京都市では、平成30年4月1日から、自転車に乗る場合の保険加入が義務づけられます。
 ところが、京都市(京都府も含む)の義務化について、チェックポイントとなるのは「自転車損害賠償保険」に入っているかどうかです。この点についてはまだまだ周知が行き届いているとは言えません。
「自転車保険に入らなきゃ」と思っていらっしゃる場合でも、実は既に「自転車損害賠償保険」(に相当する保険)には加入していらっしゃるケースも少なくないのです。
 今日はこの「自転車保険」について検討してみましょう。
京都市では自転車保険の加入が義務づけられます。

損害保険の代表例「自動車保険」

 自転車保険について考える前に、身近な損害保険の代表である自動車保険を概観してみましょう。
 自動車保険の基本は「対人」「対物」に対する賠償に備えるための賠償責任保険です。そして、この賠償保険に「人身傷害保険」を加えることで自身の死傷に備えます。この「賠償責任保険」と「人身傷害保険」で、加害者になった場合・被害者になった場合の双方に備える、という加入の方式を採るのが一般的です(他にも搭乗者傷害や車両保険があります)。

自賠責保険

 ところで、自動車の対人賠償については「自賠責保険」という強制加入の保険があります。自賠責保険は被害者救済を目的として法律によって制定されている強制保険ですが、支払われる保険金額は死亡で最高3,000万円、後遺障害が残った場合は最高4,000万円で傷害による損害については120万円と支払い限度額が設定されており、決して十分とは言えません。また、自賠責は「被害者救済」が名目ですので、物損については一部の例外を除き補償の対象にはなりません。

 このことから、自動車を運転する場合は任意保険に加入してより大きな賠償に備えることが一般的です。

任意の自動車保険

 任意の自動車保険については通常「対人無制限」の補償が受けられます。対物については賠償金額を設定できますが、私は無制限にしています。
 これらの保険は加害側として相手に対し賠償するのに備える性質の保険です。これだけでは、自分が怪我をした場合には、自賠責保険か相手の保険に頼らざるを得ず、不安になってしまいます。何故なら、先ほど説明したように自賠責保険の補償は大きいとは言えず、物損は担保されていません。加えて、日本国内の自動車保険加入率は8割を切っており、10台に2台は無保険で運転している計算になるからです。無保険の車と事故をすると泣き寝入りになってしまう事例も決して少なくはありません。ですので、自分の身は自分で守るという保険が必要になってきます。

人身傷害保険

 この「自分の損害に自分で備える」ための保険が人身傷害保険になります。人身傷害保険に入っていれば、過失割合で減額した部分もカバーされますし、無保険車相手の事故でも一定程度の補償を受けることができます(但し、後遺障害の等級がついていることが必要です)。

ここまでのまとめ

 つまり、自動車保険は対人・対物賠償責任が基本で、自身に対する補償は任意で付帯させることになります
 これを自転車保険に当てはめて検討していきましょう。

自転車保険の検討

 多くの保険会社から出されている自転車保険の内容は、基本的に「個人賠償責任補償」と「自身の怪我に対する補償」の二本立てになっています。
「個人賠償責任補償」と名されているとおり、この補償は自転車乗車中に人や物を傷つけてしまった場合だけでなく、公園でサッカーをしていて隣家の窓ガラスを割った場合など、日常生活における賠償責任にも対応していることが一般的です。

 そして、京都市が加入を義務づけるのは、正確に言うと「自転車保険」ではなく「自転車損害賠償保険」なのです。

 実際、京都市が発行している周知チラシでも「自転車損害賠償保険に相当する補償が基本補償又は特約で入っていれば、既に自転車損害賠償責任保険に加入している」という趣旨の文言がチャート式チェックシートに記載されています。そして「特約の名称は、個人賠償責任補償特約、日常生活賠償特約など、保険会社により異なります」とされています。

