先日、ご同業の先生から自転車同士の交通事故についてご相談を頂きました。
今日は、自転車事故で後遺症が残った場合の補償問題について検討します。

  • 自転車同士の事故の後遺障害を認定する仕組みはない。
  • 自転車同士の事故の場合、相手への求償を想定した対応が必要であろう。
  • 自身の保険内容についても検討しておくと良い。

自転車事故

自転車同士の事故による後遺障害

事件の概要は、自転車同士が衝突し、一方に(その一方は後遺障害だと考える)生活に支障がある程度の身体的不具合がのこったというものです。そして、私には、求償について相談があったがどうしたものか?というお話しがありました。

これは、非常に難しいご相談です。私がこの件についてアドバイス差し上げた内容はさておき、本件を一般論として、問題点と進め方について検討しようというのが本稿の主題です。後遺障害が残った場合については、後半部分で検討します。

自転車事故の問題点

まずは、自転車事故についての問題点を概観しておきましょう。

自転車には強制保険の仕組みがない

自動車や自動二輪には、強制保険として自動車賠償責任保険があります。この保険によって、たとえ任意保険に加入していない車を加害側とする事故にあったとしても、被害者は一定の補償を受けることができます。

  • 傷害による損害:最高120万円
  • 後遺障害による損害:最高4,000万円
  • 死亡による損害:最高3,000万円

一方、自転車には自賠責に相当するような強制保険の仕組みがありません。

自動車の保有台数は、平成27年2月現在で81,093,798台(一般財団法人 自動車検査登録情報協会)であり、自転車の保有台数は、試算値ではありますが、平成17年で86,647,000台(社団法人自転車協会)とされています。

自転車の方が保有台数が多いにもかかわらず、事故に関する制度整備がなされていなというのは、大きな問題と言えるでしょう。

認識が低い

自転車同士の事故であっても「交通事故」であり、怪我を負った場合警察を呼んで人身事故対応にすべきですが、そのような認識があまりに低いと言えるでしょう。

以前、自転車同士の事故に遭遇し「警察を呼びましょうか」と言いましたが、双方当事者が「いいです」とお答えになりました。けっこうな衝突で出血もあったんですが「大丈夫です」と走り去って行かれました。出血で大丈夫…相手が自動車だったら、どれほど軽傷でもそうはならないでしょう。このあたり、一人ひとりが認識を新たにすべきと感じます。

過失割合が争われる可能性が大きい

自動車事故の場合、過失割合については「青本」「赤い本」と言った参考基準があり、これに修正要素を加えたものが過失割合とされることが一般的です。

一方、自転車同士の事故に独自の過失割合基準はありません。自転車は、道路交通法では軽車両と概念されますので、原則としては自動車事故の過失割合を基礎に考えていくことになりますが、自転車の通行について道路交通法が改正されていますので、過失が争いになる事案は少なくないでしょう。

任意保険の加入率が低い

自転車事故に関する任意保険の加入率はまだまだ低い。加害者になった場合は、様々な保険の特約にある個人賠償責任特約でカバーできる可能性がありますが、自分が被害者になった場合に備える保険はようやく認知されてきたのが実情です。

解決するための制度が未整備

自転車事故については、自賠責保険に類する制度がないため、後遺症に関する認定システムもなければ、紛争処理センターのような機関もありません。
従って、対立した利害関係を解決するためには、通常の一般民事事件と同じように、当事者間で解決できない場合は調停や裁判を経ることになるでしょう(ADRについては主題とは関係ないため言及しません)。

このように自転車事故は、交通事故でありながら、問題や課題とも言えるべき点が多く、これが社会問題になりつつあるというのが現状でしょう。

では、自転車事故にあった場合、どのように対応すれば良いのでしょうか。

相手方の連絡先を確認しておく

自転車で接触事故にあった場合、軽微であっても連絡先を確認しておくと良いでしょう。逆に、相手方の連絡先を確認しておかなった場合、数時間後、数日後に痛みが出ても、相手を特定して求償していくことは極めて困難になります。勇気を出して「お互いのため」と言い、連絡先を確認或いは交換しておきましょう。

警察へ通報する

自転車事故で怪我をした場合は、迷わず警察を呼びましょう。警察を呼んでおかないと、怪我と交通事故の因果関係を証明すること自体が難しくなってしまいます。

人身事故として届け出ましょう

お怪我をなさっている以上、人身事故扱いとすることが重要です。たとえば自動車事故に遭うと、保険会社から物損事故扱いでも人身事故と同様の補償をするとか、警察からもどうすべきか考えれば良いというコメントがなされることがあります。

しかし、物損事故と人身事故を切り分けた制度がある以上、怪我をしたなら人身事故として取り扱ってもらうことが肝要です。物損事故では実況見分がなされないため、自転車事故では特に過失で争いになることが予想されます。なお、人身事故扱いにするためには、当然に医師の診察を受けて診断書を警察に提出することが必要です。

あらゆる保険を確認しましょう

自転車事故の場合、双方が怪我を負う事案が少なくありません。ご自身だけでなく、相手方も怪我を負っている場合、求償することだけでなく、求償される場合も考えなければなりません。

怪我を負わせた場合に使える保険、怪我を負わされた場合に使える保険を確認し、使える保険は全て使うようにしましょう。

怪我を負わされた場合、相手が各種保険に加入していなくても、自身の自動車保険に人身傷害保険を付帯させていれば、その保険で損害を賄える場合もあります。

また、相手に対しては、自転車保険の他、個人賠償責任特約に加入していれば、そこから補償を受けることが可能になりますので、保険の確認は非常に重要です。

怪我を負い、後遺症が残った場合の手続

さて、本稿の主題です。

自転車でお怪我をなされた場合であっても、事案によっては、後遺障害が残存する場合も考えられます。この場合は、自動車事故と同じように最良の結果(完治)を目指して最悪の事態(後遺症)に備えるという姿勢が大切です。

つまり、治療の連続性・一貫性ですね。

相手方が保険に加入していない場合でも、求償を争う場合、自賠責に準じた手続を踏んでおくことは有効です。仮に完治すれば、それをもって損害額が確定しますし、後遺症が残存した場合は、医師に自賠責に準じた後遺障害診断を求め、それを根拠に争うことが可能になります。

これは、あくまで資料の一つとなるものでしかありません。覆される可能性もあります。
しかし、不法行為の立証責任は、主張する側にあるのが民法の原則ですので、後遺障害という損害について、相手に求償する場合、損害である後遺障害の立証責任は、主張者側が負うことになります。

その意味でも後遺障害について注意しておくことは大切ですし、立証するには、自賠責のプロセスを活用するのが妥当と言えるでしょう。

損害確定から解決まで

相手方が、過失割合等も含め誠実に対応し、責任を認めてくれればそれで済みますが、そう簡単に進むことがないのが実情です。

相手方と争いがある場合は、調停や裁判に判断を求めなければならないことになります。
しかし、時間が経過して専門家に相談しても、対応が後手になってしまうことが少なくありません。たとえば、治療中に、自賠責の後遺障害等級認定に準じたプロセスをイメージするかどうかで、治療回数や期間、治療先が大きく変わってきます。
整骨院にいくら通っても、診断書を書いてもらうことはできません。後から整形外科に切り替えても、事故との因果関係や治療の一貫性から後遺障害を否定される可能性があることは容易に想像できます。

このように、自転車事故は、体系的な解決方法が整備されていないからこそ、早期に専門家へ相談すべきだと言えるでしょう。

まとめ

私は、日常生活で自転車事故を目にすることがあります。お互いが転倒し、鞄から荷物が飛び出しているような状態でも、ほとんどの場合「大丈夫ですか?」「大丈夫です」でお互いがその場を去って行かれます。出血が見られる場合も同様です。

しかし、その場を離れると、相手方の探索も困難になりますし、事故と怪我の因果関係も立証しづらくなってしまいます。

やはり、上記のように相手方の連絡先を確認し、同時に警察へ通報して万が一の自体に備える必要があるのではないでしょうか。

当職は、行政書士業を行うほか、一般社団法人全国交通事故被害者支援センターを設立して広く被害者の皆様のご相談に対応しております。お困りのことがおありでしたらお気軽にご相談くださいませ。

交通事故に関するページのご紹介

被害者を支援するための7つのマニフェスト

 今日は、医療法人を設立する場合の設立時財産について検討します。

  • 医療法人を設立するためには、法人固有の資産が必要となる。
  • その資産を構成するためには、法人に財産を帰属させる仕組みが必要となる。
  • 財産を帰属させる標準的な仕組みが「基金」である。
  • つまり、法人に出資する薬品衛生材料、医業未収金等は、原則基金として拠出する。

医療法人の設立

 医院を経営していらっしゃる医師の先生方は、医療法人を設立することができます。医院経営もビジネスですので、法人を設立することのメリットやデメリットをよく検討した上で法人化なさるべきと言えるでしょう。そのメリット・デメリットについては、行政書士や税理士さんが集客用ホームページで詳しくご紹介していらっしゃいますので、それらの幾つかを参考になさると良いでしょう。

医療法人設立の要件

 医療法人を設立するためには、ヒト・モノ・カネの要件が必要になります。大枠は全国共通ですが、各要件についての詳細は、都道府県によって微妙に違います。細かな点は直接担当部署に確認すべきです。以下、大まかな要件を記載します。

人員基準

  • 医師(歯科医師)1名以上
  • 理事3名以上(医師1名以上を含む)
  • 監事一名以上

設備基準

 長期的にクリニックを運営できる場所。賃貸借契約書の契約期間は2年であることが一般的です。しかし、賃貸借契約の場合、期間は長期が望ましいとされていますので、覚書を取り交わします。賃貸借契約は個人で行っていますので、それを法人に引き継ぐことと合わせ、賃貸借契約を長期とする旨を内容にします。

資金要件

 京都では、薬品衛生材料+医業未収金+現金・預金の合計が、開業当初の医業費用の2ヶ月分を超えていなければなりません。

薬品衛生材料+医業未収金+現金・預金 > 開業当初の医業費用2ヶ月分

資金要件をクリアするためにはどうすればいいのか

 さて、ここからが本稿の主題です。事業を開始するためには、活動原資が必要となります。しかし、法人設立時には、生まれたての赤ちゃんと同じように、資産はゼロからのスタートとなります。ですので、法人設立後スムーズに活動できるように、法人の設立を停止条件として財産を帰属させる契約を事前に締結しておく必要があります。
 この契約をもって、開業当初の医業費用2ヶ月分を上回る資金を作ることになるというのが理屈です。

 そして、この契約は、一般的には「基金拠出契約」によって行います。
 これが今日の論点です。

現金出資・現物出資と基金

「基金」というのは、実生活や普段のビジネスではなじみの薄い言葉です。以前は医療法人設立において「出資持分」という概念がありました。しかし、その概念は廃止されましたので、「出資」に代わる言葉が必要だったのでしょうか。
 しかし、イメージとしては、基金は「出資」に近いと言えます。
医師個人所有であった財産を法人名義にするためには、契約が必要となります。
基金とは、医療法施行規則の定めに従い、医療法人と基金拠出者との契約により返還義務が生じる権利関係のことです。
 この基金拠出契約を締結することにより、新設医療法人は財産基盤を作って活動を開始することになります。
医療法人の現金出資と基金
 つまり、基本的には、医療法人への出資は、それが現金出資であっても、現物出資であっても、医薬品・衛生材料であっても、全て「基金」という箱に入れて、個人から法人へ移動させるとイメージすれば分かりやすいでしょう。

基金拠出しない場合

 ところで、厚生労働省の分類には「基金なし社団」という記載が見られます。ということは、基金拠出しなくても医療法人社団を設立できる場合が想定されていることになりますが、それは一体どういう場合でしょうか。
 ケースとしてはほとんどないと思いますが、寄付か贈与によって設立時資産を構築する方法が考えられるでしょう。それ以外には…思いつきません。

まとめ

 旧来、医療法人設立には「出資持分」という概念がありましたが、法改正でそれがなくなりました。法改正は平成19年であったため、インターネットには、改正前後どちらか分からない記事がたくさん見受けられます。
 しかし「出資持分」という概念こそなくなったものの、現実問題として資産を構築しなければならないのは以前と同じであり、言葉的には「出資」が「基金」に変わったと認識して頂ければいいでしょう。但し、基金を拠出したからと言って、株主のように法人に対し権利行使ができる訳ではない点に注意が必要です。

 原則論ではありますが、現金・預金、医業未収金、薬品衛生材料を法人に引き継ぐためには基金拠出契約を使う。これが今日の論点です。ご参考になさってください。

今日は、新しく追加した業務紹介ページのご紹介です。

  • 被害者請求支援業務
  • むち打ち認定査定サービス
  • 後遺障害診断書査定サービス
  • 後遺障害異議申立支援業務

交通事故に遭ったけど、何を相談していいのやら?

交通事故に関するご相談について、私は二つのアプローチを考えています。

一つ目は、疑問に答えるための相談です。この場合、相談者の皆様はインターネットでしっかり情報収集をなさった上で、お電話をしてこられます。
ですので、私は、簡潔・明確に応答することを心がけています。ただし、インターネットの情報は、全てが正しいという訳ではありませんし、何より、ご相談者様に「あてはめられる」事柄なのかどうか、慎重な検討が必要です。

二つ目は、不安を解消するための相談です。この場合、相談者の皆様は、明確な疑問点をお持ちではなく、話しを進めながら一緒に疑問点を明らかにしていくという過程を経ることになります。

どちらのご相談であっても、「相談する」という行為は主体的、能動的な行為になりますので、勇気が必要になることでしょう。明確な疑問がある場合、それを解消したいという思いがエネルギーになりますが、漠然とした不安を人と共有することは、決して簡単にできることではありません。

当事務所では、ご相談に対してできるだけ分かりやすく対応できるように、よくあるご相談を「サービス」のような形でメニュー化し、当てはまるものをお選び頂くようなスタイルを採用致しました。

交通事故でお怪我をされると、完全に解決するまでには時間がかかりますし、時期によって相談なさりたい(或いはなさるべき)事柄も変わってきます。

それらを区別して、相談によって解決できることを分かりやすく解説した各業紹介ページ、是非ご覧くださいませ。

被害者請求支援業務

被害者請求
「被害者請求」とは、交通事故でお怪我に遭われ、治療の結果、身体に不具合が残った場合、その不具合が「後遺障害」として認められるかどうかを審査するための請求です。

この請求には二通りの方法があります。

  • 事前認定 相手方保険会社に請求を任せてしまう。
  • 被害者請求 相手方保険会社に任せず被害者側で行う。

事前認定で申請を行うと、保険会社主導で申請が行われ、仮に後遺障害が認定されたとしても、その賠償金は保険会社宛に振り込まれます

一方、被害者申請では、被害者が必要に応じ画像鑑定書などを添付して申請を行うことができる他、後遺障害が認定されると、その賠償金は被害者の指定する口座に直接振り込まれます

交通事故では、加害者と被害者の利害が対立します。加害者側の保険会社は、当然、支払うべき慰謝料の額を低く抑えようとするでしょう。そのような加害者側の保険会社に後遺障害の等級認定申請を任せてしまうのは、気分的にも安心できるものではありません。

ですので、当事務所では被害者請求を推奨しており、そのための支援を業務として行っています。

被害者請求のページでは、何故被害者請求が必要なのかという理由と、当事務所にご依頼頂けた場合どのようなことができるのかというサービスコンテンツについて詳しくご紹介しております。

被害者請求支援業務のページ

むち打ち認定査定サービス

むち打ち認定査定
むち打ちは、交通事故でも最もご相談の多いお怪我です。
新しい医学書などでは、低速でむち打ちになった場合でも首に大きな負荷がかかって病態が長期化する可能性があり得るとされています。しかし、医療機関や保険会社はどちらかというとむち打ちを軽症と考える傾向にあるようで、MRI撮影に難色を示されたり、早い段階で治療打ち切りを打診されることも少なくありません。

しかし、実際には1年以上むち打ちでしんどい思いをなさってる被害者様がいらっしゃいます。当事務所では、医療機関や保険会社との関係に悩んでいらっしゃる皆様を支援するため、むち打ちについて、独自の聞き取りと整合性の検討手法によって、後遺障害として認められる可能性についてアドバイス差し上げています。

上記のカバー写真文言にもあるように、むち打ちは奥が深いお怪我です。他覚所見が得られないために、ともすれば詐病を疑われる可能性も実際にはあります。だからこそ、医療機関や保険会社とは良好な関係を維持して計画的に治療を進めていく必要があります。

むち打ち認定査定サービスのページでは、むち打ちにおいて事前の検討が必要な理由と、当事務所が行っているアドバイスについて、分かりやすくご紹介しております。
むち打ち認定査定サービスのページ

後遺障害診断書査定サービス

後遺障害診断書査定
後遺障害診断書は、後遺障害の認定申請を行う上で非常に重要な書類となります。
それは以下の理由によります。

  • 必要的添付書類で身体の状態が記載される唯一の書面であるから。
  • 後遺障害の等級認定で、賠償額に大きな差が生じるから。
  • つまり、後遺障害診断書の記載は、賠償額に影響を及ぼす可能性があるから。

そう、後遺障害診断書は、後遺障害を審査する上で非常に重要な意味を持つのです。
もちろん、検査画像も添付しますし、必要に応じて医療機関への照会もなされますが、それでもこの後遺障害診断書が、漏れなく、正確に記載できているかどうかは、大きな意味をもつと言って差し支えないでしょう。

ところが、後遺障害診断書の記載方法には、要領のような指針がある訳ではなく、各医療機関によってまちまちです。中には、ほとんど空欄で「書き足して欲しいことがあったらその度毎に書き足すから」と言われたことが実際にあります。

このような後遺障害診断書が相手方保険会社の手に渡って事前認定されてしまったらと考えると、自身の仕事の大切さを痛感します。

もちろん、びっしりと隙間なく埋められた後遺障害診断書を拝見することもありますが、比率で言うとやはりそういったケースは少数です。

後遺障害診断書査定サービスのページでは、後遺障害診断書が重要である理由を詳しくご説明し、当事務所は何ができるのかについて、分かりやすくご紹介しております。
後遺障害診断書分析サービスのページ

後遺障害異議申立支援業務

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後遺障害の等級認定を行い、等級が認定されず非該当となった場合や、納得いく等級が認定されなかった場合、異議申立を行うことができます。異議申立は、簡単に言えば等級認定の再チャレンジと言えるでしょう。

しかし、審査する側は、時間をかけ、真剣に審査を行っていらっしゃいますので、前回と同じ資料で異議申立を行っても、結果が覆る可能性は高くありません。

異議申立の認容率は7%程度ですので、本気で異議申立をお考えになるなら、もう一度事故から現在までの経緯を振り返り、それを後遺障害診断書と照らし合わせ、突破口を探していく必要があります。

実際、異議申立では、画像鑑定を行ったり、再検査や後遺障害診断書の追記を依頼することもあります。異議申立は、認定結果をしっかり読み込み、それに対してどのポイントについてどのような資料をもって異議を述べるのかというプランニングが非常に重要となります。

異議申立支援業務のページでは、異議申立の突破口となるポイントについて実例を交えてご紹介し、当事務所では何ができるのかについてご説明しております。
異議申立支援業務のページ

各ページをご覧ください!

各ページは、交通事故でお怪我をなされた方々を対象にサービスをご紹介しているものですが、交通事故を解決していく上での問題点が浮き彫りになっており、読み物としても一読の価値ある内容になっています。
また各ページのカバー写真も全て自作かつ自信作です。是非交通事故解決のご参考になさってください。

独立行政法人国民生活センターが『アダルトサイトとの解約交渉を行政書士はできません!』という書面を発表しています。

リスティング広告で「消費生活センター」で検索すると、公的機関と誤認され得るような文言で表示させていたようですね。まったく困ったもので、ただでさえ「代書屋」と言われている行政書士の社会的評価に影響を及ぼしかねません。

しかし、この独立行政法人国民生活センターの書面や、その他の報道には、熟考や検討を要する記載があるのも事実です。

そこで、本件に対し私見をもって検討してみます。

  • 行政書士は、一定の書類作成の代理はできるが、一般の状況で代弁はできない。
  • 行政書士は、解約交渉はできないが、解約の通知は代理作成できる。
  • 行政書士は、解約交渉を前提とする場合、相談に応じるべきでない。

業務範囲は守らなきゃ

行政書士の業務範囲を確認しよう

行政書士が業としてできることは行政書士法で法定されています。それを今一度確認しておきましょう。

(業務)
第一条の二  行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2  行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。

第一条の三  行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りでない。
一  (省略)
二  (省略)
三  前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
四  前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

条文だけ見ると「何のことやら」という文章ですので、当職が意訳します。

  • 行政書士は、他の資格者の独占業務はできない。
  • 独占業務以外であれば、官公署に提出する書類を作成(代書)できる。
  • 官公署に提出する場合、代書だけでなく、代理もできる(つまり申請人になれる)。
  • 行政書士は、権利義務や事実証明に関する書類を作成できる。
  • その書類を代理人として作成することもできる。

(特定行政書士業務や不服申立については検討の対象ではないため今回は省きます。)

事例への当てはめ

では、この理解を前提に事例に当てはめて考えて行きます。

設例としては、国民生活センターの文書を参考に設定します。

何かのサイトに個人情報を登録しただけで、まだサービスを受けていない状況で高額な対価を求められた。

行政書士は「返還請求」を行うことができるか?

