交通事故で使える保険について教えてください。

交通事故に遭って怪我をしました。はじめて聞く用語ばかりで困惑しています。使える保険について教えてください。

答え

自賠責保険・任意保険・労災保険が主なものです。

それぞれの保険制度の仕組みを知り、状況に応じた対応を考えていきましょう。

 交通事故に遭った際、被害を受けた方が関係することになる保険は、大きく分けて自賠責保険・任意保険・労災保険の三つです。以下、順に見ていきましょう。

自賠責保険

 自賠責保険というのは、法律によって加入が義務づけられている保険です。正式には『自動車損害賠償責任保険』と言います。また、JAなどの協同組合が行う場合は『自動車損害賠償責任共済』と言います。通常は、この両者をひとくくりにして「自賠責保険」と総称しています。

 自賠責保険の根拠法は、自動車損害賠償保障法です。同法第5条では、次のように定められています。

第五条  自動車は、これについてこの法律で定める自動車損害賠償責任保険(以下「責任保険」という。)又は自動車損害賠償責任共済(以下「責任共済」という。)の契約が締結されているものでなければ、運行の用に供してはならない。

 つまり、法律が予定している世界では、運転される自動車にはすべて自賠責保険がかけられていることになります。

 ちなみに、自賠責保険は、新車であれば購入時、その後は車検の際に保険料を納入することになります。したがって、自賠責保険がかけられていない自動車とは、車検切れで運転している自動車のことになります。

自賠責保険の役割

 自賠責保険は、被害者保護のために国が加入を強制した保険です。ですので、対自動車(或いはバイク)の事故に遭った被害者の方は、第一次的には、自賠責保険で救済されます。
 しかし、無制限に救済される訳ではなく、以下の特徴があります。

  • 物的損害は、原則として補償の対象外です。
  • 傷害による損害は、被害者1名につき120万円が限度です。
  • 死亡による損害は、被害者1名につき3,000万円が限度です。
  • 後遺障害として認定された場合、被害者1名につき4,000万円~75万円を上限として逸失利益と慰謝料が支払われます。その算出は、お怪我の部位や程度によります。

 いずれの場合も、上限額が保障される訳ではなく、実損額や逸失利益を算出し、その合計が上限に達するまでは、自賠責保険で保障を受けることができる、という理屈です。

 では、上限を超える場合はどうなるのでしょうか。たとえば、32歳で独立開業した医師が、開業後3年間、常に年収3,000万円程度あった状態で事故に遭い死亡した場合などの損害額は、到底自賠責保険の保障額(3,000万円)で収まりません。

 また、就労していない大学生であっても、お父さんの高級車を運転中に後ろから追突されて車が大破した場合も、物損は自賠責から支払われることはありません。

 このような場合に備えて加入しておくのが、任意保険です。□□損保さんと言った、損害保険会社が売り出している自動車保険ですね。

自動車保険(任意保険)

 自動車保険は、実務では「任意保険」と呼ばれています。それは自賠責保険が強制保険であることを対比した呼称であると言えます。強制保険である自賠責保険に対し、自動車保険は加入が任意のため、全国的にも加入率は8割弱になっています。

 任意保険には、対人賠償保険において自賠責保険の上限である3,000万円以上の部分をカバーできる他、自賠責では保障されない対物賠償保険があります。
 この保険によって、被害者は車や衣服の損害について補償を受けることができます。

 また、人身傷害保険や、搭乗者傷害保険、車両保険などを組み合わせて保険契約を行うことが一般的です。

 人損部分について、任意保険で担保される範囲は自賠責保険とほぼ同じです。ただし、将来の介護料は、自賠責保険に支払規定はありませんが、任意保険では支払われます。

労災保険

 交通事故で、意外に知られていないのが労災保険が使えるということです。業務中に遭った事故はもちろんのこと、通勤中であっても労災の適用があります。

 労災というと「事業主が…」とおっしゃるケースが少なくありません。

 しかし、労災の使用は事業主が決めることではありません。労災を適用するには事業主の協力があった方が良いことは事実です。しかし、仮に事業主が押印を拒んだとしても労災自体の届出は可能です(事業主が拒んで労災の申請ができなければ、労災の制度自体が機能しなくなってしまいます)。

 しかし、会社で働く以上、事業主の理解と協力を得て手続を進めることは、信頼関係を維持する点からも重要でしょう。まずは、事業主に相談なされることが大切です。

 労災に認定されると、治療費は窓口負担もなくなり、休業損害についても特別支給金制度があります。特別支給金が支給されると、休業損害は最高で12割の給付を受けることができますので、少しばかりお得な制度です。

 労災の場合、多くは自賠責保険も使えることになりますので、治療費をどちらから先行して支払うか、という問題があります。
 この場合、どちらを先に使うかは被害者の判断になりますが、過失割合や相手方がかけている保険によって、どちらを先行させるのか検討が必要になります。

健康保険

 こと治療に限っていうならば、健康保険も重要です。
 交通事故でお怪我をした際、最も大切なことはすぐに通院することです。この時、病院側にとっては「治療費を支払ってもらえるか」ということは非常に大切になります。
 ですので、治療費はどうするのか、ということはすぐに判断しなければなりません。

 選択肢となるのは「自由診療」「健保適用」「労災適用」の三種類です。

 過失割合が大きい場合は、自由診療よりも健保を使う方が賢明な場合もあります。しかし、医療機関によっては健保を嫌がる場合もありますので、事故の状況を話して理解を得るなどの努力も必要となるでしょう。

保険を理解し賢明な選択を

 交通事故に遭ったとき、保険を理解することは非常に大切です。たとえば、自動車を二台保有している時、どちらかの自動車保険に弁護士費用特約を付けていれば、もう一方の自動車で事故に遭った時でもその特約を使うことができます。

 私は、この事例で何度も「弁護士費用特約はない」と思い込んでいらっしゃった被害者さんを、弁特を使って解決まで支援してきました(もちろん弁護士を紹介しており、弁護士法違反になることはしてません)。

 その他、人身傷害保険や無保険者傷害保険など、任意保険には様々な種類があります。
 また、自賠責か健康保険か、どちらを使えばいいかということは、過失割合はお怪我の程度によって判断すべきです。それについても、それぞれの保険に対する理解が欠かせません。

 当事務所では、このようなご相談についても無料相談でアドバイスを差し上げておりますので、お気軽にご相談ください。

まとめ

 交通事故に関わる保険としては、自賠責保険・任意保険・労災保険と、治療のための健康保険が考えられる。
 それぞれの特性を理解し、事故状況・お怪我の程度や相手方の保険加入の有無によって、それぞれの局面で適切な選択を行っていくことが大切である

交通事故で健康保険は使えるのか?

