5月 19th, 2019|ブログ|

 あけましておめでとうございます。
既に現在2019年5月19日、元号も変わっているのですが、今年初ブログになります。

 本日は、建設業許可申請で携帯電話番号を登録できるのか、という論点について検討します。

  • まず、大前提として都道府県によって取り扱いが異なる。
  • 京都府では、固定電話回線を引くよう指導を受ける。
  • 方法によって、携帯電話で申請を完了させることは不可能でないと思える。
  • しかし、諸般の事情を考えると、固定電話の番号を取っておくにこしたことはない。

建設業許可で携帯電話は登録できるのか

 建設業許可の申請時、携帯電話で登録申請したところ、認めづらいので許可取得までに固定電話回線を準備するように、との指導が入りました。

 まず結論を申し上げますと、申請人には事前に説明し、電話回線を設ける準備をしてもらっていました。ですので、許可証交付時には固定電話の番号へ訂正を行って処理しました。
しかし、これは厳密に考えると繊細な論点を含む実務的課題です。以下、検討します。

建設業許可申請書における必要的記載事項

 建設業許可申請は建設業法及び附属法令に基づく申請行為ですので、その方法は法律・規則・省令で定められており、その他は都道府県毎に細則等が定められています。一般建設業許可の申請について定めた建設業法第五条を当たりましょう。

第五条 一般建設業の許可(第八条第二号及び第三号を除き、以下この節において「許可」という。)を受けようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、二以上の都道府県の区域内に営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては国土交通大臣に、一の都道府県の区域内にのみ営業所を設けて営業をしようとする場合にあつては当該営業所の所在地を管轄する都道府県知事に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。
一 商号又は名称
二 営業所の名称及び所在地
三 法人である場合においては、その資本金額(出資総額を含む。以下同じ。)及び役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者をいう。以下同じ。)の氏名
四 個人である場合においては、その者の氏名及び支配人があるときは、その者の氏名
五 第七条第一号イ又はロに該当する者(法人である場合においては同号に規定する役員のうち常勤であるものの一人に限り、個人である場合においてはその者又はその支配人のうち一人に限る。)及びその営業所ごとに置かれる同条第二号イ、ロ又はハに該当する者の氏名
六 許可を受けようとする建設業
七 他に営業を行つている場合においては、その営業の種類

 建設業許可の申請書は、これらを記載する体裁になっていますが、上に掲げられた事項の他に、郵便番号・電話番号・FAX番号等の記載欄があります。
しかし、建設業法・施行規則・施行令において「電話番号」という単語は使われていません。

 京都府の条例等に当たっても記載はありません。つまり、電話番号の記載の根拠は、法律・規則・政令・京都府の条例・規則や細則に定められていないけれども記載が求められる情報、ということになるでしょう。

 これは、手っ取り早く言えば「指導」である、と私は考えます。

 これは、行政書士実務にはよくあることです。法律や規則・細則で「一から十まで」全て決められる訳ではありませんし、決めたら柔軟な変更も難儀です。
ですので、一定程度余白があって、その余白を職員が埋める。それは理解も納得もできます。

携帯電話を拒否できる根拠は?

 では、電話番号と言って「090」等からはじまる携帯電話の番号での登録を拒否できるのか、というのが次の論点になります。

 私の私見では、建設業法第三条の二を鑑みても、不許可処分を行うことは難しいのではないかと思います。理由は、電話番号がそもそも必要的記載事項とされていないこと、行政指導には限界があることです。

 しかし、実際には、京都府で携帯電話で申請を処理している事例は皆無に近いと思います。私自身も、前もって固定電話の回線取得をお願いしている訳ですから。

何故、固定電話が必要になるの?

 これは、監督機関が「名ばかり営業所」の排除を目指していることが一因です。
「名ばかり営業所」とは、都道府県をまたいで複数の営業所を有するゼネコン等が、入札への参加だけを目的として営業実態のない営業所を営業所として登録申請することです。

 これが罷りとおると、地元の真面目な建設業者が不利益を被る可能性がある、ということで京都府でも平成22年7月から営業所の写真添付を求めることによって営業所の実態を確認するようになっています。そこで使われる理屈が「営業所としての実態があるなら、机や電話、事務機器類が置いてあるだろう」ということで、ここで固定電話が映り込んだ写真が必要になってきます。逆に言うと「電話も置いてないような所、本当に事務所として使っているの?」ということなのでしょう。

 一理あります。でも、ちょっとまって!

 弊所も固定電話とFAX番号別々にありますが、固定電話は24時間携帯に転送しています。事務所に戻って転送解除しても外出時忘れてしまうことが多いので、もうずっと転送しっぱなしなのです。最近ではこんな親方さんの方が多いんじゃないでしょうか。

 つまり、役所の考え方は一理あるが、それでも実情に則しているとは言えなくなってきていると思うのです。

とことんやってみます?

 ここまでをまとめると、きちんと真面目にやっていて、固定電話がないだけだったら、携帯電話でかまへんやん!と言う気もしてきますよね。それに固定電話は法律等に現れてこない言葉です。だったら行政指導と言える訳ですから、従わなくても不利益な処分しちゃいけないよね。建設業法第三条の二だって「国土交通大臣又は都道府県知事は、前条第一項の許可に条件を付し、及びこれを変更することができるが、その条件は、建設工事の適正な施工の確保及び発注者の保護を図るため必要な最小限度のものに限り、かつ、当該許可を受ける者に不当な義務を課することとならないものでなければならない」って言ってるんだから。

 ということで「携帯電話でかまへんやーん」と交渉してみることもできるかもしれません。

 でも、ここはそう言わず、回線一つ引いておきましょうよ。その方が多分その業者さんのためになると言える。

弊所が電話回線をお願いした理由

 FAXって今の時代でもやっぱり使うことありますよね、ということなんです。さらに言えば、FAX番号ない業者と取引したいと思いますか?というお話しです。

 弊所もほとんどメールでお願いしてますが、それでもやっぱり月に複数回はFAX使ったやりとりがあります。ビジネスにはFAXってまだまだ不可欠じゃないでしょうか。

 であるなら、電話とFAX番号一緒でも良い訳ですから、一つ回線取っておく方が、お客様のビジネスにとって良い結果を生む、と私は思います。

結論

 私は、以上のことを説明して「ケンカし続けたら携帯で登録できるのかも知れないけど、FAX引いて、それでじゃんじゃん注文書受ける方が御社のためになると思うのです」とお伝えし、快諾してもらいました。そのお客様、許可取って2ヶ月で去年の売上に匹敵する受任額の仕事取られたそうです。FAXで注文書来てくれたら嬉しいんだけど、そこまでは聞いてません。

 行政手続って、全てを明文で決められる訳じゃない。だからグレーの部分は必ず生じる。そのグレーをどういう風にして考えて、それをお客様にどう伝えて問題解決していくか。これは行政書士の仕事の面白さの一つでもあると私は感じます。行政書士業務は士業のなかで一番AIに奪われやすいと言われているけれど、AIはこんな面白さも学習していくのかなぁ。行政書士の仕事はAIにできたとしても、アイツの仕事はAIにはできない。そういう風に思ってもらえる資格者でありたいですね~。

 最後になりましたが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

最後までお読み頂いてありがとうございます。
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