国民生活センターの文書によると、「返還請求」を行うことは弁護士法に違反している可能性が高いと書かれています。

これは、ある意味で妥当な見解であり、別の意味では、誤解を招いてしまう見解と言えます。

まず、返還請求を書面で行う場合、その書面作成を代書すること自体は、行政書士の業務範囲と言えるでしょう。ここに見解の相違はないはずです(但し後述)。

返還請求に関する書面(たとえば内容証明)を、代理人として発送することは、外見的には行政書士の業務範囲と言えるかもしれませんが「請求」行為の本質を考えると、私は業務範囲を超えていると考えます。

そもそも、この事案の根本は、ソフトウェア技術と人間心理を悪用した不当請求です。つまり、利害が対立した構造の一方当事者の相談に乗ることになります。

この時点で、行政書士は法テラスか市民無料法律相談を紹介すべきである、と私は思います。内容証明の代書は、確かに業務の範囲内と言えるでしょう。しかし、事後のフォローができない(代弁できない)のに、そこだけやって報酬を頂いても、お客様をサポートしたことにはなりません。

お客様が求めていらっしゃるのは「安心」なのです。そして、この事案で安心を提供できる最適な資格者は弁護士をおいて他にありません。

従って、行政書士は、返還請求書面を代書することは法律に違背していないが、専門家なら受託も相談も受けるべきではなく、より最適な相談先を紹介することが相談者に最も応えることになると考えます。

行政書士は「解約交渉」を行うことができるか?

できません。1ミリの余地もなく交渉を行うことはできません。これは非弁行為に該当します。こういう行政書士がいるから他のマジメな行政書士も十把一絡げで見られてしまう。多くの行政書士は普通に許認可や車庫証明で汗をかきながら仕事しているということを知って頂きたいですね(特に弁護士の皆様には)。

行政書士は、個人情報の削除を請求できるか。

削除を求める通告文書の代書はできると解します。代理人としての通知は、外見的には業務範囲かもしれないが、その実際は業務遂行に交渉を伴う可能性が高いので、受託も受任もするべきではないと考えます。

また、通告文書の代書についても、受託すべきではなく、相談を受けた時点で法テラスか市民無料法律相談を案内すべきと考えます。

その他の検討

朝日新聞デジタルが2015年5月14日(木)19時47分に配信したインターネット記事【アダルトサイト高額請求、行政書士が「違法」交渉】の中には『行政書士は解約の相談に乗ることはできる』という一文がありますが、これは弁護士からみた場合誤った解釈と言えるでしょうし、私もそう思います。

解約とは契約解除、すなわち法律行為であって、解約の相談は弁護士しかできません。
「解約することは決めているので内容証明を出したい」と言った相談ならどうか、という声が聞こえてきそうですが、それは行政書士でもできるでしょうけれど、やるべきではないのです。
紛争性が予見される場合は、行政書士は相談に応じるのではなく、相談先をご紹介してあげるくらいの割り切りがなければ、行政書士に対するこういった風当たりはいつになってもなくならないのではないでしょうか。

問題の所在

本件の問題としては、グレーな非弁を扱う行政書士ばかりがフォーカスされるのでしょうけれど、もっと大切な問題があります。

それは、公的機関と誤認され得るような広告が認められているという実体です。
私もリスティング広告を見ましたが、行政書士なんてまだマシだなと思いました。探偵社から、法人格が見えない団体までがリスティングをしていらっしゃる。

ここに対する規制やフィルタリングも、すごく大切ではないでしょうか。

「弁護士>行政書士」という図式は世間一般的な印象でしょうけれど、NPOを隠れ蓑にして相続や後見を受任している弁護士は皆無でしょうか?過剰広告をしている弁護士は誰もいないでしょうか?

ウェブ広告に関する問題、検索に対する問題は、今後様々な局面で顕在化していくでしょうし、被害が多くなる前に、自主規制や枠組み作りが必要になってくると私は思います。

まとめ

インターネットで不当請求を受けた方々は、動転し、心細い思いで相談機関を探されます。そういう心理につけ込んで、本質的な解決にならないかも知れないのに仕事を受けているようでは、相談者さんは二次被害に遭っていると言っても過言ではありません。

行政書士も民法は試験科目になっているし「交渉」ではなく「通知の連続」という屁理屈を言うひともいるかもしれない。

でも、そんな詭弁を弄して集客するのではなく、本当の意味で相談者、依頼者の目線になって対応できる行政書士でありたいと思いますね。

※簡裁代理権を有する司法書士も交渉ができますが、論点ではなかったため本文では「弁護士」とのみ表現しています。簡裁代理権を有する司法書士さんも交渉ができますが、それについて詳しくお知りなりたい場合、最寄りの司法書士会へお問い合わせください。

bestrong

 2月に予定していたホームページの更新を、とりあえず見切り発車で行いました。

 インターネットには、チカラがある。皆様のために役立つ情報をより多くお届けしたい。より分かりやすくお伝えしたい。

 このリニューアルはその礎となることでしょう。

 とはいえ、渾身のトップページはまだリンク設定も終わっていない状態です。昔のページをもう一度見直して新しく書き換える必要もありそうです。

 新しいみやこ事務所のホームページ、是非ご期待くださいませ。

 Wordpressを使っているならほとんどの人がインストールしていらしゃるであろうお問い合わせフォーム作成プラグイン「Contact From7」。

 このプラグインは非常に便利なのですが、インストールすると、当然のことながら、お問い合わせページ以外のページにもスタイルシートとJAVAスクリプトが読み込まれます。

 そこで、これを制御するのが本稿の主題です。なお、これはプラグインの公式ページにも書かれていますが、この記事は、それをよりかみ砕いてご紹介することを目的としています。

jquery

  • プラグインのコアファイルは触らない。
  • header.phpを改変する方法を取った。

方法論

 公式ページにあるとおり、方法論としては、まず、プラグインから出力されるようフックされているファイルを全て出力しないように設定します。

 次に、出力すべきページのIDを調べ、それのみ出力させるようにコードを追加します。

1.プラグインから出力の出力を制御する。

 functions.phpに以下のコードを書き足します。

<?php
//++++++++++++++++++++++++++++++++
//CF7のスクリプトを制御
add_filter( 'wpcf7_load_js', '__return_false' );
add_filter( 'wpcf7_load_css', '__return_false' );
?>

これで、ヘッダーやフッターにロードされていたファイルが、ロードされなくなります。

2.お問い合わせを設定しているページを特定する。

 次に、お問い合わせフォームを設置しているページのIDを調べます。

  1. ワードプレスにログインし、お問い合わせフォームを設置しているページの編集画面を開きます。
  2. パーマリンクの右側にあるボタン「短縮URLを表示」をクリックします。
  3. 表示されたURL末尾の「/?p=**」のアスタリスク部分がページIDとなります

3.お問い合わせフォームのページだけにファイルをロードする。

 以下のコードをheader.phpの【wp_head();】直前に挿入します。

<?php
    if ( is_page( '**' ) ) {
        wpcf7_enqueue_scripts();
        wpcf7_enqueue_styles();
    }
?>

 以上で作業は完了です。

まとめ

 グーグル社のモバイルフレンドリーは、レイアウトだけでなくページの読み込み速度を上げることも重要です。そのページで使わないスクリプトをロードさせるよりは、させない方がより良いと言えるでしょう。このTipsは案外簡単にできるにもかかわらず、それをしていらっしゃるサイトを見かけることはあまりありません。是非お試しください。

 ちなみに、このサイトではやってません(笑)。

 今日は、少し残念なご報告です。
 このブログでも毎年ご紹介している『京都さくらマップ』ですが、2015年、つまり今春は発刊されないそうです。

毎年遅くとも3月10日頃には京都の各所で目にすることのできる小冊子だったのですが、今年は予算の関係で制作されなかったそうです。

京都さくらマップ

さくらマップに関する当事務所の見解

 京都さくらマップは、絶対に毎年制作されるべき、京都を愛する人たち向けの素敵な小冊子です。近時、インターネットには情報が氾濫していますが、スマホをピンチアウトして下向きながら歩く姿より、小冊子を丸めてキョロキョロ歩く姿こそ、京都には相応しいと私は思います。

 冊子は、単なる情報ではありません。それはストックされ、毎年の思い出とともに、大切に受け継がれていきます。デジタル情報は故障すれば取り出すことはできませんが、30年前の本は、味のある色合いになってなお、私をその時代へ誘ってくれます。

 ここで「道路工事をやめてさくらマップに予算を充てるべきだ」と言ってもまったく意味はないのでしょう。なので、もし、来年も作られないのであれば、私は、再来年、自費で作ることを宣言します。配布できるのは1000部か、10000部になるかはわかりませんが、私は自分の写真、文章で作り、スポンサーを探して少し費用負担をお願いしながら、作ってみせると宣言します。

 しかし、もし、京都市が、京都をもって観光都市であると宣言するなら、これは、本来的には京都市が予算を組んでやるべきことのはずです。

 来年は必ず再びさくらマップを楽しみたい。さくらマップに携わったあらゆる職員、スタッフの各位に、再発刊へ向けた尽力をお願いする次第です。

 シンプルで便利なWordpressの多言語化プラグイン「Bogo」。現在、このBogoを使って二カ国語のホームページを作成しています。

 多言語ホームページでは、ページ右上に言語切替セクションを置くのが一般的ですが、このBogoは、英語の切替表示が「英語」と表示されます。ここはやはり「English」と表示させるのが親切なところ。コード公開していらっしゃるかな~と調べたのですが例がなかったので自分でやりました。

  • シンプルに作業することを考える。
  • プラグインのコアファイルは触らない

結論から

 この言語表示の文字列変換は、ほんの少しのコードで実現できます。そう、jQueryのreplaceを使えば実に簡単に実装できるんですね。

$(function(){
    $('ul.bogo-language-switcher li.en-US.en').each(function(){
        var txt= $(this).html();
        $(this).html(txt.replace('英語 (米国)','English'));
    });
});

 これだけで動きます。ちなみに、私は自分のスクリプトファイルに記述しております。ヘッドタグあたりに直貼りされる場合、多少工夫が必要な場合もあると思いますのでご注意ください。
※文字コードには要注意です。

プラグインのカスタマイズ

 プラグインのカスタマイズはなかなか難しい。私は、コアファイルは触らず、functions.phpだけで解決する方法を考えます。けれど、実際にはそれだけでは難しい場合もありますし、そのような場合は、jQueryを使ったカスタマイズが便利になります。

jquery

チャレンジ編

 多言語サイトを作る時、すべてのページで英語版が作れる訳ではありません。そのような場合、英語版がなければ「English(not available)」としておけば閲覧者にはより便利になります。

 言語切替ウィジェットを見てみると、多言語している場合は当然リンクが設定され、そうでない場合は単なるリスト表示になっています。

 このことを考えると、リンク表示の文字列は「English」として、リンクがない、すなわちリストに入ってる文字列は「English(not available)」とすれば良いということになります。

 そこで、コードを追加します。

$(function(){
    $('ul.bogo-language-switcher li.en-US.en a').each(function(){
        var txt= $(this).html();
        $(this).html(txt.replace('英語 (米国)','English'));
    });
    $('ul.bogo-language-switcher li.en-US.en').each(function(){
        var txt= $(this).html();
        $(this).html(txt.replace('英語 (米国)','English(not available)'));
    });
});

 条件分岐を使えばもっと綺麗に書けるのでしょうか。しかし、処理の順番に着目してコードを並べるのも悪い手ではないでしょう。

 これで、リンクがある場合には「English」と表示され、リンクがない場合には「English(not available)」が正しく表示されました。

まとめ

 今回、クラス指定をやたら細かくしていますが、プラグインに対して完全に理解している訳ではないので、指定箇所以外に影響が及ぶことがないことを意図しています。

 これで表示は便利になりましたが、肝心の英訳がまだできてません!ここにこだわる時間があればさっさと英訳をはじめなければ…、ということでご参考になさってください。

 先日、お客様と会食した際に「牛や馬が道路を走るのには許可が必要か」というお話しになりました。今日は、日常生活の役には立ちそうにないこのトピックについて、回り道をしながら検討します。

  • 牛や馬に乗った場合、その牛馬は軽車両と定められている。
  • 軽車両であって、法律に特段の定めはないので、許可は不要と解する。
  • 牛や馬を牽いて歩く場合も、軽車両扱いになると解される。(私見)
  • どこを走行(歩行)すれば良いかは、道路交通法の定めによる。

根拠法にあたりましょう

 まず、根拠法を探して条文にあたります。根拠法は道路交通法ですね。道路交通法は、第一条で目的を、第二条で言葉の定義を定めており、第二条を見ていくと「牛馬」という単語にあたります。以下、第二条第十一号のみを抜粋して引用します。

十一  軽車両 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)であつて、身体障害者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車以外のものをいう。

文書構造

 このわかりにくい文言をおおざっぱに読み解くと、次にようにまとめられるでしょう。

 軽車両とは、自転車、荷車、そり、運転される牛馬、牽引されレールによらないで運転される車(引っ張るのは人や動物や他の車)である。ただし、身体障がい者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車は除く。

選択的接続詞の使い方

 単語の列挙はどこで区切るかが一見分かりにくく、この文言も「若しくは」と「又は」が文章を複雑にしています。

 通常、トヨタとホンダを選択的に接続する場合は、トヨタ又はホンダとします。ここで、飛行機をさらに選択的に加える場合、トヨタ若しくはホンダ又は飛行機となります。

 これが並列的接続詞である「及び」と「並びに」の場合だと、前述の例は、それぞれ「トヨタ及びホンダ」「トヨタ及びホンダ並びに飛行機」となり、及びを最小単位の結合で使う用法は変わりません。

 ところが、選択的接続詞では、普通は最小単位に「又は」を使うのに、それより大きな単位(別のカテゴリに属する物を選択する場合など)を置く場合「又は」が「若しくは」に変わってしまいます。

 この条文は日本語としては正しい活用ですが、それ故に非常にわかりにくいものになっているという、皮肉な構造になっています。

本題に戻りましょう

馬の通行について

 さて、もう一度翻訳した条文を見てます。

 軽車両とは、自転車、荷車、そり、運転される牛馬、牽引されレールによらないで運転される車(引っ張るのは人や動物や他の車)である。ただし、身体障がい者用の車いす、歩行補助車等及び小児用の車は除く。

 運転される牛馬とは、人が乗り、或いは曳いて歩いている牛馬のことを指していると解します(私見)。

軽車両はどこを走るのか

 軽車両は車両の一種ですので、いわゆる「車道」の左側を通行するということになります。

 ただし、道路交通法第十一条及び道路交通法施行令第七条第三号をまとめると「象、きりんその他大きな動物をひいている者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、車道をその右側端に寄って通行しなければならない」と定められています。

まとめ

 牛や馬が法律上どう概念されているのかと言うことは、知っても実生活で役立つことはないかも知れません。しかし、そんなことまでしっかり定めていらっしゃる立法担当者さんはさすがだと感じます。法務省のエリートなキャリアさんが、深夜に「牛と馬どこ通らせるよ?」と議論している風景を想像すると、どことなくのどかで、平和な気分になります。いつも、いつまでも、のどかで平和な国であってほしいですね。

※8月26日、閲覧者からご指摘を頂き記事を一部修正しました。修正前は牛馬に乗らず曳いて歩く場合、その牛馬は軽車両扱いとはならないと解する旨記載していましたが、牛馬は曳いて歩いても軽車両扱いではないかとのご指摘を受け、それが妥当と判断したため記載を変更しております。

 まだまだ生まれたてのFACEBOOKライクなソーシャルエンジンHumHubをインストールしてみました。今日は、その手順をレポートします。ただし、モジュールのインストールには失敗してますので、予めご了承願います。

この記事に要約するほどのポイントはありません。

HumHub…何とよべばいいんだろう?

HumHub

 humhubは、私の理解によれば、FACEBOOKっぽいSNSが簡単に作れるシステムです。GitHub中の記載によると、ライセンスはGNU AGPLv3とプロプライエタリライセンスのデュアルライセンスのようです。

 まだ生まれたてのようで、インストール後のバージョンは【0.10.0】となっていますが、レスポンシブで、使い勝手の良さそうな雰囲気と、シュッとしたデザインに一目惚れし、早速インストールにチャレンジしました

 ところで、これって何と呼べばいいんでしょうね。英語の発音からいけば「ハムハブ」と読めばいいんでしょうけれど、システムの雰囲気から言うと、何故か「フムフム」と名付けたくなってしまいました。日本ではまだまだ情報が出回ってないので、是非日本語名は「フムフム」にして頂きたいですね。

インストールに必要なあれこれ

 ドキュメントによると、必需品が色々あるようです。

  • SSH接続!
  • PHP5.4↑
  • MySQL
  • Apache 2.x
  • その他PHPの拡張機能少し

インストール

 次にインストールです。正規のインストールは、全てSSHで行うことを前提に記載されているようですが、読んでいてもSSHなしでできそうだったので(実際は使ってるんですが)、とりあえずやってみたところ成功しました。以下の手順は私が行った手順で、推奨される手法ではありません。これはあくまで個人的な体験記としてお読み願います。

1.データーベースを作成します。

 文字コードUTF8でデータベースを作成します。公式のガイダンスではデータベース作成も、SSHからやってらっしゃいますが、私はサーバーの管理パネルから行いました。

2.GitHubからZIPファイルをダウンロードします。

 ソースファイルをGitHubに記載されているリンクからダウンロードします。多分、GitHubから持ってくるためにSSHを使おうってことだったのかなという気はします。

 次に、解凍したフォルダ内のファイルを丸ごと全てアップロードします。

3.フォルダ等のパーミッションを書き換えます。

 GitHubにあるガイダンスに従ってパーミッションを書き換えます。uploadsフォルダは、下層も全て757にする必要があるようです。

3.設定します。

 Wordpressと同じように、ターゲットドメインを開くとインストールがはじまります。

 インストールはワードプレスと同じように簡単です。

4.いきなり使えます。

 インストールが完了すると、すぐに使うことができます。デフォルトの言語は英語のようですが、管理者コントロールパネル(ACP)から日本語に変更可能です。

モジュールのインストール

 モジュールというと、Wordpressを使ってる自分にはプラグインと同様の物に思えて、簡単に扱えそうに考えていたのですが、これが甘かった。二つのサーバーで試しましたが、両方モジュールのインストールに失敗しています。

モジュールのインストール方法

 モジュールは、ACPから管理する必要があり、modulesフォルダにモジュールのファイルをアップロードしても動きません。現状では、と言うより仕様として、モジュールはあくまでACPから管理する仕組みのようで、Wordpressのように、プラグインディレクトリからインストールするのと、自分でファイルをアップロードするような選択肢はないみたいです。

 私の場合、モジュールをインストールの際、CURLでエラーが出たので、フォーラムで聞いてみたら「CURL」をアップグレードさせてみたら?と教えてもらいました。でも、ACPのセルフチェックテストではCURLもパスしているので、今はそこで停止中です。ご存じの方いらっしゃったら、恐縮ですが、お問い合わせフォームからアドバイス頂ければ助かります。

今後に期待大の『フムフム』

 日本ではmixiさんが人気ありましたので、SNSのプラットフォームと言えば手嶋屋さんのOpenPNEを使わせて頂いてました。でも、Ver.3になってからは遠ざかっていて、最近またSNSプラットフォームに興味を持ち出してたどりついたこの「HumHub」は、今後に期待が持てそうです。モジュールのインストールに失敗してグーグル先生に色々聞いてみたんですが、日本語の情報はほとんどないのが現状です。
 そこで、インストールレポートを出稿してみようというのが本稿の狙いでした。推奨方法通りではなく、SSHを使わなくてもインストールできるのでは?という所からスタートしているので、そのあたりは参考になさらないようお願い致します。

2015年4月9日追記
レンタルサーバーさくらさんのスタンダードプランでモジュールも全てインストールできました。VPSお使いの皆様方には関係のないお話しですが、念のため。

2016年1月16日、コンテンツコピーがいっこうに減らないことを憂慮し、コピープロテクト機能を強化しました。右クリックの動作を不能化するよう設定しています。これは技術による対処ですので、技術によりブレイクすることは可能なのかもしれません。しかし、文章を丸ごとコピーして使うことは、許されるべきことではないと思います。なお、ソースコードについて記載している部分については、随時テキストファイルでアクセスできるよう対処していきます。

各ブログページの末尾に、コンテンツコピーに関するお願い文を掲載しました。
今日は、コンテンツをコピーしないでねっていうお話しです。
みやこ事務所のブログは、一つの記事を書くのに大体半日かけています。伝わりやすく書くべきだし、あらゆる内容は、間違いがないかチェックしなければなりません。

削ったり、書き足ししたりを何度も繰り返して、多くの人のために役立って欲しいという思いで毎回「投稿」ボタンをクリックしています。

なので、やっぱりコピーして、どこかに貼り付けられるのはあまり気分が良くないものです。

しかしながら、当事務所のブログには、一日20件程度のコピーユーザーさんが形跡を残して行かれます。多いときは1日で600件近いコピーをされたことがあります。

このブログでは、コピーは行っていません。インターネット上に固有の情報は一つで十分で、コピーしたものを使う意味がないからです。

もちろん、視点が同じ記事はあるでしょう。しかし、当事務所の記事は、結論・リード文・解説・再結論の手法を原則としており、読みやすく、分かりやすい記事であるという自負があります。また、独自の視点を盛り込むことも心がけています。

このブログでも、引用という手法を用いることはありますが、引用元を明示しています。

有用な記事のエッセンスを理解して、活用して頂くことはとても嬉しく思います。それが同業者であっても、私は自分の記事でその対象について理解を深めて頂くことを歓迎しますが、文節そのものをどっかんとコピーして使い回すのは紳士的とは言えません。

とはいえ、当事務所でもウェブ制作用のコードを(コピーして使われることを見越した上で)記載している投稿もあるため、コピーを一律に制御してしまうのも本意ではなく、注意喚起の意味も込めて警告文言を掲載することにしました(もっとも、コードをコピーしたい皆様はそんな制御は破って頂けるとも思うのですが)。

一体どうして分かるのさ?