交通事故に遭い、整形外科に行きましたが「交通事故で健康保険は使えない」と言われました。これは本当なのでしょうか?

答え

交通事故でも健康保険は使えます。

メリットとデメリットがありますので、よく検討し、医療機関の理解を得た上で健保を使うかどうか決めると良いでしょう。

交通事故でも健保は使えます

 まずはじめに、交通事故でも健康保険は使えます。ただし、風邪をひいた時と同じように病院へ行って簡単に使えるものではありません。保険者(健康保険の管轄先)に対し「第三者行為による傷病届」を提出する必要があります。

風邪のように簡単に健保が使えない理由

 交通事故は、過失割合に争いがあったとしても、基本的には加害者と被害者が存在する構造になっています。そして、民法709条は、故意又は過失によって他人に損害を与えた場合は、生じた損害を賠償する責任を負う旨規定しています。

民法第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 つまり、治療費を支払うのは、本来加害者であるべきなのです。
 日本の健康保険制度は、いわば互助の制度です。病院に一度も行かなかった月でも、人によっては月額5万近い保険料を支払います。これは、自分に助けが必要になった時にもその制度を使うために、支払っているようなものなのです。
 けれど、故意又は過失で人を傷つけた人は、治療費全額を支払うべきであって、保険制度で負担する必要はまったくありません。
 このことから、交通事故で健康保険を使う場合は「第三者行為による傷病届」を提出しておく必要があるのです。

「第三者行為による傷病届」を出すとどうなるの?

 前述のとおり、交通事故による治療費は加害者が負担すべきものであって、保険で賄うべきものではありません。そこで、保険者は、被害者が「交通事故だけど健康保険を使いたい」と言う申し出があった場合、保険制度を使い、医療機関に立て替え払いを行います。
 そして、その立て替え分を加害者に請求(求償)する訳です。その求償の権原として「第三者行為による傷病届」が必要になるのです。
 つまり、保険者は、その傷病届をもって、一旦立て替え、立て替え分を加害者に請求していくことになります。

交通事故で健保が使えないと言われる理由

 では、何故、これほどインターネットが発達した現在においても「交通事故で健保が使えない」と言われることがあるのでしょうか?
 それは、幾つかの視点を持つことで「なんとなく」答えが分かってきます。
 本稿では、交通事故という態様が、(自損事故を除き)加害者と被害者という対立構造で成り立っているという視点から検討しました。その視点で考えると「本来的には、交通事故で健康保険は使うべきでない」という事が言えそうです。
 しかし、実際の交通事故実務では、お怪我の程度、相手方の保険加入状況や過失の程度によって健康保険を使う方がより良く解決できる場合も少なからずあります。
 ですので、交通事故でいわゆる「自由診療」を選択するか、健保を使った治療を選択するか、或いは労災を適用させるかは、事案毎に慎重に考える必要があります。

 また、「医師にとっての交通事故治療」を知ることで、交通事故と健保について、ひいては交通事故解決までのプロセスについても別の視点から考えることができるでしょう。

まとめ

 交通事故でお怪我をなさっても、健康保険を使うことはできます。しかし、実際に使うかどうかは、慎重に検討して決断する必要があるでしょう。

 今週は打ち合わせも減り、HTMLのコーディングにいそしんだ一週間でした。
 そう、Wordpressで作ってないウェブの管理はPタグも手打ちでやってるんです!
 200ページくらいのボリュームになってきて、メニューを変更するのも尋常じゃない手間がかかる。なので、まずパーツ化に着手して、メニュー、サイドバー、フッターはラクに管理できるようにしました。
 コーディングしているのは法律系のページ、そのほかにも医療系ウェブの制作もやっており、息が詰まって叫びたい気分です…。

 さて、法律事務所のページ制作やリスティング管理の打ち合わせをしている中で「交通事故の無料出張相談」で検索した結果を調べました。
 今日はその件に関する雑感を綴ります。

無料出張相談

 士業が行うこの無料出張相談には二つの意味があると考えられます。一つ目は「無料相談」であること。そしてそれを「出張って」行うことです。
 この無料出張相談は、最近多くの法律事務所が注力して広告しています。
 人が動くと移動するのにも費用がかかりますが、いわゆる交通費についても事務所負担の場合もあれば実費を請求していらっしゃるところもあるようです。

どんな事案でも相談できるのか?

 さて、ここからが本題なのですが、東京で追突されむち打ちになった被害者に対し、福岡の法律事務所が無料出張相談するかと言えば、するところもあるかもしれませんが、しないところの方が多いでしょう。
 つまり、法律事務所の「無料出張相談」は、重症事例に限定している所が多い、と私には思えます。
 インターネットで記載されている要件を見ると

  • 高次脳機能障害と診断された方
  • 等級が1級~5級と認定された
  • 出張相談については、一定のケースに限定
  • 出張相談に応じることを約束するものではない

 もちろん、条件を付すことなく「近隣地域であれば対応する」という事務所さんも見受けられました。
 しかし、上位表示されているところほど条件を付しているのは興味深い傾向です。

何故条件を付すのか

 どれだけ建前を言っても、重症事案が高額報酬に結びつきやすいという点は否定できないと思います。
 身体が動きづらいのは入院している被害者さんだけではありません。むち打ちだって辛い症状で、寝返りも一苦労という人も少なからずいらっしゃいます。

 交通事故で被害に遭われた方を社会的正義から救済しようとするのであれば、怪我の程度で相談対応に優劣をつけるのはいかがなものかと思えます。
 しかし、他方から見ると最初に明確な要件を提示しておくのも親切なのか、という気がしなくもありません。

 重症事案は賠償額が高額になる上、後遺障害部分の争点がないようにも見えるため、扱いやすいと考えられているのでしょうか。

当事務所の後遺障害無料相談

 弊所では、むち打ちであっても三重県まで車を飛ばして相談にお伺いしています。もちろん、入院中の患者様に面談するために病院へ伺うこともあります。
 後遺障害というのは、通院中から静かな戦いが始まっています。戦う相手は、保険の論理をふりかざし、治療費を打ち切って自賠責の120万円までに支払いを収めようとする保険会社の場合もあり、医療機関の無理解の場合もあります。
 弊所は、交通事故で相談から受任に至る割合はそれほど高くありません。こちらのお仕事になるかどうかなどは二の次でかまわないのです。
 まずは厳しい現実を知り、それにどう備えていくかが大切です。