 つまり、個人賠償責任補償特約に加入していれば、原則的には自転車損害賠償保険には加入していることになるのです。ここは周知の少ない点で、もっと周知が必要でしょう。

意外に入っている個人賠償責任保険

 個人賠償責任保険は、それ自体には加入していないとしても特約で付帯させていることが多い賠償保険です。
 たとえば、お子さんのために生協のジュニア共済に加入していらっしゃれば、月額140円で家族全員が被保険者となって最大3億円が保障される特約があります。

 もちろん、自動車保険にも付帯サービスとしてついています。私は「おとなの自動車保険」に加入していますが、その理由は自転車保険の特約があったことと、個人賠償責任保険の保障額が無制限であったことが理由です。その他、火災保険の特約として販売されている会社もあります。

 今加入なさっている保険の内容を確認し「個人賠償責任特約」が付帯されていれば、原則として京都市における保険加入の義務化には新たに対応する必要はない、といえます。ただし、自分が自転車でひかれた場合の補償はありませんので、そういう意味で自転車保険を検討する価値はあるかもしれません。

まとめ

 自転車の保険義務化の流れが加速し「自転車保険」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、京都市で義務になっているのは「賠償責任保険」としての部分であって、それは必ずしも「自転車保険」という名称でなくてもよい、ということは十分に周知されていません。

 個人賠償責任特約は、月額の特約保険料が安価なため重複してかけてしまっている可能性もあります。私自身、自動車保険で個人賠償責任に加入してから他の個人賠償責任の特約を解約し整理しました。

 自転車保険に加入する前に、まずはご自身の保険内容を見直し、個人賠償責任特約に加入しているなら、それが家族全員をカバーしているものなのか、保障額はいくらなのかをしっかりと確認して再度検討することが大切です。

 そして、最も大切なことは、自転車も軽車両であることを自覚し、交差点の一旦停止はしっかり守るなど、交通ルールを遵守した乗り方をすることですよね。
 事故は起こさない、巻き込まれないのが一番です。年末で慌ただしい時期になりますので、安全運転を心がけたいものです。

 毎日のように痛ましい自動車事故の報道が絶えません。平成26年度に起こった交通事故件数は57万3,842件。およそ1分に1件の割合で交通事故が起こっています。

 交通事故が起こった場合、原則として第一次的には強制保険である自賠責保険から救済を受けることができます。しかし、自賠責保険には死亡・傷害・後遺障害の場合にそれぞれ支払える賠償額の上限が定められており、それ以上の損害が発生する場合に備えて任意の自動車保険が販売されています。

 しかし、最近では「事故した相手が無保険車だった」というご相談が多くなっています。今日は、保険の加入状況を概観しながら、どう備えておくかについて検討します。

  • 自動車保険の加入率は、全国平均で8割を下回っている。
  • あくまで個人的な感想であるが、無保険車ほど危険な運転をしていると感じる。
  • 無保険車に対し自衛するには、自身の自動車保険や傷害保険を活用する必要がある。

自動車保険の加入率

 驚くなかれ、自動車保険(対人保険)の加入率は、損害保険料率算出機構の2014年3月末現在のデータによると、全国平均で73.4%です。つまり、走っている4台に1台は任意保険に加入していないという計算になるわけです。
 最も加入率が高いのは大阪で81.9%、逆に最も低いのは沖縄で52.9%です。これは非常に憂慮すべき数字ではないでしょうか。

 次に、自動車保険は事故の直接の相手方だけの補償を目的としている訳ではありません。同乗者も当然怪我する可能性があり、そのために搭乗者傷害保険がありますが、それにいたっては、全国平均の加入率はなんと43%。正直恐ろしくて人の車に乗る気が起こらなくなってしまう数字です。

 相手が任意保険に入っていなくても、自賠責保険に入っていれば、最低限度の補償は受けることができます。しかし、それは人身部分にのみであって、物損部分については、あくまで加害者から直接支払いを受けなければなりません。