そうですよね。誰が、どの部分をコピーしたかが分かるなんてたいした世の中です。でも、これは私が凄いのでもなんでもなく、wordpressのプラグインが凄いだけなんです。

『Check Copy Contents(CCC)』は、コピー先のIPアドレスと参照元、さらにコピーされたブロックまでもメールで通知してくれる超絶プラグインです。

コピーは止めてね

もし皆様がwordpressでウェブを作っていらっしゃるなら、入れておいて損はないプラグインといえるでしょう。プラグインディレクトリからインストールできますので、一度お試しくださいませ。

「ブログさぼっとるやないかい!」と厳しいお言葉を頂戴している行政書士の高木です。実は、現在ホームページのリニューアルを計画しており、内容を再構成しています。ですので、定期ブログの出稿までは今しばらくご猶予お願い申し上げる次第です。

 ということで、今日はあまりお役に立つ記事にはなりませんが、新しいデザインのプロトタイプをご紹介致します。

ワイドでオーガニックなウェブを目指します

 新しいホームページは横幅1170ピクセルのワイドなレイアウトを採用します。コンテンツ部分が784ピクセル、右にサイドバーを配置して316ピクセルでレイアウトします。

新スライダー

 もちろんトップページはスライダー!
 流行を取り入れ、フルスクリーンスライダーをコンテンツの前にもってきました。キャッチコピーは「…」な感じですが、敢えてこのコピーを使っています。「検索にさようなら」「そうだ、弁護士に聞こう」(弁護士に「センセ」とルビ打ち)など、お客様にはキャッチーなコピーを思いつくんですが、自分のウェブはどうもしっくりこない…。「おもてなし」の心意気を表現してみたかったんですが、しばらく様子を見て変更するかどうかを検討しましょう。

トップページはフルサイズ

 まだまだ二列の標準的なホームページが主流ですが、トップページは敢えてフルサイズで大きく出てみます。

 私はトップページの文字量は非常に大切だと考えており、サービスや理念について詳しく書きたいのですが、一方で分かりやすさも重要です。この相反しかねない二つの要素をどのように織り込んでいくかというのは、ウェブを作る最も大切な視点ではないかと思います。

メニューは上部に固定

 今回は、メニューをスティッキーにして上部に固定させ、自由な動線を確保する一方、ページ毎にメニューを変えます。たとえば、交通事故ページに入った方々には交通事故専用のメニューを表示し、伝わりやすい言葉で動線を作っていきます。同様に、遺言なら遺言用、建設業許可なら建設業許可のコンテンツをメニューに並べることで、ユーザビリティを考慮した動線設計を重視します。

メニュー部分

 また、トップページは主な業務を紹介し、事務所の方向性を伝えていきます。各セクションはアニメーションを取り入れ、下に読み進みたくなるような工夫をし、読み進むにつれ、事務所の理念や概要を知ることができるというスタイルで構成しています。

依頼したくなるウェブを目指します

 私は、ブログについては「世の中の役に立つこと」を意識しており、業務にかかわらず、自己の経験と知識で有用性が高いと思われるものをコンテンツ化しています。

 しかし、リニューアル後は、行政書士業務としてのニーズに応えられるページの量を減らし、専門性を活用して頂くことを意識したコンテンツ制作にシフトしていきます。

社団法人との連携を訴求します

syadan

 リニューアルにあたっては、当職が代表理事を務める一般社団法人全国交通事故被害者支援センターとの連携を訴求し、社団の存在を広報していきます。社団には自信をもって「優秀」と言える人材が揃っており、交通事故被害者の不安や悩みにしっかりと応えています。交通事故無料相談会の告知も連携して行っていきます。

新しいホームページ、お楽しみに!

 今回のリニューアルは、jQueryから自分で書き込んだり、CSS3を改めて習得しながらスタイル設定したりと、回り道を楽しみながら作業しています。まだ少し時間がかかりますが、見た目もコンテンツもより洗練したものを目指して日々作業しております。どうぞご期待くださいませ。

 Googleのウェブマスターツールから、「モバイル ユーザビリティ上の問題が検出されました」というメッセージが来た場合の対処法について記載します。とりあえず初稿を出しますが、随時追加します。
めにゅーをスティッキーに

レスポンシブデザインにしていない場合

 画面サイズによって表示形態を変更する「レスポンシブデザイン」への変更を検討しましょう。

レスポンシブデザインにしている場合

 これが本稿の主題です。私が関わる全てのホームページはレスポンシブデザインを採用していますが、それでもメッセージを受け取りました。

トラブルシュート

 そもそも、レスポンシブデザインを自分で採用なさっている方は簡単に分かることですが、まず、第一に「robots.txt」でクローラーを遮断しているフォルダ等があれば、それを全て解除しましょう。

 レスポンシブデザインを採用している場合、ほぼこれで解消できると思います。

Love is patient,
love is kind,
it does not envy,
it does not boast,
it is not proud,
it is not rude,
it is not self-seeking,
it is not easily angered,
it keeps no record of wrongs,
love does not delight in evil but rejoices with the truth,
love always protects,
love always trusts,
love always hopes,
love always perseveres.

※後半は「it keeps…」以降のリピートです。
また、歌い出しは「love is…love is patient,love is…love is kind」とlove isを2回発声していると思いますが、「lah…」とハミングのように聞こえなくもないですね。

愛は忍耐強く、
愛は情け深い、
愛は、妬むことなく、奢りもしない、
うぬぼれず、非礼にならない、
愛は、思い上がらない、
容易に怒ることなく、恨んだりはしない、
愛は悪行を悦ばず、真実を祝福する、
愛は常に庇い、常に信じる。
愛は常に望み、屈することなく貫き通す。

さよなら

NHKドラマ『さよなら私』と挿入歌『Love is…』

 日本語訳が見つからなかったので、お役に立てればと自分で出稿しました。英語の歌詞については、新約聖書コンリト人への手紙第1、第13章4節から8節までが採用されているようです。

 新約聖書については、幾つかの英訳があり、微妙にバージョンが違います。カンマとピリオドは、私が勝手に変えています。

 この歌詞に対する和訳については、突っ込みどころはあるかも知れません。私はこのドラマのファンで、ずっと見続けてきた印象が反映されています。

 私自身、挿入歌としてこの曲が好きだったのですが、第8話で永作さんが元に戻った時の、あの演技を見て「誰かこの歌詞を訳している人がいるのだろうか」と検索してみましたが、見当たりませんでした。
 でも、あのシーンでこの歌詞がすごく意味を持つというか、物語とダイレクトにリンクした気がしたので、和訳を同じファンの方々とシェアできればいいな、と挑戦してみました。

 boast と proud のニュアンスを出すのがすごく難しかったです。上手く訳せたとは思っていませんが、出稿できるだけのものであるか、何度も声に出して読み返してはいます。

 なお、歌そのものについては、NHKさんの公式サイトや番組ブログで情報を得ることができます。また「この歌だけ欲しい」とお考えの場合、レコチョクで250円でダウンロード可能です。レコチョクでは「さよなら私」で検索なさるとよいでしょう。ご参考になさってください。

追記:12月10日

「人」は弱い。弱くて、もろい。でも、人はいつも誰かと関わり合って生きていて、人が「母」になり「父」になり、「友達」になり「愛し、愛される」存在となった時、人は強くなれる。屈することなく貫きとおすことのできる強さを、自分の中に見いだすことができる。

 …最終回を見て、そんな風に感じました。

 整骨院のマーケティングが過熱しています。NPO法人を作り、交通事故患者を誘致するウェブ広告やのぼりを散見するようになりました。その理由は簡単、交通事故の診療は自由診療だからに他なりません。

 一方、交通事故でお怪我をなされた場合、整骨院に偏重した通院実績は、後遺障害認定時において、プラスにならない場合が一般的です。

 当職がご相談に対応する皆様には、このような現実を知らずに整骨院の広告に促されて通院し、後遺障害で等級が認められないという二次被害に遭った方々が少なからずいらっしゃいます。

 そこで、本稿では、何故、整骨院に偏重した通院では後遺障害が認められないかという点を検討していきます。

  • 後遺障害が認定されるには、真面目に「治療」を受ける必要がある。
  • 連続性や一貫性は医師が認定するものである。
  • 柔道整復師に後遺障害診断書は書けない。

むち打ち後遺障害の認定基準

 交通事故で最も多いご相談はむち打ちに関するものですが、むち打ちの等級認定基準については、調査事務所が明確な指針を打ち出しています。

 外傷性頸部症候群に起因する症状が、神経学的検査所見や画像所見などから証明することはできないが、受傷時の状態や治療の経過などから連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。

 この要件は後遺障害の本質を捉えた見事なもので、様々な要素が含まれていますが、今回は「治療の経過」に注目して検討します。

そもそも「むち打ち」とは

 まず、上記要件の対象となっているむち打ちについて考えます。
 むち打ち、すなわち外傷性頸部症候群は、自覚症状をMRIなどの他覚所見で説明できません。たとえば、むち打ち動作によって画像上ヘルニアが認められるならば、それはもやは外傷性頸部症候群ではなく、むち打ち動作に起因する頸椎椎間板ヘルニアというのが妥当な診断になるでしょう。逆説的になりますが、自覚症状しかないから「むち打ち」と呼べるのです。

 さて、むち打ちにおいては、検査画像等で症状を確認することができないが故に、自覚症状が本当なのか、賠償金目当てで言っているのではないということをしっかり確認する必要があります。では、それをどうやって確認するのか。

それは、上記認定要件に記載されているとおり「治療の経過などから連続性、一貫性が認められ」るかどうかを見る訳です。

一貫性を認めるのは誰?

 では、連続性や一貫性を認めるのは誰でしょう。最終的には調査事務所であることは言うまでもありませんが、第一段階で認めるのは、調査事務所が認定に使う後遺障害診断書を書く資格者、つまりは医師です。

一貫性はどうやって認めるの?

 さらに考えましょう。医師は一貫性をどうやって認めるのでしょうか。それは、治療の経過からに他なりません。

 ずっと整骨院に通っていて、後遺障害診断書を書く時だけ医師の元に出向き「ずっと痛かった。痛いから整骨院に通っていた」と言って、医師は「はいそうですか」と一貫性を認めるでしょうか。

 認める訳はありません。だって自分の所に「治療」しに来てないんですから。

 つまり、連続性や一貫性を調査事務所に認めてもらうためには、医師が「治療の経過」を理解していることが重要となるのです。

交通事故の治療は医師が行うべきです

交通事故における「治療」とは

「治療」とは、現在整骨院の広告で濫発されていますが、厳密には医師しか行えない行為です。医師法では、次のように定めています。

第二十条  医師は、自ら診察しないで治療をし、若しくは診断書若しくは処方せんを交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書若しくは死産証書を交付し、又は自ら検案をしないで検案書を交付してはならない

 つまり、医師でさえ、自分で診察せず、治療だけすることを禁じられているのです。これは、治療は診察を前提として行うという「当たり前」のことを示していますが、逆に考えると、診察できない者は、治療もできないと言えます。診察は医療行為であって、医師しかできないわけですので、診察を前提とする治療も、やはり医師しかできないのです。

柔道整復師の証明書

 診察や治療は医師しかできない以上、柔道整復師に後遺障害診断書は書けません。柔道整復師が出すのは「施術証明書」です。治療を謳いながら、柔道整復師は、公的書面において「治療」という文言を使うことはできないのです。

まとめ

 つまり、交通事故で怪我をして後遺障害を考える場合には、最終的に医師の診断を受ける必要がある。そして、認定機関は、最終的な診断書から、その経過を詳細に検討する。

 この流れで考えるなら、交通事故でお怪我を治すために通うべきは、整形外科であるのか整骨院であるのか、明白です。整形外科に通院し、良好な関係を築きながらリハビリをするのがより良い選択ということになるでしょう。

 柔道整復による施術は、身体の痛みを和らげることは事実です。もし、それをお望みであれば、柔道整復師を雇用していらっしゃる整形外科へ通院なさると良いでしょう。最近ではそのようなクリニックも増えつつあります。
 整骨院だけの通院に偏重し、後遺障害で非該当であった場合、異議申立が認められるのは、申請件数の7%程度であることも、あわせて知っておかれると良いでしょう。

 今日は、最近やたら整骨院をPRするNPOを目にするので、警鐘を鳴らす意味で本稿を出稿しました。ご不明な点はお気軽にお問合せください。ページ下部に関連する有意な投稿もありますので、あわせてご覧くださいませ。

交通事故に関するページのご紹介

被害者を支援するための7つのマニフェスト

 使用中の携帯(いわゆるガラケー)が壊れた為、急遽、購入後使っていなかったSIMフリーのアンドロイド端末にソフトバンクの銀SIMを挿して使うよう設定しました。今日は、その設定のまとめです。

前提条件

  • 使うのは、いわゆるガラケー銀SIMである。
  • それを、アンドロイドのSIMフリー端末に差し込む。
  • ソフトバンクメールというアプリを使ってwifi環境でメール送受信を行いたい。
  • データ通信はメールだけにして、パケットを消費しないようにしたい。
  • 手間をかけずにメールを受信したい。
  • アンドロイドのバージョンは4.1.1
  • ソフトバンクメールのバージョンは3.9.1
  • パケット定額サービスには入っていない。

結果

  • wifi環境下でメールを送受信することができた。
  • さらに3G環境でもメールを送受信することができた。
  • その環境で、ウェブにつないだらエラーが出た。
  • しかし、その環境でも、6時間の接続で500円程度PCダイレクトに課金された。
  • 最終的に、パケット通信をメールのみに限定することはできなかった。
  • 現状、アプリは入れずウィジェットで3Gを切替運用している。
  • 「シュパッと」というアプリを使えば、パケット代を節約できる。

トラブルシュート

 まずは、上手くいかない場合の対処法をまとめて書いておきます。

ソフトバンクメールでwifi設定ができない。

wifiを設定するには、まず、一番スタンダードな環境、すなわち、3Gでウェブもメールもつなげる環境を作った上で設定を行う必要があります。ウェブ環境を切る方法を紹介していらっしゃるページがありますが、その設定では、自分は上手くいきませんでした(設定は後述)。

wifi設定後、APNが切り替わらない。

 APNを切り替えるという発想を諦めました。

 メール通信以外のパケットを遮断する場合、ダミーのAPNとメール受信専用のAPNの二つを作っておき、デフォルトをダミーにしておけば、メール送受信の時だけAPNが切り替わるという記述が見受けられましたが、自分の環境では切り替えることができませんでした。

 ところで、メール受信専用のAPNは「mailwebservice.softbank.ne.jp」なので、この設定をデフォルトにしても、つまり、APNを二つ作らなくても、メール以外にパケットは使われないんじゃないだろうかと考えました。

 そこで、メール受信専用とされるAPNだけにして、少しアレンジしてみると、メール送受信ができて、ウェブはつながらない(データ通信無効で接続エラーが出る)という結果にたどり着くことができました。しかしながら、結局これでもパケット代は6時間で500円程度課金されました。。

公式サイトに記載されている「plus」のAPNでは動作しない。

私の環境でも動作しませんでした。メール受信設定項目もないのに受信できるとは考えられず、銀SIM+SIMフリーでは無理なのではないかと考えます。

APNタイプをmmsだけにするとそのAPNを選択できない。

アンドロイドのバージョンが影響していると思われます。アンドロイドのバージョンが4.1以上であれば、mmsのみでは動作しない可能性があります。

設定方法

 まず、wifi設定をするため、デフォルトの設定を行います。この設定にたどり着くまで、様々な方法を試しましたが上手く行きませんでした。

wifi設定のためのAPN

  • 名前 first (ここは適当でかまわない)
  • APN: open.softbank.ne.jp
  • プロキシ: 未設定
  • ポート: 未設定
  • ユーザー名: opensoftbank
  • パスワード: ebMNuX1FIHg9d3DA
  • サーバー:未設定
  • MMSC: http://mms/
  • MMSプロキシ: mmsopen.softbank.ne.jp
  • MMSポート: 8080
  • MCC: 440
  • MNC: 20
  • 認証タイプ: PAPまたはCHAP
  • APNタイプ: default,supl,mms
  • APNプロトコル: IPv4

 このホームページはコピープロテクトを行っています。設定をコピーなさる場合は、このコピー用テキストファイルを開いてください。

 私は上記の設定でAPNを保存し、wifiをオフ、かつ、データ通信をオンにしてソフトバンクメールを起動。wifi通信設定は成功しました。

データ通信のためのAPN

 さて、このデフォルト設定では、メールだけでなく、ウェブでも見ることができてしまいます。今回は、メールだけのデータ通信を行いパケットの消費を減らすことを目的としているので、この設定を変更する必要がありました。

 検索してみると、色々な情報がありましたが、試行錯誤の上、3Gでメールを受信し、かつ、ウェブでは「接続が無効です」というエラー表示がされる設定までたどり着きました。これで成功したと思いましたが、6時間の3G接続で500円程度課金されており、狙いは失敗に終わりました。しかし、一応設定を記載します。設定にあたっては、くれぐれもそれをご理解頂いた上でお願い致します。目の飛び出るようなパケット代の請求が届いたとしても私は一切の責任を負わないことを、ここで明言しておきます。

 まず、初期設定したAPNは削除し、新しい設定を作ります(或いは、同じ事ですが、古い設定の上にに以下の設定を上書きして保存します)。

メールのみ受信設定のためのAPN

  • 名前 mailonly (ここは適当でかまわない)
  • APN: mailwebservice.softbank.ne.jp
  • プロキシ: 未設定
  • ポート: 未設定
  • ユーザー名: softbank
  • パスワード: qceffknarlurqgbl
  • サーバー:未設定
  • MMSC: http://mms/
  • MMSプロキシ: sbmmsproxy.softbank.ne.jp
  • MMSポート: 8080
  • MCC: 440
  • MNC: 20
  • 認証タイプ: CHAP
  • APNタイプ: default,mms(注意1【後述】)
  • APNプロトコル: IPv4

 設定をコピーなさる場合は、こちらのテキストファイルを開いてください。

 次に、万が一のことを考えて、パケット通信を減らすよう手動でも配慮します。
 設定>データ使用で表示されるアプリケーションをタップしていき、「全データを制限する」をチェックしていきます。但し、Android OS はチェックできる場所がなく、メールも制限すると面倒ですのでメールのみ「バックグラウンド制限」にしておきます。

 以上で設定は完了です。

パケット代には気をつけてね

上記の設定で試したこと

APNタイプを二つ作り、ダミー側をデフォルトにした。

APNは切り替わらなかった。

APNタイプをmmsだけにした。

APN保存後、選択できなくなった。

APNタイプをmms,suplにした。

APN保存後、選択はできた。wifiからは受信できたが、データ通信環境では受信に失敗した。

認証タイプを「PAPまたはCHAP」でAPNタイプを「default,mms」にした。

メール受信はOKでウェブにも結果的にはつながらないが、ウェブ接続時に通信はしているようで「データ遅延によるエラー」と言ったメッセージが出た。

手順における重要な注意

 まず、お使いのアンドロイドのバージョンをご確認ください。そのバージョンが、4.1未満である場合、APNタイプの注意1の部分で、defaultを外し、mmsだけで動作する可能性があります。ですので、まず、mmsのみで動作確認なされることを強くお勧めします。mmsだけで動作した場合、メール以外のパケット通信はおそらく遮断できるものと思います(私見であって裏を取ってないので保証できません。自己責任でお願いします)。

作業をするにあたって考えたこと。

自分の端末でメールを受信できるの設定は上記の二つだった。

目指すところはメール以外のパケット通信を遮断することである。

ということは、制限を加える設定を行わなければならない。

openというAPNよりもmailwebserviceの方が、なんとなく安全な気がする。なので、後者で作業をしよう。

APNタイプをmmsだけにすると、どうやら動かないらしい。二つ作っての切替も無理だ。

ということは、APNタイプのdefault設定は動かせない。

認証タイプを触ってみよう

CHAPにしたら、ブラウザ起動で「データ通信が無効」と表示された。

これでOKなんじゃないか。

6時間程度接続してパケット代をモニタリングしてみた。

500円程度課金されている。

失敗だったようだ。

切替運用の方法

 メール受信時のみデータ通信をオンにして、その他では常時オフにしておくには、「シュパッと」というアプリが便利です。このアプリを使うと、メール受信時だけ自動でデータ通信をオンにして受信することができます。ただし、受信エラーも起きますが、30秒(あるいは設定されている任意の間隔)だけデータ通信をオンにするという便利なスイッチがありますので、これを活用すると、ほぼ当初に思い描いていた状態を実現することが可能です。

まとめ

 単純に銀SIMをSIMフリーサービスで使うのであれば、最初の設定で使うことが可能です。しかし、それでは常時パケットを使うことになります。私の場合、パケット定額に加入していないので、メール送受信のみ3G接続できる方法を探しました(現在もチャレンジしています)が、アンドロイドのバージョンの関係もあって、おそらく実現は難しいと思われます。また成功すればご報告致します。

 なお、本文中にも再三記載していますが、この設定を活用されてパケット代が高額になったとしても、私自身は一切責任を負いませんので、くれぐれも自己責任において設定頂きますようお願い申し上げます。

 ある寄り合いの雑談の中で「心肺停止で1日経っているのに「死亡」って言わないのはどうして?」と言う疑問を呈した方がいらっしゃいました。これは法律的な仕組みとして知っておいて損はない論点です。
 今日は、死亡に関する法律について検討します。

  • たとえ心配停止であっても、医師が死亡と診断するまで、メディアが「死亡」とは報道しづらいだろう。
  • 立法において用いられる自然人の死を表す場合「死亡」が使われると言える。
  • 自然人の死亡を診断(認定)できるのは医師と歯科医師のみである。
  • 死亡を証明する為に用いられる書類の代表例は、戸籍である。