 とはいえさすがに弊所でもむち打ちで札幌の被害者さんの所まで出張で行けるのかと言われれば「状況による」とお答えせざるをえません。
 でも大丈夫。弊所は法律事務所のホームページを作っている関係で、北海道から沖縄まで、全国各地において交通事故で実績をあげていらっしゃる弁護士の先生を存じ上げており、その先生をご紹介差し上げることでお役に立つことができます。

 ですので、重症度やお怪我の状態にかかわらず、稚内から糸満市(実際にお電話頂いたことがあります)の皆さままで、もちろん石垣島の皆さまも、どうぞお気軽にご相談のお電話をおかけください。人と話してみると安心することができますし、絶対損にはならないと思います。

 京都市では、平成30年4月1日から、自転車に乗る場合の保険加入が義務づけられます。
 ところが、京都市(京都府も含む)の義務化について、チェックポイントとなるのは「自転車損害賠償保険」に入っているかどうかです。この点についてはまだまだ周知が行き届いているとは言えません。
「自転車保険に入らなきゃ」と思っていらっしゃる場合でも、実は既に「自転車損害賠償保険」(に相当する保険)には加入していらっしゃるケースも少なくないのです。
 今日はこの「自転車保険」について検討してみましょう。
京都市では自転車保険の加入が義務づけられます。

損害保険の代表例「自動車保険」

 自転車保険について考える前に、身近な損害保険の代表である自動車保険を概観してみましょう。
 自動車保険の基本は「対人」「対物」に対する賠償に備えるための賠償責任保険です。そして、この賠償保険に「人身傷害保険」を加えることで自身の死傷に備えます。この「賠償責任保険」と「人身傷害保険」で、加害者になった場合・被害者になった場合の双方に備える、という加入の方式を採るのが一般的です(他にも搭乗者傷害や車両保険があります)。

自賠責保険

 ところで、自動車の対人賠償については「自賠責保険」という強制加入の保険があります。自賠責保険は被害者救済を目的として法律によって制定されている強制保険ですが、支払われる保険金額は死亡で最高3,000万円、後遺障害が残った場合は最高4,000万円で傷害による損害については120万円と支払い限度額が設定されており、決して十分とは言えません。また、自賠責は「被害者救済」が名目ですので、物損については一部の例外を除き補償の対象にはなりません。

 このことから、自動車を運転する場合は任意保険に加入してより大きな賠償に備えることが一般的です。

任意の自動車保険

 任意の自動車保険については通常「対人無制限」の補償が受けられます。対物については賠償金額を設定できますが、私は無制限にしています。
 これらの保険は加害側として相手に対し賠償するのに備える性質の保険です。これだけでは、自分が怪我をした場合には、自賠責保険か相手の保険に頼らざるを得ず、不安になってしまいます。何故なら、先ほど説明したように自賠責保険の補償は大きいとは言えず、物損は担保されていません。加えて、日本国内の自動車保険加入率は8割を切っており、10台に2台は無保険で運転している計算になるからです。無保険の車と事故をすると泣き寝入りになってしまう事例も決して少なくはありません。ですので、自分の身は自分で守るという保険が必要になってきます。

人身傷害保険

 この「自分の損害に自分で備える」ための保険が人身傷害保険になります。人身傷害保険に入っていれば、過失割合で減額した部分もカバーされますし、無保険車相手の事故でも一定程度の補償を受けることができます(但し、後遺障害の等級がついていることが必要です)。

ここまでのまとめ

 つまり、自動車保険は対人・対物賠償責任が基本で、自身に対する補償は任意で付帯させることになります
 これを自転車保険に当てはめて検討していきましょう。

自転車保険の検討

 多くの保険会社から出されている自転車保険の内容は、基本的に「個人賠償責任補償」と「自身の怪我に対する補償」の二本立てになっています。
「個人賠償責任補償」と名されているとおり、この補償は自転車乗車中に人や物を傷つけてしまった場合だけでなく、公園でサッカーをしていて隣家の窓ガラスを割った場合など、日常生活における賠償責任にも対応していることが一般的です。

 そして、京都市が加入を義務づけるのは、正確に言うと「自転車保険」ではなく「自転車損害賠償保険」なのです。

 実際、京都市が発行している周知チラシでも「自転車損害賠償保険に相当する補償が基本補償又は特約で入っていれば、既に自転車損害賠償責任保険に加入している」という趣旨の文言がチャート式チェックシートに記載されています。そして「特約の名称は、個人賠償責任補償特約、日常生活賠償特約など、保険会社により異なります」とされています。

 つまり、個人賠償責任補償特約に加入していれば、原則的には自転車損害賠償保険には加入していることになるのです。ここは周知の少ない点で、もっと周知が必要でしょう。

意外に入っている個人賠償責任保険

 個人賠償責任保険は、それ自体には加入していないとしても特約で付帯させていることが多い賠償保険です。
 たとえば、お子さんのために生協のジュニア共済に加入していらっしゃれば、月額140円で家族全員が被保険者となって最大3億円が保障される特約があります。

 もちろん、自動車保険にも付帯サービスとしてついています。私は「おとなの自動車保険」に加入していますが、その理由は自転車保険の特約があったことと、個人賠償責任保険の保障額が無制限であったことが理由です。その他、火災保険の特約として販売されている会社もあります。

 今加入なさっている保険の内容を確認し「個人賠償責任特約」が付帯されていれば、原則として京都市における保険加入の義務化には新たに対応する必要はない、といえます。ただし、自分が自転車でひかれた場合の補償はありませんので、そういう意味で自転車保険を検討する価値はあるかもしれません。

まとめ

 自転車の保険義務化の流れが加速し「自転車保険」という言葉をよく耳にするようになりました。しかし、京都市で義務になっているのは「賠償責任保険」としての部分であって、それは必ずしも「自転車保険」という名称でなくてもよい、ということは十分に周知されていません。

 個人賠償責任特約は、月額の特約保険料が安価なため重複してかけてしまっている可能性もあります。私自身、自動車保険で個人賠償責任に加入してから他の個人賠償責任の特約を解約し整理しました。

 自転車保険に加入する前に、まずはご自身の保険内容を見直し、個人賠償責任特約に加入しているなら、それが家族全員をカバーしているものなのか、保障額はいくらなのかをしっかりと確認して再度検討することが大切です。

 そして、最も大切なことは、自転車も軽車両であることを自覚し、交差点の一旦停止はしっかり守るなど、交通ルールを遵守した乗り方をすることですよね。
 事故は起こさない、巻き込まれないのが一番です。年末で慌ただしい時期になりますので、安全運転を心がけたいものです。