無保険車に備える手段

 では、4台に1台の確率で走っていると考えられる無保険車に追突された時のために、私たちはどのような備えをしておけばいいのでしょう。
 まず、自動車保険に加入していらっしゃる場合、人身傷害や搭乗者傷害に加入することで、一定の救済を受けることができます。特に、人身傷害の場合、過失割合に関わらず損害の全額を補償してもらうことができます。
 物損部分については、車両保険に加入していれば、ある程度の補償を受けることができるでしょう。
 さらに、弁護士費用特約を付帯させていれば、専門的な手続は全部弁護士に丸投げしてしまうことも可能です。

 なお、自動車保険には、一般的に「無保険車傷害特約」が付帯されていますが、この無保険車傷害特約が使えるのは、死亡または後遺障害の等級が認定された場合のみであって、後遺障害が認定されなければ使えないので注意が必要です。

 また、事故に労災が適用できるのであれば、労災を適用させるべきであると言えます。

 次に、自動車保険を持っていらっしゃらない場合はどうすればいいのでしょうか。その場合は、保険会社から販売されている「傷害保険」が検討の候補に上がるでしょう。
 傷害保険は、保険が適用される範囲や補償内容が商品により様々です。最近問題になっている自転車事故もカバーできるものがあります。自賠責保険で賄えない部分の補償を考えるなら、事前に商品を比較検討なされる方が安心と言えるでしょう。

まとめ

 交通事故に限らず、事故というものはこちらが細心の注意を払っていたとしても、防ぎようがなく起こりえるものです。
 特に自動車は「走る凶器」と喩えられることもあります。操作を間違えば人命を脅かすという点を考えると、やはり自賠責保険だけでなく任意保険にも加入しておきたいものです。

 なにはともあれ、運転は安全運転を心がけたいですね。
被害者を支援するための7つのマニフェスト

 当ブログには、平成25年の道路交通法改正に伴う自転車の左側通行について検討した記事があります。
 今般、平成27年6月1日より自転車運転に関する改正法が施行されており、3年間に2回以上の危険行為を繰り返すと「自転車運転者講習」の受講が命じられることになりました。
 改正法施行にともなってか、当該記事へのアクセスがかなり増えており、今回は、再度自転車が通行すべき場所について検討します。

  • 自転車は、自転車道があれば、自転車道を通行しなければならない。
  • 自転車道がない場合、自転車が通行すべき原則の場所は、車道の左端側である。
  • 歩道が自転車通行可能な場合、自転車は車道または歩道を通行できる。
  • 歩道を通行する場合、車道寄りを徐行する(つまり、歩道の右側になる)。
  • 歩道に自転車が通行するための区分が設けられている場合、当該区分された場所を通行する。この時、歩行者がいなければ状況に応じた安全な速度で通行できる。
  • 小学生以下または70歳以上の人は自転車通行禁止の歩道も通行できる。

道路交通法における自転車の定義

 前提として、本稿では、自転車については一般的な「自転車」を想定することにします。
 道路交通法において「自転車は軽車両である」と定義されており、さらに「軽車両は車両である」と定義されています。

  • 自転車は、軽車両である。
  • 自転車は、車両でもある。

 これは、今回の改正法を理解する上でも非常に重要です。自転車は車両ですので、基本的には自動車と同じルールで走行する必要があるということです。つまり、一時停止の義務があるわけですね。加えて、自転車も原則的には一方通行を守る必要があるということです。ただし、ほとんどの一方通行標識には「自転車を除く」という文言が付されており、結果として自転車の一方通行は例外が原則化しているのが実情です。
自転車を除く一方通行標識

自転車が通行すべき場所と速度

 自転車が通行すべき場所は、最初のまとめで表示した順序になります。

1.自転車道

 自転車道がある場合、自転車は自転車道を通行しなければなりません(道路交通法第63条の3)。この場合、最高速度制限があれば、それに従う必要があります。

2.車道

 自転車道がない場合、自転車は車道の左側端を通行しなければなりません。(同法第17条及び18条)。自転車道は車道の一部に設けられていますので、最高速度制限があれば、それに従う必要があります。

3.車道か歩道のどちらか

 車道以外に歩道がある道路で、歩道が自転車通行できる場合、車道か歩道を通行します(同法第63条の4)。法律を読む限り、優先順位はありませんので、どちらを通ってもかまいません。通行場所は、車道は道路左側端を最高速度制限があればそれに従って通行します。歩道の場合は、車道寄りになりますので、進行方向の右寄りを徐行します。