死亡と心肺停止

死亡という言葉の意味と使い方

 日本において、人の死を表す、または連想させる言葉は少なくありません。「他界」「逝去」「往生」「永眠」と言った熟語から「亡くなる」「あの世へいく」「鬼籍に入る」と言った表現まで多様にあり、我々は繊細な感覚でそれらを使い分けているのでしょう。

 そして、その言葉の中に「死亡」という熟語も入れることができるでしょう。

「死」と「死亡」という言葉、いったいどう違うのか、いつものとおり辞書で確認してみましょう。


- しぬこと。命がなくなること。

死亡
- 人が死ぬこと。

出典はともに『広辞苑 第六版 DVD-ROM版』です。

 さて、辞書の定義だけでは、死と死亡の差異は明らかにはなりませんでした。では、現在使われている現状から検討してみましょう。

法律における表現方法

 私法の一般法である民法では、人の死を「死亡」と表現しています。また、出生や死亡を政府が管理するためにある戸籍について規定した『戸籍法』でも、人の死を「死亡」と表現しています。さらに、刑法における傷害致死の条文も「…人を死亡させた者」と定められており、やはり死亡という言葉が使われていますね。

ここまでのまとめ

 ここまでの検討は、次のようにまとめることができるでしょう。

自然人の死という事象を表現するには、様々な熟語や慣用句があるが、法律の世界では「死亡」という言葉が使われる。

死亡と法律

 ある自然人の死、つまり人の死亡は、その周囲に重大な影響を及ぼすことはご存じのとおりです。相続は人の死亡によって開始するということが民法によって定められています(第八八二条)。
 人は死亡すると、何も所有することはできません。物もお金も所有することはできず、相続という手続のなかでその所有権は処理されていくことになります。また、婚姻関係も終了してしまいます。

 このように「死亡」という事実は、その人自身だけではなく、周囲にも重大な影響を及ぼすことになります。

死亡は誰が認定するのか

 では人の死亡は、誰が認定するのでしょうか。

 前述のように、人の死は法律的に大きな意味を持ちます。ですので、相応しい人間が死亡を確認し、それを法的に証明する必要性が出てきます。このような制度がなければ、生存しているのに勝手に死と偽って生命保険金をだまし取ろうというような事例が頻発してしまうでしょう。

 では、日本において人の死亡を確認し「この人は死亡している」と証明するのは誰になるのでしょうか。

 それは、医師及び歯科医師です。何故なら、それは戸籍法と医師法に定められているからです。

戸籍法
第86条 死亡の届出は、届出義務者が、死亡の事実を知つた日から7日以内(国外で死亡があつたときは、その事実を知つた日から3箇月以内)に、これをしなければならない。
2 届書には、次の事項を記載し、診断書又は検案書を添附しなければならない。
一 死亡の年月日時分及び場所
二 その他法務省令で定める事項
3 やむを得ない事由によつて診断書又は検案書を得ることができないときは、死亡の事実を証すべき書面を以てこれに代えることができる。この場合には、届書に診断書又は検案書を得ることができない事由を記載しなければならない。

 このように、戸籍に死亡の事実を記載するためには、原則的に死亡診断書又は死体検案書の添付必要となります。
 そして、この診断書と検案書を記載することができるのは医師と歯科医師のみ(医師法第一九条第2項・歯科医師法第一九条第2項)ですので、死亡の認定は、医師か歯科医師が行うということになります。

ここまでのまとめ

①死亡を前提とした法律行為を行うには、死亡の事実を公的に証明しなければならない。
②公的な証明を得る為には、戸籍を用いることが一般的である。
③戸籍に死亡の記載をするためには、原則的に医師又は歯科医師の診断又は死体検案が必要となる。
④つまり、死亡の事実を確認する(できる)のは、医師か歯科医師のみということになる。

心肺停止と死亡の差異

 今までの検討で、自然人が死亡しているかどうかを判断できるのは医師と歯科医師だということが分かりました。つまり、たとえ心肺停止の状態が長時間続いていても、それはあくまで、心臓が止まっているという状態に過ぎない。死亡というのは、より意味を持った言葉であるという気がしますが、いかがでしょうか。

まとめ

 このように検討していくと、心肺停止と死亡認定にタイムラグが生じる感じがします。しかし、厚生労働省の平成26年度版死亡診断書(死体検案書)記入マニュアルにも「…死亡確認時刻ではなく、死亡時刻を記入します」と書かれており、心肺停止と医師の認定する死亡には、それほどのタイムラグは起きないことが一般的でしょう。
 なお、死亡を証する事実を証する書面として戸籍を用いることが一般的であるのは、不動産登記の相続手続に代表されるように、人の死亡を証明するために戸籍を用いるのが一般的になっており、さらに、金融機関等でも同様の内規をもって処理している現実から導いた結論であって、戸籍に公信力はないというのが通説です。従って本文中「証明」というのは必ずしも正しい表現とは言えませんが、公信力は論点ではなかっため、伝わりやすく記述するため「証明」という表現を用いています。

 住所を書こうとする際、場所によっては「都道府県名からお願いします」と言われることがあります。言われない場合も多くあります。
 本稿では、この、住所表記に都道府県名は必要なのかという論点について検討します。

  • 住所の表記は都道府県から記載するのが原則である。
  • 都道府県名=都市名、又は、政令指定都市の場合、都道府県名を省略できる場合がある。
  • 省略できるのは、限られたケースになりつつある(私見)。

住所記載に都道府県名は必要か

住所記載は都道府県を省略できるのか?

 当事務所は京都府にありますが、いちいち「京都府京都市」と書き出すの正直とても煩雑です。
 就職活動で履歴書を手書きする場合など、都道府県名を何度も書くのは煩わしく感じることでしょう。そこで、それについて法的根拠を入り口としてアプローチするのが本稿の目的です。

そもそも「住所」とは

 さて、まずは言葉の定義からはじましょう。住所とは、民法で定められている概念です。

第二十二条  各人の生活の本拠をその者の住所とする。

 これは、ある意味当たり前の条文ですね。

 住所とは、選挙の際にも重要になりますが、国にとっては、なんと言っても課税するのに必要でしょう。課税するには対象者に通知しなければならず、通知するためには住所を管理しておく必要がある。
「住民基本台帳法」では、住所を転入・転居・転出で変更する場合は、市町村長へ届け出なければならないと定めています。また、出生届には住所を記載する欄があります。こうして、住所は適切に役所で管理できるようになっています。

住所表記の原則

 では、住所表記の原則は、どのようにして決められているのでしょうか。これは、古くから世間で踏襲されていた慣例が「住民基本台帳事務処理要領」で成文化されたと考えます(私見)。

(住民基本台帳事務処理要領から抜粋)
キ 住所
 都道府県、郡、市、区(指定都市の区をいう。)及び町村の名称並びに市町村の町又は字の区域の名称のほか、住居表示に関する法律(昭和37年法律第119号)に基づく住居表示が実施された区域においては、街区符号及び住居番号を、その他の区域においては地番を記載する。なお、団地、アパート等の居住者について、上記の記載のみでは住所が明らかでない場合には、アパート名、居室の番号まで記載し、間借人が別個に世帯を設けている場合には「何某(間貸人氏名)方」まで記載する。また、都道府県、郡、市、区及び町村の名称は、別個に記載することとしても差し支えない。この場合において都道府県の名称は、指定都市等においては省略してもよい。

ここで住所として記載すべきは次の要素とされています。

  • 都道府県の名称
  • 郡の名称
  • 市の名称
  • 区(指定都市の区をいう。)の名称
  • 町村の名称
  • 市町村の町又は字の区域の名称
  • (住居表示が実施された区域の場合)街区符号及び住居番号
  • 地番
  • アパート名、居室の番号(上記のみで住所が明らかでない場合)

 つまり、住所を記載する必要がある場合には、このとおり記載しておけばほとんどの場合問題が生じることはないと言えるでしょう。

※そもそも、何故欧米とは違い、都道府県という大きい単位から書き始めるかという問題については、文化人類学的な論点であるため本稿では立ち入りません。

都道府県名が省略できる場合

 では、本稿の主題である、都道府県名が省略できる場合はあるのでしょうか。

「住民基本台帳事務処理要領」内の文言

 上記の「住民基本台帳事務処理要領」によると、「都道府県、郡、市、区及び町村の名称は、別個に記載することとしても差し支えない。この場合において都道府県の名称は、指定都市等においては省略してもよい」と記載されています。
 そして、この「指定都市等」の「等」は、都道府県名と同一都市を指していると解します(私見)。

 しかし、これには注意が必要です。この文言には「この場合において」という条件が付されており、一般論として援用するには多少無理があるからです。

商業登記の先例

 商業登記先例の中にも趣旨が同じものがあります。

(登記の記載につき)政令指定都市,都道府県名と同名の市を除いては,都道府県名を記載するのが相当である。
昭32.12.24民甲第2419号

 私の知る限り、登記実務においては、登記記録のみに限ることなく、委任状等の添付書類もこの先例に基づいて都道府県を省略するのが一般的であって、それで補正がついた事例は聞いたことがありません。

本稿の結論

 当ブログでは、本稿の結論として「その住所を含む文書の提出先が公的機関である場合、政令指定都市、都道府県と同名の市の場合、都道府県名を省略して差し支えない」と考えます。

本質を考えよう

 政府機関から出されたこの二つのステートメントは、本質において同じであり、これを根拠として都道府県を省略できる場合は当然あるでしょう。

 しかし、これらは、いずれも役所へ提出する文書において省略を認めたものに過ぎません。

 実際、手紙や葉書を出す際の契約約款となる内国郵便約款には、都道府県を記載するという文言があり、省略の可否について述べられた箇所は約款上はありません(但し、7桁の郵便番号を正確に記載すれば「住所の市区町村名(行政区名)まで記載を省略することができます」という解説ページはあります)。

住所を書いて何に使いますか?

 住所は、必要に応じて記載します。そして、記載する機会は様々です。役所へ住民票を取りに行く場合、遠方の人へお礼状を書く場合、親戚に時候の挨拶状を書く場合、就職する際の履歴書に書く場合…。

 住民票を取りに行ったり、親戚に時候の挨拶を書く場合、都道府県を書く重要性は低いように思います。それは自分の住所が何県にあるかということが、さほど重要ではないからです。
 一方、就職の履歴書に住所を書く場合、相手方が一目で地域をイメージできることは大切ではないでしょうか。「これはどこの県?」と担当者に無駄な質問をさせないためにも、都道府県はあった方が無難です。

 こうして考えると、住所に都道府県を記載するかどうかの判断で最も大切なことは、法律上の根拠ではなく、何故その住所を記載するのかという本質を考え、相手に失礼のないような選択をすることではないかと、私は思います。

まとめ

 普通の人なら都道府県名は知っていても、全ての市町村を記憶していることはないでしょう。「袋井市」で送られるよりも「静岡県袋井市」と宛名を書いて頂く方が、もらう方としてもありがたいものです。

 法的根拠を入り口に検討を始めながら、「時と場合を考えて」というありきたりな結論に辿りついてしまいました。しかし、それこそが、住所を書く上で大切なことだと、本稿を掲載するにあたって、改めて感じました。
 ご参考になさってください。

 今日は、接骨院や整骨院が交通事故被害者の方々に訴求し、集客している理由を考えます。
 当事務所の記事「交通事故で整骨院ではなく整形外科に通院すべき理由 」には、毎日50件近いアクセスがあります。
 交通事故でお怪我をなされた方々は、どちらに通院すべきか悩んでいらっしゃるのでしょう。一方、整骨院では交通事故を大々的に取り扱い集客をしている他、社団法人まで立ち上げて意見展開しているところもあるようです。

 もちろん、整骨院の皆様には、交通事故でお怪我をなされた方々を施術した方がよいという根拠があって主張なさっていらっしゃるのだと思いますし、私はそれを尊重します。

 とはいえ、適正な後遺障害の獲得を専門としている立場から言えば、交通事故でお怪我をなされた方々は、基本的に整形外科に通院しなければ圧倒的に不利になるという現実があります。それについては前述の記事で詳細を書いておりますので、ご一読ください。

 本稿は、今、整骨院が大々的に交通事故業界に参入している現状を裏側から考えることにより、お怪我をなされた方々により適正に治療先を選択して頂く情報をご提供することを目的としています。

  • 就業柔道整復師の数は、10年で2万6千人増えた。割合にして80%増加している。
  • 施術所(整骨院)の数は、10年で1万6千人増えた。割合にして63%増加している。
  • 交通事故の診療は、自由診療で行われることが多い。

整骨院、増えましたね~。

 最近、整骨院がどんどん増えているように感じますが、いかがですか?

 当事務所は、北野天満宮にほど近い商店街の中にありますが、実際、ここ10年で整骨院が激増し、300m程度の商店街の中だけで5軒ほどの整骨院があります。

 この傾向は、印象だけでなく数字にも裏付けられています。厚生労働省が2年に一度公表している「衛生行政報告例(就業医療関係者)結果の概況」によると、この10年で柔道整復師の人数とその施術所の数が激増していることが一目で分かります。

就業柔道整復師の数(各年末現在)

  • 平成14年 32,483人
  • 平成24年 58,573人

増加率約1.8倍

柔道整復の施術所数(各年末現在)

  • 平成14年 25,975カ所
  • 平成24年 42,431カ所

増加率約1.6倍

 いかがでしょう。すごい増え方ですよね。実際、行政書士も増加傾向にありまして、この10年間で会員数は増加しています。それでも、その増加率は1.2倍です。行政書士は、兼業士業者や公務員OBの「とりあえず登録」も多いことを考えると、この柔道整復師の絶対数の増加は驚くべきことであると言えるでしょう。

同業者が増えると市場はどうなるでしょう

 同業者が増えると、そのマーケットはどうなるでしょうか。当たり前のことですが、競争が激化します。競争が激化することにより様々な影響が発生しますが、新たな分野を作り出すというのも競争に生き残っていく一つの方策と言えるでしょう。ここに、整骨院が交通事故で訴求する理由があるのではないかと私は考えます。

交通事故と治療費

 交通事故でお怪我をされた場合、健康保険を適用して治療を行うか、保険を使わずいわゆる自由診療で治療するかどうかの判断をしなければならないケースがあります。
 これについては改めて検討しますが、現状では、交通事故の治療が自由診療で行われる風潮が根強く残存しており、その場合、治療機関は保険点数にとらわれることなく、診療報酬を決定することができます。とは言え、保険点数の10倍などという非常識な報酬が請求されることはなく、概ね1点12円から20円の単価で計算されていることが多いようです。

 整骨院であっても、自由診療で治療を行うことができますので、率直に言って、整骨院が交通事故でお怪我をなされた方の治療をすると、非常に儲かることになるのです。

被害者の立場になって考えてみよう

 では、観点を変えて、被害者の立場になって治療を考えてみましょう。整形外科か整骨院か、治療先をお考えの被害者の皆様は、痛みが残存しているはずです。痛みが残存すれば、それは後遺症として長引く可能性があります。しかし、後遺症があるからと言って、賠償金の額が増える訳ではありません。後遺症は、認定機関が認めることにより「後遺障害」となって、そこではじめて賠償の額に影響を及ぼす要素となるのです。いくら激痛が残っていたとしても、認定機関が「後遺障害」と認めなければ、それは交通事故の解決に影響を及ぼす(賠償金を増額させる)要素にならないのです。

 では、後遺症を「後遺障害」と認めてもらうにはどうすればいいのでしょうか。
 方法は一つです。しっかりとした整形外科の先生に見てもらい、そこで治療を受け、リハビリをし、受傷から症状固定まで一貫して痛みがあって、それが画像所見と一致しているという「後遺障害診断書」を書いてもらうことです。

 後遺障害診断書がしっかりしたものであっても、リハビリの回数が少なければ、後遺障害と認められない可能性があります。なぜなら「痛ければリハビリに行くだろう。リハビリの回数が少ないのは生活にそれほど支障がないからじゃないのか」と認定機関は考えるからです。

 一方、リハビリの回数が十分でも、それが整骨院である場合、経験則から申し上げると後遺障害と認められる可能性は低くなります。それは「痛ければ整形外科医の診察を受けながらリハビリをするだろう」と認定機関は考えるからではないでしょうか。

 別の見方もできます。あなたが整形外科医だったとしましょう。
 交通事故で怪我にあい、最初に治療に来たけれど、それからさっぱり来なくなった。それで半年してやってきて「今まで整骨院でリハビリしてました。後遺障害診断書書いて下さい」と言われ、正確な診断書がかけるでしょうか?
 おそらくそれは難しいでしょう。リハビリの経過も分からないし、気分だって良くないに違いありません。

 以上のような理由、経験、推測から、私は交通事故でお怪我をなされた皆様には、整骨院ではなく整形外科を受診し、そこで懸命にリハビリに励まれることをお勧めしています。
 しかし、実際には整骨院の施術で身体がらくになっというお話を聞くことがあるのも事実です。そのような場合、主治医や保険会社と調整し、両方に通院すれば良いだけの話しなのです。

情報を収集し、最適な選択をしましょう!

オピニオンを集めましょう

 以上は交通事故被害者の方々に対し、できるだけ適正な等級が認定されるよう尽力しているという私の立場からの主張であって、立場が変われば見方も、また主張も変わるでしょう。ですので、迷っていらっしゃる皆様は多くのオピニオンに触れ、主治医(もちろん医師であり、柔道整復師ではありません)の意見も聞いた上でご判断なされると良いでしょう。

まとめ

 インターネットには、情報があふれており、様々な人々が、様々な思惑を持って、様々な観点から主張を展開しています。私は、本稿で、後遺障害等級認定において交通事故被害者救済をしている人間として、被害者の方々により客観的な情報を集めて頂くという思惑を持ち、適正な等級認定を実現するには、という観点から主張を展開しました。

 見かけに惑わされず、冷静に、ご自身が何を基準に判断すべきかを見極め、適切な治療を受けられることを願ってやみません。本件について疑義等がおありであれば、お気軽にご連絡ください。

 最後に、本稿でも私は整骨院が交通事故に関わることについて否定的な立場から主張を展開していますが、私は柔道整復師の皆様に敬意を抱いています。本稿はあくまで交通事故被害者が等級認定を適正に行うには、という視点から自身の経験をふまえて主張を述べたものであって、柔道整復師の営業を妨げることを意図したものでないことを付言します。

交通事故に関するページのご紹介

被害者を支援するための7つのマニフェスト

 今日は、高次脳機能障害を患った方々を支援する法律と制度について概観します。
 最近では、特に弁護士の先生方が交通事故業務になだれ込み、様々な高次脳機能障害についてのホームページができています。しかし、被害者の人生を支援するマクロの視点から構成されたホームページを見かけることはあまりありません。

 もちろん、被害者の方にとって損害賠償でいくら請求できるのかは大切です。しかし、賠償額が確定した後も高次脳機能障害との付き合いは続くことになりますので、支援制度を知ることは重要です。

 本稿は、支援法等に着目して、高次脳機能障害でお困りの方々の情報収集に役立てて頂くことを目的としています。

  • 高次脳機能障害は「器質性精神障害」とも呼ばれる。
  • 高次脳機能障害を支援する基本法は、障害者基本法である。
  • 支援内容は、サービスの実施、給付の提供、年金制度など多岐にわたっている。
  • 高次脳機能障害相談支援コーディネーターに相談するとよいだろう。

高次脳機能障害の支援制度を紹介します。

高次脳機能障害の別名

 高次脳機能障害というのは、専門家の間では一般化している言葉ですが、社会的にはまだまだ認知度が低いと言えるでしょう。
 特に、精神障害者保健福祉手帳の申請についての診断は、国際疾病分類によった診断名が使われますので「高次脳機能障害」という言葉は出てきません。代わりに使われるのは「器質性精神障害」という言葉です。

 精神障害者保健福祉手帳は、後述するように高次脳機能障害に関連が深いのですが、その診断で「高次脳機能障害」という言葉が使われないということは知っておかれるとよいでしょう。

高次脳機能障害を支援する基本法

 高次脳機能障害は、言葉そのもののとおり、高次元の脳機能に障害が発生している状態です。従って、高次脳機能障害を患った方々が支援を受ける基本法は障害者基本法となります。

障害者基本法

第一条  この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一  障害者 身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。 (二号省略)

 障害者基本法第2条は、障害者を定義しています。高次脳機能障害が精神障害に該当するのか、知的障害に該当するのか、これは難しい論点ですが、現行の実務上は、原則的に精神障害として考えています。

 そこで、障害者基本法をベースに精神障害を持つ方々を個別に支援するための法律が、いわゆる精神福祉保健法です。また、障害者総合支援法は、身体・知的・精神の分類を一元化して支援サービスを提供するという理念のもとに作られており(実際には完全に一元化されている訳ではありませんが)、その事業の一環として、各都道府県で高次脳機能障害支援普及事業が実施されています。
 以下、概観していきましょう。

精神福祉保健法

 精神福祉保健法の正式名称は「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」です。
 精神保健福祉センターについてや精神医療について定めていますが、実生活では「精神障害者保健福祉手帳」の関わりが大きいでしょう。

 精神障害保険福祉手帳は、審査によって交付されるものですが、交付されると所得税と住民税の控除が受けられる他、携帯電話や上下水道の割引、公共交通機関の割引(これらは自治体や会社によります)が受けられる場合があります。

 なお、障害者自立支援法に基づく障害福祉サービスについては、精神障害者であれば利用することができ、手帳の有無は関係ありません。

高次脳機能障害支援普及事業

 この事業は、現在の障害者総合支援法(旧障害者自立支援法)に基づいて各都道府県レベルで実施している事業です。たとえば京都府では、京都府リハビリテーション支援センターを京都府立医科大学内に設置し、高次脳機能障害支援拠点として相談業務を行っています。