 踏切を待っている時「この待ち時間に根拠はあるのだろうか」と考えたことがあります。いつもそのままにしていたこの疑問に対して答えを見つけました。
 丁寧に解説しているウェブがなかったので、世の中の役に立てばという思いで出稿します。

  • 根本規則となる法律は「鉄道営業法」のようだ。
  • 詳細については、法律ではなく省令に大まかな決まりがある。
  • それを受けた解釈基準に目安が定められている。
  • 警報が鳴り始め、電車が到達するまでの時間は、最短25秒と考えられる。

鉄道営業法

 日本は法治国家ですので、色々な場面で法律を根拠として考える必要が出てきます。
 そして、鉄道に関して言えば、調べた限りでは「鉄道営業法」が根拠法令となっているようです。
 この鉄道営業法は、ちょうど出稿時(2017.04.19)の少し前に、女性タレントお二人が線路に入って自撮りしたとのことで、鉄道営業法違反で書類送検されていらっしゃいました。
 法文にあたってみると、なんと仮名はカタカナ、明治33年10月1日施行です。

 この鉄道営業法第一条において、詳細を国土交通省令に委ねる旨が規定されています。

第一条 鉄道ノ建設、車両器具ノ構造及運転ハ国土交通省令ヲ以テ定ムル規程ニ依ルヘシ

鉄道の技術上の基準に関する省令

 鉄道営業法を受けて、この省令が踏切等について定めています。条文にあたりましょう。

(踏切保安設備)
第六十二条 踏切保安設備は、踏切道通行人等及び電車等の運転の安全が図られるよう、踏切道通行人等に電車等の接近を知らせることができ、かつ、踏切道の通行を遮断することができるものでなければならない。ただし、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切道の通行を遮断することができるものを設けることが技術上著しく困難な場合にあっては、踏切道通行人等に電車等の接近を知らせることができるものであればよい。

 これだけでは具体的な基準になっていません。そこで、さらに国土交通省鉄道局長通知として「解釈基準」というものを示し、実務の指針としています。

鉄道の技術上の基準に関する省令等の解釈基準

Ⅶ-9 第62条(踏切保安設備)関係
[解釈基準]

1 踏切保安設備は、踏切遮断機を備えたものであること。ただし、電車が130キロメートル毎時以下の速度で通過する踏切道であって、鉄道及び道路の交通量が著しく少ない場合又は踏切遮断機を設置することが技術的に著しく困難な場合は、踏切警報機を備えたものであればよい。

2 踏切遮断機及び踏切警報機の警報装置は、次の基準に適合するものであること。
 (1) 線路の両側において、通行者に警報を発するものであること。
 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 (3) 2個以上の赤色せん光灯を設けること。
 (4) (3)の赤色せん光灯は動作中交互に点滅すること。
 (5) (3)の赤色せん光は、見通し距離が45メートル(地形上等により道路を通行する自動車 等が35キロメートル毎時を越える速度で接近することができない踏切道にあっては、22メートル)以上であること。
 (6) クロスマークを設けること。
 (7) 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
 (8) 警音を発する装置を設けること。
 (9) 2以上の線路に係る踏切道にあっては、電車進行方向指示器を設けること。
 (10)オーバーハング型警報装置にあっては、赤色せん光灯を踏切道における車道面上の有効高さが、4.5メートル以上になるように設置すること。

3 踏切遮断機の遮断装置は、次の基準に適合するものであること。
 (1) 線路の両側において、踏切道の通行をその幅員の全体にわたり遮断するものであること。
 (2) 踏切道に向かって左側に設けること。ただし、施設の状況等に照らしやむを得ない場合は、この限りでない。
 (3) 遮断かんは、次に掲げるところによること。
  ① 遮断時には、道路面上0.8メートルの高さ(2段型遮断装置の上側の遮断かんにあっては、下側の遮断かんの上方)において水平となることを標準とすること。
  ② 遮断時以外には、道路面上の有効高さが4.5メートル以上となること。
  ③ 黄色及び黒色により帯状に塗装されていること。
  ④ 2個以上の赤色灯又は赤色の反射剤を通行者から見やすい位置に設けること。
  ⑤ 大型遮断装置の遮断かんにあっては、遮断時に踏切道における車道を遮断する部分の鉛直方向の長さは、0.1メートル以上であること。

4 踏切遮断機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
 (1) 電車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、踏切警手が配置されている踏切道又は停車場内の踏切道若しくは停車場に近接する踏切道(以下「手動踏切道等」という。)にあっては、この限りでない。
 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (3) 警報の開始から遮断動作の終了までの時間は、15秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、10秒以上であること。
 (4) 警報の開始から遮断動作の開始までの時間は、通行者の通行に支障を及ぼすおそれのないものであること。この場合において、道路の両側に遮断かんを設けたものにあっては、踏切道に向かって右側の遮断装置は、踏切道に向かって左側の遮断装置の遮断動作が終了した後に遮断動作を開始するのを原則とする。
 (5) 遮断動作の終了から電車等の到達までの時間は、20秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、15秒以上であること。
 (6) 電車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該電車等の速度等により大きく異なるものでないこと。
 (7) 電車等の通過後に遮断状態を解除する動作を開始するものであること。
 (8) 電車等の過走により支障を生ずるおそれのある踏切道にあっては、当該電車等が過走により踏切道に到達する前に余裕を持って遮断動作を終了するものであること。

5 踏切警報機は、次に掲げるところにより動作するものであること。
 (1) 電車等の接近により自動的に動作を開始するものであること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (2) 連続閉電路式又はこれと同等以上の性能を有する制御方式であること。ただし、手動踏切道等にあっては、この限りでない。
 (3) 警報の開始から電車等の到達までの時間は、30秒を標準とすること。この場合において、当該時間は、20秒以上であること。
 (4) 電車及び車両ごとの警報の開始から到達までの時間は、当該電車等の速度等により大きく異なるものでないこと。
 (5) 電車等の通過後に警報を停止するものであること。

