10月 9th, 2013|ブログ|

今日は、ハンコについて検討しつつ、後段では「認印」と「シャチハタ」の概念、差異について考えます。

  • ハンコそのものは「印鑑」ではなく「印章」と呼ぶ。
  • 認め印や実印そのものを定義した法律はない。
  • 実印の取扱は、各自治体により個別に定められている。
  • シャチハタも認め印の一種であると言える。

ハンコ・印章・印鑑について

印章の見本ハンコとは、印を刻んだ物体のことですが、これは正確には「印章」と呼びます。ハンコ屋さんの看板なんかをよく見ると「印鑑」と言う言葉は使われていません。
「印鑑」の「鑑」には「資料を並べて手本とする書物」という意味があります。
「印鑑」とは、その印章の陰影が登録しているものと相違ないかを確認する、いわば「原本」の役割を果たすものです。

 印鑑登録とは、使用する印章(実印)の陰影を登録する手続きのことを言う訳です。

 ですので、たとえば銀行員の方が「印鑑をお願いします」と言われたら、それは正確な表現とは言えません。
 とはいえ、そこで「印鑑は『印章』と言うんですよ~」とうんちくを披露したところで、気まずい雰囲気になってしまうだけです。このうんちくは、使う時と場所を選ぶ必要があると言えるでしょう。

認印・三文判・実印等の呼称について

 では、認印・三文判・実印と言った呼称はどういう意味なのでしょうか。

 これらの印がしるされている対象物は全て「印章」であり、認印も三文判も実印も、全ては「印章」に概念されるものです。その中で、材質や使われ方等により、呼称が変わっていると言えるでしょう。

認印

認印とは、一般に苗字を陰影にした印章であって、実印や銀行印など、別に呼称をもたない印章の総称と言えるでしょう(当事務所における私的見解)。

苗字を陰影に刻んでいることが認印の要件であるとは言えませんが、「認める印」として使用されるため、山田さんの家に荷物を届けて「鈴木」の認印を押されたら、配達員さんはきっと困ってサインの併記を求められるのではないでしょうか。
 認印には強い証明力はありませんが、やはり一般常識にそった使い方をするべきであると言えるでしょう。

三文判

 三文判とは、その文字通り、印章のうち「安価」であって、別に呼称をもたない印章を特に指した呼称ということができるでしょう。私の理解では「認印=三文判」という図式が一般化していると思われますが、若い世代では「三文判」という呼び方自体しなくなっており、認印という言葉を使っているのではないかと思います。

実印

 実印とは、一般的に、登録可能な行政庁に対してその印影を印鑑として登録した印章のことを指します。難しく書きましたが、つまりは、印鑑登録したハンコが実印、と言うわけですね。
 実印は、法律用語のようにも思えますが、法律で定義されている概念ではなく、各自治体が個別に取扱を定めています。京都市では、「京都市印鑑事務取扱要領」により、その手続が定められています。
 当該要領の「3 登録を受けることができる印鑑」のうち、一部を抜粋します

(8)印影が一辺の長さ8ミリメートルの正方形に収まらないで,一辺の長さ25ミリメートルの正方形に収まる大きさであること。

(11)ゴム印その他押印のつど印影が変形しやすいものでないこと。
 鉛印,ベークライト印,指輪印等は,押印のつど変形しやすいので登録を受けることができない。

(13)流し込み,プレス等の製法により同一形態の印鑑が量産されているものでないこと。

 この「~でないこと」の連続は、いかにもお役所的な文書の書き方ですね。
 このように、印鑑登録ができる印章はある程度限られており、量産品では登録を受けることができないのが一般的です。

 一方、銀行印は量産品であっても問題なく登録することが可能です。

 実印も銀行印も印章の一つであり、認め印にもなり得るものです。私は、リスクマネジメントの問題はさておき、認め印を押してくださいと言われた場合でも実印を押印することもあります。

シャチハタと認め印

 認め印といわゆる「シャチハタ」は別物だとお考えの方がいらっしゃいますが、厳密に考えるとシャチハタは認め印の一種である、と言えるでしょう。
 この二つの最も大きな違いは、一般的な認め印は、押印の際に印肉(朱肉)が必要となりますが、シャチハタは「インク浸透印」であり、朱肉を必要としない点です。

 たしかに、シャチハタは印面がゴム素材でできているため、押し方によって微妙に印影が異なる場合がありますが、そもそも「認め印」という概念自体が明確に定義されている訳ではありませんので、認め印と呼んで差し支えないでしょう。

認め印が必要な場合、シャチハタは使えるのか

「認め印が必要」と言われた場合、上記の定義から考えるとシャチハタを持っていっても問題ないと言えますが、日常の中では「シャチハタはダメなんです」と言われる場合が数多くあります。

 この場合、判子を押す書類を作成または管理している、いわば書類の所有者が定めるところに従うことになりますので、ダメなんですと言われればそれまでですが、相手が法人や団体である場合は、根拠規定を示すよう求めることも可能でしょう。

 しかし、ここでも、そこまでしてシャチハタにこだわる理由はないとも言えますので、予め印鑑が必要と分かっている場所に出向く場合は、最初から認め印(或いは実印など必要とされる印章)を持って行くにこしたことはありません。

まとめ

 当たり前のことですが、「認め印」「実印」「銀行印」という各種の呼称は、印章の通称と呼べるものであって、法的な定義がなされているものではありません。また「シャチハタ」というのはインク浸透印の通称となっていますが、これは会社名がそのまま通称となったものです。

 認め印は100円ショップにも販売してあり、手軽に入手できますが、押印というのは、社内回覧の確認印であっても、宅配の受領印であっても、定款作成に実印を押印する場合であっても、すべて自分に返ってくる事実行為です。このことをよく理解し、無駄に押印せず、疑問を感じられた場合は、根拠を確認されるなど、納得してから押印なされるとよいでしょう。


 二ヶ月ぶりのブログになってしまいました。
 久しぶりに書くとやっぱり時間がかかるものです。これから秋の京都は観光シーズンですので、また観光情報や行政ネタをこまめに出稿していきますのでご期待くださいませ。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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