まとめ

 高次脳機能障害は、一見具合が悪いとは思えないけれど、長年一緒に暮らして来られたご家族の方々であれば敏感に感じられる様な性格の変化、集中力の欠如なども症状として現れます。交通事故に限らず脳に外傷を負われて、そのような症状でお困りの皆様がいらっしゃいましたら、上記の高次脳機能障害支援普及事業を活用して相談なされるとよいでしょう。

 また、当事務所では交通事故業務として高次脳機能障害を取り扱っておりますが、交通事故に限らず、頭部をお怪我された後の「何かおかしい」と言った症状でお困りの皆様がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。

 今日は、頸椎のMR画像を例に、MRIの水平断の左右について検討します。

  • MR画像は、人が仰向けに横たわった状態で、足の裏側から体を見ているイメージを持てばよい。
  • それを画面で見た場合、水平断では左右が反転する。
  • つまり、画面上で右側に映るのが、体の左部分ということになる。

交通事故解決実務とMRI

 交通事故でお怪我をなされ、後遺障害の等級認定申請を考える場合、MRIの読影は避けて通ることができません。
 日本において「診断」が認められているのは医師のみであって、法律系の専門家はたとえ弁護士であってもその画像を診断することはできません。しかし、画像の理解は必須であると言えます。正常画像がどのようなものかを知り、その上で当該画像がいかようであって、それが相談者の主張する自覚症状と整合性があるかを確認することは、交通事故解決のための実務上最も重要とさえ言えるプロセスです。

頸椎MRI

 交通事故のご相談で最も多いのがむち打ちに関するものですが、むち打ちに関するMR画像、すなわち頸椎のMRIのうち、水平断で左右を逆に考えられるケースが散見されます。

 そこで、MRIの水平断画像を見る際の考え方について考えようというのが本稿の主題です。

頸椎MRI画像

上の画像は頸椎MRIの水平断です。
 画像を見ると、端に「L」「R」という符号がついていますね。これが左右を表しているのですが、何故か右側が「L」になっており、左側が「R」となっています。

水平断の左右は何故逆なのか

 何故、画面に映る画像は左右が逆になるのでしょうか。

 仕組みは簡単で、水平断(身体を真横にスライスした)画像は、体を頭上から見るというイメージではなく、足下から見ることになるのです。

 イメージなさってください。今、仰向けになった人を足の裏側から見ているとします。すると、右側に見えるのはその人の左足、左手ですよね。それだけの、実に単純なことなんです。

 しかし、実際に説明を受ける際には「水平断は左右が逆になる」と説明を受けることがあります。確かに間違いではありませんが、イメージしにくいですよね

頸椎MRIのイメージ画像

 いかがでしょう。人が仰向けにねていて、足の裏側から頚部を見ているとイメージしてみると、頭のイメージと画像がシンクロして、分かりやすく見えるのではないでしょうか。

まとめ

 MRIに、同じ画像は存在しません。当たり前のことですね。しかし、多くの画像を見ることによって、どの程度が正常と呼べる範囲なのか、おおよそのイメージが持てるようになって、それを個別に当てはめて検討(診断ではありませんので念のため)していくことができるようになります。

 くれぐれも左右取り違えることのないよう、ご参考になさってください。

 このブログでも間接的に触れていましたが、今日は、当職が代表理事を務める一般社団法人全国交通事故被害者支援センターについて、正規にご紹介致します。

  • 本社団は「交通事故被害者の救済」を公益性の観点から実現していきます。
  • 本社団は比類なき専門家集団を形成し、より効率的に被害者救済活動を行います。
  • 具体的な活動は、無料相談会の開催、各種専門家の育成活動を重点的に行います。
  • 全国的な活動を行うため、広く専門家を募ります。

交通事故で怪我をされた方々の現状とは

 先日、1年前に交通事故でお怪我をなされた方からご相談を受けました。
 バイクで直進中、何の前触れもなくUターンした車と接触、衝撃で前方へ投げ出され全身打撲の大けがをなさったとのこと。

 それから約1年後、症状固定となり、事前認定で後遺障害等級申請。痛みを和らげるため接骨院には100日以上通ったけれど、後遺障害は非該当。納得できないということでご相談頂いた次第です。

 MR画像を取り寄せて頂き、それを確認すると、明らかに頸椎に神経根の圧迫症状が認められていました。しかし後遺障害診断書はまったくの空欄。所見に一語たりとも記載はありません。

 任意保険のことを聞くと、弁護士費用特約には入っていなかったとので自分で戦うしかない、とのこと。
「ご家族で特約に加入していらっしゃる方は?」と聞いてみると、お母様のバイク保険には付帯しているとのことでした。

もし、専門家に聞いていれば

 このご相談者様が、もし事故直後に私にご相談されていれば、どういうことになったでしょうか。

 お母様のバイク保険に付帯していた弁護士費用特約を活用して、事故直後から面倒な物損のやりとりは全て弁護士任せることができたでしょう。もちろん、自分が弁護士に報酬を支払う必要は一切ありません。
 救急搬送された大病院はリハビリに不向きです。リハビリ施設の整った近所の整形外科に転院すれば、自由診療で請求できる整形外科医は大喜び。そこで早期にMRIを撮り、リハビリを重ね、通院実績を積み上げてしっかりした後遺障害診断書を書いてもらって被害者請求していれば、非該当になることはまずなかったと言えるでしょう。

現状からのリスタート

 しかし、これは「たられば」の話しです。このご相談者様は、白紙の後遺障害診断書で認定が非該当だったところからスタートしなければなりません。
 後遺障害の等級認定システムでは、納得のいかない認定結果について異議申立をすることが認められています。しかし、異議申立が認められるのは申立件数の20%以下であって、厳しい戦いになります。

 このような事案は、特殊でもなんでもなく、交通事故を解決していく上で、日常的にお受けするご相談であり、むしろ、少なからずあり得る事例であると言えます。

 被害者の方々がこのような事態に陥らず、適正に交通事故を解決していくにはどうすればいいのだろうか。

 これが、社団の出発点です。

社団設立の経緯

 私たちの考えは、被害者の方々が上記のような状態に陥ることなく交通事故を解決していけるようにしていくことです。
 とはいえ、弁護士であっても、また、行政書士もこれらの意見展開にはどうしても「営業」の思惑が透けてみえ、お困りの方々が相談を躊躇されるという現実もあります。

 そこで、同じような志を持った専門家が集まって協力関係を形成し、一般社団法人全国交通事故被害者支援センターを立ち上げた次第です。

 この社団名は、「協会」など、いわゆる公的機関と誤認され得るような名称は敢えて避け、一般団体であることが分かるように配慮しております。
 一方、品質の高い無料相談を全国的に行っていきたいという思いは発起人一同の念願でもあり、その実現を目指すという意味において「全国」を冠することに致しました。

社団の協力体制

 社団は、私が代表理事を務め、同じ志で活動する専門家の中から他に二名の理事を選任して設立しました。近畿、九州で無料相談にご協力頂いている弁護士の他、放射線科医、整形外科医、理学療法士などの専門家が交通事故無料相談会に参加してそれぞれの立場からアドバイスを差し上げています。

全国交通事故被害者支援センター

社団の事業

 当社団は、社団が掲げた「被害者救済」の理念を達成するため、主に二つの事業を行います。

交通事故無料相談会の開催

 社団が行う交通事故無料相談会は平成26年度、北は宇都宮、新潟から南は熊本まで、約100回程度実施の予定です。全ての会場で社団相談員と弁護士が対応する他、関西圏の相談会では、会場により放射線科医や整形外科医が参加致します。

 この社団による相談会の最大の特徴は、依頼を目的とするものではない、ということです。

 相談会は毎回予約で埋まっており、お一人に対応できる時間は最長30分です。事前にある程度のお話を伺っておき、当日は、事故状況、受傷部位、痛みの状況、治療の経過などについて詳しくお話を伺います。

 そして、その上で被害者の方々の疑問や不安にまずお答えし、次に相談員からアドバイスを差し上げる、このような流れで各ご相談に対応しております。

 法律事務所だけの相談ともなれば、敷居も高く感じますし、朱肉のフタを開けて待ち構えていられるかも…と心配になるかも知れませんが、社団のご相談はあくまで被害者の方々が最初にご紹介したような事態に陥らないようアドバイス差し上げることを目的とするものです。。

 また、医師と弁護士双方が参加して交通事故被害者の皆様にアドバイスを差し上げるという相談会形式は全国的に見ても極めて珍しく(私は他に事例を知りません)、非常に付加価値の高いご相談であると自負できます。

専門家の育成と連携強化

 本社団は「全国」を掲げて精力的に活動しているとは言え、北海道、青森や四国、沖縄などまだフォローできていない地域があるのもまた事実です。
 そこで、本社団では、そのような地域に出張して研修会を開催し、志とスキル、双方を備えた専門家の育成を行うべく準備しております。

 また、関西で実施している相談会と同じ品質の相談事業を各地で実施できるよう、各地の弁護士や医師の先生方と連携を強化する取組を行っています。

まとめ

 日本全国で、交通事故がどのくらいの頻度で起こっているかご存じですか?

 統計によるだけで、およそ1分に1件の割合で交通事故が発生しています。最近、自転車による事故が社会問題化していますが、警察へ届けられなかった自転車同士や自転車と人との接触事故までも含めると、おそらく30秒に一件程度の割合で交通事故が発生しているのではないでしょうか。

 事故をなくす取組は最重要視されなければなりませんし、社団においても事故防止の活動に参加していますが、万が一、交通事故に遭ってしまった場合、保険会社の言うことを鵜呑みにするのではなく、無為に時間を費やすのでもなく、信頼できる専門家に早期に相談し、より良い解決へ向かう道筋を考えていく必要があります。

 社団でも積極的に意見展開していきますが、当事務所ブログでも今後、様々な情報をお伝えし、ホームページを通じて世の中に貢献していきたいと考えています。

全国交通事故被害者支援センターホームページ

 今日は、最近のお問い合わせで感じることについて記述します。本稿は業務に関する雑感につき、いつもの「ポイント」はありません。

お問い合わせ、ありがとうございます。

 インターネットにホームページを掲載し、フリーダイヤルまで掲げていると、お問い合わせのお電話を頂戴します。
 私は、最近ウェブ関連のコンサルティング業務を手がける事も多く、インターネット経由でお問い合わせを頂くことの難しさをよく知る人間です。ですので、お問い合わせを頂けるということは、有り難いことだといつも感謝の想いで対応しています。

お問い合わせはお気軽に!

最近のお問い合わせに思うこと

 最近では、インターネットで簡単に情報が手に入るようになったため、お問い合わせ頂く方も、しっかりと情報収集した状態でお電話頂くことが多いように感じます。私は、基本的に通常の行政書士業務は自分でできるものであるという認識で仕事をしていますので、これは好ましいことだと思います。多くの方が法律の仕組みや個別の制度を知られることは、マクロ的な観点で考えると国益にも資することでしょう。

 とはいえ、このようなお問い合わせには、いくつか考えなければならない点があるのも事実です。
 それは、情報収集をされる際に「自分にとって都合の良い情報だけを(頭に)保存し、それ以外に目をやっていらっしゃらないのではないか」と思えることです。

ご存命中の遺留分減殺請求

 たとえば、遺留分減殺請求についてのお問い合わせを頂くことがあります。遺留分はそれが認められた相続人に取っては非常に重要とも言える権利ですので、興味を持たれるのは素晴らしいことだと思います。

「遺留分」と入力して検索すれば、多くのページで詳しい解説を読むことができるでしょう。それらの情報のほとんどは民法の条文を咀嚼してまとめ、分かりやすく書かれているはずです。
 ところで、遺留分には「遺留分の放棄」という条文で、間接的に遺留分減殺請求の行使ができるのは相続開始後である旨を定めています。そもそも相続とは自然人の死亡によって開始しますので、「遺留分」が発生するのも死亡後に決まっています。

 しかし、実際には、対象者がご存命の状態で遺留分減殺請求を行っておきたいという趣旨のお問い合わせが、少なからずあります。というより、私が受けた遺留分減殺請求に関するお問い合わせのほとんどがそうでした。

遺産分割協議と不在者財産管理人

 また、遺産分割協議のお問い合わせに絡み、失踪宣告や不在者財産管理人に関する話題が出ることもあります。遺産分割協議書の作成は行政書士の業務範囲とは言え、不在者財産管理人選任の申立は家裁管轄であって、行政書士がご相談に対応することはできません。こういった場合、私は法テラスか市民無料法律相談の活用をお勧めしています。

 この失踪宣告や不在者財産管理人制度についても「喧嘩して絶縁状態で連絡がつかないから申し立てたい」という理由を耳にすることが少なくありません。

 確かに、失踪宣告も、不在者財産管理人制度も、残された親族が長期間法的な縛りに拘束される状態を解消する機能があることは間違いありません。

 しかし、だからと言って喧嘩して家を出て絶縁状態である、というだけで不在者財産管理人制度を使って(その後財産処分の審判は別にあるとしても)その人の権利を安易に処分してしまえる訳ではありません。

 私は平成14年頃に一度だけ携わったことがありますが、それ以降、不在であることを疎明する資料が変わっているかも知れないと言う気がします(親子利益相反による特別代理人選任申立において家裁からの指導が大きく変わったため)。

 仮に分割協議をするなら、不在者財産管理人が単純に権利放棄することが認められるとは、私には思えません。その場合、近時の流れから考えると持ち分に相当する分割代償金の支払いが必要になるのではないでしょうか。

まとめに代えて

 インターネットで情報集する場合に押さえておいた方が良いのは、その情報の鮮度です。いくら見た目が綺麗なホームページであっても、その情報が2006年のものであれば、法改正が行われている場合もありますし、しっかりとセカンドオピニオンを取っておかれることが大切です。

 また、自分も含め、人は誰でも自分にとって好ましくない情報は見落としがちになるように思いますので、広く客観的に情報収集し、選択と判断の素材になされると良いでしょう。

「そのために電話してるんでしょう」って?
 ごもっともです。私も常に正確に分かりやすくお答えできる専門家であるよう、研鑽に励みます。

 今日は、行政書士が業務を受託(受任)する場合の契約書作成について検討します。

  • 業務を受託する場合には、契約書を作っておく方が良い。
  • 契約書の内容は簡素なものでもかまわないと考える。
  • その契約書で、どのような権利義務や事実を確定させたいかが重要だろう。

検討の前に

 約二ヶ月ぶりのブログ出稿となってしまいました。その間もホームページ経由でお問い合わせやご依頼を頂いていたのですが、慌ただしい毎日に流され更新できない日々が続いていました。
 ところが嬉しいことに、何人かの方から「最近ブログ書いてないね」と指摘を受け、楽しみにお待ち頂いている読者皆様のご期待に応えるため!今日からまた、少なくとも週一回は、いやいや、二週間に一回は出稿するつもりでこのブログを再開します。

 この二ヶ月、慌ただしいばかりで変わり映えした訳ではありませんが、髪を短くし、クールビズなのに無駄にスーツを増やし、シャツを大人買いしている高木のブログに是非ご期待ください。

行政書士と契約書

行政書士業務と契約書

 行政書士が業務を受任或いは受託する場合、その態様に応じて依頼者との間で権利義務関係が発生する訳ですが、それを書面、すなわち契約書というカタチで残すかどうかは、悩みどころの一つです。

 たとえばこれが会社設立の場合と、車庫証明の取り付けの場合では、話しが変わってくるでしょう。建設業許可関係で毎年出す書類を作成する場合、初回に許可を申請する場合もしかりです。

 しかし、業務の性質や報酬の程度によって契約書を交わすかどうかを決めるというのは本質的にはあまりよろしくないことですし、原則としては受託或いは受任する案件毎に契約書を交わすにこしたことはありません。

行政書士業務の性質

 ところで、私が行う行政書士業務は基本的に全てが代書業務ですので、民法でいう「委任」という枠組みで自身の業務を捉えることはありません。
 株式会社設立の電子定款作成と認証については、定款作成代理人として私の名前が記録されますし、この場合は委任契約になりますが、これはむしろ例外であって、行政書士の業務は「受任」ではなく「受託」が原則であるというのが私の考えです。

 中には被害者請求を、委任契約をベースに行政書士名義でやっている事務所があるという話しを聞きますが、これは自賠責の振込先を確保するためであって、依頼者のためにはならないのではないかと感じます。

当事務所の契約書作成方法

 では、当事務所ではどうやって契約書を作成しているかという話しですが、私は業務内容毎に契約書ひな形を作成しており、それを用いています。

ボリュームある許認可申請の場合

 書類作成量にある程度のボリュームがあり、申請準備に2週間以上を要するような許認可申請の場合は、申請の要素(申請書の要約)を表記、その申請に対する権利義務関係を明確にした契約書を作成します。

簡単な申請や契約書作成業務の場合

 簡単な申請や契約書作成業務の場合、私は先に契約書を交わすことをせず、書類を作成していきます。そして、依頼者の確認を経た時点で、予め準備しておいた契約書を合綴します。この時、契約書中に「(行政書士は依頼者に対し)別紙合綴済みの○○書を読み聞かせ、依頼者は内容が依頼にそったものであることを確認した」という一文を記載することで、依頼人への意思確認と自身の注意義務を尽くしたことを明確にします。
 この一文は依頼者・行政書士双方の利益に資するものであると言えるでしょう。

契約書を作成しない場合

 遠隔地のディーラーさんや、同じく遠隔地にいらっしゃる他の国家資格者から(依頼者を紹介するのではなく)直接依頼を受ける場合、契約書を交わせないケースも出てきます。その場合、私は納期や報酬額など、契約書に盛り込むべき事項をメールかFAXで送信し、それを保存しておきます。

みなさんはどうなさってますか?

 同業で飲んだ際に契約書を交わすかどうかについて話題になることがありますが、私の経験では半数近くの方が契約書を交わさずに仕事をしていらっしゃるようです。
 私は契約書に助けられたこともありませんし、契約書を交わしておけばよかったと後悔したこともありませんが、契約書はお互いを守り、信頼を誓い合う書面であるとも考えられますので、なるべくなら交わしておきたいものですよね。

 ちなみに、写真はイメージ画像です。敢えて外国人の写真を使ってみました。ほら、よく日本のビジネス向けホームページで外国人の写真使われたら「なんでやねん!」って突っ込みたくなるじゃないですか。久々のブログだったので、ちょっと突っ込みどころを作っておこうかな、と思いまして。

整形外科と整骨院、どちらへ通院すればいいのかを解説

 今日は、交通事故で治療を受ける、或いはリハビリする際に、整骨院を利用することの是非について検討します。私はこの件に対し消極的な見解から意見を申し上げますが、きっと積極的な見解もあるでしょうし、本稿をお読みなられた被害者の皆様は、一つのオピニオンとして参考にして頂きますようお願いいたします。

整骨院が交通事故に参入してくる理由」もご参考にして頂けると思います。別ウィンドウが開くようになっていますので、是非ご覧ください。

診断は医師の仕事です!