以下省略

 長い引用になりましたが、これが探していた答えです。
 以下、これを私なりに解釈して時間を考えます。

踏切の動作

 踏切の動作は、以下の流れが一般的です。

①警報器が鳴りはじめる。
②遮断機が下りはじめ、下りきる。
③電車が当該地点に到達し通過する。
④警報器が鳴り止み遮断機が上がる。

 この動作に上記の解釈基準を当てはめます。

□警報器が鳴りはじめてから遮断機が下りきるまでの時間:標準15秒/最低10秒以上
□遮断機が下りきってから、電車到達までの時間:標準20秒/最低15秒以上

□警報器がなり始めてから電車到達までの時間:標準30秒/最低20秒以上

 上の二つの□は、遮断機の箇所に規定されており、一番下のの□は警報機の箇所に規定されています。ですので、素直な理解で考えるなら、警報器付き遮断機の場合、上の二つで考えることになるでしょう。

 こうやって当てはめると、一般的な踏切で、警報器が鳴りはじめて電車が到達するまでの時間は最低25秒あればよいことが分かります。標準でも35秒です。
 遮断機が下りきった状態から考えると、最低15秒で電車が到達する可能性がある、ということです。

 ただし、道路の両側に遮断かんがある場合、まず左側が下りきって、その後に右側が下りはじめるため、もう少し長くなるでしょう。それでも、上の基準を援用すれば、最低でいくとプラス10秒で合計35秒です。標準で45秒。しかし、遮断機が下りきってから電車到達までの時間は、変わらず最低15秒、標準でも20秒です。

 この解釈基準は、心に留めておこうと思います。
 なお、多くの警報機には非常ボタンが設置されていることも忘れてはならないでしょう。

結論にかえて

 心優しい、そして勇気ある方々が、踏切内で人命救助を行おうとされ、事故に巻き込まれるという痛ましいニュースに触れることがあります。
 自分なら…と考えたとき、その勇気は、私の中にはないと思ってしまいます。

 様々な意味で、この数字は共有する必要がある、と私は考えました。出稿にあたっては何度もその妥当性を考え直しています。この投稿が、誰かの役に立つことを願いつつ、出稿致します。

 なお、内容の正確性については検証していますが、調べたばかりの知識を整理して出稿しているため、抜けや思い違いがある可能性も否定できません。ご指摘があればお問い合わせフォームからお願い致します。

 交通事故に遭うと、通常の場合、相手方の保険会社が治療費を負担しているように思えます。窓口負担がなく、自分の保険は使ってない訳ですから、そう感じるのも当然です。しかし、実際は「相手方の保険会社が自分の財布から」治療費を負担しているのではなく、自賠責保険で支払われる「120万円」の枠を使って支払っているに過ぎません。

 被害者救済のために創設された自賠責保険の財布のヒモを加害者側の保険会社が握る、という常識とはかけ離れた現状に一矢報いたく、本稿を出稿します。

  • 交通事故において、保険会社が負担するのは120万円を超える部分である。
  • 保険会社は、120万円で収めると持ち出しがない。
  • つまり、保険会社は120万円までで収めようとする傾向がある(むち打ちの場合)。
  • 自賠責保険は保険会社を守る制度ではなく、被害者を救う制度であるべきだ。

その治療費は保険会社が支払っているのか?

 交通事故に遭って治療を受けるとき、一般的なケースであれば、被害者自身は窓口でお金を払いません。加害者側の保険会社が一括でお金を支払うからです。これを、実務では「任意一括」と言います。
 この治療費、確かに保険会社が支払ってはいるのですが、保険会社が「自分の財布から」支払っている訳ではありません。いわば、立て替え払いしていて、後で加害者が加入している自賠責保険へ求償しているのです。
 ですので、交通事故に遭われた場合、まずは自賠責保険について知っておくことが大切です。

自賠責保険とは

 自賠責保険は、「自動車損害賠償保障法」によって加入が義務づけられている強制保険で、正式名称は自動車賠償責任保険と言います。
 自賠責保険は、車検の際に保険料を支払っていますので、一般的にはどの車にもかけられている保険と言うことができます。とはいえ、車検の際に保険料を支払っているということは、車検が切れた状態で車を乗っていれば、それは自賠責保険にも加入していない状態となってしまいます。また、自衛隊の車両やアメリカ軍の車両は自賠責保険が強制加入となっていません。

自賠責保険で補償されるもの

 自賠責保険では、治療費や通院慰謝料、通院交通費などの治療に関する科目や休業損害などについて、上限として120万円まで補償を受けることができます。
 それに加えて、治療の結果後遺症が残り、それが後遺障害と認められた場合は別途後遺障害慰謝料が支払われます。

自賠責保険で補償されないもの

 一方、自賠責保険では、モノに対する損害は補償の対象ではありません。車の修理代、破れた服代の弁償などは、自賠責保険へ請求することはできません。

ここまでのまとめ

 つまり、交通事故でまず使われるのは自賠責保険の120万円で、それを使い切った時にはじめて保険会社が身銭を切って被害者に支払う、という流れになります。
 ただし、これは人身の部分についてのお話しです。自賠責では物損は補償されませんので、相手方の車の修理代等については、保険会社が支払い、翌年加害者の等級を下げて保険料を上げることにより、わずかでも回収を行います。
保険会社による治療費打ち切りに負けないでください。

120万円という上限の使い方

 被害者側は、窓口負担がないため、毎月どのくらいの治療費がかかっているのかが分かりません。しかし、加害者の保険会社側は、医療機関に支払いを行うため、何回通院しているかと言った情報や、当然診療報酬総額を知ります。そこから通院交通費や通院慰謝料、休業損害を加算すれば、およその支払額を簡単に見積もることができる。
 保険会社側が支払額を抑えようとすれば、120万円に達する前に、イロイロと理屈をこねて「これ以上治療費を支払わない」と言えばいい訳です。
 保険会社の理屈はなかなか巧緻で「痛い」と言えば「痛みが治らないなら治療の継続は無駄」と返してきます。かといって通院期間が短すぎると、もう少し通院していれば快癒の可能性があるため後遺障害認定で不利になります。
 つまり、保険会社は「痛みが治らないなら治療の継続は無駄」として治療を打ち切っても、後遺障害の認定機関は「治療の継続が十分ではないからその痛みは後遺障害とは認められない」と判断するわけです。
 この現状を放置していいのでしょうか。「保険とはそんなもの」で片付け続けていいのでしょうか。

 事故が起こるとき、被害者が「さぁ追突くるぞ」と身構えて衝突に備える場合は少数です。普通は前を見ている時に不意に事故が起こる訳ですから、身体は衝撃に備える準備ができていません。たとえ低速であったとしても、1トンの物体がぶつかってきたら脊柱にダメージを負っても何の不思議もありません。しかも首は前後の可動性が柔軟で、頭という重い部位を支えています。衝突で振り子のように動いてむち打ちになるのは、ある意味当たり前のことなのです。