4.歩道に自転車通行用区分がある場合

 歩道の中には、自転車マークをしるし、自転車通行帯を設けている箇所が少なくありません。この場合、自転車は、自転車通行帯を通行します(同法第63条の4)。この区分は、道路交通法では「普通自転車通行指定部分」と表現されています。
 ただし、これは自転車道ではありませんので、自転車は車道も通行することができます。
 また、歩道を通行する場合、自転車は徐行の義務がありますが、自転車通行帯を走行する場合、歩行者がいなければ安全な速度で通行できます。自転車通行帯は歩道の一部ですので、歩行者は制限なく通行することができることに留意しましょう。

5.路側帯しかない場合

 道路に歩道がなく路側帯がある場合、原則として自転車は路側帯を通行することができます。ただし、二本実線の路側帯は歩行者専用の路側帯ですので、二本実線の路側帯内を通行することはできません。最高速度制限があればそれに従います。路側帯は非常に狭く、通行場所を議論する意味はないと考えますし、それについて定められた条文もありません。しかし、上記の流れで考えると、歩行者を追い越す場合は、車道側を通行すべきでしょう。もちろん、現実的には路側帯内で歩行者を追い越すことは物理的に困難ですので、車道に出て追い越すことになるでしょう。

6.路側帯もない道路

 路側帯もない狭い道路では、原則に従い、左側端を通行することになります。

まとめ

 今回の改正により、自転車に関する取締りが以前より厳しくなることが予想されます。
 それについては、改めて検討しますが、道路交通法を遵守していれば何も心配することはありません。
 とはいえ、自転車で走る場所の優先順位など、みなが知っている訳ではありませんので、正しい優先順位を知っておくことは大切です。

 なお、このブログをお読み頂いている皆様の中には、小学生以下または70歳以上の近親者がいらっしゃる方もおられるでしょう。
 道路交通法第63条の4第二号及び道路交通法施行令第26条の定めにより、上記に該当する方は、自転車通行禁止の歩道であっても歩道を通行することができます
 ただし、これにはちょっとしたオチがありまして、幼児が通行する場合でも、保護者は通行できません。これはちょっとどうかと思いますので、柔軟な運用をお願いしたいですね。

先日、ご同業の先生から自転車同士の交通事故についてご相談を頂きました。
今日は、自転車事故で後遺症が残った場合の補償問題について検討します。

  • 自転車同士の事故の後遺障害を認定する仕組みはない。
  • 自転車同士の事故の場合、相手への求償を想定した対応が必要であろう。
  • 自身の保険内容についても検討しておくと良い。

自転車事故

自転車同士の事故による後遺障害

事件の概要は、自転車同士が衝突し、一方に(その一方は後遺障害だと考える)生活に支障がある程度の身体的不具合がのこったというものです。そして、私には、求償について相談があったがどうしたものか?というお話しがありました。

これは、非常に難しいご相談です。私がこの件についてアドバイス差し上げた内容はさておき、本件を一般論として、問題点と進め方について検討しようというのが本稿の主題です。後遺障害が残った場合については、後半部分で検討します。

自転車事故の問題点

まずは、自転車事故についての問題点を概観しておきましょう。

自転車には強制保険の仕組みがない

自動車や自動二輪には、強制保険として自動車賠償責任保険があります。この保険によって、たとえ任意保険に加入していない車を加害側とする事故にあったとしても、被害者は一定の補償を受けることができます。

  • 傷害による損害:最高120万円
  • 後遺障害による損害:最高4,000万円
  • 死亡による損害:最高3,000万円

一方、自転車には自賠責に相当するような強制保険の仕組みがありません。

自動車の保有台数は、平成27年2月現在で81,093,798台(一般財団法人 自動車検査登録情報協会)であり、自転車の保有台数は、試算値ではありますが、平成17年で86,647,000台(社団法人自転車協会)とされています。

