましょう。
設立手続の流れ
(平成23年11月1日掲載)