 それを「むち打ちは自訴しかない」と言って平然と治療を打ち切る保険会社を、私は許容することができません。それは「むち打ちは自訴しかない」のではなく「他覚的に捉える技術が追いついてない」だけの話しなのです。

 治療費を払いたくないのであれば、保険会社が共同でタイムマシンでも開発し、事故前の身体に戻してくれればいいのです。そうすれば、誰も治療費や慰謝料を請求しようとはしません。

 昨今、高齢者の自動車事故が問題になっているように、自動車は走る凶器です。それに対して保険で商売しているのなら、もっと責任感とプライドを持って仕事として欲しい、と私は思います。

治療費打ち切りにおいて被害者の皆さまがなすべき対応

 理想論を書きなぐっていてもこの現状を変えるのは簡単なことではありません。

 治療費を打ち切ると言われた際、どのように対応すべきか、当事務所の方針をご案内致します。

事故状況を再度検討します

 治療費打ち切りが問題となるのは、むち打ち事案が多数です。
 むち打ちにおいては、レントゲンやCTから痛みの原因となる所見は得られません。

 その場合、当事務所では、事故状況や物損の程度をもう一度検討し、自覚症状との整合性を考えます。そして、その痛みが「後遺障害」として認定され得るかどうかを考えます。

あとどのくらい通院する必要があるか

 打ち切りの際には、あと何ヶ月程度通院が必要なのかということの目処をつけることも大切になってきます。通院には費用以外にも「時間」という大切な資源を使うことになります。

治療費の状況

 治療費がどの程度かかっているかも判断材料の一つになります。自賠責の枠が120万円。治療費合計がどのくらいになっているかで作戦も変わります。作戦というのもおかしな話しですが、保険会社の論理自体が無茶なので、こちらもそれに対抗するにはそれなりの手段を講じる必要があるのです。

 これらを全て勘案し、治療費打ち切り後に健保通院できるのかどうか(稀にできない所もある)も確認した上で、最終的な選択肢を作り出し、その中から依頼者様と相談して方針を決定しています。

「倍返し」とはいかないまでも…

 現状の交通事故解決プロセスは、圧倒的に加害者側に有利な仕組みになっています。加害者側の顧問医が勝手に意見書を書いてそれに基づいて治療費の打ち切りが通告される。
 自覚症状しかないから通院は認められない?
 違うんです。それは自覚症状を裏付けるだけの検査技術が発達していないだけなのです。どの医師に尋ねても、人間の身体についてはまだまだ解明されていない部分があるとおっしゃいます。
 低速度の追突であってもむち打ちになることは実際に起こりえます。それで握力が著しく低下して家事に差し支えが出るようになった。それでも途中で治療費は打ち切り、後遺障害も認められない…こんな被害者様を増やしてはいけない。私はそういう思いで交通事故業務に取り組んでいます。

 お困りの方がいらっしゃいましたら、諦めずに一度ご相談ください。どこまでチカラになれるかは分かりませんが、できる限りの選択肢を作り出すお手伝いをさせて頂きます。

 バイク事故では、交通事故の中でも後遺障害について特に留意しなければならない形態です。

 転倒すると、複数の部位で強い衝撃を受けることが一般的で、その全てについて後遺障害を精査していく必要があります。
 本稿では、バイク事故に関する論点を取り扱います。

  • まず、自覚症状を全て洗い出すべきである。
  • 診断と自覚症状の整合性を追求する必要があろう。
  • 不足する点については、再度診断を受けるなどの対応をすべきである。

bike

自覚症状と医師の興味

 事例で考えていきましょう。バイクで国道を直進中、交差点内で対向車線から右折してきた乗用車と衝突、被害者は吹き飛ばされ、10日間意識が戻りませんでした。

 整形外科領域では、右手指他、十数カ所を骨折していらっしゃいました。

 意識が回復なされた後は、これほどの大事故にしては稀とも思えるほどにしっかりと回復していかれ、事故から7か月後にご相談を頂きました。

 ご本人には、漠然とではありますが、物忘れが多くなったり、思い出せないことがあるといった認識があったそうですが、普段の生活にはそれほどの差し支えがなかったため、治療・リハビリは整形外科領域に限ったものでした。

 これはある意味で当たり前のことです。
なぜなら、整形外科医の担当は整形外科領域の事のみであって、脳機能障害を見抜いたり、それについてアドバイスすることは整形外科医の職務の範囲とは言えないためです。

 しかし、被害者にとって、整形外科医はあくまで「お医者さん」です。ですので、脳機能に不安があれば、それについて適切なアドバイスがほしい。たとえ確定診断ではなくても「脳神経外科で見てもらっておいた方がいいですね」の一言がほしいのです。

 けれど、交通事故治療において、整形外科側からそのようなアドバイスがなされることはほとんどありません。

 繰り返しますが、整形外科医の興味はあくあで整形外科領域の治療であって、それ以外は専門外なのです。また、ただでさえ書類が多い交通事故被害者は、できるだけ早期に治癒してほしいというのが勤務医師の率直な想いでしょう(もちろん、それが患者様のためでもあります)。

その後の経過

 さて、7か月後にご相談を受けた際、整形外科領域での後遺障害についてはもちろんのこと、記憶や感覚に関する聴き取りから、高次脳機能障害に関する検査を受けるべきと判断し、検査を手配しました。また、視力障害が疑われたため、交通事故後遺障害に精通した眼科での検査もアレンジしました。

 そのお客様は「もし相談していなかったらどうなっていたのかと考えるとちょっと怖い気がします」とおっしゃっていらっしゃいました。現在被害者請求中ですが、10日間意識を失っていたというほど危険な状態だった損害に対し相応しい補償を得られるよう最善を尽くしました。

バイク事故の問題点

 この事例から分かるように、バイク事故では複数の部位を損傷していることが多くありますが、物理的に考えても頭部を地面にぶつけている可能性は高いという前提で聴き取りをしていきます。

 ところが、医師は自分の専門分野に関する傷病を診断し、治療をしていくことが仕事であって、「どの程度不具合が残っているか」ということを証明するのは仕事ではなく、むしろ証明したくないというのが人情というものでしょう。ましてや、他の領域に関する傷病など、興味がなくて当たり前、という前提から出発していくことが大切です。

 ですので、特にバイク事故で後遺障害を立証していくにあたっては、できるだけ早期に専門家に依頼なさることが良いと言い切ることができます。

まとめ

「交通事故後遺障害」の立証という考え方には二つの方向性があります。一つは、他覚所見と自覚症状について整合性ある障害について必要な資料を揃えることで、これはいわば、MRIを依頼したりという、普通にできることです。