自転車の方が保有台数が多いにもかかわらず、事故に関する制度整備がなされていなというのは、大きな問題と言えるでしょう。

認識が低い

自転車同士の事故であっても「交通事故」であり、怪我を負った場合警察を呼んで人身事故対応にすべきですが、そのような認識があまりに低いと言えるでしょう。

以前、自転車同士の事故に遭遇し「警察を呼びましょうか」と言いましたが、双方当事者が「いいです」とお答えになりました。けっこうな衝突で出血もあったんですが「大丈夫です」と走り去って行かれました。出血で大丈夫…相手が自動車だったら、どれほど軽傷でもそうはならないでしょう。このあたり、一人ひとりが認識を新たにすべきと感じます。

過失割合が争われる可能性が大きい

自動車事故の場合、過失割合については「青本」「赤い本」と言った参考基準があり、これに修正要素を加えたものが過失割合とされることが一般的です。

一方、自転車同士の事故に独自の過失割合基準はありません。自転車は、道路交通法では軽車両と概念されますので、原則としては自動車事故の過失割合を基礎に考えていくことになりますが、自転車の通行について道路交通法が改正されていますので、過失が争いになる事案は少なくないでしょう。

任意保険の加入率が低い

自転車事故に関する任意保険の加入率はまだまだ低い。加害者になった場合は、様々な保険の特約にある個人賠償責任特約でカバーできる可能性がありますが、自分が被害者になった場合に備える保険はようやく認知されてきたのが実情です。

解決するための制度が未整備

自転車事故については、自賠責保険に類する制度がないため、後遺症に関する認定システムもなければ、紛争処理センターのような機関もありません。
従って、対立した利害関係を解決するためには、通常の一般民事事件と同じように、当事者間で解決できない場合は調停や裁判を経ることになるでしょう(ADRについては主題とは関係ないため言及しません)。

このように自転車事故は、交通事故でありながら、問題や課題とも言えるべき点が多く、これが社会問題になりつつあるというのが現状でしょう。

では、自転車事故にあった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

相手方の連絡先を確認しておく

自転車で接触事故にあった場合、軽微であっても連絡先を確認しておくと良いでしょう。逆に、相手方の連絡先を確認しておかなった場合、数時間後、数日後に痛みが出ても、相手を特定して求償していくことは極めて困難になります。勇気を出して「お互いのため」と言い、連絡先を確認或いは交換しておきましょう。

警察へ通報する

自転車事故で怪我をした場合は、迷わず警察を呼びましょう。警察を呼んでおかないと、怪我と交通事故の因果関係を証明すること自体が難しくなってしまいます。

人身事故として届け出ましょう

お怪我をなさっている以上、人身事故扱いとすることが重要です。たとえば自動車事故に遭うと、保険会社から物損事故扱いでも人身事故と同様の補償をするとか、警察からもどうすべきか考えれば良いというコメントがなされることがあります。

しかし、物損事故と人身事故を切り分けた制度がある以上、怪我をしたなら人身事故として取り扱ってもらうことが肝要です。物損事故では実況見分がなされないため、自転車事故では特に過失で争いになることが予想されます。なお、人身事故扱いにするためには、当然に医師の診察を受けて診断書を警察に提出することが必要です。

あらゆる保険を確認しましょう

自転車事故の場合、双方が怪我を負う事案が少なくありません。ご自身だけでなく、相手方も怪我を負っている場合、求償することだけでなく、求償される場合も考えなければなりません。

怪我を負わせた場合に使える保険、怪我を負わされた場合に使える保険を確認し、使える保険は全て使うようにしましょう。

怪我を負わされた場合、相手が各種保険に加入していなくても、自身の自動車保険に人身傷害保険を付帯させていれば、その保険で損害を賄える場合もあります。

また、相手に対しては、自転車保険の他、個人賠償責任特約に加入していれば、そこから補償を受けることが可能になりますので、保険の確認は非常に重要です。

怪我を負い、後遺症が残った場合の手続

さて、本稿の主題です。

自転車でお怪我をなされた場合であっても、事案によっては、後遺障害が残存する場合も考えられます。この場合は、自動車事故と同じように最良の結果(完治)を目指して最悪の事態(後遺症)に備えるという姿勢が大切です。

