有限会社の商号変更手続概要

 特例有限会社から株式会社へ移行するためには、株式会社としての定款変更案を作成し、その定款変更を株主総会で可決して、登記申請を行う、という順序になります。
有限会社を株式会社に変更する流れ
 この定款変更の効力は、本店所在地で解散及び株式会社設立の登記をすることによって生じます。

移行時の注意事項

 特例有限会社は、役員の任期がなかったこともあり、移行に関する手続には注意を要します。

取締役等の任期について

 特例有限会社が株式会社に移行した場合、取締役及び監査役の任期は、商号変更前の就任時から起算されることになります。

 そして、就任後の年数と、新しい株式会社の任期を比較して、取締役及び監査役が在任中なのか、任期満了しているのかを検討することになります。なお、任期が満了していることになる場合、商号変更と同時に任期が満了することとなります。
 また、会社設立時から就任されている役員さんについては、設立日が就任の日付となります。

<ケース1>
就任後の任期が8年で、定款変更後の任期が2年の場合:
 「2-8=-6」ということで、任期は切れています。すなわち、商号変更時に役員は任期満了となるため、新たに役員を選任する必要が出てきます。

<ケース2>
就任後の任期が8年で、定款変更後の任期が10年の場合:
 「10-8=2」ということで、後2年任期が残っていることになります。ですので、商号変更時に基本的に役員を選ぶ必要はありません。

<ケース3>
就任後の任期が全員11年を越えている場合:
この場合、商号変更時に役員は任期満了となるため、新たに役員を選任する必要が出てきます。なぜなら、取締役の法定任期は最長でも就任後10年(以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時総会の集結の時)までですので、どう考えても、残り任期はマイナスとなってしまうからです。

その他移行時の注意点

・株式会社移行による設立の登記と、本店移転の登記はあわせてすることができない。
・取締役会設置会社の定めの登記は、変更する定款に、取締役会設置会社とする旨及び代表取締役の氏名を盛り込んでおき、これらの規定の効力発生日を設立の登記日と定めることにより、移行による設立登記とあわせて取締役会設置会社である旨の登記をあわせて申請することができる。
・移行によって取締役の一部が任期満了となり、新たに取締役を選任する場合、旧会社と新会社の取締役が混在することになるため、登記以前に、新たに取締役となる人を含めた互選によっても、代表取締役の選定をすることはできない。
・商号変更においては、会社形態を変更するだけでなく、商号そのものを変更することもできる。例えば、「有限会社かもめ商事」を「株式会社かもめ商会」へ変更することも可能となっている。
移行にかかる諸費用
(平成23年11月1日掲載)