 交通事故のリハビリでは、整骨院ではなく整形外科を利用した方が良い。その理由はただ一つ、柔道整復師は治療ができないからである。

医師と柔道整復師の違い

 本稿で問題とするのは、医師(整形外科)と柔道整復師、どちらに通院すればいいかということですが、それを医学的な見地から検討する訳ではありません。立脚点はあくまで「交通事故の解決」であり、もっと踏み込んで言えば「交通事故の精算」です。

 つまり、交通事故をより良く解決するためには、どちらを選択すべきなのか。という問題ですね。しかしながら、言葉の定義を理解しておくことは大切ですので、医師と柔道整復師の違いについて、まずは考えてみましょう。

医師とは

医師については、医師法で定められています。資格要件などはさておき、本稿で大切なことは次の条文ですね。

第十七条  医師でなければ、医業をなしてはならない。

 では、「医業とは何なのか?」ということですが、医業というのは法律的に定義されている概念ではありません。その曖昧さ故に、介護分野での業際問題を引き起こしてもいる訳ですが、本稿においては、「業としての医療行為」とでも定義しておきましょう。

柔道整復師とは

 柔道整復師も、柔道整復師法に定められた国家資格者です。

第二条  この法律において「柔道整復師」とは、厚生労働大臣の免許を受けて、柔道整復を業とする者をいう。
(以下省略)

 さて、ここでも「柔道整復とは何なのか?」という疑問が生じます。しかし、本ブログ御用達である広辞苑第六版DVDROM版にも、その他のインターネット辞書にも明確な定義はありませんでした。「柔道整復術」についてウィキペディアに記載がありましたので引用します。

柔道整復術(じゅうどうせいふくじゅつ)とは、柔術に含まれる活法の技術を応用して、骨・関節・筋・腱・靭帯などの原因によって発生する骨折・脱臼・捻挫・挫傷・打撲などの損傷に対し手術をしない「非観血的療法」という独特の手技によって整復や固定を行い人間の持つ自然治癒能力を最大限に発揮させる治療術。
出典:ウィキペディア

 医業と柔道整復の関係性ですが、柔道整復師法第17条は、医師が柔道整復を行えることを定めていますので、医業は柔道整復を包含する概念であると言えそうです。

違いをまとめよう

 以上、言葉の定義だけでは、必ずしも医師と柔道整復師の違いは明確になりませんでした。しかし、この二つの法律には、医業を考える上で、実は大きな差異があります。

 医師法には「治療」という言葉が頻繁に使われますが、柔道整復師法では、「治療」という言葉は一度も使われないのです。「治療」に置き換わる言葉として使われているのは「施術」です。

 つまり、柔道整復師は施術のみを行うことになりますので、機械や薬品を使った検査を行うことはできず、問診と体表からの診察ができる程度です。また、法律上投薬は禁止されており、脱臼又は骨折の患部に施術するには医師の同意が必要となります。

 これに対し医師は医業の全てを行いますので、検査し、診断し、治療し、また施術を行い必要に応じて投薬することができます(処方箋の交付は原則として医師の義務でもあります)。

交通事故で整骨院への通院をお勧めできない理由

 交通事故で怪我をなされた場合、通院し、後遺症がのこれば後遺障害診断を受けます。この診断は医業であり、診断できるのは医師のみになります。柔道整復師がどれだけ優秀であっても、半年通院していても、診断はできません。

 では、より精度の高い後遺障害診断を受けるには、どちらに通院しておくべきでしょうか。

 後遺障害の等級認定を行う調査事務所では、受傷時の状況と、症状の経過、そして症状が固定したという時系列に整合性があるかどうかに着目します。

 仮にずっと整骨院でリハビリしていて、後遺障害診断にだけ整形外科を訪れて、正確な、丁寧な診断書を書いてもらうことができるでしょうか。
 おそらく、それは困難でしょう。技術的にも、そして、心情としても。

 とりあえず診断書を書いてはもらい、被害者請求でもしたとしましょう。そして非該当だったとします。慌てて専門家へ相談に行くと「整骨院はいただけませんでしたね」と言われるでしょう。
 しかし、そこから整形外科でリハビリをしても、異議申立が通る可能性は高くありません。元々異議申立が通る確率など20%を切っているのです。後遺障害は初回申請が大切なことは言うまでもありません。

 詰まるところ、医師は柔道整復もでき、治療も診断も投薬もできる医業における最高資格者です。しかし、リハビリ自体の診療報酬は、整形外科でも整骨院でも処置が同じなら変わりません。この条件では、整骨院を敢えて選択するメリットは乏しく、整形外科を選択するのがよりベターであるという結論になります。

 もっとも、整骨院は日曜日もやっているし、夜も遅くまでやっているから便利なんだ、という主張があるでしょう。その場合、保険屋さんと上手く折り合いをつけて両方通えばいいだけの話しです。

 後遺障害の等級認定で大きな意味を持つのは後遺障害診断書。そして、それを作成するのは医師であるということを考えると、整形外科と整骨院のどちらに通院した方がいいのかは明らかです。現在整骨院で治療をなさっていらっしゃる場合、交通事故の解決に長けた専門家へご相談なさることをお勧めします。大抵は無料相談を行っていますので、アドバイスを受けて今後の方針をお考えになると良いでしょう。

 なお、本稿は交通事故後遺障害の立証という見地から検討を行ったものであり、私は柔道整復師という資格にも職業にも敬意を抱いておりますし、お付き合いしている先生方もいらっしゃることを付言しておきます。

交通事故に関するページのご紹介

被害者を支援するための7つのマニフェスト

 今日は、交通事故で最もご相談の多いむちうちについて、初回の電話対応時にどのような情報を聞き取るべきなのかということについて検討します。

  • 交通事故相談では、事故情報を聞き取るだけでは十分とは言えない。
  • 純粋に医学的な問診表を使っても、後遺障害の判断には活かせない。
  • 英語文献は、自身で確認して和訳するのが最も適当である。

むち打ちの電話相談対応は難しいものがあります。

交通事故の電話相談では何を聞き取るべきなのか。

 インターネットで「お問い合わせ」を承っていると、様々なお問い合わせのお電話を頂きます。当事務所では行政書士業務を幅広く取り扱っているため、相談内容も多岐に及びます。最近では、毎週末に「宇治市でも休日に印鑑証明書を取れるのか」というお問い合わせがあったため、ブログ記事として出稿もいたしました。このあたりは、フリーダイアルを掲げている宿命ですので、どのようなお問い合わせであっても、一期一会と思い、できる限りのアドバイスを差し上げております。

 ところで、交通事故に関するご相談は、それ自体が手続ではないため、聞き取るべき情報は各事務所によってまちまちでいらっしゃることでしょう。「事故日」や「初回診断」「受けた検査」等の「鉄則」のような情報はありますが、それ以外の情報について、どこまでを電話で聞き取るべきなのか、というのは資格者の考え方によって異なってくるのは当然です。実務的には電話専用相談シート作り、運用しながら修正していくことになりますが、今回は、当事務所がむち打ちの相談シート作成に参考とした資料をご紹介いたしましょう。

Neck Disablity Index

 この「Neck Disablity Index」とは、カナダのバーノン教授が提唱したむち打ちの重症度を計測する方法です。
 この言葉で検索すれば、様々なPDFファイルが表示されますが、内容はどれも同じです。このNDIは、むちうちの問診表として、国外では臨床現場で幅広く用いられているようですが、内容は医学的かつ、英語的であって、交通事故でそのまま使えるコンテンツではありません。

 しかし、医学上の判断材料にしていらっしゃる以上、コンテンツとして使わないのももったいないお話しですので、当事務所では、このNDIをアレンジして使っています。
 ところが、このアレンジが割と難しい。単純な和訳ではニュアンスを上手く伝えることができないんですね。もちろん一つひとつのセンテンスを訳すことは簡単なんですが、一つの項目について6つのグレードで評価するので、その違いを表現することが難しい。

 当事務所では、NDIを独自にアレンジしており、その相談シートは公開できるものではないのですが、基礎にした事務所オリジナルのNDI日本語訳は参考にして頂けるものと考え、今回ご紹介致します。

NDI For Whiplash injury by Miyako office

 以下のコンテンツはNDIを独自に翻訳したものです。使用にあたっては、オリジナルを忠実に訳すのではなく、問いかけがしやすいようにアレンジしています。また、このNDI自体は、元々が、恐らくはセルフチェック方式であって、他者が問いかけることを前提に構成されているもではないと考えられます。これらを十分ご理解頂いた上でご覧いただきますようお願い致します。

1.痛みの程度

  • 現在、痛みは感じない。
  • ほとんど痛みはない。
  • 痛みはあるが、差し支えるようなことはない。
  • 時に、差し支えるような痛みがある。
  • 常時差し支えるような痛みに悩まされている。
  • 痛みがひどく、生活に重大な支障をきたしている。

2.身の回りの所作

  • 問題なく身の回りのことができる。
  • 動くと多少痛むが、問題なく身の回りのことができる。
  • 痛みをかばうため、動きがぎこちなくなる場合がある。
  • 痛みのため、時に介助を必要とするが、身の回りのことはなんとかできる。
  • 身の回りのことをするにも、毎日介助を必要とする。
  • 自分では服も着替えられない、寝たきりに近い状態である。

3.持ち運び

  • 重い物でも難なく持ち運びできる。
  • 重い物でも持ち運びできるが、多少痛む箇所がある。
  • 床から持ち上げるには痛みが伴うが、机の上など便利な場所のものは持ち運びできる。
  • 重い物は無理だが、物によっては便利な場所に置いてあるものは持ち運びできる。
  • 軽いものしか持ち運びできない。
  • 物を持つのも憚られるほどに痛みが激しい。

4.読書

  • 読書中に首の痛みを感じることなどない。
  • 時々首に痛みを感じたりするが、読書に支障はない。
  • 「痛いな~」と思いつつも好きなだけ本は読める。
  • 首の痛みが気になって、以前に比べて本が読めなくなった。
  • 首の痛みが気になって、ほとんど読書できなくなった。
  • 首が痛くて読書どころではない。

5.頭痛

  • 頭痛に悩まされるようなことはない。
  • たまに、少し頭痛を感じるようになった。
  • たまにではあるが、差し障りのある頭痛に悩まされる。
  • 前に比べて頻繁にひどい頭痛に悩まされるようになった。
  • 頭痛の痛さと回数の多さは、明らかにおかしいと思えるほどだ。
  • 毎日ひどい頭痛に悩まされて、脳に異常があるのかと心配している。

6.集中力

  • 以前と変わらず集中して物事に取り組める。
  • 違和感を感じることもあるが、集中の妨げにはならない。
  • 以前に比べ、少し気が散るようになったと思う。
  • 集中しようと始めるが、集中力が持続しなくなった。
  • 明らかに物事に集中して取り組めなくなっている。
  • まったく集中できなくて、焦っている。

7.仕事

  • 今まで以上に仕事量が増えても全く問題ない。
  • 今までやっていたことはできるが、それが限界と感じる。
  • 今までやっていたことが、かろうじてできる程度になった。
  • 今までやっていた仕事ができなくなった。
  • 働くと言うこと自体、かなり厳しい状態だ。
  • 今は働けるような状態ではない。

8.運転

  • 運転中に首の痛みを感じることはない。
  • 好きなだけ運転できるが、たまに首の痛みを感じる。
  • 首は痛いけれど、運転は普通にできる。
  • 首の痛みのせいで、運転に支障がでるようになった。
  • 首が痛いので、運転自体があまりできなくなったと思う。
  • 痛くて運転どころじゃない。

9.睡眠

  • 以前と変わらず快適に眠れる。
  • 違和感で睡眠時間が短くなったが、気になる程じゃない。
  • 違和感で一日数回目を覚ますようになった。
  • 違和感のせいで睡眠時間がだいぶ減っている。
  • 違和感がひどく、睡眠時間が半減した。
  • ほとんどと言っていいほど寝られていない。

10.趣味や野外活動

  • 好きな活動をするのに首の痛みは気にならない。
  • たまに痛みがあるが、活動には支障はない。
  • 痛みのせいで、今までやっていた活動の幾つかができなくなった。
  • 痛みがひどく、今までのように活動しづらくなっている。
  • 活動できればいいが、痛みが差し支えてほとんどできない。
  • 痛くて趣味なんて考えていられない。

ヒアリング結果

 上記ヒアリングシートは各項目について、無症状から重症までを6段階にしています。結果集計はポイント式で、いずれも最初の項目が0(ゼロ)、最後の項目を5として各項目の総和で評価します。パーセンテージに換算する手法もあるようですが、私は使っていないので詳しくは知りません。

 総和の最大数は50となり、結果で症状を分類します。

  • 0~4 障害なし
  • 5~14 軽度
  • 15~24 中程度
  • 25~34 重度
  • 35~50 完全な障害

 交通事故の後遺障害について検討する場合、このNDIアプローチだけでは十分と言えず、付加的質問や促しの中で、相談者の身体の状態を考え、痛みの訴えと事故受傷との整合性を調べる必要があります。

 ご参考になさってください。

 今日は、後遺障害14級9号の該当要件について、当事務所のスタンスにおいて検討します。

後遺障害14級9号

頸部イメージ 交通事故を機転(原因)とした怪我や症状につき、完治を目指して適正に治療を行ったにもかかわらず、ある種の不具合が残存してしまった状態を「後遺症」と呼ぶことがあります。
 しかし、全ての後遺症が後遺障害と認定される訳ではなく、交通事故における後遺障害とは「医師が症状固定と判断した時点において残存している後遺症のうち、認定機関が相当と認めたもの」と言えます。
 認定機関はある一定の基準に基づいてその判断を行います。そして、その判断基準となるものが「後遺障害別等級表」です。この等級表には、「別表Ⅰ」と「別表Ⅱ」があり、その後遺症の態様に応じて1級から14級に分類されています。

 基準である以上、それぞれの細目はある程度明確になっているわけですが、14級9号は、次のとおり曖昧な概念となっており、しばしば認定時に問題となります。

14級9号

局部に神経症状を残すもの

 このシンプルな基準について、詳細に検討していきましょう。

言葉の定義から考える

 まずはいつものように、言葉の定義にあたっておきましょう。出典はともに『広辞苑 第六版 DVDROM版』です。

局部

①全体のうちのある一部分。局所。
②陰部に同じ。

神経症

心理的な要因と関連して起こる心身の機能障害。器質的病変はなく、人格の崩れもない。病感が強く、不安神経症・心気症・強迫神経症・離人症・抑鬱神経症・神経衰弱・解離性障害など種々の病型がある。ノイローゼ。

「神経症状」という言葉は掲載されていませんでした。神経症と医学的に言う「神経症状」は意味合いが違いますので、上記の「神経症」というのは、本稿での検討に相応しいものではありませんが、「器質的病変のない心身の機能障害」という点は参考になります。

 広辞苑の解説を読んでも、わかったような分からないような雰囲気ですが、それが14級9号の難しさでもある訳です。とりあえずの理解としては、「局部の神経症状」とは「身体のある一部分に見られる器質的病変の見当たらない心身の機能障害」となります。しかし、心身の機能障害と一口に言っても、片頭痛から食欲減退まで様々な症状があります。いちいちそれらについて、後遺障害における「神経症状」と呼べるかどうかについても検討する必要があるかというと、実は、それは必要ありません。

 何故なら、後遺障害で最も大切なことは、広辞苑の定義ではなく、医学的な通説の理解でもなく、調査事務所(後遺障害の認定機関)が認定してくれるかどうか、ということだからです。

 すなわち、実務的な視点から14級9号をかみ砕いて換言するなら「交通事故を原因として発生した症状のうち、調査事務所が『この神経症状と経過なら14級くらい認めてやらんとな』と判断した状態」である、と言えます。
 この定義を裏から考え、私は次のように14級9号を理解しています。

  • 14級9号の認定を受けるためには、「これは認めてやらんとな」と思わせることが大切である。
  • 発症の機転が交通事故であるということは、力強く訴えなければならない。
  • 症状だけではなく、経過(症状を改善させるために行った処置)も大切になってくる
  • 上記の事項を後遺障害診断書に力強く訴えてもらわなければならない。
  • そのためには、医師の理解と協力が必要である。

医学的な意味での「神経症状」とは?

 とはいえ、認定機関も「神経症状」という文言には一定の基準を持っていると考えられますし、それらを推察しておくことは実務的に重要です。

 しかし、「神経症状」で検索をしても、明確な答えにはなかなかたどり着けません。

「神経症状」とは神経系の障害に起因する症状である、と考えれば運動神経系、知覚神経系、自律神経系のどの系統の障害であるかによって症状は当然変わります。

 一つの分類モデルとして、医学事典である「メルクマニュアル」の神経疾患項目の分類表示が参考になります。専門的ですが、雰囲気を知ることができますのでご紹介しておきます。

神経疾患– メルクマニュアル18版 日本語版

後遺障害における神経症状

 では、話しを本題に戻しましょう。14級9号で調査事務所が認定する神経症状とはどのようなものなのでしょうか。

 ポイントは「交通事故を機転としている」という点です。交通事故で外傷を負わずに神経症状を訴える場合、その大多数はむち打ち損傷を原因としていると考えられます。

 むちうち損傷後の自覚症状としては、以下ような症状を訴えると言われています(急性期と慢性期は区別しない)。

  • 首の痛み
  • 頭痛
  • 腰痛
  • 痺れ感
  • めまい
  • 耳鳴り
  • 視覚障害
  • 吐き気
  • 不眠
  • 集中力低下
  • 倦怠感

 そもそも人間の活動は神経でコントロールされていますので、これらの訴えは全て広い意味で「神経症状」と呼んで差し支えないはずです。

 しかし、交通事故後に集中力が低下したと言って後遺障害の等級申請をして14級が認定される訳ではありません。それを許容すれば、後遺障害の申請件数は激増してしまうに違いありませんよね。

 実務上の通説としては、14級9号の認定を受けるためには、頸部か腰部に神経根症状が残っている必要があると言われています。これらは、申請を重ねた結果の蓄積であり、一定程度判断根拠とできる情報でしょう。

 しかし、当事務所では、14級9号の原点は「調査事務所が相当と認めたものである」と考えており、明確な判断根拠なく「非該当じゃないですか」と判断するのではなく、可能性が低い現実を伝えた上で、なお被害者が請求を望み、それに対して医学的根拠を補強していける余地があるのであれば、自律神経失調症状であっても申請すべきであるというのがスタンスです。

 この執務姿勢で大切なことは、「医学的根拠を補強していける余地があるかどうか」という判断です。医学的根拠を補強できなければ、被害者さんが本当に苦しんでいらっしゃったとしても、調査事務所は「これは認めてあげないとね」と考えてはくれません。全ては、医学的な立証と論理付けにかかってくると言っても過言ではないでしょう。

まとめ

 14級9号に該当する症状は、交通事故に関するご相談の中でも最も多いものです。しかし、今検討してきたように、認定の定義自体に曖昧さが残っており、認定されるかどうかは、医学的根拠をどのような方法で補強し、どうやって理論付けて調査事務所を納得させられるかにかかっています。

 つまり、後遺障害の立証とは職人的技術であって、正確性の担保されていないインターネットの文献を幾つか見ただけで方針が立てられるようなものではありません。
 もし、お怪我をなされた方がこの記事をお読み頂いたのであれば、以上のような現状をよくご理解頂き、本当に信頼できる専門家へご相談なさることをお勧めします。弁護士会の交通事故無料相談だから、「年間1000件の実績」だから信頼できるのではない、ということはよくよく知っておかれた方がよいでしょう。

今日は、交通事故を機転とする不定愁訴とその対応について検討します。

  • 不定愁訴であっても、注視と質問で被害者を観察すべきである。
  • 被害者には、後遺障害認定基準を説明して差し上げるとよいであろう。

不定愁訴とは

 まずは、いつも通り言葉の定義を確認しておきましょう。

不定愁訴【ふてい-しゅうそ】

明確な器質的疾患が見られないのに、さまざまな自覚症状を訴える状態
-出典『広辞苑 第六版 DVDROM版』

 昨年、私は自転車で横断歩道を走行中、右折してきた自動車に接触され、後輪のフレームが曲がったという経験をしました。転倒もしていないのですが、タイヤフレームが曲がったくらいですから衝撃はあり、その後しばらく「なんかしっくりこない」という感じを受けました。

 私の場合、その日の夜には忘れていた程度のことでしたので、おそらく精神的な原因だっとは思いますが、交通事故では、この「なんかしっくりこない」という症状を訴える方々が少なくありません。

 その違和感を具体的に検討すると、倦怠感だったり、不眠や脱力感であったり、或いは眩暈や食欲不振であったりと、いわば、自律神経失調症状であることが一般的です。

 被害者がこのような症状を訴えているにもかかわらず、明確な器質的疾患、つまり他覚所見が見られない場合、この症状は不定愁訴と換言でき得ると言えるでしょう。

不定愁訴とバレ・リュー症候群

 交通事故を機転としてこのような自律神経失調症状が現れた場合、「バレ・リュー症候群」と判断される場合が、まれにあります。「バレ・リュー」とは、この症候群を論じた学者二人の名前から取られたもので、医学的には「後部頸交感神経症候群」と呼ばれています。
 バレ・リュー症候群の症状として、自律神経失調症状全般を列挙される記載が散見されますが、損傷部位が「後部頸交感神経」とされていることから、医学的に言うバレ・リュー症候群の症状は、バレ(フランス語では「バレー」に近い)によれば、頭部の症状(頭痛・眩暈・耳鳴り・目の障害)及び頸部の症状(首の違和感・声のかすれ等)と考えられています。

むち打ちは奥が深い!

バレ・リュー症候群の治療

 私の理解では、バレ・リュー症候群は、その損傷部位とされる頸部交感神経が緊張し、その結果血管が収縮して血行が悪くなることで、違和感が除去できず自律神経失調症状が継続する状態であると言えます。

 つまり、違和感を除去するためには、血行をよくする必要があり、そのためには頸部交感神経の緊張状態を緩和させなければならない。そのために行われるのが麻酔を用いた「神経ブロック療法」であり、バレ・リュー症候群においては、頸部にある星状神経節に対してブロック注射を行う治療が一般的です。

 バレ・リュー症候群は理論的にはブロック療法で改善されるはずであり、複数回のブロック注射で改善が見られない場合、それはバレ・リュー症候群ではなく他の原因を疑うことになるでしょう。

星状神経節ブロック療法の効果

 ところで、星状神経節というのは、頸部にある、神経節の中継所のような役割を果たしています。様々な神経が集まってきており、星状に見えることから「星状神経節」と呼ばれていますが、様々な神経が集まっている中継所にブロック注射を行うため、その効果も広範に及びます。

 日弁連交通事故相談センターの広報誌に「頚部交感神経ブロックが有効な場合こそがバレリュー症候群と言うべきかもしれません。」という記載がありましたが、前述のように医学的にはバレ・リュー症候群は症状は頭部、頸部と限定的に見られており、効果の強い星状神経節ブロックで改善を得た症状を帰納的に「バレ・リュー症候群だった」と結論づけてよいものかどうか、検討が必要でしょう。

まとめ

 交通事故を機転とする不定愁訴があった場合、まずはその自律神経失調症状が、後部頸交感神経症候群の代表症状に該当するものかどうかを確認することは、後遺障害について考える前提として重要になります。倦怠感や不眠といった失調症状もバレ・リュー症候群に含める見解もあり、広い範囲で考えれば妥当であるとも思えますが、原則を理解しておくことで後遺障害認定に関するアプローチも変わってきます。
 なお、「バレ・リュー症候群」は、インターネット上でよく見かける傷病名ですが、実際の診断書に記載されることはほとんどないと言えます。
 次回は、バレ・リュー症候群の関連として、14級9号の認定要件を詳細に検討します。

 今日は、住民票に記載される法定項目と、住民票の写しとして出力される情報について考えます。

  • 住民票については、住民基本台帳法が定めている。
  • 記載事項は、実はとても多い。

住民票とはなんぞや?