つまり、治療の連続性・一貫性ですね。

相手方が保険に加入していない場合でも、求償を争う場合、自賠責に準じた手続を踏んでおくことは有効です。仮に完治すれば、それをもって損害額が確定しますし、後遺症が残存した場合は、医師に自賠責に準じた後遺障害診断を求め、それを根拠に争うことが可能になります。

これは、あくまで資料の一つとなるものでしかありません。覆される可能性もあります。
しかし、不法行為の立証責任は、主張する側にあるのが民法の原則ですので、後遺障害という損害について、相手に求償する場合、損害である後遺障害の立証責任は、主張者側が負うことになります。

その意味でも後遺障害について注意しておくことは大切ですし、立証するには、自賠責のプロセスを活用するのが妥当と言えるでしょう。

損害確定から解決まで

相手方が、過失割合等も含め誠実に対応し、責任を認めてくれればそれで済みますが、そう簡単に進むことがないのが実情です。

相手方と争いがある場合は、調停や裁判に判断を求めなければならないことになります。
しかし、時間が経過して専門家に相談しても、対応が後手になってしまうことが少なくありません。たとえば、治療中に、自賠責の後遺障害等級認定に準じたプロセスをイメージするかどうかで、治療回数や期間、治療先が大きく変わってきます。
整骨院にいくら通っても、診断書を書いてもらうことはできません。後から整形外科に切り替えても、事故との因果関係や治療の一貫性から後遺障害を否定される可能性があることは容易に想像できます。

このように、自転車事故は、体系的な解決方法が整備されていないからこそ、早期に専門家へ相談すべきだと言えるでしょう。

まとめ

私は、日常生活で自転車事故を目にすることがあります。お互いが転倒し、鞄から荷物が飛び出しているような状態でも、ほとんどの場合「大丈夫ですか?」「大丈夫です」でお互いがその場を去って行かれます。出血が見られる場合も同様です。

しかし、その場を離れると、相手方の探索も困難になりますし、事故と怪我の因果関係も立証しづらくなってしまいます。

やはり、上記のように相手方の連絡先を確認し、同時に警察へ通報して万が一の自体に備える必要があるのではないでしょうか。

当職は、行政書士業を行うほか、一般社団法人全国交通事故被害者支援センターを設立して広く被害者の皆様のご相談に対応しております。お困りのことがおありでしたらお気軽にご相談くださいませ。

交通事故に関するページのご紹介

被害者を支援するための7つのマニフェスト

 実は、6月末に自動車保険の満期を迎えており、今回の更新に当たり、自転車事故に対する補償特約がついている保険を探しました。
 折しも今月4日には自転車事故で一億円に近い賠償金の支払いを命じる判決があり、自転車事故に対する保険がにわかに注目されているとのこと。
 今日は、自分で自動車保険の更新をする際に調べた範囲の事項をご紹介致します。

 なお、本稿では具体的な保険会社名を記載しますが、それはあくまで保険商品の紹介のためであって、営利を目的とするものではなく、本ブログはいかなる主張・団体からも中立であることを予め申し上げておきます。

自転車事故の二つのケース

 まず、前提として「自転車事故」にも二つのケースが考えられます。

  • 自転車で誰かに怪我を負わせてしまった場合(加害者になるケース)。
  • 相手の自転車に怪我を負わされれてしまった場合(被害者になるケース)

 このブログでも以前取り上げたことがありますが、京都の自転車マナーは良いとは言えず、特に最近ではスマートフォンを使った「ながら運転」をしばしば見かけます。狭い道路が碁盤の目に走っている京都では、特にこの自転車保険は重要になってくるでしょう。
 私は仕事でも基本的に自転車で移動することが多いため、自動車保険の更新に当たり、特約で自転車事故の補償がついている保険を探した次第です。