 もう一つは、他覚所見と自覚症状が紐付いていない、いわば隠れた「後遺障害として認められる要素」をしっかりと探しだし、その医学的根拠を取り付けて、最終的な補償へと結びつけるという仕事です。

 当事務所では、この「隠れた障害」「見逃されている障害」をあぶり出すことを重視した相談を行っています。バイク事故でご自身の症状に疑問を持たれた方、今後の流れに不安を感じていらっしゃる方は、どうぞお気軽にご相談くださいませ。

 大阪梅田の繁華街交差点で、運転手が突発的に発病しその自動車が急発進するという不幸な事故が発生してしまいました。

 その翌日にお客様とお話しした際「このような場合でも保険の適用があるのか?」というご質問がありました。
 これは非常に重要な論点ですので、私見を交えて検討を試みます。

  • 死亡の認定については、医師の診断が必要である。
  • 無人の自動車による事故についても保険の適用があり得る。

運転中に意識不明になった場合等の保険適用

 導入部分でのお客様との会話ですが、論点となったのは「運転中に突発的な病気で死亡した場合、その車に起因した事故に保険は適用されるのか」ということでした。

 この点に関しては、まず「誰が死亡を認定するのか」ということが問題になります。

 仮に運転中に心肺停止の状況であったことが推定されるとしても、その事実のみをもって「死亡」していたということにはなりません。
 人の死亡は、原則的に医師の診断によって確定するのであり、それは、救急隊員が駆けつけたときに心停止していても同じです。
 ただし、実務上、死亡診断書は死亡を確認した時刻ではなく死亡時刻を記載する取扱になっています(厚生労働省の死亡診断書記載マニュアル)。
 死亡した状態で医師が診断する場合(より正確には、診断の結果、診断前に死亡していたと認められる場合)、死亡時刻を判断するのも医師になります。
 この時、実際問題としては、交通事故前の死亡を認定することはほとんどないと考えます(私見)。何故なら、事故前に心臓が止まっていたなど、根拠をもって言える訳がないからです。

 ですので、医師が死亡の認定時刻を事故発生時刻よりも前と認定しない限り、自賠責保険はもちろんのこと、運転者が任意保険に加入していれば、その任意保険を使って補償を受けることができます。

 なお、医師が診断する前に死亡していたと認める場合、医師が記載する書面は「死亡診断書」ではなく「死体検案書」となります。

死亡と心配停止の違いについて -みやこ事務所ブログ(参考)

 なお、傍論になりますが、ご自身、或いはご家族が車を所有していらっしゃり、人身傷害保険に加入なさっている場合は、その保険を使えることもあります。

無人の自動車に起因する事故の場合

 次に、無人の自動車に起因する事故のケースを考えましょう。典型的なケースは、停車中の自動車にパーキングブレーキをかけ忘れ、その自動車が坂道等で動き出し事故を起こした事例です。
 この種の事故で、まず自賠責保険が使えるかどうかという点についてですが、地方裁判所の裁判例では、自賠責保険の適用があるという判決(横浜地裁昭和45年10月26日)が出ています。

 任意保険については、約款によりますが、通常の約款では、管理上に起因する事故であっても使うことができますので、ほぼ全ての自動車保険で任意保険を使うことができるでしょう。

 ご自身や家族の人身傷害保険が使えることも同様です。

自動車事故で被害者を救済するための保険制度

 ここまでは、保険制度を前提にお話ししてきましたが、「そもそも自動車の保険ってどうなってるの?」と言う皆様のために、自動車保険制度についてごく簡単に概観しましょう。

 自動車事故に遭った際、被害者を救済するために強制保険として加入が義務づけられているのがいわゆる「自賠責保険」です。
 自動車の自賠責保険は車検の際に保険料を支払う制度になっていますが、原付や250cc以下のバイクは車検がないため、自賠責保険に未加入という事態が少なからず起こりえます。
 この場合は、最終的に政府補償事業での救済を求めていくことになりますが、時間がかかってしまいます。
 自賠責保険で補償される額の上限は120万円で、物損についての適用はありません。
 ただし、死亡の場合・後遺障害が残った場合は、別に定められた基準で補償されます。

 自賠責保険は最低限の補償しか担保されていませんので、多くのドライバーは不測の事態に備えて別途保険に加入しています。
 これが「任意保険」と呼ばれるもので、自賠責保険ではまかない切れない補償部分を補ってくれます。また、人身傷害保険のように、加害者ではなく、被害者になった場合にも保険を使えることもあります。

まとめ

 以上、自動車保険が使えるかどうかについて、稀なケースを取り上げて検討しました。
自動車保険は、使わなくて済むのが一番ですが、補償内容について十分理解しないで入っていらっしゃるケースも少なからず見受けられます。
 よく調べてみると人身傷害保険に加入なさっていたり、配偶者の車に弁護士費用特約がついていたりと、実は保険が使えたというケースもありますので、万が一何かが起こった場合は、契約先の代理店さん等に確認なさることはもちろん、弁護士や後遺障害関連では行政書士に相談なさるのも確実な方法です。

 ご参考になさってください。

 今日は京都市内に初雪が降りました。急に寒くなったせいか、事故が続出しているようです。
 積雪の際は運転操作を誤って自損事故を起こすケースがあります。
 本稿では、自損事故と後遺障害に関する論点をまとめて検討します。

  • 自損事故では自賠責保険は使えない。
  • 自損事故でも補償してくれる保険特約がある。
  • 特約を活用すれば、自損事故でも後遺障害等級により補償がある。

交通事故のご相談はお気軽に!