 住民票とは、住民基本台帳の基礎となる帳票のことで、住民基本台帳法に定められています。

 住民基本台帳法(以下、本稿では「法」と呼びます。)は、第一条でその目的が定義されておりますので見ておきましょう。

第一条  この法律は、市町村(特別区を含む。以下同じ。)において、住民の居住関係の公証、選挙人名簿の登録その他の住民に関する事務の処理の基礎とするとともに住民の住所に関する届出等の簡素化を図り、あわせて住民に関する記録の適正な管理を図るため、住民に関する記録を正確かつ統一的に行う住民基本台帳の制度を定め、もつて住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資することを目的とする。

 そもそも住所とは、民法第22条で定められている概念です。「各人の生活の本拠」と定義されていますが、これを国が把握しておくことは、選挙人名簿の登録上重要なことなんですね。住所と民主主義がこんな所で結びつくというのは、新鮮な驚きがあります。最近の法律には、第一条で目的を定めるという構成が多く、この第一条に触れておくというのは大切なことではないでしょうか。

 さて、住民票自体は法第6条第1項に定められています。

第六条  市町村長は、個人を単位とする住民票を世帯ごとに編成して、住民基本台帳を作成しなければならない。
2  市町村長は、適当であると認めるときは、前項の住民票の全部又は一部につき世帯を単位とすることができる。
3  市町村長は、政令で定めるところにより、第一項の住民票を磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。以下同じ。)をもつて調製することができる。

 私たちが窓口で交付を受ける住民票というのは、正確にはこの役所が保存している住民票の「写し」です。申請用紙にも「住民票の写し等 交付請求書」(京都市の例)と書かれていますね。

行政書士と電子証明書

住民票に記載する事項

 住民票に記載すべき事項についても法が定めています。これが実はあまり知られていません。住所氏名や続柄、世帯主の他にもたくさんの記載事項がありますので見ておきましょう。但し、長い条文ですので一部省略します。

第七条  住民票には、次に掲げる事項について記載(前条第三項の規定により磁気ディスクをもつて調製する住民票にあつては、記録。以下同じ。)をする。
一  氏名
二  出生の年月日
三  男女の別
四  世帯主についてはその旨、世帯主でない者については世帯主の氏名及び世帯主との続柄
五  戸籍の表示。ただし、本籍のない者及び本籍の明らかでない者については、その旨
六  住民となつた年月日
七  住所及び一の市町村の区域内において新たに住所を変更した者については、その住所を定めた年月日
八  新たに市町村の区域内に住所を定めた者については、その住所を定めた旨の届出の年月日(職権で住民票の記載をした者については、その年月日)及び従前の住所
九  選挙人名簿に登録された者については、その旨
十  国民健康保険の被保険者である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の二  後期高齢者医療の被保険者である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十の三  介護保険の被保険者である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一  国民年金の被保険者である者については、その資格に関する事項で政令で定めるもの
十一の二  児童手当の支給を受けている者については、その受給資格に関する事項で政令で定めるもの
十二  米穀の配給を受ける者については、その米穀の配給に関する事項で政令で定めるもの
十三  住民票コード
十四  前各号に掲げる事項のほか、政令で定める事項

 健康保険・年金・選挙権・児童手当など、国や市に収める税金以外のお金と貰えるお金についてちゃんと住民票で管理しているんですね。

住民票の写しに記載される事項

 ところで、住民票の写しを請求する場合、ほとんど全ての自治体では、上記の項目のうち、1号から8号までしか表示されず、また、原則として、4号・5号と変更事項は省略されます。これも、法第12条第5項に法定されています。

第十二条 (一部省略)
5  市町村長は、特別の請求がない限り、第一項に規定する住民票の写しの交付の請求があつたときは、第七条第四号、第五号及び第九号から第十四号までに掲げる事項の全部又は一部の記載を省略した写しを交付することができる。
(以下省略)

 つまり、特別の請求があれば、本籍や続柄だけではなく、児童手当の需給に関する事項や、米穀の配給に関する事項も記載できるわけです。しかし、実際にこの種の特別な事項が記載された住民票は見たことがなく、おそらく一生見ることもないとは思います。

 住民票を請求する場合、提出先によっては、本籍の記載が必要である場合も考えられますが、住民票を取り扱う市民課の職員は提出先の事情を知らないため、そっけなく「提出先に確認してください」と返答される場合もありますが、これはある意味やむを得ないでしょう。勝手に判断すると「役所の人はこう言った」と言われるため、うかつに答えられないというのが実情と推察されます。

住民票の写しを「謄本」「抄本」と呼ばないのは何故?

 戸籍等を扱っていると、素直な疑問として何故住民票は「写し」と言う言葉を使い、「謄本」や「抄本」は使わないのか、という疑問があります。
 この点、謄本や抄本は、厳密に言えば謄本や抄本は、原本をコピー(複写)したものを呼ぶのが相当であって、様式を定めて情報をそこに当てはめて出力した住民票は「抄本」と呼ぶには相応しくないという風に考えられたのではないかと推察します(私見)。
 もちろん、コピーのないような時代においては、原本を正しく書き写したものが謄本や抄本と呼ばれていたとは思いますが、時代によって言葉の概念が変化することはありますし、住民票を出力したものを「抄本」と呼ばず「写し」と呼ぶのがその一例ではないかという気がします。

 今日は論点が曖昧になってしまいましたが、「住民票」と「住民票の写し」との違い、そして、住民票に記載されている事項は案外多いんだということをお知り頂くために書いてみました。

 久々にバーでの口説き文句に使えるようなトピックとなりましたので、週末に予定のある方はご参考になさって下さい。なお、口説き文句でお使いになる場合は免責事項のチェックをお忘れなきよう、お願い致します。

このページは、宇治市で休日に住民票等を請求する方法を紹介した行政書士事務所のブログ記事です。当事務所で住民票を発行することはもちろんできませんし、詳細については電話予約サービス(住民票の写し・印かん登録証明書)- 宇治市役所をご覧頂きますようお願い申し上げます。

 今日は、京都府宇治市で休日に住民票や印鑑証明書を請求する方法をご紹介します。

  • 宇治市で休日に証明書を請求するには事前に予約が必要です。
  • ですので、土日祝日当日に請求することはできません。
  • 請求可能なのは、住民票の写しと印鑑証明書のみです。
  • 詳しい情報がホームページで公開されています。

はじめに

 当ブログでは、京都市の住民票や印鑑証明書を休日に取得できる方法をご紹介しており、休日には多くのアクセスを頂いております。一方、「宇治」という検索キーワードでもこの記事が表示されるらしく、ここ数週間、休日にになれば「宇治でも印鑑証明書が取れるのでしょうか」というお問い合わせを頂いております。

 最初に書いておきます。宇治市において休日に住民票と印鑑証明書を請求するためには、平日に事前予約しておく必要があり、予約なしに当日役所に出向いて証明書を請求することはできません。

 以下、宇治市のホームページを要約する形で請求方法等を記載しておきますのでご参考になさってください。

1.事前予約

 宇治市内にお住まいの方が休日に印鑑証明書や住民票の写しを請求するためには、平日の開庁時間内に事前に電話で予約をしておく必要があります。

事前予約の受付先等

  • 受付部署:市民課(TEL:(0774)20-8722 直通)
  • 受付時間:月曜日~金曜日の午前8時30分から午後5時まで(但し、祝日・年末年始の閉庁日を除く。)
  • 予約できる範囲:自分のものか、同一世帯の方のものに限られています。
  • 請求可能な証明書:住民票の写しか印鑑証明書に限ります。

 ポイントは上の通りです。事前予約が必要であること、他人のものは予約できないこと、固定資産税評価証明書や戸籍は請求できないことに注意が必要です。

 まず予約のために電話されると、どなたのために何の書類が必要なのかを伝えます。そうすれば、役所の担当者が表示する範囲(世帯主や戸籍を表示するかなど)を尋ねてくださいます。
 この時、役所の担当者は、何を表示させればよいかを親切に教えてはくれません。うかつに言うと「役所の人はこう言った」ということになるからでしょう。多くの場合、提出先に確認するよう言われます。ですので、住民票の写しが必要な場合、提出先に「普通の住民票でいいですか?本籍地や続柄の記載は要りませんね?」と確認しておかれると良いでしょう。

休日に取りに行く

 電話予約が終われば、その週の土曜日、日曜日、祝日の午前10時から午後4時の間に、宇治市役所へ取りに行きます(但し、年末年始の閉庁日を除く)。

  • 受取人:予約した人か、書類が必要な同一世帯の人(申請人)
  • 交付場所:市役所地下一階の夜間受付窓口(警備員室)
  • 持ち物:受取人の本人確認書類(免許証等)、印鑑証明書の場合は印鑑登録カード、手数料

 手数料は、住民票の写し、印鑑証明書ともに、1通300円です。

注意事項

  • 予約日に受け取りにいかなければ、当該予約は無効となる。
  • 本人確認書類・印鑑登録カード・手数料を忘れた場合、受け取ることはできない。
  • 交付時に、申請内容の変更はできない。

 本人確認書類についは、市役所ホームページには「有効期限内の運転免許証・パスポート・健康保険証・在留カード等」と例示列挙されていますが、予約時に確認しておかれると良いでしょう。

 また、申請内容の変更はできないということですので、おそらく事前に出力されていると考えられます。従って、追加申請もできないと思われますので、事前に確認しておかれることをお勧めします。

最後に

 本稿は、お問い合わせの多かった宇治市における休日証明書請求について、その概要をご紹介するものです。詳細は、宇治市のホームページにてご確認頂きますようお願い致します。

電話予約サービス(住民票の写し・印かん登録証明書) – 宇治市役所

 祇園で起こった交通事故から今日で2年、改めて交通事故の現況を概観し、安全運転の誓いを立てましょう。

平成25年の交通事故統計

 平成25年の交通事故統計が警察庁より発表されています。そのデータによると、平成25年中に起きた交通事故は62万9,021件です。1分弱に1件の割合で起きていることになりますが、これは警察が把握しているデータに過ぎません。

 多くの方々が、サイドミラーに腕をあてられて素通りされたり、自転車で衝突してそのまま警察に届けず済ませた経験をお持ちではないでしょうか。このような警察が把握していない接触事故等も含めると、件数は2倍程度に跳ね上がってもおかしくはないでしょう。
 現に私も、去年自転車で青信号を進行中、同じ進行方向から右折してきた車に自転車の後輪をあてられ、フレームが曲がりました。しかし、その車は猛スピードで加速して去っていきました。こういった経験は多くの方がお持ちのことと思います。

交通事故の原因

 警察庁のデータでは、交通事故の原因についても考察されています。分類は、法令に基づいているのですが、安全運転義務違反に該当するものが全体の76%を占めています。安全運転義務違反の細目については、以下の5点が挙げられています。

  • 運転操作不適
  • 漫然運転
  • 脇見運転
  • 動静不注視
  • 安全不可確認
  • 安全速度

 このうち、安全速度とは、道路交通法自体には使われていない概念ですが、最高速度とは別に、状況に応じて危険を回避できるための速度という意味合いです。従って、同じ道でも昼と夜間では安全速度は自ずと変わってくるはずで、厳密に定義でき得るものではありません。

 ちなみに、安全運転義務違反以外の分類項目としては、信号無視や徐行違反、酒酔い運転等があり、「どれも安全運転義務違反やん!」と突っ込みを入れられるようにも思いますが、安全運転義務は道路交通法で定められている(第70条)ことから、一つの項目として分類されています。信号に従うことも徐行しなければならないことも、別途個別に定められているわけですね。

安全運転を心がけましょう!

安全運転を考える

 当たり前のことですが、交通事故は心理的な影響が大きいと言えます。時間に焦って無理な右折をしたり、苛立って追い越しをかけたり。しかし、自分の場合に当てはめてみても、このような状態の時、自分の小さな心理的ストレスと、それに起因して引き起こされる最も悪い結果とを比べるようなことはしないでしょう。ここが、大切なポイントではないかと私は思います。焦ることもある、イライラすることもある。けれど、人の怪我や、ましてや命は、時間を巻き戻して元の状態に戻すことはできないのです。

 遅れたら謝ればいい。苛立ったら深呼吸すればいい。ほんの少しの心がけで、交通事故はもっともっと減っていくはずだと、私は思います。

 かく言う私も、常にそれが実践できているわけではありません。自動車は乗る人間の状態によっては凶器になってしまうことを深く心にとどめ、自分を戒めて安全運転を心がけなければなりません。

 今日は、交通事故で最も症状が多いとされる「むち打ち」について、その症状だけでなく、語源という視点から検討します。

  • 「むちうち」という言葉はアメリカで最初に使われたと言われている。
  • 「鞭打ち症」という言葉は、広辞苑にも収録されている。
  • むち打ちとは、追突時に、首から頭部にかけて鞭を打つような軌道で頚部が損傷したことに起因する諸症状を言う。
  • むち打ちとは、医学的な傷病名ではない。

むち打ちは奥が深い!

むちうちの語源

「むちうち」という言葉は、既に一般化している言葉ですね。主に交通事故に起因する症状として認知されています。
 追突された際の首から上の軌道が鞭を打つ時の軌道に似ていることからこのように呼ばれたものと推測されますが、最初に使われたのは実は日本ではありません。最も古くに見られる表現は、アメリカの医師がアメリカ西部整形外科学会で発表した「Whiplash injury of the neck」という言葉であると言われています。

「Whiplash」というのは、直訳すれば「むちひも」となりますが、「Whip+lash」つまり、鞭の中のグリップを除いた柔らかい部分という意味になるでしょう。
「Whiplash injury of the neck」を直訳すれば、「首がむちのようにしなることに起因する損傷」ということになるでしょうか。

 これが現在日本で「むちうち」と呼ばれる症状の語源になっているのかも知れませんね。

むち打ちの意味

 むち打ちは、広辞苑にも掲載されている概念ですが、交通事故で使う「むち打ち」という概念は「鞭打ち症」として整理されています。両方の意味を見ておきましょう。

むちうち

①鞭で打つこと。
②馬の体で、乗り手の鞭が当たる辺。
-出典『広辞苑 第六版 DVDROM版』

鞭打ち症

自動車で追突された時などに、躯幹が前に圧されるとともに頸部が衝撃的に後方に振れ、頸部の筋・靱帯・関節、時に脊髄が損傷することにより起こる症状。その振れ方が鞭の空振りに似るからいう。
過伸展損傷といわれるもので、痛み・めまい・耳鳴りなどがあり、しばしば症状は慢性化する。
-出典『広辞苑 第六版 DVDROM版』

 しかし、交通事故実務の現場においても、一般的にも「むち打ち」を「鞭打ち症」と表現する人は少なく、これらの意味はほぼ同義であると言っても過言ではないように思います。

むちうちの症状

 むち打ちは、先の広辞苑での解説にあったように、痛みやめまい、耳鳴りなどの症状があります。痛みとは、主に首や背中・腰の痛みの他、疼くような頭痛や片頭痛も症例として見られます。また、後遺障害に絡んで重要な症状として痺れがあります。相談時には上肢から手先の痺れを確認し、画像所見と整合性があるかどうかを慎重に検討する必要があります。

 また、痛みや痺れと言った症状の他に、不眠、疲労感、倦怠感等の自律神経失調症状が見られることもあり、これらの症状は「バレー・リュー症候群」と呼ばれています。

まとめ

 現実問題として、むち打ちは詐病を疑われやすい症状ではあります。しかし、交通事故に遭って「なにかしっくりこないな」と感じる方が多くいらっしゃるのもまた事実であり、これは日本に限ったことではありません。そのしっくりこないのが、心因性のものであるのか、実は頸部に損傷を受けていることに起因するものなのかの判断は容易ではありません。このような場合は、医師に診断を求められる一方、交通事故についての専門家からアドバイスを受けておかれることも有用な選択肢の一つと言えるでしょう。

交通事故と医学的セカンドオピニオンについて

 今日は、交通事故で怪我にあった際、医学的にセカンドオピニオンを求めることの重要性について検討します。

  • 交通事故において初期の診断はその後、非常に重要な意味を持つ。
  • 医師は、優れた資格者であるが皆が万能ではない。
  • 以上のことから、交通事故に遭えば専門家のアドバイスを受ける方が良い。

医師と医療現場

 先日、放射線科医とお話しする機会があり、医療の現場についての一面を伺いました。放射線科医というのは、外科など、他の専門医から依頼をうけてCTやMRIなどの検査画像を読影するプロフェッショナルです。

 その放射線科医のお話しによると、医師の中にはMRI画像の左右さえ見分けられない医師もいるそうです。もちろん、全ての医師がそうではないでしょう。しかし、その先生から聞かされる医療の現場・病院の現状というのは、ここに記載するのが憚られるほどに衝撃的なものでした。私も大きな病気にかかった時はよくよく調べて、最低でもセカンドオピニオンを取るくらいの気持ちでいなければと思うほどです。

交通事故と医師

 さて、交通事故で怪我をした時、必ずしも最初の診断で専門医に担当してもらえるわけではありません。現に、私が自転車で事故し、時間外に病院で受診した際、対応したのは泌尿器科の先生でした。
 もちろん、医師も研修医時代に全ての診療科で研鑽されていらっしゃることでしょうけれど、一般人の感覚から言って、頭部出血があり病院に駆け込んでいるのに、対応されるのが泌尿器科の医師であれば、いささか心許ないのが本音でしょう。

交通事故における初診の重要性

 ところで、交通事故で怪我をした場合、それを解決するにはお金に換算する他ありません。時間を巻き戻せればそれが最善ですが、それができない以上、損害を金銭価値で積み上げ精算するしかないのです。
 常識的に考えて、怪我がひどければ賠償額は上がるように思います。それは、後遺障害という難しい論点を含むのですが、今、ここで大切なことは、怪我がひどいかどうかを診断するのは、初診で対応した医師であるということです。この初診での診断は後々ついて回る非常に重要な医学的資料となります。
 ですので、この時点で正確とは言えない診断がなされると、後で金銭価値に換算する際に、とても、非常に、苦労することになってしまうのです。

ケーススタディ

 一例を挙げましょう。大きな怪我をして、意識不明になられた被害者がいらっしゃいました。片目を失明し、顔に傷跡が残りました。このような重傷事案の場合、そちらに注意が向けられ、小さな変化は見過ごされやすくなります。この事例では、結果として、脳機能の障害が見落とされていたのです。

 脳機能障害の医学的立証は、労働力の喪失率に大きく影響し、結果として賠償金の額が大きく変わることになります。

 このように、医師はもちろん医学系の最高資格者ではありますが、それでも常に万能でパーフェクトではない場合もありえる、ということを知っておかなければなりません。

 実際、私は日常の通院でも不思議に思うことがあります。12月に目が赤くなって眼科に通院したら「お薬出しますね」と薬の説明はされるけれど、診断結果は言ってくださらない。ですので「花粉症ですか?」と聞くと「そうやと思うけどなぁ」と答えられる。これって診断になっているのでしょうか?

 また、目元にプツプツと発疹ができ、皮膚科に行くと「ヘルペスですね、眼科にも通院してください」と言われ、目のヘルペスは怖いと思いその足で眼科にいくと「ヘルペスじゃないですね」と診断される。あげくには、皮膚科から処方された薬は塗らなくていいからとまで言われる。

 このような医療に対する「?」というのは皆さんお持ちではないでしょうか。これが、花粉症ならとりあえず目薬を点して様子を見れば済むことですが、交通事故の場合「○○かなぁ」では済まされない。それは、後々の賠償に大きく関わってくるからに他なりません。

セカンドオピニオンを求めましょう

 交通事故は人生の一大事。場合によっては、本当に人生に大きな影響を及ぼすトラブルです。遭わないにこしたことはないのですが、年間65万件起きている交通事故に遭ってお怪我をなされた方は、担当して下さった医師の献身に感謝しつつも、それを全て鵜呑みにするのではなく、画像や資料を持ってセカンドオピニオンを求める勇気が必要です。
 もちろん、医師の判断が正しい事の方が多いでしょう。しかし、その場合であってもセカンドオピニオンを求める意義はあるのです。

 そして、勇気をもってセカンドオピニオンを求めた人の中には、そのおかげで、賠償において何千万円という積み上げができた人もいらっしゃいます。

 当職が代表理事を務めている一般社団法人では、弁護士や放射線科医の協力のもと、交通事故に関する無料相談会を開催しております。セカンドオピニオンが欲しいとお考えの皆様はお気軽にご相談ください。

京都の戸籍もコンピューター化されています

今日は、京都市が管理する戸籍が電子化されている件を取り上げます。

  • 京都市の戸籍が右京区から電子化されている。
  • 右京区の戸籍については、電子化が完了し、証明書発行コーナーでも取得することができる。
  • 平成26年度は、左京区及び伏見区の戸籍が電子化される予定である。

戸籍の電子化

 京都でも戸籍の電子化がはじまっています。戸籍そのものを明確に定義した法律上の条文はありませんが、戸籍法第6条に『戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。』と定めています。つまり、戸籍とは、国が国民を管理するために法定した書類の一つで、いわゆる核家族を基礎に作成している、と言えるでしょう。

 さて、今「書類の一つ」と表記しましたが、戸籍簿も電子化、つまり「データ化」が進み、「書類としての戸籍簿」はなくなりつつあります。しかし、戸籍法の定めでは、「戸籍簿」という言葉が使われています。ここは面白い論点ですので登記簿と比較して考えてみましょう。

戸籍簿と登記簿

 不動産を管理するシステムとして、登記制度があります。不動産を管理する帳簿として、登記簿が存在し、権利の移転や担保の設定を行うと、その登記簿に記載して管理していました。

 ところが、登記簿も電子化が完了しており、現在では「登記記録」と読み替えて呼ばれています。これは推測ですが原簿が存在しないのに、登記簿と呼ぶのはどうかという意識があったのではないでしょうか。つまり、ハードディスクやファイルサーバーを「登記簿」とは呼べないでしょうという感じです。
 従って、紙の原本のない記録を出力したものを「謄本」と呼ぶことはできず、「証明書」と言う表現が使われています。

 一方、戸籍簿は、電子化後も「戸籍簿」と呼ばれます。戸籍簿と呼ぶなら「戸籍謄本」があってもよさそうなものですが、そこは読み替え規定のような定めを置いて「証明した書面」という表現を使っています。

 法務省が所管する登記と戸籍、共にシステムの根幹は類似している部分も多いのですが、この読み替えの差異については少し不思議な感じがしますね。

電子化の状況

 さて、京都市が管理する戸籍については、右京区から電子化の作業がはじまり、右京区では既に完了しています。利用者にとって戸籍が電子化される一番のメリットは「どこでも取得できるようになる」ということでしょう。
 しかし、これには端末などのインフラ整備が必要となるため、右京区を本籍地とする戸籍を右京区役所・出張所以外の区役所等で取得することはできません。ですが、証明書発行コーナーでは取得することが可能ですので、四条烏丸や地下鉄北大路駅の証明書発行コーナーでは休日であっても戸籍を取得することが可能となっています。

まとめ

 京都市内の戸籍の電子化は遅い方で、全国の自治体では70%以上が完了しているそうです。
 利用者から見れば便利になる反面、電子化された戸籍は必ずしも統一したフォーマットではないため、仕事で戸籍を取り扱う人間にとっては古い戸籍謄本の方が正確に情報を把握することができるようにも思います。皆さんはいかがでしょうか?