自転車事故で加害者になる場合

 自転車事故で加害者になった場合に備える保険として、個人に賠償責任が発生した場合の備えとして加入しておく保険に「個人賠償責任保険」という商品がありますが、私の調べた限りでは、この保険を単体で販売している損害保険会社はありませんでした。

 他には、個人賠償責任保険と傷害入院保険をセットにした「自転車保険」という商品が発売されています。参考にリンクを掲載しておきます。

クレジットカード会社の特約

 クレジットカード会社の中には、会員向けサービスとして個人責任賠償特約を提供している会社がありますが、原則的には有料で、自動で特約に加入できるわけではなく、申込みをする必要があります。
 たとえば、イオングループは、イオンカード会員向けに「家族賠償責任プラン」という特約を販売しています。詳しくは上のリンクをご覧ください。

傷害保険の特約

 傷害保険は、自転車事故等で傷害を被った場合に備える保険ですが、この保険の特約として個人賠償責任特約に類似する特約が設けられている場合があります。

自動車保険の特約

 自動車保険でも個人賠償責任特約や自転車事故補償特約を設けている会社があります。私はインターネット系の自動車保険会社を探しましたが、たとえば、「おとなの自動車保険」や「SBI損保」さんがこのような特約を設けていらっしゃいました。

火災保険の特約

 傷害保険や自動車保険と同様に、火災保険においても個人賠償責任特約に類似する特約が設けられている商品があります。

自転車事故で被害者になる場合

 被害者になる場合は加害者に治療費等を請求できるので、保険に入る心配はないんじゃないの?とも考えられますが、相手が無保険であった場合や無資力であった場合、その危険は結局こちら側で負担しなければならない可能性があります。また、当面の治療費用は自分で工面する必要があることを考えると、被害者になった場合も想定しておくことは大切だと私は思います。

 被害者になった場合に備える保険としては、傷害保険が考えられます。傷害保険は各保険会社から様々な商品が販売されており、また、前述のとおり特約として個人賠償責任に類似する特約が設けられている商品も多くあります。傷害保険は自転車事故に限らずスポーツ中や仕事中の怪我も補償の対象となり得ます。

 その他、前述のリンクでもご紹介したように、自転車のための保険として、加害者になった場合、被害者になった場合両方に備えるための商品があります。

自動車保険の特約

 自動車保険にも、自転車で受傷した場合に備える特約があります。但し、特約の内容には差異があり、通院を補償しないものもありますので、加入にあたっては検討が必要でしょう。

ここまでの再整理

 まとめの前に、ここまで検討してきた事項をまとめます。

自転車事故で加害者になった場合に備える保険

  • 自転車事故専用の「自転車事故向け保険」がある。
  • 個人賠償責任保険がある。
  • 個人賠償責任保険は、自転車事故に限らず賠償責任を担保し得る。
  • 個人賠償責任保険を単体で販売している会社はなかった(知る範囲では)。
  • 個人賠償責任保険は、クレジットカードの特約に附帯可能な場合がある。
  • 個人賠償責任保険は、自動車保険・傷害保険・火災保険に附帯可能な場合がある。

自転車事故で被害者になった場合に備える保険

  • 自転車事故専用の「自転車事故向け保険」がある。
  • 傷害保険がある。
  • 傷害保険は、自転車事故に限らず危険を負担し得る。
  • 自動車保険には、自転車で被害者になった場合に備えるための特約がある。

加入にあたってのポイント

 私は、加入にあたり、次の点に留意しました。

  • 加害者になった場合としては、自転車だけではなく、幅広い事案に対応できること。
  • 示談交渉サービスが附帯していること。
  • 保険料が安く補償内容が良いもの。

まとめ

 個人賠償責任特約は、様々な保険の特約として、附帯させることが可能となっていますが、示談交渉サービスがついていない場合、弁護士に依頼すれば別途費用が発生することになってしまいます。
 また、個人賠償責任特約は、生協の共済にも附帯することができます。
 まずは加入なさっていらっしゃる保険の状況を精査して、特約で附帯させることができるかどうかを調べるところからはじめられてはいかがでしょうか。

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