自損事故とは

 自損事故を定義するのは奥深い検討が必要ですね。まずは言葉の定義を確認しましょう。

 【自損】
自分の過ちにより、自ら怪我をしたり損害を被ったりすること。
-出典『広辞苑 第六版 DVDROM版』

 この広辞苑の解説からは二つのことが読み取れます。

  • 自らの過ち=過失100%であること。
  • 怪我や損害が発生していること。

 つまり、交通事故における自損事故とは、運転者の過失が100%であって、怪我や損害が発生している事故と定義することができるでしょう。運転操作を誤ってガードレールにぶつかったりする場合の他、停車中の車に衝突するようなケースも考えられます。

自損事故と自賠責保険

 自損事故で自賠責保険が使えるのかというお問い合わせをよく頂きますが、自損事故では使えません。自賠責保険は強制保険ですが、これは交通事故被害者救済のために強制されている訳です。自賠責保険の補償範囲は、自動車運転中に他人に怪我をさせたり、死亡させたりした場合の対人賠償責任部分です。他人であっても物損は含みません。

自損事故と任意保険

 では、自損事故ではまったく保険が使えないかというと、実際には使える場合が多数です。何故かというと最近の自動車保険では、人身傷害保険をセットしない場合には自動で自損事故傷害特約が付帯される傾向にあるからです。
 人身傷害と自損事故傷害特約は、人身傷害が優先して適用されます。ちなみに私自身の契約概要書には、自損事故については人身傷害で補償しますと記載されています。

【重要】自損事故で保険を使うには

 自損事故で重要なのは、交通事故証明書が必要であるという点です。
 自損事故で相手がいない場合、安易に請求を認めると架空請求が簡単にできてしまいます。ですので、自損事故で保険を使う場合は、交通事故証明書はほぼ必須と考えてよいでしょう。
 後になると面倒ですので、事故時に警察へ通報していない場合、早めに警察へ行って相談した方がよいでしょう。

自損事故と後遺障害

 自損事故傷害特約や人身傷害保険が使える場合、後遺障害があれば、調査事務所へ申請をして等級が認められれば保険金を受け取ることができます。
 自損事故であってもムチウチになることは十分に考えられますので、保険約款を確認し、警察の証明を得ておいた上で、適切に対処していくことが肝要です。

まとめ

「自損事故だから」という視点で保険が適用できないと思い込むのは早計です。自損事故であっても、現在の自動車保険設計から考えると、通常であれば保険を適用して治療を受けることができるでしょう。ただし、何度も述べているように、交通事故証明書が必要となるケースが多いことには注意が必要です。
 そして、最も大切なのは事故を起こさないこと。時間にも心にも余裕をもって安全運転を心がけたいですね。

 先日、ある同業者とお話ししていた際「むち打ちで画像があればほぼ等級が認定される」と言う趣旨の発言を聞きました。なかなかに興味深い見解ですが、私は同意できません。実際、初回非該当になったケースもあります。当ホームページでも「むち打ちにおけるMRIの有用性」で、後遺障害等級認定におけるむち打ちとMRIの関連性を検討しています。
 そこで、本稿で一般的な脊椎の変化を考えることで、むち打ちとMRIの関連性を再考します。

  • 歳をとれば、誰でもヘルニアになる可能性がある。
  • ドクターに交通事故との因果関係を証明してもらう必要はない。
  • 事故によるヘルニアと認められなくても14級は認定され得る。

脊椎のお話し

 当事務所では整形外科医院のホームページを制作しており、ページ作成のために複数の整形外科医にインタビューを行っています。それらを録音して文字に起こしていく訳ですが、本稿における医学的な内容は、複数のドクターにインタビューする中で出来上がった自分の理解です。

 椎間板は、中心部にあるゼリー状の髄核とその周りの繊維輪という軟骨とでできています。歳をとっていくと、髄核の水分が減っていき、椎間板の高さが狭くなっていきます。また、繊維輪もへたってきますので裂け目ができてきて、そこから髄核が飛び出してきます。それを図示したもの、そして実際の画像が次のイメージです。部位は腰椎(L3)ですが、頚椎、すなわち首であっても基本的には同じです。
椎間板ヘルニアの仕組み
 このMRIは交通事故とは関係なく、40代の親族のものです。

ヘルニアと事故との因果関係

 このように、椎間板ヘルニアは、人間のメカニズムとして、ずっと生きていれば起こりえる状態です。しかし、ヘルニアがあるからと言って必ず腰痛や神経痛が発症するわけではないでしょう。

 そこで、交通事故によるむち打ちでは、MRIと事故との因果関係が重要になってきます。
つまり、そのヘルニアは、事故によってできたものなのか、元からあったものなのか、という判断です。

交通事故とヘルニアの関係性

 MRIを依頼すると、通常、放射線科医の簡易診断書のようなものが付されますが、そこにはよく「事故とヘルニアとの因果関係は不明」と付言されています。
 この一文は、一見すると被害者側に取っては、MRIが痛みを裏付ける医学的資料となりえないような印象を与えます。しかし、そうではありません。
 事故直前のMRIがないかぎり、当該ヘルニアが事故によって発生したものなのか、以前からあったものかを見分けるのは極めて困難です。
 たとえば10歳のお子さんに突出したヘルニアがあれば事故との因果関係がありそうにも思えます。しかし、上記のイメージ画像のように、30歳を超えれば、交通事故でなくてもヘルニアが映るMRIはたくさんあるのが実情です。
 ですので、交通事故のMRIは、まず撮影することが重要、そして所見が得られればそれでよく、医師に因果関係まで言及して頂く必要はありません。また、仮に因果関係が記載されていたとしても、調査事務所がそれをそのまま鵜呑みにすることはないでしょう。

交通事故と痛みの関係性

 一方、痛いという事実、これは非常に大切です。MRIを撮影して所見があろうがなかろうが「痛む」という事実を伝えることが大切です。痛ければどうすれば良いでしょう。痛くても放っておけば後遺障害が認定されることはありません。何故なら、後遺障害は「懸命に治療しても治らなかった不具合」であることが前提だからです(欠損障害等は除く)。
 ですので、痛かったということを伝わるようにするためには、通院を重ね、自覚症状を訴えて、それを後遺障害診断書に落とし込むことが大切になります。

事故によるヘルニアと認められなかった場合

 では、仮にヘルニアの所見が得られても事故との因果関係が認められなかった場合、等級は認定されないのでしょうか。決してそうではありません。むしろ、むち打ちでは、交通事故とヘルニアの因果関係が認められない場合が多数であると言えるでしょう。
 その場合であっても、事故で相当の衝撃を受け、痛みを感じてすぐに受診するなど、幾つかの要件とも言えるポイントを押さえることで14級9号の認定を受けられる可能性があります。

まとめ

 交通事故に遭った場合、身体の状態を正確に記録しておくという意味においてやはりMRIは重要です。
 しかし、MRIに映る画像は、事故後であるというだけではなく、今までの身体の状態もがいわば混在した画像になります。それに所見をつけるのはドクターの仕事ですが、所見が得られたからと言って等級が認定される訳ではありません。

 交通事故では、適正なプロセスを通って解決へ向かうことが重要で、その適正なプロセスは概ね一つであると言えます。しかし、事故には様々な態様があるため、柔軟に臨機応変に対応を考えていく必要があります。

 インターネット上に記載された情報がそのまま当てはまることは少ない、ということに十分留意なさってください。