 今日は、wordpress利用時において、Googleへのインデックスができているかどうかを調べる超便利なプラグインのご紹介です。

  • このプラグインは、まだ知られていないがとても便利だ。
  • 日本語URLを使っている場合、IE8を使わなければならない。
  • 精度はかなり高いと思う。

Googleへのインデックスを調べるプラグイン

 先日、900程度の記事があるwordpressをリニューアルした際、全ての記事を301リダイレクトさせたのですが、新しいURLがなかなかインデックスされずに苦戦しました。ここで自分が行った対処については稿を改めてお話しします。

 ある程度の作業を終えた後は、Fetch as google で一つずつURLを申請しようと思ったのですが、Fetch as google はインデックスされていないURLに対して使うツールですので、一つひとつインデックスされているかどうかを確認しなければなりません。

 これは、非常に手間のかかる作業です。ページを開き、タイトルを全文コピーして貼り付け一旦検索し、それで出てこなくても投稿によってはサイトタイトルをつけて再検索するなど、尋常ではない作業になります。この作業をなんとか省力化したい、というのが今回の狙いです。

プラグイン『Check Google Result』

 このプラグインは、URLの末尾にチェックコマンドを付け足して再読み込みさせることで、インデックスされているかどうかを簡単に確認できるプラグインです。ダッシュボードで一覧表示してくれればありがたいんですが、世の中そんなに甘くはないようですね。

 プラグインはwordpressのプラグイン検索から見つかりますので、名前で検索してみてください。使い方は簡単で、URLの末尾に、自分で設定した検索コマンド(デフォルトは「?check_google」)を加えて再読み込みするだけです。

結果判定

 結果の判定は、コンテンツ最上部に書き出されます。画像では緑色で「Googleさんの検索結果に表示されまっせ」と出ていますが、インデックスされていない場合、赤色で「あきまへんな~」的なメッセージが英語で表示されます。

注意事項

 このプラグインはURLに日本語が含まれている場合、動かない可能性があります。日本語ドメインでは試していませんが、ドメイン以下の部分に日本語が含まれている場合、正しく表示されませんでした。日本語URLをチェックするためには、URLをエンコードして特殊文字で表示させる必要があります。
 そこで便利なのがIE8。インターネットエクスプローラーでは、punycodeは変換されて、日本語ドメインは普通に表示されますが、それ以下のアドレス部分が特殊文字にエンコードされて表示されます。

まとめ

 wordpressは強いインデックス能力があると言われており、普通に使っていれば1日経てばインデックスされるはずです。このブログでも、投稿して5分経ってからタイトルをそのまま検索すれば表示されていた時代がありました(今はサボっているためか時間がかかっています)。
 ですので、普通に使っている分には必要ないプラグインですが、リニューアルだったり、ペナルティを受けて個別にFetch as googleを使いたい時などには便利なプラグインと言えるでしょう。ダウンロード回数はまだまだ少ないようですので、もう少し改良を加えて是非投稿一覧に表示させるよう工夫して欲しいですね。

めにゅーをスティッキーに
今日は、たった15秒でホームページのメニューを上部にピッタリくっつける方法をご紹介します。
最近「プレーンにウェブを作ろう」と思っていたら、やたらページ数が増えて動線の再設定が必要とされる事案がありました。
この手法を知っておくと、ユーザビリティが高まり、ページ循環率も上昇します。つまり、動線の設計はSEOにもなるという奥深い論点が含まれるわけですが、まずはとりあえずやってみましょう。

デザイン変更にともない、記事との整合性は一部失われていますが、コードは動きますのでそのまま掲載を継続します。

デモサイト

デモサイトなど作る時間がありませんでしたので、このサイト自身をデモにしました。パソコンからご覧になって、画面を下にスクロールすると、メニューが上にピタッと張り付くはずです。なお、IE7以下では、この機能は動作しないように設定しています。

考え方

考え方は簡単です。要素が指定位置(今回は画面上部)に来れば、jQueryでクラスを動的に付与して、そのクラスにスタイルをつけただけです。

jquery


<script type="text/javascript">
jQuery(function($){
	var stickyNavTop = $('#secondary-menu').offset().top;  
	var stickyNav = function(){  
		var scrollTop = $(window).scrollTop();  
       if (scrollTop > stickyNavTop) {   
    		$('#secondary-menu').addClass('sticky');  
		} else {  
    		$('#secondary-menu').removeClass('sticky');   
		}
	};
	stickyNav();  
	$(window).scroll(function() { stickyNav();
	});
}); 
</script>

このウェブの場合、メインのナビゲーションは<div id=”secondary-menu”>でマークアップされていますので、要素指定は’#secondary-menu’となっています。老婆心ですが、貼り付けたいナビゲーションをマークアップしている要素を確認してこの部分(3カ所)を変更してください。クラスが指定されている場合はクラスで指定します。例えば<div class=”hogehoge”>の場合は’.hogehoge’となる訳ですね。なお、記述は全て半角です。

CSS


<style>
#secondary-menu.sticky {
	background:#FFF;
	border-top: 0
	;box-shadow: 1px 2px 3px 1px #7E7E7E;
	-webkit-box-shadow: 1px 2px 3px 1px #7E7E7E;
	-moz-box-shadow: 1px 2px 3px 1px #7E7E7E;
	left: 0;
	top: 0;
	position: fixed;
	*position: relative;
	width: 100%;
	z-index:9000;
} 
</style>

ポジションでCSSハックを使っていますが、この理由はIE7で動作確認ができていないためです。ですので、IE7では、機能しません。影なんかは適当です。

このパートも、CSSパスはご自身のマークアップに合わせて変更する必要があります。

まとめ

スティッキーなメニューはユーザーの利便性を高めることができます。スクリプトは簡単で、しかも外部に記述せず、ヘッダ内に直接書き込んでも動きます。このウェブでも直接記述していますので、ソースをご覧頂いてコピーしてお試しください。ただし、そのままコピーしても動きません。少なくともjQuery3カ所とCSS一カ所の4カ所を書き換える必要があります。また、念のために申し上げますと、jQueryを読み込んでなければ動きません。

公益性を考えて直接スクリプトを書き込むスティッキーな行政書士の心意気に対し、是非清き「いいね!」の一票をお願いします。

追記:2014年4月4日、ヘッダの読み込みエラーが頻発していることを受け、直接書き込んでいたスクリプトを削除しました。投稿中のスクリプトを適宜変更すれば、ちゃんと動作します。

今日は、Wordpressのプラグイン『Post Snippets』で変数を使う方法を検討します。『Post Snippets』は手軽にショートコードを使える便利なプラグインですが、変数の使い方を知るとさらに使いやすさが広がります。

Post Snippets

『Post Snippets』は、Wordpressのプラグインの一つです。ショートコードを作るためのプラグインですね。使い方としては次のようなシチュエーションが考えられるでしょうか。

  • 異なる複数のセクションで同じコンテンツを挿入する場合
  • 投稿や固定ページ内にPHPコードを挿入する場合

 特に、複数のセクションに同じコンテンツを挿入し、それを定期的に変更する場合などにこのプラグインは大活躍します。もっとも、このような場合、ウィジェットを使うなど、アプローチは複数ありますが、引き出しを増やしておくのは、Wordpressを使っていく上で大切なことですよね。

 またPHPコードを挿入する場合、ExecPHPという有名なプラグインがありますが、セキュリティの観点から使用すべきではないという見解もあることから、それに代わるアプローチとして取り入れるという選択もあります。

Post SnippetsでPHPと変数を使う

 それでは早速、具体的な使い方を検討していきます。

Post Snippetsの画面例

タイトル欄

 タイトル欄にショートコード名を設定します。

PHPを使う

 タイトル欄の右ブロック下部の「SHORTCODE」と「PHP CODE」をそれぞれチェックし、「ショートコードでPHPを使う」という設定します。

PHPコードを入力する

「Snippet」欄にPHPコードを入力します。PHPを使う場合、最初の『<?php』と最後の『?>』は省略しなければなりません。

変数を設定する

 次に、変数を設定しましょう。変数の設定は、「Variables」欄に変数名を入力します。上の例は、任意のカテゴリーの記事タイトルを任意の数だけ表示させるというショートコードです。
 任意のカテゴリーとして「cat」、表示させる記事の本数を「kazu」として設定しています。変数を複数使う場合、半角カンマのみで区切ります。
 そして、該当する部分に変数を埋め込みます。

query_posts('posts_per_page={kazu}&order=desc&cat={cat}');

 変数は「{}」で囲みます。これで変数の設定は完了ですので、あとはループで必要な設定を行います。

ショートコードを使う

 ショートコードは[list kazu="5" cat="3"]のように使います(カッコは半角にします)。

ウィジェット内でショートコードを使う場合

 ウィジェット内でショートコードを使う場合、functions.phpに一文を書き足しましょう。

add_filter('widget_text', 'do_shortcode');

まとめ

 ページによって掲載するコンテンツを変えるのはユーザーの利便性を高める上で大切ですよね。このプラグインと簡単なPHPコードを組み合わせるだけで、プラグインを増やすことなく様々にコンテンツをカスタマイズしていくことができそうです。
 ご参考になさってください。

行政書士と電子証明書
 今日は3月、個人事業主に取っては慌ただしい2週間のはじまりです。どうせ3月15日までにはやらなければならないことと分かっていながら、確定申告は間際にならないとやる気が起こりません。これはどういう理由でしょうか?
 さて、今日は、行政書士が電子定款認証に用いる電子証明書についてのお話しです。

電子定款認証は、行政書士用の電子証明書以外に、公的個人認証による電子証明書が使える。

行政書士用の電子証明書

 行政書士用の電子証明書は、セコムトラストシステムズ株式会社さんが販売していらっしゃいます。以前は日本商工会議所が取り扱っていましたが、数年前に変更になりました。証明書を取得できるのはここからのみとなっています。

行政書士用電子証明書(別ページが開きます)

公的個人認証

 他方、行政書士も一市民として公的個人認証に基づく電子証明書を取得することができます。これは、いわゆる「住基カード」に格納されるもので、一般に使うケースはほとんどありませんが、電子申告をする時に必要となります。

電子定款認証

 行政書士が電子定款認証を行う際には、実務においては、公的個人認証による電子証明書を用いることができます。行政書士用電子証明書は1年で7千円。住民票が必要だったり、発行手続も煩雑です。一方、公的個人認証による電子証明書は、3年で500円くらいです。継続手続は、京都であれば役所に行けば即日処理してもらえます。

公的個人認証が使える理由

 行政書士が、専用の証明書を用いず公的個人認証で電子定款認証を受けることのできる正確な理由は分かりません。行政書士専用の証明書が必要であれば、そのような規定がどこかに必要であり、それがないからというのが私の推測です。

 しかしながら、電子定款認証で最も大切なことは、認証手続を瑕疵なく行うということですし、公証人がそれでOKなのであれば、何の問題もないでしょう。

まとめ

 行政書士用の電子証明書はファイル形式であり、適正に管理するためには外部ストレージに保存しておくのが良いと思われます。でも、これが案外できないものでして、ついついマイドキュメントに入れてしまいがちです。一方、公的個人認証はカードですので、最初に使う際にカードリーダーは必要になりますが、管理としてはやりやすいでしょう。なお、カードリーダーを使う際、ケーブルを間違えるとカードを認識してくれない場合があります。この失敗は原因を突き止めるのが難しい(ケーブルなんて疑わない)ので、ご注意くださいませ。

 もうすぐクリスマス。やはり行政書士事務所である以上、そろそろサンタクロースについての見解を明確にしておかなければならない。ということで、今日は「サンタさん」を概観しながら、その実在性について検討します。

サンタさんは髭を生やした老人と言われていますね。

「サンタクロース」の定義

 まずは、言葉の定義を調べます。

クリスマスの前夜、子ども達に贈り物を配って行くという赤外套・白いひげの老人。この話しはもとアメリカに移住したオランダ人の新教徒によって伝わり、クリスマスに贈物をする習慣と結合し、今では世界各国に広まった。サンタ。
-出典『広辞苑 第六版 DVDROM版』

 この説明、素敵ですね。広辞苑なのに、曖昧です。

 こういった説明を改めて読むと、色々な気付きがあります。

  • サンタはやっぱり「人間」やったんや。
  • サンタって、人間の中でも老人やったんや。
  • サンタが贈り物を配るのは、子ども達限定なんや。

「子ども達」って何歳までなんやろう?という疑問はさておき、次にサンタの起源を調べました。

サンタクロースの起源

「サンタさん」のモデルは、東アジア帝国の司教ニコラウス氏であるというのが一般的な通説になっています。

 家が貧しく嫁ぐことのできない三姉妹の存在を知ったニコラウス氏が真夜中に家の煙突から金貨を投げ入れた。その金貨は靴下の中に入り、三姉妹は身売りされることを免れた。

 このような逸話がサンタクロースの起源だそうです。煙突直下の暖炉に靴下が下げられている光景を想像するのは困難ですが、だからこそ、この「靴下」には信憑性があるのではないかという気持ちになりますね。

クリスマスとサンタクロースの関係

 では、クリスマスイブにサンタクロースがやってくるのは、どういう理由なのでしょうか。
 これは、当事務所の厳密な調査によると、論理的な必然性がある訳ではなく、風習として伝わっているものであると言えそうです。
 クリスマスイブにプレゼント持ってくるのは主にイギリスで、アメリカも大体そのようです。

 また、サンタクロースはモデルが司教であることから、正教会系の国では「サンタ=聖ニコラオス(ニコライ)」であり、聖ニコラオスの祭日である12月6日にプレゼントが贈られるそうです。

 その他、ドイツでは良い子にはプレゼントをするけれど、悪い子には説教をするという話を聞いたことがあります。

 このように、サンタクロースも、クリスマスとサンタの相関性も国や地方により様々で、それは文化や風習として定着している、と言えるでしょう。

サンタクロースの現在

 ソーシャルな社会の流れを先取りするかのように、1957年「グリーンランド国際サンタクロース協会」なる団体が発足しており、サンタクロースの公認を行っているそうです。

 また、フィンランドの「サンタクロース村」は「サンタクロースの故郷」というキャッチコピーを使っている他、スウェーデンにも「サンタワールド」という場所があるようです。

まとめ-サンタクロースは実在するのか-

 さて、本稿ではサンタクロースについて、その定義、起源、歴史と現在を簡単に概観しました。

「それでどうしたの?」

 そうなんです。サンタクロースを様々な切り口から考えたところで、それはサンタさん「そのひと」を語っていることにはなりません。

 先日学友と食事をした際、彼は言いました。「サンタはいる。リアルにいるで」と。

 目に見えるものだけが「リアル」ではない。サンタクロースはその意味で、象徴ではなく、それを信じる人にも、そして、信じない人にも実在する「赤い服を着た髭のおじいちゃん」である。

 これが当事務所のサンタクロースに対する公式見解です。おじいちゃんから見れば私も子ども。だから、世間でいう「オトナ」にだってサンタはやってくる。サンタさんって、きっと160歳くらいなんだろうな、って私は思ってます。

参考リンク

当ブログについて

 このブログは行政書士が事務所ウェブサイト内に掲載しているもので、基本的には行政法規や実務に関する情報、京都の観光案内などを掲載しております。全てのブログ記事は、使用している写真(↓等)も含めて、出稿にあたり妥当性を検討していることを付言しておきます。

サンタさんは髭を生やした老人と言われています。

 今日は、会社対会社、会社対個人で行う取引が利益相反に該当するケースとしないケース、その場合の議事録と印鑑証明書について検討します。

  • 利益相反取引は代表取締役を基準に考えると簡単だ。
  • 議事録の押印に印鑑証明書が要求されるのは登記上の要請による。

利益相反取引とは

利益相反取引について 利益相反取引とは、たとえば会社の代表取締役が会社に対して不動産を売却する場合です。

 この時、悪知恵があれば、会社の代表取締役は相場よりも高い価格で会社に売りつけることができます。何故なら買う側もその代表者がハンコを押すことになるからです。

 このように一人の人物が利害の対立する取引を行う時、取引の公平性を担保するために、民法や会社法で各種の規定が設けられています。

 本稿は株式会社にフォーカスして検討しますが、親権者が我が子の財産を売却する場合なども同様の思想から規定が設けられています

会社法の規定

 まずは条文に当たりましょう。

第三百五十六条 取締役は、次に掲げる場合には、株主総会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
一 取締役が自己又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
二 取締役が自己又は第三者のために株式会社と取引をしようとするとき。
三 株式会社が取締役の債務を保証することその他取締役以外の者との間において株式会社と当該取締役との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項第二号の取引については、適用しない。

 本稿で検討するのは第二号に関する取引です。早速具体的に見ていきましょう

利益相反取引のケーススタディ

 以下の設例では、赤字で記載された人が会社を代表して取引を行います。

みやこ株式会社
代表取締役A

対

えど株式会社
代表取締役A

 この場合、文句なしで両会社とも利益相反取引を承認する決議が必要になります。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

えど株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

 この場合、両会社とも利益相反取引を承認する決議が必要になります。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

えど株式会社
取締役A、代表取締役B、取締役C

 この場合、両会社とも利益相反取引を承認する決議が必要になります。

みやこ株式会社
代表取締役A、代表取締役B、取締役C

対

えど株式会社
代表取締役A、代表取締役B、取締役C

 この場合、両会社とも利益相反取引を承認する決議が必要になります。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

えど株式会社
代表取締役Z、取締役B、取締役C

 この場合、両会社とも利益相反取引を承認する決議は不要です。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

えど株式会社
代表取締役Z、取締役A、取締役B

 この場合、えど株式会社のみに利益相反取引を承認する決議が必要になります。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

相手方
個人としてのまたは

 この場合、個人がABCのいずれであっても、みやこ株式会社で利益相反取引を承認する決議が必要となります。

利益相反の判別方法

 利益相反行為で迷うとき、ドンピシャリの事例で判別しようと検索なされるかも知れませんが、この判別方法は意外に簡単です。

 会社を代表して取り引きする代表取締役が相手方の取締役になっていた場合、その相手方会社は利益相反の承認決議を要する。

 法則はこれだけです。

みやこ株式会社
代表取締役A、取締役B、取締役C

対

えど株式会社
代表取締役Z、取締役A、取締役B

 この設例では、みやこ(株)の代取Aは、えど(株)の取締役になっている。ですので、「みやこ」にとっての相手方である「えど」の決議が必要となります。一方、えど(株)の代取Zは、みやこの取締役になっていません。なので、「えど」から見た相手方である「みやこ」は決議は要らない。
 これだけのことなんですね。代取の相手方の取締役メンバーを見て、入っていれば、その相手方に決議が必要になる。これがセオリーです。

決議機関

 では、決議はどこで行うのでしょうか。

取締役会非設置会社:株主総会の普通決議
取締役会設置会社:取締役会

取締役会の決議

 取締役会では、利益相反行為を承認してもらう取締役は、決議に参加できません。定足数にもカウントされないので注意が必要です。
 たとえば、取締役がABCの3名で、Aの利益相反取引について承認決議を行う場合、定足数はAを除いた2名となり、その過半数で決議することになります。
 さらに、実務上、登記に記載する際の議事録には「特別利害関係を有するため本決議に参加しなかった」旨の記載が求められます。

 一方、株主総会では、利害関係を有する取締役が株主であったとしても、決議に参加できます。

議事録に押印する印鑑

 株主総会の議事録には原則押印が求められていませんが、不動産売買などで登記申請に用いるには議事録への押印が必要となります。取締役会議事録には記名押印が法的に必要となっています。

 以下、登記に用いる場合のお話しです。
 議事録を登記に用いる場合、押印すべき印鑑は、法務局に印鑑を提出している取締役は、当該印章を押印し、それ以外の取締役は、個人の実印を押印します。

 そして、それぞれの印影を確認するための印鑑証明書を添付します。

 また、取締役全員が分かる証明書を添付します。代表者事項証明書では足りませんので注意が必要です。

 さらに、最も気になる点ですね。これらの証明書に法令上、有効期限は定められていません。

まとめ

 利益相反取引承認は登記実務で頻出の事例ですが、いざ出くわすとやはり裏を取るため文献に当たることが多いのではないでしょうか。
 本稿で紹介したセオリーは、私が司法書士事務所に勤めていた時代に自分で確認のために使っていた思考法です。

 最後に、お決まりのことですが、登記は行政書士業務の範囲外であって、本稿は自己の経験に基づく知識の整理であり、業務とは関係のないことを申し添えます。資格者の方は他の文献でも裏をお取り頂きますようお願い致します。

 この記事を書くに至ったのは、自分が利益相反取引を行うことになったからなのですが、それはまた、別の話…(「あなただけ今晩は」、お好きですか?)。

平成28年10月18日、「利益相半」と記載していた記事内容につき「相反」が正しいとのご指摘を頂き、誤字を修正しました。